今月、尖閣諸島周辺の海域に、中国公船20隻以上とともに押し寄せた400隻以上の中国漁船に、訓練を受けた多数の海上民兵が乗り込んでいることが分かったと、産経が報じています。
中国が尖閣諸島を奪取する作戦としては、多数の漁船団と公船(海警)とで押し寄せ、海難避難などを口実に上陸し居座る。それを、軍艦が援護するというもので、日本の自衛隊と米軍とで、対応の軍事訓練を重ねていることは諸兄がご承知の通りです。
ロシアの軍艦が接続水域を通航し、海保の巡視船が追尾したのはこれまでにもよくある光景でしたが、今回、これを更に中国の軍艦が追跡して、軍艦としては初めて接続水域に侵入し、更に、日米印の海上共同演習「マラバール」に参加するインド海軍の補給艦とフリゲート艦の2隻が航行する口永良部島沖の領海に、それに追尾する形で中国海軍の情報収集艦が侵入しました。
これまでにも中国の公船(海警)が、尖閣沖の接続水域や領海に定常的に侵入を繰り返してきていましたが、軍艦は遠巻きに常駐するにとどまっていたものが、行動を開始するという新たな段階に入っていたのです。
そして、かねて想定されていた、大漁船団と公船(海警)による、尖閣沖の接続水域や領海侵犯が、8月に始まったのでした。
明らかに、中国の東シナ海での行動が、新たな段階にエスカレートされたのでした。
日本はどう対処すべきなのか!
「海上警備行動をかける」と言ってけん制し、他国との連携を深め抑止すると言う案が以下。
東シナ海も一段と波高し - 遊爺雑記帳
尖閣近海 中国公船と漁船団が過去最高規模で侵入 領海侵入も3度へ - 遊爺雑記帳
産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森氏が取材された、米国の専門家4人の意見は、以下。
尖閣諸島が日本の領土であることは歴史的にも明白であり、領土争いは存在しないというのが日本の公式見解ですが、領土争いは存在することを明らかにするために挑発しているのが中国。米国は、日本が管轄権を有しているので、日米同盟の対象地域だが、領土争いには中立という立場。
その現状を踏まえて、米国のプレゼンスを高める時が来たというのは、濃度に差はありますが、米海軍大学の中国海洋研究所のピーター・ダットン所長と、元国防総省日本部長で現在は民間のアジア安保研究機関「グローバル戦略変容」会長を務めるポール・ジアラ氏のお二人。
挑発に乗せられて、軍備などの強化をし事態をエスカレートさせるのではなく、米国などと協力して日本も南シナ海で積極的に安保行動をとる『水平エスカレーション』に出るのも一案と提言するのは、中国海洋研究所の研究員で、海軍大学の教授、トシ・ヨシハラ氏。
先島諸島のミサイルや沖縄などのオスプレイを増強し、抑止力を高めるべきというのが、民間シンクタンク「国際評価戦略センター」のリチャード・フィッシャー主任研究員。
日本の軍備を高めて抑止力を強化と、逆に抑止力強化は挑発に乗せられることになるので、南シナ海での抑止行動を強めろとの二分される提言が各1人と別れ、米国のプレゼンス強化の米国による日中仲裁を提言されるのがお二人。
レームダック化したオバマ大統領のこの時期に付け込んだ中国の戦術。次期大統領の行方が定かでない今。トランプ氏の思わぬ大勝で内向き指向を強める両候補の動向から、これまでの様な米国依存で良いのかには、日本は再考を要しますね。
どれか一つというのではなく、日本独自で抑止力を高めつつ、関連諸国との連携による抑止力強化も進めると、あらゆる手段を講じるべきだと考えます。それだけ、中国の攻勢は新たな段階に強まっているし、口頭での講義は無視されて急速に攻勢が強められている現状認識と対応が必要だと考えますが、いかがでしょう。
尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船の活動状況 (平成28年8月5日~9日)
# 冒頭の画像は、尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船 手前は海保の巡視船
尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船の活動状況について|海上保安庁
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中国が尖閣諸島を奪取する作戦としては、多数の漁船団と公船(海警)とで押し寄せ、海難避難などを口実に上陸し居座る。それを、軍艦が援護するというもので、日本の自衛隊と米軍とで、対応の軍事訓練を重ねていることは諸兄がご承知の通りです。
ロシアの軍艦が接続水域を通航し、海保の巡視船が追尾したのはこれまでにもよくある光景でしたが、今回、これを更に中国の軍艦が追跡して、軍艦としては初めて接続水域に侵入し、更に、日米印の海上共同演習「マラバール」に参加するインド海軍の補給艦とフリゲート艦の2隻が航行する口永良部島沖の領海に、それに追尾する形で中国海軍の情報収集艦が侵入しました。
これまでにも中国の公船(海警)が、尖閣沖の接続水域や領海に定常的に侵入を繰り返してきていましたが、軍艦は遠巻きに常駐するにとどまっていたものが、行動を開始するという新たな段階に入っていたのです。
そして、かねて想定されていた、大漁船団と公船(海警)による、尖閣沖の接続水域や領海侵犯が、8月に始まったのでした。
明らかに、中国の東シナ海での行動が、新たな段階にエスカレートされたのでした。
尖閣漁船に中国民兵 100人超動員、日本への憎しみ教育 (8/17 産経)
【福建省泉州市(中国南東部)=矢板明夫】尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の海域に8月、中国公船20隻以上とともに押し寄せた400隻以上の中国漁船に、訓練を受けた多数の海上民兵が乗り込んでいることが分かった。複数の中国漁業関係者が明らかにした。一連の行動は、中国当局が尖閣諸島の主権をアピールするため計画的に実行。海上民兵は、他の漁民を束ねるとともに、周辺海域の地理的状況や日本側の巡回態勢に関する情報収集などの任務を担っているという。
福建省の漁業関係者によれば、8月上旬に尖閣周辺に集まった漁船には少なくとも100人以上の海上民兵が乗り込み、大半が船長など船を指揮できる立場にいる。彼らの船には中国独自の衛星利用測位システムが設置され、海警局の公船などと連携を取りながら前進、停泊、撤退などの統一行動をとる。帰国後は政府から燃料の補助や、船の大きさと航行距離、貢献の度合いに応じて数万~十数万元(数十万~約300万円)の手当がもらえるという。
地元の漁民によれば、福建省や浙江省の港から尖閣近くに向かうには約20時間かかり、大量の燃料を使う。また、日本の海上保安庁の船に「作業を妨害される」こともあるため、通常は敬遠する漁民が多いという。
しかし、今年の夏期休漁期間中の7月、複数の漁船は当局から「(漁が始まる)8月に釣魚島(尖閣諸島の中国名)に行くように」と指示されたといい、その際、海警局の護衛がつくことを示唆されたという。
中国当局は今回の行動のために海上民兵を動員し訓練を重ねたとされ、福建省石獅市では7月下旬、160人の海上民兵が同市にある大学、泉州海洋学院で軍事訓練を受けた。浙江省でも同様の訓練を実施。海上民兵に日本への憎しみを植え付けるため、「南京大虐殺」や「甲午大海戦」(日清戦争の黄海海戦)といった映画を思想教育の一環として鑑賞させたという。
常万全国防相も出発前の7月末、浙江省の海上民兵の部隊を視察し「海上における動員準備をしっかりせよ。海の人民戦争の威力を十分に発揮せよ」などと激励した。
中国民兵は全30万人、東シナ海も武装化
中国で「民兵」とは、退役軍人などで構成される準軍事組織で、警戒や軍の物資輸送、国境防衛、治安維持などの役割を担う。このうち漁民や港湾労働者らなど海事関係者が組織するのが海上民兵といわれる。
中国の民兵は、改革開放当初の1970年代末は3千万人いたのが、2011年には800万人まで減少した。しかし、海上民兵だけは重要視され増強される傾向にあり、中国の軍事専門家によれば、現在は総勢約30万人の海上民兵が存在するという。
海上民兵が近年、一層重視されるようになったのは、2013年4月、中国の習近平国家主席が海南島の海上民兵部隊を視察して激励したのが契機とされる。その後、南シナ海に武装した海上民兵部隊が出現。東シナ海に面する福建省と浙江省でも同様の準備が進められている。毛沢東時代の海上民兵の主な仮想敵は台湾だったが、近年は東、南シナ海での緊張の高まりとともに、仮想敵は東南アジア諸国と日本になったという。
地元紙によると、浙江省の海上民兵、漁船船長の徐文波氏が今年2月、地元の軍区から「重大な海上軍事任務を完遂した」として「二等功」を授与され、表彰された。具体的な任務は伏せられたが、記事には「約20時間も航海した」との記述があり、距離からして尖閣諸島周辺での任務を実行した可能性もある。
【福建省泉州市(中国南東部)=矢板明夫】尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の海域に8月、中国公船20隻以上とともに押し寄せた400隻以上の中国漁船に、訓練を受けた多数の海上民兵が乗り込んでいることが分かった。複数の中国漁業関係者が明らかにした。一連の行動は、中国当局が尖閣諸島の主権をアピールするため計画的に実行。海上民兵は、他の漁民を束ねるとともに、周辺海域の地理的状況や日本側の巡回態勢に関する情報収集などの任務を担っているという。
福建省の漁業関係者によれば、8月上旬に尖閣周辺に集まった漁船には少なくとも100人以上の海上民兵が乗り込み、大半が船長など船を指揮できる立場にいる。彼らの船には中国独自の衛星利用測位システムが設置され、海警局の公船などと連携を取りながら前進、停泊、撤退などの統一行動をとる。帰国後は政府から燃料の補助や、船の大きさと航行距離、貢献の度合いに応じて数万~十数万元(数十万~約300万円)の手当がもらえるという。
地元の漁民によれば、福建省や浙江省の港から尖閣近くに向かうには約20時間かかり、大量の燃料を使う。また、日本の海上保安庁の船に「作業を妨害される」こともあるため、通常は敬遠する漁民が多いという。
しかし、今年の夏期休漁期間中の7月、複数の漁船は当局から「(漁が始まる)8月に釣魚島(尖閣諸島の中国名)に行くように」と指示されたといい、その際、海警局の護衛がつくことを示唆されたという。
中国当局は今回の行動のために海上民兵を動員し訓練を重ねたとされ、福建省石獅市では7月下旬、160人の海上民兵が同市にある大学、泉州海洋学院で軍事訓練を受けた。浙江省でも同様の訓練を実施。海上民兵に日本への憎しみを植え付けるため、「南京大虐殺」や「甲午大海戦」(日清戦争の黄海海戦)といった映画を思想教育の一環として鑑賞させたという。
常万全国防相も出発前の7月末、浙江省の海上民兵の部隊を視察し「海上における動員準備をしっかりせよ。海の人民戦争の威力を十分に発揮せよ」などと激励した。
中国民兵は全30万人、東シナ海も武装化
中国で「民兵」とは、退役軍人などで構成される準軍事組織で、警戒や軍の物資輸送、国境防衛、治安維持などの役割を担う。このうち漁民や港湾労働者らなど海事関係者が組織するのが海上民兵といわれる。
中国の民兵は、改革開放当初の1970年代末は3千万人いたのが、2011年には800万人まで減少した。しかし、海上民兵だけは重要視され増強される傾向にあり、中国の軍事専門家によれば、現在は総勢約30万人の海上民兵が存在するという。
海上民兵が近年、一層重視されるようになったのは、2013年4月、中国の習近平国家主席が海南島の海上民兵部隊を視察して激励したのが契機とされる。その後、南シナ海に武装した海上民兵部隊が出現。東シナ海に面する福建省と浙江省でも同様の準備が進められている。毛沢東時代の海上民兵の主な仮想敵は台湾だったが、近年は東、南シナ海での緊張の高まりとともに、仮想敵は東南アジア諸国と日本になったという。
地元紙によると、浙江省の海上民兵、漁船船長の徐文波氏が今年2月、地元の軍区から「重大な海上軍事任務を完遂した」として「二等功」を授与され、表彰された。具体的な任務は伏せられたが、記事には「約20時間も航海した」との記述があり、距離からして尖閣諸島周辺での任務を実行した可能性もある。
日本はどう対処すべきなのか!
「海上警備行動をかける」と言ってけん制し、他国との連携を深め抑止すると言う案が以下。
東シナ海も一段と波高し - 遊爺雑記帳
尖閣近海 中国公船と漁船団が過去最高規模で侵入 領海侵入も3度へ - 遊爺雑記帳
産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森氏が取材された、米国の専門家4人の意見は、以下。
尖閣に迫る中国、日本はどう対応すべきか 米専門家が警告、中国の尖閣奪取計画は確実に次の段階へ | JBpress(日本ビジネスプレス) 産経新聞ワシントン駐在客員特派員 古森 義久
≪以下要点要約≫
■米海軍大学の中国海洋研究所のピーター・ダットン所長
「米国は日本と中国の軍事衝突を抑止する役割を担っています」
■中国海洋研究所の研究員で、海軍大学の教授、トシ・ヨシハラ氏
尖閣諸島に人員を配置するなどの措置は、当面はとらないほうが賢明だと思います。中国は日本に『挑発行動』をとらせたいと意図している気配がある
『水平エスカレーション』に出るのも一案でしょう。米国などと協力して日本も南シナ海で積極的に安保行動をとる
日中両国が尖閣諸島周辺で新たな措置をとれば「垂直エスカレーション」となる
■元国防総省日本部長で現在は民間のアジア安保研究機関「グローバル戦略変容」会長を務めるポール・ジアラ氏
米国政府はこれまで尖閣諸島の主権争いについて「中立」の立場を保ってきた。しかしジアラ氏は、米国はその立場を変えて日本の主張を支持し、尖閣海域で米軍の演習を実施すべきだとも主張した。米軍が出動して、その実力を誇示し、中国側の攻勢を抑える時期がきた
■民間シンクタンク「国際評価戦略センター」のリチャード・フィッシャー主任研究員
中国の攻撃を抑止するために日本側は先島諸島のミサイルや沖縄などのオスプレイを増強すべき
■共通
中国の今回の動きは単に尖閣奪取にとどまらず、東シナ海全体で覇権を確立する野心的な目標への新たな展開
現在の尖閣諸島をめぐる事態が日本の国家危機、日本の国難だという認識
≪以下要点要約≫
■米海軍大学の中国海洋研究所のピーター・ダットン所長
「米国は日本と中国の軍事衝突を抑止する役割を担っています」
■中国海洋研究所の研究員で、海軍大学の教授、トシ・ヨシハラ氏
尖閣諸島に人員を配置するなどの措置は、当面はとらないほうが賢明だと思います。中国は日本に『挑発行動』をとらせたいと意図している気配がある
『水平エスカレーション』に出るのも一案でしょう。米国などと協力して日本も南シナ海で積極的に安保行動をとる
日中両国が尖閣諸島周辺で新たな措置をとれば「垂直エスカレーション」となる
■元国防総省日本部長で現在は民間のアジア安保研究機関「グローバル戦略変容」会長を務めるポール・ジアラ氏
米国政府はこれまで尖閣諸島の主権争いについて「中立」の立場を保ってきた。しかしジアラ氏は、米国はその立場を変えて日本の主張を支持し、尖閣海域で米軍の演習を実施すべきだとも主張した。米軍が出動して、その実力を誇示し、中国側の攻勢を抑える時期がきた
■民間シンクタンク「国際評価戦略センター」のリチャード・フィッシャー主任研究員
中国の攻撃を抑止するために日本側は先島諸島のミサイルや沖縄などのオスプレイを増強すべき
■共通
中国の今回の動きは単に尖閣奪取にとどまらず、東シナ海全体で覇権を確立する野心的な目標への新たな展開
現在の尖閣諸島をめぐる事態が日本の国家危機、日本の国難だという認識
尖閣諸島が日本の領土であることは歴史的にも明白であり、領土争いは存在しないというのが日本の公式見解ですが、領土争いは存在することを明らかにするために挑発しているのが中国。米国は、日本が管轄権を有しているので、日米同盟の対象地域だが、領土争いには中立という立場。
その現状を踏まえて、米国のプレゼンスを高める時が来たというのは、濃度に差はありますが、米海軍大学の中国海洋研究所のピーター・ダットン所長と、元国防総省日本部長で現在は民間のアジア安保研究機関「グローバル戦略変容」会長を務めるポール・ジアラ氏のお二人。
挑発に乗せられて、軍備などの強化をし事態をエスカレートさせるのではなく、米国などと協力して日本も南シナ海で積極的に安保行動をとる『水平エスカレーション』に出るのも一案と提言するのは、中国海洋研究所の研究員で、海軍大学の教授、トシ・ヨシハラ氏。
先島諸島のミサイルや沖縄などのオスプレイを増強し、抑止力を高めるべきというのが、民間シンクタンク「国際評価戦略センター」のリチャード・フィッシャー主任研究員。
日本の軍備を高めて抑止力を強化と、逆に抑止力強化は挑発に乗せられることになるので、南シナ海での抑止行動を強めろとの二分される提言が各1人と別れ、米国のプレゼンス強化の米国による日中仲裁を提言されるのがお二人。
レームダック化したオバマ大統領のこの時期に付け込んだ中国の戦術。次期大統領の行方が定かでない今。トランプ氏の思わぬ大勝で内向き指向を強める両候補の動向から、これまでの様な米国依存で良いのかには、日本は再考を要しますね。
どれか一つというのではなく、日本独自で抑止力を高めつつ、関連諸国との連携による抑止力強化も進めると、あらゆる手段を講じるべきだと考えます。それだけ、中国の攻勢は新たな段階に強まっているし、口頭での講義は無視されて急速に攻勢が強められている現状認識と対応が必要だと考えますが、いかがでしょう。
尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船の活動状況 (平成28年8月5日~9日)
# 冒頭の画像は、尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船 手前は海保の巡視船
尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船の活動状況について|海上保安庁
アーモンドの花
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