米トランプ政権が対中制裁「第3弾」を 9月24日付で発動し、中国側も報復措置に出るなど、新たな段階に突入しました。
更に相互の報復合戦は留まる様子は見られず、トランプ大統領は、中国からの輸入品全てに関税を課す可能性を示唆していて、“全面戦争”に至る可能性が出てきていると、第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミストの西濵徹氏が、仮にそうなれば、中国経済にとっていかなる影響が現れ得るのかを検証しておられます。
トランプ大統領の「対中制裁第3弾」により、中国の対米輸出額の半分以上に制裁関税が課せられることとなり、輸出額全体に対しても1割強に達することから、輸出全体の動向への悪影響は避けられないのだと。
先行きの輸出には大きな下押し圧力が掛かる可能性は高いとも。
中国の米国からの輸入品に対する報復課税は、年間輸入額全体に対しては6%程度にすぎないものの、米国からの輸入額に限れば7割超の水準に達するのだそうで、「第3弾」では液化天然ガス(LNG)や航空機などに対象が拡大され、中国国内にも影響が広がる。
制裁の「第2弾」までであれば、輸出入双方の制裁関税に伴う中国経済への影響は、GDP比で0.2%程度にとどまったものが、「第3弾」に突入した結果、その影響は同0.5%程度に引き上げられる可能性が高まっていると。
更に、トランプ大統領が言う全てに制裁関税を課す方針が実現すれば、その影響はGDP比で1%を上回る水準ともなり得るのだそうです。
そして、輸出産業の低迷は中国国内の雇用環境悪化を招き、家計消費などにも悪影響を与える連鎖を生みます。
中国政府の国内向け対応策は、従来の関税の引き下げ策の他に、10月には個人所得税も引き下げられるのだそうです。
中国政府は、総力戦で景気下支えに動く姿勢を示していると捉えることができると。
しかし、さまざまな減税措置が行われる一方、景気下支えに向けた公共投資の拡充など歳出拡大圧力に伴い、財政状態が急速に悪化する可能性があります。
財政の悪化が進めば、軍事費の拡大は制限が必要になりますし、札束外交での覇権拡大も困難になる。当然、トランプ大統領が視野に入れていることですね。
貿易戦争のエスカレートは、中国側にとっても経済や財政などさまざまな面で難局が待ち構えているのだと西濵氏。
# 冒頭の画像は、対中関税の第3弾を発動すると発表したトランプ大統領
米、対中関税第3弾を24日発動 家具や家電、年内10% (写真=AP) :日本経済新聞
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更に相互の報復合戦は留まる様子は見られず、トランプ大統領は、中国からの輸入品全てに関税を課す可能性を示唆していて、“全面戦争”に至る可能性が出てきていると、第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミストの西濵徹氏が、仮にそうなれば、中国経済にとっていかなる影響が現れ得るのかを検証しておられます。
【中国を読む】新たな段階に突入した米中貿易摩擦 “全面戦争”の影響は - SankeiBiz(サンケイビズ) 2018.10.8
米中貿易摩擦をめぐっては、米トランプ政権が9月24日付で対中制裁「第3弾」を発動し、中国側も報復措置に出るなど、新たな段階に突入した。当初の関税率は10%とされたものの、来年1月からは25%に引き上げられる方針が示されている。さらに、トランプ大統領は中国の報復措置を前提に、中国からの輸入品全てに関税を課す可能性を示唆しており、“全面戦争”に至る可能性も出てきている。仮にそうなれば、中国経済にとっていかなる影響が現れ得るのかを検証したい。(第一生命経済研究所・西濵徹)
■輸出全体に悪影響
米トランプ政権による対中制裁措置が「第3弾」に至った結果、中国からの米国向け輸出のうち、鉄鋼製品およびアルミニウム製品に加え、年間輸出額の2500億ドル(約28兆4300億円)相当に制裁関税が課されることとなった。これは中国の対米輸出額の半分以上を占め、輸出額全体に対しても1割強に達することから、輸出全体の動向への悪影響は避けられないと予想される。
対中制裁「第3弾」では、年末商戦を控えるなか、米国内への悪影響を懸念する形でスマートウオッチなどの特定の家電製品や子供用ヘルメット、一部化学製品は除外されたが、5745品目に制裁関税が課される。
具体的には、中国にとって主力の輸出財である家具のほか、掃除機をはじめとする家電製品、スポーツ用品や衣料品、ハンドバッグといった日用品など多岐にわたり、一般消費者が日常的に使用するものに及んでいる。それだけに、先行きの輸出には大きな下押し圧力が掛かる可能性は高いと見込まれる。
他方、中国政府も報復措置として、米国からの年輸入額600億ドル相当に対して5~10%の報復関税を課している。それ以前に行われた制裁措置と合わせると、中国政府は米国から年間1100億ドル相当の輸入品に制裁関税を課している。
これは、中国の年間輸入額全体に対しては6%程度にすぎないものの、米国からの輸入額に限れば7割超の水準に達する。
さらに、これまでの制裁対象は農産品や自動車関連、鉄鋼製品に限られていたものの、「第3弾」では液化天然ガス(LNG)や航空機などに対象が拡大され、中国国内にも影響が広がることが予想される。
なお、額面だけを見ると途方もない数字が並ぶ印象だが、制裁の「第2弾」までであれば、輸出入双方の制裁関税に伴う中国経済への影響は、国内総生産(GDP)比で0.2%程度にとどまったと捉えられる。
しかし、「第3弾」に突入した結果、その影響は同0.5%程度に引き上げられる可能性が高まっている。加えて、トランプ大統領による中国からの輸入品全てに制裁関税を課す方針が実現すれば、その影響はGDP比で1%を上回る水準ともなり得る。また、こうした直接的な影響のみならず、輸出産業の低迷は中国国内の雇用環境悪化を招き、翻って家計消費などにも悪影響を与えることは避けられない。
■総力戦で景気下支え
中国政府もこうした影響を懸念しており、7月からの自動車関連や家電、加工食品や衣料など幅広い日用品を対象に関税を引き下げることで対応してきた。また、11月からは機械関連や電気製品、繊維製品など1500を上回る品目を対象に関税を引き下げる。さらに、年明け以降は付加価値税や法人税の引き下げが行われてきたが、10月には個人所得税も引き下げられる。
中国政府は、総力戦で景気下支えに動く姿勢を示した格好と捉えることができる。
ただし、足元における中国の財政構造が抱える問題を勘案すれば、中国政府の対応によってそのゆがみを一段と広げるリスクもある。中国では税収に占める個人所得税の割合は1割にも満たないなか、その割合が一段と低下する可能性がある。
また、さまざまな減税措置が行われる一方、景気下支えに向けた公共投資の拡充など歳出拡大圧力に伴い、財政状態が急速に悪化する可能性も懸念される。米中貿易戦争はいよいよ泥沼化の様相を呈するなか、中国側にとっても経済や財政などさまざまな面で難局が待ち構えているといえよう。
米中貿易摩擦をめぐっては、米トランプ政権が9月24日付で対中制裁「第3弾」を発動し、中国側も報復措置に出るなど、新たな段階に突入した。当初の関税率は10%とされたものの、来年1月からは25%に引き上げられる方針が示されている。さらに、トランプ大統領は中国の報復措置を前提に、中国からの輸入品全てに関税を課す可能性を示唆しており、“全面戦争”に至る可能性も出てきている。仮にそうなれば、中国経済にとっていかなる影響が現れ得るのかを検証したい。(第一生命経済研究所・西濵徹)
■輸出全体に悪影響
米トランプ政権による対中制裁措置が「第3弾」に至った結果、中国からの米国向け輸出のうち、鉄鋼製品およびアルミニウム製品に加え、年間輸出額の2500億ドル(約28兆4300億円)相当に制裁関税が課されることとなった。これは中国の対米輸出額の半分以上を占め、輸出額全体に対しても1割強に達することから、輸出全体の動向への悪影響は避けられないと予想される。
対中制裁「第3弾」では、年末商戦を控えるなか、米国内への悪影響を懸念する形でスマートウオッチなどの特定の家電製品や子供用ヘルメット、一部化学製品は除外されたが、5745品目に制裁関税が課される。
具体的には、中国にとって主力の輸出財である家具のほか、掃除機をはじめとする家電製品、スポーツ用品や衣料品、ハンドバッグといった日用品など多岐にわたり、一般消費者が日常的に使用するものに及んでいる。それだけに、先行きの輸出には大きな下押し圧力が掛かる可能性は高いと見込まれる。
他方、中国政府も報復措置として、米国からの年輸入額600億ドル相当に対して5~10%の報復関税を課している。それ以前に行われた制裁措置と合わせると、中国政府は米国から年間1100億ドル相当の輸入品に制裁関税を課している。
これは、中国の年間輸入額全体に対しては6%程度にすぎないものの、米国からの輸入額に限れば7割超の水準に達する。
さらに、これまでの制裁対象は農産品や自動車関連、鉄鋼製品に限られていたものの、「第3弾」では液化天然ガス(LNG)や航空機などに対象が拡大され、中国国内にも影響が広がることが予想される。
なお、額面だけを見ると途方もない数字が並ぶ印象だが、制裁の「第2弾」までであれば、輸出入双方の制裁関税に伴う中国経済への影響は、国内総生産(GDP)比で0.2%程度にとどまったと捉えられる。
しかし、「第3弾」に突入した結果、その影響は同0.5%程度に引き上げられる可能性が高まっている。加えて、トランプ大統領による中国からの輸入品全てに制裁関税を課す方針が実現すれば、その影響はGDP比で1%を上回る水準ともなり得る。また、こうした直接的な影響のみならず、輸出産業の低迷は中国国内の雇用環境悪化を招き、翻って家計消費などにも悪影響を与えることは避けられない。
■総力戦で景気下支え
中国政府もこうした影響を懸念しており、7月からの自動車関連や家電、加工食品や衣料など幅広い日用品を対象に関税を引き下げることで対応してきた。また、11月からは機械関連や電気製品、繊維製品など1500を上回る品目を対象に関税を引き下げる。さらに、年明け以降は付加価値税や法人税の引き下げが行われてきたが、10月には個人所得税も引き下げられる。
中国政府は、総力戦で景気下支えに動く姿勢を示した格好と捉えることができる。
ただし、足元における中国の財政構造が抱える問題を勘案すれば、中国政府の対応によってそのゆがみを一段と広げるリスクもある。中国では税収に占める個人所得税の割合は1割にも満たないなか、その割合が一段と低下する可能性がある。
また、さまざまな減税措置が行われる一方、景気下支えに向けた公共投資の拡充など歳出拡大圧力に伴い、財政状態が急速に悪化する可能性も懸念される。米中貿易戦争はいよいよ泥沼化の様相を呈するなか、中国側にとっても経済や財政などさまざまな面で難局が待ち構えているといえよう。
トランプ大統領の「対中制裁第3弾」により、中国の対米輸出額の半分以上に制裁関税が課せられることとなり、輸出額全体に対しても1割強に達することから、輸出全体の動向への悪影響は避けられないのだと。
先行きの輸出には大きな下押し圧力が掛かる可能性は高いとも。
中国の米国からの輸入品に対する報復課税は、年間輸入額全体に対しては6%程度にすぎないものの、米国からの輸入額に限れば7割超の水準に達するのだそうで、「第3弾」では液化天然ガス(LNG)や航空機などに対象が拡大され、中国国内にも影響が広がる。
制裁の「第2弾」までであれば、輸出入双方の制裁関税に伴う中国経済への影響は、GDP比で0.2%程度にとどまったものが、「第3弾」に突入した結果、その影響は同0.5%程度に引き上げられる可能性が高まっていると。
更に、トランプ大統領が言う全てに制裁関税を課す方針が実現すれば、その影響はGDP比で1%を上回る水準ともなり得るのだそうです。
そして、輸出産業の低迷は中国国内の雇用環境悪化を招き、家計消費などにも悪影響を与える連鎖を生みます。
中国政府の国内向け対応策は、従来の関税の引き下げ策の他に、10月には個人所得税も引き下げられるのだそうです。
中国政府は、総力戦で景気下支えに動く姿勢を示していると捉えることができると。
しかし、さまざまな減税措置が行われる一方、景気下支えに向けた公共投資の拡充など歳出拡大圧力に伴い、財政状態が急速に悪化する可能性があります。
財政の悪化が進めば、軍事費の拡大は制限が必要になりますし、札束外交での覇権拡大も困難になる。当然、トランプ大統領が視野に入れていることですね。
貿易戦争のエスカレートは、中国側にとっても経済や財政などさまざまな面で難局が待ち構えているのだと西濵氏。
# 冒頭の画像は、対中関税の第3弾を発動すると発表したトランプ大統領
米、対中関税第3弾を24日発動 家具や家電、年内10% (写真=AP) :日本経済新聞
この花の名前は、ドイツスズラン
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