遊爺雑記帳

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米中「新冷戦時代」 バイデン新政権の闘い方は?

2020-11-13 01:33:55 | 米中新冷戦時代
 米国大統領選挙では、トランプ氏の訴訟の動きで未確定ながらも民主党がバイデン氏で政権を奪還することになりそうですね。
 そこで注目されるのが、トランプ氏が優勢に進めている、米中の「新冷戦時代」の行方。
 米国を中心とする自由主義の価値観を共有する国々と、軍事力と資金力で覇権拡大を推進する習近平の中国とに世界が別れてきている中で、オバマ政権時代に副大統領として、対中融和外交をしていたバイデン氏が、どのような対中外交を展開するのかが注目されます。
 今回の大統領選は、反トランプとトランプ支持との闘いであると同時に、民主党多数派による社会主義化と自由主義との闘いでもありましたが、社会主義勢が主導する民主党政権が誕生しました。
 チャイナゲート疑惑を抱えるバイデン政権が、どのような対中政策を展開するのかは、日本にとっても、世界各国にとっても影響は大きく、注目されますが、未だはっはり見えてきません。
 話題にあげている記事を拾ってみました。
 
バイデンの試練 [中] 対中政策見えず (11/12 読売朝刊)

 米大統領選で勝利を確実にした民主党のジョー・バイデン前副大統領は9~10日、「次期大統領」として矢継ぎ早に5か国の首脳と電話で会談した。カナダと英国、フランス、ドイツ、アイルランドの首脳に向かって、バイデン氏はこう伝えたという。
 
「米国は帰ってきました」(America is back〉
 「米国第一」を掲げて世界中で摩擦を引き起こしたトランプ外交に終止符を打ち、米国は多国間協調の輪に戻るという意味だ。
 
トランプ大統領は、首脳との個人的関係に基づく「ディール」(取引)を重視した。北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談が典型例だ。テレビ向けの派手な演出の割に、非核化の進展は乏しかった。
 
多国闇協力の枠組みからは次々と離脱し、欧州の安全保障の根幹である北大西洋条約機構(NATO)からの脱退まで示唆した
 トランプ外交の実態を回顧録で暴露したジョン・ボルトン前国家安全保障担当大統領補佐官は「トランプ政権が1期だけなら回復可能かもしれないが、2期続けば分からない」と危機感を隠そうとしなかった。
 
バイデン氏は選挙戦中、外交專門誌への寄稿で国際協調主義への回帰を唱え、「米国の民主主義と同盟関係を刷新し、再び米国主導の世界を実現する」と誓っている。日本を含む同盟国と連携を強化し、世界保健機関(WHO)などの国際機関とも協力する方針だ。
 ただ、オバマ政権時代に比べ、米国の国力は相対的に低下している。中国の台頭に伴う変化だ。
既存の国際秩序に対し、あからさまな違反行為を繰り返す中国に、バイデン氏はどう向き合うのか
 
「中国に国際的なルールを守らせる」。バイデン氏は10月のテレビ討論会でそう述べた以外、対中政策について踏み込んだ発言をしていない。トランプ政権が中国と結んだ貿易合意をどう扱うかも不明だ。
 在ワシントン外交筋によると、新政権で要職につくとみられているジェイク・サリハン元副大統領補佐官ら側近は「中国と対抗するには、米国経済を強くする必要がある」との認識を持っている。交渉で弱みをつかれないよう、まずは足元を固めるのが先決というわけだ。
 
バイデン氏は36年間の上院議員時代の多くを外交委員会で過さしてきた。その経験が通用するのか、真価が闇われることになる。

外交 どう取り組む オバマ路線回帰か
 米国が1年間に費やす国防費は、約7000億ドル(約75兆円)にのぼる。これは世界各国の国防予算を足し合わせた金額の約4割を占め、中国の国防予算の約4倍に相当する。
 20~30年前に比べて
相対的地位の低下が目立つとはいえ、米国は今も圧倒的な力を保っている。だからこそ、中国やロシアも米国の意向を無視できない。経済力と軍事力に基づく威信を背景に、米国が同盟国を率いて世界の安定を支える。それが戦後の国際秩序の歴史だった。
 
その点でトランプ大統領は異端だった。「米国第一」の名の下に、露骨に米国の利益のみを優先した。
 大統領選を制した
ジョー・バイデン氏は「米国は再び指導力を発揮する」という。基本的にはオバマ政権(2009~17年)の外交路線に戻るとみられている。国際協力を推進し、地球温暖化の国際的枠組み「パリ協定」などに復帰する。
 
国際社会は歓迎ムードだが、懸念もある。その一つが北朝鮮問題だ。オバマ政権は、直接的関与を避けながら、経済制裁で非核化を促す「戦略的忍耐」を選択した。その間、実際には北朝鮮の核・ミサイル開発が進んだ

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*バイデン新政権の外交課題
同盟国との関係修復

▽日本や韓国との駐留米軍経費負担問題
▽ランプ政権で悪化した欧州各国との関係修復

中国
中国の経済・軍事両面の覇権主義への対抗
▷トランプ政権が結んだ貿易合意の扱い
香港やウイグル族などの人権問題
▷地球温暖化問題などでの協力

北朝鮮
▽圧力強化で
核・ミサイル開発を止められるか
▷日米韓の安全保障協力推進

中東
▽イラン核合意への対応
 
 各国首脳が、バイデン氏と電話会談しました。菅首相も電報の他に電話会談をしましたが、スケジュール調整の都合でしょうけど、電話は少し遅れた?トランプ氏との兼ね合いでは、あまり早くない方が良かった?
 テレビのワイドショーでは、文在寅氏との会談時間の5分程度の差を取り上げていましたが、それは誤差の範囲。国務長官候補のパンダハガーのスーザン・ライス氏は、ヒラリー国務長官が「尖閣は日米安保の対象」と明言したにも関わらず、米国は領有権には関与しない(米国の主義なのですが)と言った実績がありましたが、先制して取り付けたのは功績でしたね。

 トランプ外交に終止符を打ち、米国は多国間協調の輪に戻るというバイデン氏。 
 オバマ政権時代に比べ、中国の台頭に伴う米国の国力は相対的に低下している。(政権後半に、スーザン・ライス補佐官が主導しパンダハガー化したオバマ政権の責任もあります。)
 既存の国際秩序に対し、あからさまな違反行為を繰り返す中国に、バイデン氏はどう向き合うのか。
 バイデン氏は10月のテレビ討論会で「中国に国際的なルールを守らせる」と述べた以外、対中政策について踏み込んだ発言をしていないのですね。
 トランプ政権が中国と結んだ貿易合意をどう扱うかも不明。
 バイデン氏は「米国は再び指導力を発揮する」とのことですが、基本的にはオバマ政権(2009~17年)の外交路線に戻るとみられているとのこと。
 しかし、それでは人口島建設で南シナ海を不法領有化を始めた習近平に、ハリス太平洋軍司令官が対処提言したのを制して、話し合いで解決すると、首脳会談をした結果「太平洋二分割統治」論で逆襲され沈没した二の舞を招きかねません。

 米国は衰退の兆しが否定できない。ボヤボヤしていれば、世界の覇権は中国・習近平国家主席の思惑通りになりかねないことを見失ってはならないと経済ジャーナリストの小倉氏。
 問題はバイデン氏の中国に対する政策だと。オバマ政権当時、中国に対して融和政策をとったが、バイデン氏もその一翼を担ってきた。
 いまではバイデン氏も民主党も当時とは異なり、中国の覇権主義には強い警戒感を持っているといわれている。先祖返りで中国への融和政策に転じる懸念がなくもない。バイデン親子のチャイナゲート疑惑は、弱味ですね。
 
バイデンの試金石、世界の脅威「巨龍中国」との覇権争いに勝てるか 2020/11/12 経済ジャーナリスト 小倉正男

 またしても「ラストベルト」(錆びた工業地帯)が米大統領選の趨勢を決めた

 ラストベルトとは、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニアなどの各州だが、製鉄、自動車関連など旧来型製造業が集積している。少し前までは「基幹産業」といわれた分野が広く分布し、雇用でいえば多くの人的集約型ジョブをもたらしていた。

 
今回の大統領選でも世論調査、メディア、識者たちの見方では、民主党のバイデン前副大統領が圧倒的優勢とされていた。支持率などを含めて党派制やイデオロギーが混入した事前情報であり、まったく当てにならなかった結果は文字通りの大接戦、とりわけ最後の最後までというか、いまだ揉めているのがラストベルトを中核とする票である。

 2016年の前回大統領選では、「ラストベルトがトランプを大統領にした」といわれている。ラストベルトは、もともとは労働組合が強いところで歴史的に民主党の地盤とされてきた。しかし、16年は事前予測とは逆に共和党のトランプ氏がラストベルトで圧倒的な勝利を収めた。大逆転でトランプ氏を大統領の座に押し上げたのはまさしくラストベルトだった。

 民主党にとってそれは想定を超えるものだった。問題は、「グローバリゼーション」に対する皮膚感覚だった。ラストベルトの中産階級、労働者にとっては、グローバリゼーションとは自分たちのジョブを奪う規範だった。

 
ラストベルトは、グローバリゼーションを当然のものと受け入れている民主党からは見捨てられた地域だった。民主党では左派のサンダース氏(上院議員)が反グローバリゼーションなのだが、民主党をリードするものではなかった。「アメリカファースト」、一国主義で中国が米国のジョブを盗んだと唱えるトランプ氏なら、ラストベルトにジョブを戻してくれると投票したわけである。

 だが、今回は、ラストベルトはどの州も極めて僅差ながらバイデン氏への支持が上回った。ラストベルトは前回と違ってトランプ氏ではなくバイデン氏に勝利をもたらした。

 トランプ氏の敗因としては、やはり新型コロナ感染症を甘くみたことが大きい。自ら感染したのが象徴的である。新型コロナの抑え込みに失敗したといわなければならない。

 また、トランプ氏は、マスク着用などをことさら軽視し、新型コロナの感染拡大を許した。米国は、コロナ感染による死者は23万人超、感染者は960万人を上回っている。インド、ブラジルを超えて世界断トツだ。コロナが蔓延すれば、経済が停止しジョブが失われる。

 先に記したが、
ラストベルトは僅差ではあるものの、軒並みバイデン氏が勝利した。これは旧来型製造業の人的集約型ジョブを米国に戻すことの困難さを示している

 そもそも
世界のサプライチェーンを中国が占めており、米国の製造業が世界市場での競争から生き残るのは至難だった。オバマ氏が大統領、ヒラリー・クリントン氏が国務長官を務めるなどしていた時代に民主党が支持したグローバリゼーションは、中国に旧来型製造業のジョブと所得が移転することを黙認するものだった。ラストベルトの製造業は、人的集約型から脱して進化するしか生き残りの道はなく、労働者たちはジョブを失った

 
トランプ氏は、一国主義を掲げて反グローバリゼーションを標榜した。中国は、米国の資本、技術、雇用などの富を盗んでいると「米中貿易戦争」をひたすら激化させ、中国に高関税を課した。しかし、それでもラストベルトに旧来型のジョブが戻ることはなかった。トランプ氏は、ラストベルトの中産階級のポケットを膨らますことを実現できなかった。

 そうした要因が大統領候補の2人にとって、ラストベルトでの明暗を僅差で分けた。
前回は、反グローバリゼーションのトランプ氏が支持された。だが、今回はお題目ではなく、ジョブが現実に戻らないなら、トランプ氏を再選させる熱意を持てない

 バイデン氏の大統領就任が確実になったことで
「お前(トランプ氏)はクビだ」と全米はお祭り騒ぎである。だが、米国はそれどころではない。国内総生産(GDP)では、中国は米国のそれの7割弱のところまで膨張してきている。中国は虎視眈々とGDPで米国に肩を並べる勢いを示している。ちなみに中国はGDPで日本の3倍の規模を獲得している。

 しかも、
中国は新型コロナの発生源であるにもかかわらず、武漢封鎖など強権で新型コロナ抑え込みに成功している。中国はすでに経済を再スタートさせている。日本国内の電子部品・工作機械関連産業筋などは「中国経済の復活は本物だ」と声をそろえている。中国はいち早く新型コロナ禍から立ち直りをみせている。

 米国は、大統領選のお祭り騒ぎを引きずって新型コロナ感染をさらに拡大するとしたら経済の混乱に拍車をかけるようなものである。新型コロナの抑え込み、大統領選の混乱など見ていても、
米国は衰退の兆しが否定できない。ボヤボヤしていれば、世界の覇権は中国・習近平国家主席の思惑通りになりかねないことを見失ってはならない

 
問題はバイデン氏の中国に対する政策である。オバマ政権当時、中国に対して融和政策をとったが、バイデン氏もその一翼を担ってきた。いまではバイデン氏も民主党も当時とは異なり、中国の覇権主義には強い警戒感を持っているといわれている。先祖返りで中国への融和政策に転じる懸念がなくもないが、香港、ウイグルなどの人権問題では強硬な方針を打ち出すとみられる。

 
経済ではITなど先端テクノロジー分野を含めて経済安全保障に関連する産業分野で、米中のデカップリング(切り離し)が進められるとみられる。中国としては、人権問題に加えて先端テクノロジー分野でデカップリングが進めば、米国経済を追い抜くという野望の大きな阻害要因になるのは間違いない。

 
日本の経済界も先端テクノロジー分野を含めて安全保障に関わるデカップリングは受け入れている。ただ、デカップリングの範囲がさらに拡大することになれば軋みが出かねない。

 
経済界は一般にイデオロギーよりも売り上げ、利益というところが眼目であり、背に腹は代えられないという現実を抱えている。経済界では、「米中軋轢には日本はうまく立ち回って」という声が出ている。しかし、「うまく立ち回れる」といった保証はまったくない

 経済界が
もう一つ抱えているのは、中国の巨大市場を捨てられないという現実だ。中国の14億人という巨大な人口もそうだが、1億人を超える金持ち層の存在がマーケットの魅力になっている。「中国のマーケットはまだ成熟しておらず、消費、贅沢に貪欲だ。米国のマーケットが成熟してきているのとは好対照だ」。製造業、サービス産業の経営者筋たちは、中国市場と米国市場の現状の違いをストレートに語っている。

 
中国の王毅外相が、「中国のマーケットを捨てられるか」と開き直った発言をしたことがある。確かに、新型コロナ禍に苦しむ日本の経済界にとっては、ここは急所だ。

 ドイツなどが米国と少し距離を置いて、中国との関係見直しについては旗幟を鮮明にしていない。これはメルケル首相とトランプ氏の相性が悪いからということではない。ドイツ企業が中国マーケットで収益を享受している。それがメルケル首相を逡巡させている。

 
新大統領となるバイデン氏に求めたいのは、中国の追走を再び大きく引き離すような米国経済のダイナミズム再生に取り組んでほしいということだ

 かつて米国マーケットは世界断トツで、日本の家電製品、自動車などを成長させてくれた豊かさやおおらかさがあった。「GAFA」というイノベーションを伴った巨大ビジネスを創造したのも米国にほかならない。世界の尊敬や憧れはそうした懐の深い米国にあった。

 20世紀は、世界がドイツとどう調和するのか、ドイツが世界とどう調和するのかという100年だったといわれている。
現時点はおそらく世界と中国がどう調和するかという時代といえるかもしれない。

 
米国経済のダイナミズムを再生することで一党独裁国家である中国の凄まじい世界覇権に歯止めをかける必要がある。米国は衰退から再生を繰り返しながら世界経済をリードしてきた。「バイデン新大統領」の先行きはそう楽観できるものではなさそうだが、ともあれ米国経済のダイナミズム復活に期待したいものである。

 米中のデカップリングが進められるとみられる。中国としては、人権問題に加えて先端テクノロジー分野でデカップリングが進めば、米国経済を追い抜くという(習近平の)野望の大きな阻害要因になるのは間違いないと小倉氏。
 新大統領となるバイデン氏に求めたいのは、中国の追走を再び大きく引き離すような米国経済のダイナミズム再生に取り組んでほしいということだと。
 一党独裁国家である中国の凄まじい世界覇権に歯止めをかける必要がある。バイデン新大統領の先行きはそう楽観できるものではなさそうだが、ともあれ米国経済のダイナミズム復活に期待したいと。

 米中の「新冷戦時代」を優勢に進めていたトランプ氏が、米国民の民意で否定され誕生するバイデン政権。
 民主党の社会主義勢力が主導するとの見方が多く、当ブログでは再三取り上げてきましたのでここでは止めておきます。
 バイデン政権の国務長官や国防長官にはどのような方が任命されるのか。その、対中政策はどのようなものとなるのか。注目ですね。



 # 冒頭の画像は勝利宣言するバイデン氏




  この花の名前は、コバノランタナ


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写真素材のピクスタ


Fotolia







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