中共建党100周年にまつわる話題は尽きませんが、おなじみの福島香織さんが、大会直前に論評されていた記事があります。
習近平が毛沢東以来の指導者、つまり鄧小平を超える指導者であることをアピールする内容になるのではないかとの予言通りの習近平の演説。ズバリ的中でしたね。
更に、本当に人民に祝福されて迎えられているのかと鋭い指摘。
この建党100周年の記念大会が、本当に人民に祝福されて迎えられているのかという点については、今の段階でもだいたいわかる。正直、祝賀ムードよりは、異様にピリピリした緊張感が伝わってくるのだと直前の予言。
建国70周年記念の時も同様の規制は敷かれていたので、党が大規模政治イベントを開くときの通常通りの措置と言えるが、気になるのは、天安門広場から遠く離れたところまで、遊びさえも規制するのかとちょっと驚いたと。
一部ネットユーザーの複数の証言によれば、一部厳重警戒区域内の住宅では台所で使うガスも遮断、その間、社区の党組織が食事をデリバリーするとか、包丁刃物類のネット販売に制限がかかったとかいう話も。企業も工事現場も7月4日まで休業が指示されていたのだそうです。
英BBCの報道によれば、ネット情報管理当局は5月から、“反共産党的”な言論の徹底削除を行ってたのだそうです。
7月1日当日は天安門広場を挟んで東単、西単は一切の電波の使用が禁止。
習近平政権以前の建国イベント、建党イベントで、当局がここまでガチガチの統制・管理を指示することはなかったと思うと福島さん。
習近平は今年、建党100年記念にちなんだ中国共産党簡史を出版。
文革について、鄧小平の「毛沢東の重大な過ちであった」という認定を否定しようとしている、とみられている。これは一種の歴史の改ざんではないかと。
今回、地上の閲兵式は行われず、空軍の最新鋭戦闘機J-20を使った編隊飛行や直-10(Z-10)ヘリ29機による「100」「71」編隊による航空観閲が行われました。
何故か。
その理由としてまことしやかに言われていたのは、陸軍と習近平の折り合いは決していいものではない、という見方だと福島さん。
習近平は大規模な軍制改革を実行し、徐才厚はじめ軍長老たちを軒並み粛清、陸軍の既得権益を大幅に縮小。ちなみに徐才厚電撃逮捕の実働部隊は空軍将校たちだったのだと。
習近平に最も忠誠を誓い、習近平も信頼しているのが空軍だといわれている。だから空軍の飛行隊パフォーマンスは行われるが、地上閲兵は「万が一」を考えてやらないことにしたのではないか、と。
6月になって、習近平が信頼していると評判の国家安全部副部長(次官)の董経緯が、新型コロナウイルス起源に関する機密情報をもって米国に亡命したという未確認情報が流れたのだそうです。香港英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」や英紙「デイリー・テレグラム」などが“噂”として報道。
国家安全部や解放軍というインテリジェンスや国防の要の内部に「裏切り者」がいるのではないか、という懸念を習近平は持っている。それが、建党100年の祝賀を上回る緊張ムードを醸しているのかもしれないと福島さん。
実際、習近平政権になってから未遂も含めて党中央幹部レベルの亡命者が続出しているのだそうです。
亡命に成功した1人の元中央党校教授の蔡霞。
彼女はいくつかのメディアを通じて、共産党内部である種のパニックや疑心暗鬼が起きており、結束が非常に脆弱になっていることを指摘。「いったん、ある程度大きな圧力を外部から受けたら、党を裏切って、雪崩をうって逃げ出す現象が起きる」と語っているのだそうです。
崩壊したソ連の共産党に比べ、中国共産党の国家運営時代は十分に長い。寿命が尽きない最大の理由は、鄧小平システムによって、経済の市場化、グローバル化が1990年代から一気に加速したからだろうと福島さん。
中国のグローバル化に一役買ったのが香港。
だが、習近平政権は鄧小平システムを否定し、改革開放の最大の果実であった香港の自由と法治を蹂躙した。
今年の7月1日は香港で国家安全維持法が施行されてちょうど1年目であり、香港の「法治の死」の一周忌でもある。これと重なる中国共産党建党100周年記念日。この日を心の底から祝福すべきだと思っている人は、いったいどれほどいるのだろうかと。
この祝賀行事自体に中国人民はほとんど関与していない。
米上院では「中共建党100年を祝福しない理由」決議案が提出された。
しかし日本では、自民党・二階幹事長や公明党、河野洋平氏などが、祝辞を送った。G7では中国への批難を声明に盛り込みました。
日本は、台湾同様に、尖閣諸島で「海警」による領海侵入を含む施政権行使の侵略で、実効支配が侵されています。
今年の7月1日を迎える中国を、いつにもまして痛ましい思いで見つめていると福島さん。
台湾侵略の危機は、尖閣諸島の危機。その認識を改めて強くした、中共建党100周年でした。
# 冒頭の画像は、中国共産党創立100周年を前に北京で開催された文芸ショーで、スクリーンに映し出された、党への忠誠を誓う習近平国家主席等
この花の名前は、サルビア・コクシネア
↓よろしかったら、お願いします。
習近平が毛沢東以来の指導者、つまり鄧小平を超える指導者であることをアピールする内容になるのではないかとの予言通りの習近平の演説。ズバリ的中でしたね。
更に、本当に人民に祝福されて迎えられているのかと鋭い指摘。
人民は祝福しているのか?中国「建党100周年」のピリピリムード 言論を徹底統制し、祝賀行事は厳戒態勢 | JBpress (ジェイビープレス) 2021.7.1(木) 福島 香織
今年(2021年)は中国共産党建党100周年であり、7月1日午前8時から北京の天安門広場で盛大な祝賀記念大会が行われる。正確な建党日は7月23日らしいが、便宜的に7月1日が建党記念日とされている。この日、習近平が重要演説するということで、どんな演説をするのか注目が集まっている。この原稿が公開された後に演説が行われるので、私はその内容についてはまだ知らない。おそらくは、共産党政権の正統性を強く訴え、同時に習近平が毛沢東以来の指導者、つまり鄧小平を超える指導者であることをアピールする内容になるのではないか、と見られている。
■郊外の「遊び」も規制
この建党100周年の記念大会が、本当に人民に祝福されて迎えられているのかという点にはついては、今の段階でもだいたいわかる。正直、祝賀ムードよりは、異様にピリピリした緊張感が伝わってくるのだ。
6月28日から7月1日の式典閉幕まで、天安門広場周辺への交通規制措置がとられ、大会専用車両以外は進入できないし、人の通行もできない。30日からは地下鉄、バスも一部運行停止となり、駅も封鎖された。
建国70周年記念の時も同様の規制は敷かれていたので、党が大規模政治イベントを開くときの通常通りの措置と言えるが、気になるのは、6月13日から北京市の東城区、西城区、朝陽区、海淀区、豊台区、石景山区、房山区、通州区、大興区など広範囲で、鳩、たこ、ドローン、リモコン飛行機などを飛ばすことが禁止された措置だ。十数年前の北京駐在時代の記憶を振り返れば、この季節、鳩笛を付けた鳩を飛ばしたり、たこを揚げたりすることを多くの市民が楽しんでいたが、豊台や通州のような天安門広場から遠く離れたところまで、こうした遊びさえも規制するのかとちょっと驚いた。
ほかにも、6月12~13日の週末に、会場周辺のセキュリティ、交通管制演習が1.4万人を動員して行われた。故宮博物院や天安門広場、首都博物館、国家博物館、朝陽公園、オリンピック公園などの多くの場所が封鎖されているという。お祝いごとならば、公園や博物館でもっと自由に市民が参加できる記念イベントがあってもよさそうなものだが。一部ネットユーザーの複数の証言によれば、一部厳重警戒区域内の住宅では台所で使うガスも遮断、その間、社区の党組織が食事をデリバリーするとか、包丁刃物類のネット販売に制限がかかったとかいう話も。企業も工事現場も7月4日まで休業が指示されている。
■これまでにないガチガチの言論統制
英BBCの報道によれば、建党100周年記念を「良好な環境」で迎えるために、中国のネット情報管理当局は5月から、“反共産党的”な言論の徹底削除を行っているという。
特に、歴史虚無主義言論(革命の領袖、民族の英雄、烈士、先賢を否定し、近代以来の反帝国主義、反封建主義闘争を否定し、中国共産党が指導した人民革命と社会主義革命、建設の成果を否定し、最終的に中国共産党の指導と社会主義制度を否定するような言論)、マルクス主義を否定する言論を、有害情報だとして数百万単位で削除したという。また先月から地方紙に対してネガティブなニュース掲載を制限するよう指示があったという。また7月1日当日は天安門広場を挟んで東単、西単は一切の電波の使用が禁止され、携帯電話もつながらないらしい。インターネットも広範囲で断続的に遮断されている。高瑜らジャーナリストや権利擁護活動家らは厳しい在宅監視をされたり強制的に北京から引き離されて「旅行」という名の軟禁措置を受けているという。
少なくとも習近平政権以前の建国イベント、建党イベントで、当局がここまでガチガチの統制・管理を指示することはなかったと思う。
過去数カ月の間、中国の映画館では「金剛川」「紅海行動」といった愛国主義映画の上映が要請された。また共産党は、延安、遵義など「共産党革命ゆかりの地」の観光旅行を行うことを各方面に要請した。紅衛兵ルックやお揃いの愛党愛国Tシャツを着たツアー客が革命聖地巡礼を行っている写真や、文化大革命期に大流行した「忠字舞」を踊っている動画がネットに大量に流れているのをみると、まるで大衆が本気で文革時代にノスタルジーを感じているかのような印象をもつ。だが、これは庶民の感情を反映したものではなく、党の指示によるプロパガンダと見るべきだろう。
習近平は今年、建党100年記念にちなんだ中国共産党簡史を出版したが、そこでは大躍進や文化大革命に対する記述が大幅に縮小された。第6章の「社会主義建設は曲折しながら発展した」という一節の中で、簡単に触れられているだけだった。習近平は文革について、鄧小平の「毛沢東の重大な過ちであった」という認定を否定しようとしている、とみられている。これは一種の歴史の改ざんではないか。
■閲兵式が行われない理由は?
今回、地上の閲兵式は行われない。だが、空軍の最新鋭戦闘機J-20を使った編隊飛行や直-10(Z-10)ヘリ29機による「100」「71」編隊による航空観閲が行われる予定だ。
なぜ地上閲兵式が行われないのか。地上閲兵式が行われないことは3月にはわかっていたので、チャイナウォッチャーたちは訝(いぶか)しがっていた。
その理由としてまことしやかに言われていたのは、人民解放軍、とくに陸軍と習近平の折り合いは決していいものではない、という見方だ。
習近平は大規模な軍制改革を実行し、徐才厚はじめ軍長老たちを軒並み粛清、陸軍の既得権益を大幅に縮小した。ちなみに徐才厚電撃逮捕の実働部隊は空軍将校たちだった。習近平に最も忠誠を誓い、習近平も信頼しているのが空軍だといわれている。だから空軍の飛行隊パフォーマンスは行われるが、地上閲兵は「万が一」を考えてやらないことにしたのではないか、と。
「万が一」というのはありていにいえば、軍事クーデターや暗殺だ。粛清された長老派の残党グループが政変未遂事件や習近平暗殺未遂事件を起こしたという噂話は、これまで何度となく流れている。もちろん裏は取れていない。
今回もウソかまことか、7月1日に軍事クーデターを実行する計画があって、6月中旬ごろ、その計画に参与していた300人の軍人が逮捕された、という「軍政変未遂事件」の噂がネットを駆け巡った。このネタの出元は、元政商で今は米国に亡命してニューヨークで「爆料革命」(フェイクニュースも含めたスキャンダル投下で共産党体制を転覆させる)を呼び掛ける郭文貴なので、ほとんどの人が無視しているが、解放軍内に何らかの不穏な動きがあっても不思議ではないという点は、多くの人が認めるところだろう。
たとえば6月19日ごろ、ネットで大量の軍人を乗せたバス200台が北京五輪スタジアム「鳥の巣」の駐車場に並んでいる映像が流れた。これについて、ニューヨーク在住の亡命華人で政治評論家の陳破空は、「この2日、北京で異常事態が発生していると体制内関係者が話している」と伝えていた。数万規模の重装備兵が鳥の巣に集合していたのは、隠密の任務があったのか、あるいは何かの演習なのか。習近平が何かを恐れて、それに対する対策を講じている、という可能性はあろう。
「鳥の巣」で開催された共産党100周年の文芸イベント「偉大征程」は本来6月29日に予定されていたが、突然28日未明に、28日の夜に前倒しで開催することが告知された。こうした急な日程変更も異常なことなので、何かが水面下であったのではないか、といった噂を信じた人も多かった。ちなみにこの文芸イベントが開催されている間、一般市民は「鳥の巣」に容易に近づくことすら許されなかった。車両の通行は規制され、付近を歩く人も身分証の提示を求められていた。市民の楽しみのためのイベントではないのだ。
■裏切り者がいるのでは?習近平の懸念
噂といえば、6月になって、習近平が信頼していると評判の国家安全部副部長(次官)の董経緯が、新型コロナウイルス起源に関する機密情報をもって米国に亡命したという未確認情報が流れた。香港英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」や英紙「デイリー・テレグラム」などが“噂”として報道したものだから、一部で信じる人が続出した。
中国側は、董経緯が議長を務める反スパイ座談会が開かれたというアナウンスを党中央政法委員会系の微博アカウントを通じて公式に行い、この噂を否定した。だが、それでもまだ、中国の公式発表の方がウソではないか、と疑う声がある。国家安全部副部長といえば、かつて郭文貴らとつるんでいた馬建が習近平の政敵の曽慶紅派のスパイとして習近平に対する盗聴を行うなどして、失脚させられた事件があった(無期懲役で服役中)。以降、習近平は国家安全部幹部を数度にわたり総入れ替えして、董経緯は習近平の信頼できる人物として国家安全部副部長の座についた。だが、一度あることは何度でもある、かもしれない。
国家安全部や解放軍というインテリジェンスや国防の要の内部に「裏切り者」がいるのではないか、という懸念を習近平は持っている。それが、建党100年の祝賀を上回る緊張ムードを醸しているのかもしれない。
実際のところ、習近平政権になってから未遂も含めて党中央幹部レベルの亡命者が続出している。亡命に成功した1人に元中央党校教授の蔡霞がいる。彼女はいくつかのメディアを通じて、共産党内部である種のパニックや疑心暗鬼が起きており、結束が非常に脆弱になっていることを指摘している。「いったん、ある程度大きな圧力を外部から受けたら、党を裏切って、雪崩をうって逃げ出す現象が起きる」と語っている。
■人民がほとんど関与しない祝賀行事
旧ソ連共産党は1912年に誕生し1991年に解散したことを思えば、中国共産党の国家運営時代は十分に長い。寿命が尽きない最大の理由は、鄧小平システムによって、経済の市場化、グローバル化が1990年代から一気に加速したからだろう。
この中国のグローバル化に一役買ったのが、英国から一国二制度の約束とともに1997年7月1日に返還された自由と法治の国際金融都市・香港のおかげだった。だが、習近平政権は鄧小平システムを否定し、改革開放の最大の果実であった香港の自由と法治を蹂躙した。今年の7月1日は香港で国家安全維持法が施行されてちょうど1年目であり、香港の「法治の死」の一周忌でもある。
虚実ないまぜの噂が飛び交い、それを厳しい管理と監視で抑え込んで迎えた中国共産党建党100周年記念日。この日を心の底から祝福すべきだと思っている人は、いったいどれほどいるのだろうか。
共産党内部にすら懐疑的であったり不穏なムードが流れているし、この祝賀行事自体に中国人民はほとんど関与していない。日本の河野洋平や一部政党が歯の浮くような祝辞を送ったようだが、米上院では「中共建党100年を祝福しない理由」決議案が提出された。
私は今年の7月1日を迎える中国を、いつにもまして痛ましい思いで見つめている。
今年(2021年)は中国共産党建党100周年であり、7月1日午前8時から北京の天安門広場で盛大な祝賀記念大会が行われる。正確な建党日は7月23日らしいが、便宜的に7月1日が建党記念日とされている。この日、習近平が重要演説するということで、どんな演説をするのか注目が集まっている。この原稿が公開された後に演説が行われるので、私はその内容についてはまだ知らない。おそらくは、共産党政権の正統性を強く訴え、同時に習近平が毛沢東以来の指導者、つまり鄧小平を超える指導者であることをアピールする内容になるのではないか、と見られている。
■郊外の「遊び」も規制
この建党100周年の記念大会が、本当に人民に祝福されて迎えられているのかという点にはついては、今の段階でもだいたいわかる。正直、祝賀ムードよりは、異様にピリピリした緊張感が伝わってくるのだ。
6月28日から7月1日の式典閉幕まで、天安門広場周辺への交通規制措置がとられ、大会専用車両以外は進入できないし、人の通行もできない。30日からは地下鉄、バスも一部運行停止となり、駅も封鎖された。
建国70周年記念の時も同様の規制は敷かれていたので、党が大規模政治イベントを開くときの通常通りの措置と言えるが、気になるのは、6月13日から北京市の東城区、西城区、朝陽区、海淀区、豊台区、石景山区、房山区、通州区、大興区など広範囲で、鳩、たこ、ドローン、リモコン飛行機などを飛ばすことが禁止された措置だ。十数年前の北京駐在時代の記憶を振り返れば、この季節、鳩笛を付けた鳩を飛ばしたり、たこを揚げたりすることを多くの市民が楽しんでいたが、豊台や通州のような天安門広場から遠く離れたところまで、こうした遊びさえも規制するのかとちょっと驚いた。
ほかにも、6月12~13日の週末に、会場周辺のセキュリティ、交通管制演習が1.4万人を動員して行われた。故宮博物院や天安門広場、首都博物館、国家博物館、朝陽公園、オリンピック公園などの多くの場所が封鎖されているという。お祝いごとならば、公園や博物館でもっと自由に市民が参加できる記念イベントがあってもよさそうなものだが。一部ネットユーザーの複数の証言によれば、一部厳重警戒区域内の住宅では台所で使うガスも遮断、その間、社区の党組織が食事をデリバリーするとか、包丁刃物類のネット販売に制限がかかったとかいう話も。企業も工事現場も7月4日まで休業が指示されている。
■これまでにないガチガチの言論統制
英BBCの報道によれば、建党100周年記念を「良好な環境」で迎えるために、中国のネット情報管理当局は5月から、“反共産党的”な言論の徹底削除を行っているという。
特に、歴史虚無主義言論(革命の領袖、民族の英雄、烈士、先賢を否定し、近代以来の反帝国主義、反封建主義闘争を否定し、中国共産党が指導した人民革命と社会主義革命、建設の成果を否定し、最終的に中国共産党の指導と社会主義制度を否定するような言論)、マルクス主義を否定する言論を、有害情報だとして数百万単位で削除したという。また先月から地方紙に対してネガティブなニュース掲載を制限するよう指示があったという。また7月1日当日は天安門広場を挟んで東単、西単は一切の電波の使用が禁止され、携帯電話もつながらないらしい。インターネットも広範囲で断続的に遮断されている。高瑜らジャーナリストや権利擁護活動家らは厳しい在宅監視をされたり強制的に北京から引き離されて「旅行」という名の軟禁措置を受けているという。
少なくとも習近平政権以前の建国イベント、建党イベントで、当局がここまでガチガチの統制・管理を指示することはなかったと思う。
過去数カ月の間、中国の映画館では「金剛川」「紅海行動」といった愛国主義映画の上映が要請された。また共産党は、延安、遵義など「共産党革命ゆかりの地」の観光旅行を行うことを各方面に要請した。紅衛兵ルックやお揃いの愛党愛国Tシャツを着たツアー客が革命聖地巡礼を行っている写真や、文化大革命期に大流行した「忠字舞」を踊っている動画がネットに大量に流れているのをみると、まるで大衆が本気で文革時代にノスタルジーを感じているかのような印象をもつ。だが、これは庶民の感情を反映したものではなく、党の指示によるプロパガンダと見るべきだろう。
習近平は今年、建党100年記念にちなんだ中国共産党簡史を出版したが、そこでは大躍進や文化大革命に対する記述が大幅に縮小された。第6章の「社会主義建設は曲折しながら発展した」という一節の中で、簡単に触れられているだけだった。習近平は文革について、鄧小平の「毛沢東の重大な過ちであった」という認定を否定しようとしている、とみられている。これは一種の歴史の改ざんではないか。
■閲兵式が行われない理由は?
今回、地上の閲兵式は行われない。だが、空軍の最新鋭戦闘機J-20を使った編隊飛行や直-10(Z-10)ヘリ29機による「100」「71」編隊による航空観閲が行われる予定だ。
なぜ地上閲兵式が行われないのか。地上閲兵式が行われないことは3月にはわかっていたので、チャイナウォッチャーたちは訝(いぶか)しがっていた。
その理由としてまことしやかに言われていたのは、人民解放軍、とくに陸軍と習近平の折り合いは決していいものではない、という見方だ。
習近平は大規模な軍制改革を実行し、徐才厚はじめ軍長老たちを軒並み粛清、陸軍の既得権益を大幅に縮小した。ちなみに徐才厚電撃逮捕の実働部隊は空軍将校たちだった。習近平に最も忠誠を誓い、習近平も信頼しているのが空軍だといわれている。だから空軍の飛行隊パフォーマンスは行われるが、地上閲兵は「万が一」を考えてやらないことにしたのではないか、と。
「万が一」というのはありていにいえば、軍事クーデターや暗殺だ。粛清された長老派の残党グループが政変未遂事件や習近平暗殺未遂事件を起こしたという噂話は、これまで何度となく流れている。もちろん裏は取れていない。
今回もウソかまことか、7月1日に軍事クーデターを実行する計画があって、6月中旬ごろ、その計画に参与していた300人の軍人が逮捕された、という「軍政変未遂事件」の噂がネットを駆け巡った。このネタの出元は、元政商で今は米国に亡命してニューヨークで「爆料革命」(フェイクニュースも含めたスキャンダル投下で共産党体制を転覆させる)を呼び掛ける郭文貴なので、ほとんどの人が無視しているが、解放軍内に何らかの不穏な動きがあっても不思議ではないという点は、多くの人が認めるところだろう。
たとえば6月19日ごろ、ネットで大量の軍人を乗せたバス200台が北京五輪スタジアム「鳥の巣」の駐車場に並んでいる映像が流れた。これについて、ニューヨーク在住の亡命華人で政治評論家の陳破空は、「この2日、北京で異常事態が発生していると体制内関係者が話している」と伝えていた。数万規模の重装備兵が鳥の巣に集合していたのは、隠密の任務があったのか、あるいは何かの演習なのか。習近平が何かを恐れて、それに対する対策を講じている、という可能性はあろう。
「鳥の巣」で開催された共産党100周年の文芸イベント「偉大征程」は本来6月29日に予定されていたが、突然28日未明に、28日の夜に前倒しで開催することが告知された。こうした急な日程変更も異常なことなので、何かが水面下であったのではないか、といった噂を信じた人も多かった。ちなみにこの文芸イベントが開催されている間、一般市民は「鳥の巣」に容易に近づくことすら許されなかった。車両の通行は規制され、付近を歩く人も身分証の提示を求められていた。市民の楽しみのためのイベントではないのだ。
■裏切り者がいるのでは?習近平の懸念
噂といえば、6月になって、習近平が信頼していると評判の国家安全部副部長(次官)の董経緯が、新型コロナウイルス起源に関する機密情報をもって米国に亡命したという未確認情報が流れた。香港英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」や英紙「デイリー・テレグラム」などが“噂”として報道したものだから、一部で信じる人が続出した。
中国側は、董経緯が議長を務める反スパイ座談会が開かれたというアナウンスを党中央政法委員会系の微博アカウントを通じて公式に行い、この噂を否定した。だが、それでもまだ、中国の公式発表の方がウソではないか、と疑う声がある。国家安全部副部長といえば、かつて郭文貴らとつるんでいた馬建が習近平の政敵の曽慶紅派のスパイとして習近平に対する盗聴を行うなどして、失脚させられた事件があった(無期懲役で服役中)。以降、習近平は国家安全部幹部を数度にわたり総入れ替えして、董経緯は習近平の信頼できる人物として国家安全部副部長の座についた。だが、一度あることは何度でもある、かもしれない。
国家安全部や解放軍というインテリジェンスや国防の要の内部に「裏切り者」がいるのではないか、という懸念を習近平は持っている。それが、建党100年の祝賀を上回る緊張ムードを醸しているのかもしれない。
実際のところ、習近平政権になってから未遂も含めて党中央幹部レベルの亡命者が続出している。亡命に成功した1人に元中央党校教授の蔡霞がいる。彼女はいくつかのメディアを通じて、共産党内部である種のパニックや疑心暗鬼が起きており、結束が非常に脆弱になっていることを指摘している。「いったん、ある程度大きな圧力を外部から受けたら、党を裏切って、雪崩をうって逃げ出す現象が起きる」と語っている。
■人民がほとんど関与しない祝賀行事
旧ソ連共産党は1912年に誕生し1991年に解散したことを思えば、中国共産党の国家運営時代は十分に長い。寿命が尽きない最大の理由は、鄧小平システムによって、経済の市場化、グローバル化が1990年代から一気に加速したからだろう。
この中国のグローバル化に一役買ったのが、英国から一国二制度の約束とともに1997年7月1日に返還された自由と法治の国際金融都市・香港のおかげだった。だが、習近平政権は鄧小平システムを否定し、改革開放の最大の果実であった香港の自由と法治を蹂躙した。今年の7月1日は香港で国家安全維持法が施行されてちょうど1年目であり、香港の「法治の死」の一周忌でもある。
虚実ないまぜの噂が飛び交い、それを厳しい管理と監視で抑え込んで迎えた中国共産党建党100周年記念日。この日を心の底から祝福すべきだと思っている人は、いったいどれほどいるのだろうか。
共産党内部にすら懐疑的であったり不穏なムードが流れているし、この祝賀行事自体に中国人民はほとんど関与していない。日本の河野洋平や一部政党が歯の浮くような祝辞を送ったようだが、米上院では「中共建党100年を祝福しない理由」決議案が提出された。
私は今年の7月1日を迎える中国を、いつにもまして痛ましい思いで見つめている。
この建党100周年の記念大会が、本当に人民に祝福されて迎えられているのかという点については、今の段階でもだいたいわかる。正直、祝賀ムードよりは、異様にピリピリした緊張感が伝わってくるのだと直前の予言。
建国70周年記念の時も同様の規制は敷かれていたので、党が大規模政治イベントを開くときの通常通りの措置と言えるが、気になるのは、天安門広場から遠く離れたところまで、遊びさえも規制するのかとちょっと驚いたと。
一部ネットユーザーの複数の証言によれば、一部厳重警戒区域内の住宅では台所で使うガスも遮断、その間、社区の党組織が食事をデリバリーするとか、包丁刃物類のネット販売に制限がかかったとかいう話も。企業も工事現場も7月4日まで休業が指示されていたのだそうです。
英BBCの報道によれば、ネット情報管理当局は5月から、“反共産党的”な言論の徹底削除を行ってたのだそうです。
7月1日当日は天安門広場を挟んで東単、西単は一切の電波の使用が禁止。
習近平政権以前の建国イベント、建党イベントで、当局がここまでガチガチの統制・管理を指示することはなかったと思うと福島さん。
習近平は今年、建党100年記念にちなんだ中国共産党簡史を出版。
文革について、鄧小平の「毛沢東の重大な過ちであった」という認定を否定しようとしている、とみられている。これは一種の歴史の改ざんではないかと。
今回、地上の閲兵式は行われず、空軍の最新鋭戦闘機J-20を使った編隊飛行や直-10(Z-10)ヘリ29機による「100」「71」編隊による航空観閲が行われました。
何故か。
その理由としてまことしやかに言われていたのは、陸軍と習近平の折り合いは決していいものではない、という見方だと福島さん。
習近平は大規模な軍制改革を実行し、徐才厚はじめ軍長老たちを軒並み粛清、陸軍の既得権益を大幅に縮小。ちなみに徐才厚電撃逮捕の実働部隊は空軍将校たちだったのだと。
習近平に最も忠誠を誓い、習近平も信頼しているのが空軍だといわれている。だから空軍の飛行隊パフォーマンスは行われるが、地上閲兵は「万が一」を考えてやらないことにしたのではないか、と。
6月になって、習近平が信頼していると評判の国家安全部副部長(次官)の董経緯が、新型コロナウイルス起源に関する機密情報をもって米国に亡命したという未確認情報が流れたのだそうです。香港英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」や英紙「デイリー・テレグラム」などが“噂”として報道。
国家安全部や解放軍というインテリジェンスや国防の要の内部に「裏切り者」がいるのではないか、という懸念を習近平は持っている。それが、建党100年の祝賀を上回る緊張ムードを醸しているのかもしれないと福島さん。
実際、習近平政権になってから未遂も含めて党中央幹部レベルの亡命者が続出しているのだそうです。
亡命に成功した1人の元中央党校教授の蔡霞。
彼女はいくつかのメディアを通じて、共産党内部である種のパニックや疑心暗鬼が起きており、結束が非常に脆弱になっていることを指摘。「いったん、ある程度大きな圧力を外部から受けたら、党を裏切って、雪崩をうって逃げ出す現象が起きる」と語っているのだそうです。
崩壊したソ連の共産党に比べ、中国共産党の国家運営時代は十分に長い。寿命が尽きない最大の理由は、鄧小平システムによって、経済の市場化、グローバル化が1990年代から一気に加速したからだろうと福島さん。
中国のグローバル化に一役買ったのが香港。
だが、習近平政権は鄧小平システムを否定し、改革開放の最大の果実であった香港の自由と法治を蹂躙した。
今年の7月1日は香港で国家安全維持法が施行されてちょうど1年目であり、香港の「法治の死」の一周忌でもある。これと重なる中国共産党建党100周年記念日。この日を心の底から祝福すべきだと思っている人は、いったいどれほどいるのだろうかと。
この祝賀行事自体に中国人民はほとんど関与していない。
米上院では「中共建党100年を祝福しない理由」決議案が提出された。
しかし日本では、自民党・二階幹事長や公明党、河野洋平氏などが、祝辞を送った。G7では中国への批難を声明に盛り込みました。
日本は、台湾同様に、尖閣諸島で「海警」による領海侵入を含む施政権行使の侵略で、実効支配が侵されています。
今年の7月1日を迎える中国を、いつにもまして痛ましい思いで見つめていると福島さん。
台湾侵略の危機は、尖閣諸島の危機。その認識を改めて強くした、中共建党100周年でした。
# 冒頭の画像は、中国共産党創立100周年を前に北京で開催された文芸ショーで、スクリーンに映し出された、党への忠誠を誓う習近平国家主席等
この花の名前は、サルビア・コクシネア
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