遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日米首脳会談 懸案の貿易問題は隔たりが大きくとりあえず先送り

2018-04-20 23:58:58 | 米国 全般
 米朝首脳会談を控え、日米首脳会談が行われました。
 米朝首脳会談に向けて話し合われた内容は、会談前なので、当然発表されることはないのですが、拉致家族問題も取り上げるとトランプ大統領が発言したことは、ありがたいことです。
 会談のもうひとつの課題は、日米の貿易体制です。
 安倍首相は、TPPへの復帰を呼びかけましたが、トランプ大統領は、会談前に、なにやら思わせぶりなことを言っていましたが、予想通り、改めて二国間体制を要求してきましたね。
 そこで、親密とされる安倍首相とトランプ大統領との関係の形を維持する為、貿易問題を協議する新たな枠組みを創設することとし、協議は、茂木経済再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表による閣僚級とし、先送りの形とした様ですね。
 しかし、日本側は一旦先送りとする狙いでも、中間選挙を控えるトランプ大統領側は、選挙対策としての成果を早期に実現したい狙いがあり、隔たりの大きな貿易問題の厳しい交渉が始まる様ですね。
 
日米新協議 思惑に差 首脳会談 日本 「市場開放圧力」かわす 米「2国間」で譲歩迫る (4/20 読売朝刊 [スキャナー])

 安倍首相はトランプ米大統領との首脳会談で、貿易問題を協議する新たな枠組みの創設で合意した。ひとまず米側の市場開放圧力をかわした形だ。日本は、米国の環太平洋経済連携協定(TPP)復帰の足がかりとしたい考えだが、2国間交渉で日本市場をこじ開けたいトランプ政権との思惑の違いは鮮明だ。(フロリダ州パームビーチ 山本貴徳、津田知子)

時間稼ぎ
 「出口を決めつけないで協議しよう」
 首相は首脳会談初日の17日、通訳だけを交えた会談で、貿易や投資を協議する新たな枠組みを提案した。
新たな協議の場が、米国の圧力をかわす時間稼ぎになりうるとの狙いもあったとみられる。同行筋によると、この提案にトランプ氏が乗った。ただ、首脳会談後の共同記者会見で、トランプ氏は」遠くない将来に合意に至るだろう」と述べており、日本の思惑とは逆に、早期に成果を上げることへの自信をのぞかせた
 「自由(Free=ブリー)で公正(Fair=フェア)かつ相互的(ReciProca=レシプロカル)な貿易取引の協議」(FFR)という名称でも、双方の駆け引きが繰り広げられた。「協議」という言葉を使ってはどうかと持ちかけたのは首相だ。協議を英語に訳すと「Talks(トークス)」で意見交換という意味で使われることも多く、交渉という側面は薄れる。日米自由貿易協定(FTA)の交渉入りを避けたい日本側の戦略が功を奏した面がある。
 一方、トランプ氏は対日貿易赤字を抱える米国が、日本を一方的に利していると訴えてきた。会談でも、互恵関係を意味する「相互的」という言葉を人れるよう求めた。
 18日に開かれた閣僚を交えた大人数での会合では、新たな枠組みを担当するライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が、「なぜ日本はFTAではダメなのか」と食い下がったという。

苦戦
 
トランプ氏がTPPのような多国間協定よりも、2国間協定に固執するのは巨大な米国市場を失う可能性をちらつかせることで、相手に譲歩を迫れると考える為だ。11月の中間選挙で与党・共和党の苦戦が予想される中、トランプ氏は貿易赤字削減という公約の実現にこぎつけ、実行力をアピールする狙いがある。
 
なりふり構わぬ保護主義的な姿勢には拍車がかかっており、3月には鉄鋼やアルミニウムの輸入制限を発動したのに続き、中国製品を対象に巨額の関税を課す方針も打ち出した。強気の姿勢が幸いしたのか、支持率が回復傾向にあることも、トランプ氏の自信につながっているようだ。

不満
 ライトハイザー氏は1980年代にレーガン政権でUSTR次席代表を務め、日米鉄鋼協議で日本を輸出の自主規制に追い込んだ。過去には、農業分野で「日本が第一の標的だ」と述べたこともある。
 
ライトハイザー氏が交渉の前面に出てきたことについては、麻生副総理兼財務相とペンス副大統領による「日米経済対話」が2回開かれただけで進展に乏しく、対日貿易赤字も減っていないため、米側が不満を募らせていた事情もある。
 「今は同床異夢の状態だ。すべてはこれから」(政府関係者)。日本は難しい決断を迫られる局面もありそうだ。

 トランプ大統領の、なりふり構わぬ保護主義的な姿勢には、支持率が低迷しているトランプ大統領にとって、中間選挙を前にして何としても成果が欲しく、譲れないものなのですね。
 強気の姿勢が幸いしたのか、支持率が回復傾向にあるのだと。
 日本へのバッシングが、1980年代と同等のレベルで行われるのかは定かではありませんが、ライトハイザー氏が交渉の前面に出てきたことで、厳しい交渉が始まるのだそうです。
 TPPの一旦の合意に向けた、甘利経済再生担当大臣(当時)と、フロマン通商代表との日米の交渉はタフだったのですが、甘利大臣には、しっかり交渉していただけました。
 幸い、1980年代の状況とは異なり、CPTPP(TPP11)が合意に達しています。これを根拠に、交渉が出来ます。
 中国の覇権拡大への警戒心が強まってきた米国。TPPは、中国の「一帯一路」に対抗するアジア太平洋諸国の貿易圏です。
 更に、安倍首相が打ち出して、トランプ大統領も賛同しアグア歴訪時に説いて回った「自由で開かれたインド太平洋戦略」も併せ、中国の覇権拡大と競うことも必要です。
 読売の社説が、今後の日本の展望にふれています、
 
日米貿易協議 違い克服し互恵関係を深めよ (4/20 読売 社説)

 日米の立場の違いが鮮明となった。新たな貿易協議は「勝ち負け」ではなく、いかに共通の利益を育むかにこそ全力を挙げねばならない。
 安倍首相とトランプ米大統領との2日間にわたる会談で、
日米の貿易問題を協議する新たな枠組みを創設することで合意した。
 新協議は、茂木経済再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表による閣僚級とする。トランプ氏が対日貿易赤字の削減を求める中、
首脳間から切り離して意見対立を深刻にしない知恵であり、評価できる。
 問題なのは、新協議の方向性について、両国の思惑が全くかみ合っていないことだ。
 
首相は「環太平洋経済連携協定(TPP)が日米両国にとって最善だ」と述べ、米国のTPP復帰を促す姿勢を示した。
 
トランプ氏は「2国間の取引の方がより好ましい」として、米国によほど好条件が示されない限りTPP復帰はないと強調した。
 米国が2国間交渉にこだわるのは、特定品目の輸入増や輸出の自粛といった「成果」を得やすいと考えているからではないか。
 
1980年代などの日米貿易摩擦で、米国が繰り返した手法だ。95年発足の世界貿易機関(WTO)体制が推進する互恵的な自由貿易の精神に明確に反する
 グローバル経済の恩恵が大きい米国自身が、保護主義的な動きを強めるのは非生産的である。
 
米国が先月発動した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限について、日本を適用除外とするかどうかは首脳会談で結論が出なかった。
 首相が、日本の高品質な鉄鋼・アルミ製品は「米国の産業や雇用に多大に貢献している」と主張したのは、もっともだ。
 
トランプ氏が、日本の扱いは新協議の行方次第だと発言したのは看過できない
 正当性を欠く一方的措置を、日本が取引材料として認めるようなことは将来に禍根を残そう。
 新協議で信頼関係を醸成するためにも、米国は速やかに輸入制限を撤回するべきだ。
 たとえ日米が
自由貿易協定(FTA)交渉に入っても、両国共に交渉に参加していたTPPを超える譲歩は現実的ではない
 
日本は、米国を除く11か国で合意した新たなTPPを着実に推進することが重要だ。新協議で拠って立つ所を明確にできる。
 今国会でTPP協定案の承認を得て、発効条件である6か国以上の批准に弾みをつけたい。

 ライトハイザー米通商代表部代表が、「なぜ日本はFTAではダメなのか」と食い下がったのだそうですが、FTAでもTPPでも内容は同じレベルになる。更に、TPPの方が、世界の先端の貿易圏構想で、中国の米国に追いつき追い越そうとしている野望に対抗しうると教えてあげる必要がありますね。
 茂木敏充経済再生担当相には、甘利さんの貴重な交渉経験を学んでいただき、日本や、インド、アジア、環太平洋諸国の繁栄の為、ライトハイザー米通商代表部代表との交渉での健闘に期待します。



 # 冒頭の画像は、ホワイトハウスで、知的財産権侵害を理由にした中国への制裁措置を明らかにする(手前左から)トランプ米大統領と、ロス商務長官、ライトハイザーUSTR代表




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