遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

胡錦濤政権 難題を次世代指導部に先送り

2011-11-18 00:08:02 | 中国 全般
 胡錦濤政権の習近平政権への政権移行は来年秋の全国党大会ということで、後 1年となりました。毛沢東、四人組との確執後、華国鋒を追い落として実権を掌握した小平の元で産まれた党中央委員会総書記の初代胡耀邦から、趙紫陽、江沢民、胡錦濤と引き継がれてきた座が、5代目に引き継がれることになります。
 この間、江沢民による強烈な反日政策・反日教育がありましたが、小平、胡耀邦、胡錦濤と日本経済を手本&交易先とした解放経済政策推進が今日の繁栄をもたらしたことは、諸兄がご承知の通りです。
 しかし、胡耀邦、胡錦濤は人民解放軍&旧守派の掌握が不十分で、不安定な基盤での政権運営でした。その軋轢のぶん、改革が進められたということでもあります。
 残り少なくなった胡錦濤政権を総括した記事が、産経に掲載されていました。
 

【東亜春秋】中国総局長・山本勲 “守り”に追われる中国 (11/17 産経)

 
国際社会で急台頭する中国の共産党政権が、国内では“守り一辺倒”に追い込まれている。胡錦濤政権は発足初期に「調和のとれた社会」の構築や、対外「平和発展」を唱えたが、任期末を迎え「貧富格差や軍事力の急拡大」という逆の結果を招いている。諸改革は頓挫し、国民の不満を力で封じ込めるのに懸命になっている。国家が強大化するのとは対照的に、政権の指導力が低下している中国の現状に危うさを覚える。

 中国共産党は来年秋、5年に1度の全国党大会を開き、胡錦濤総書記らから、習近平政治局常務委員らへの指導部世代交代を進める。
 新指導部は発足翌年に、10年間の党と国家の発展目標や体制改革の綱領的文献をまとめることが慣例となっている。胡政権が2003年秋に作成した「社会主義市場経済体制を完全なものにするための決定」がこれに相当する。
 決定は(1)開放的で競争と秩序ある現代市場システムの構築(2)人と自然、都市と農村の調和のとれた発展(3)国有企業や金融・税財政制度改革の深化(4)分配制度改革による所得格差縮小(5)私営業など非公有経済の発展-などで構成。計画経済から中国独自の市場経済体制へ移行するには、適切な綱領といえた。
 しかし8年間の実績は期待を大きく裏切った。中央、地方の党・政府幹部が利権や賄賂狙いで特権を放さず、市場原理に基づく資源の適正配分を阻害する状態が続いている。
 所得格差はアフリカ、中南米諸国並みに拡大し、集団抗議行動が年10万件を超える。高級幹部一族と、彼らに連なる経済人で構成する「特殊利益集団」が幅をきかせ、「人口の1%が国富の4割以上を占有している」(改革派誌「炎黄春秋」)。
 というのも国税としての固定資産税はなく、地方税としての同税も微々たるものだから、金持ちの不動産投機に歯止めがかからない。余剰マネーは不動産に集中し、企業の技術・経営革新に資金が回らない。しかも役人の腐敗を抑制するための資産公開はいっこうに進まない。中国には贈与税や相続税もないから貧富格差は固定化し、広がるばかりだ。
 大方の政府、国有企業幹部一族は共産党の関係者だから、誰も自らの権益を削る制度改革を望まない。こうして胡錦濤政権発足時の改革プランは強大な既得権益層に阻まれ、完全に立ち往生している。
 真の経済改革には政治や社会を含めた総合的な制度改革が不可欠だ。経済担当の
温家宝首相はかねてその必要性を力説しているが、党中枢に同調者は皆無
だ。
 進行中の、5年に1度の地方の人民代表大会代表(地方議会議員)選挙では、共産党の推薦を受けずに立候補した
独立系候補への、当局による露骨な妨害活動
が強い反感を呼んでいる。

 先月中旬の党第17期中央委員会第6回総会(6中総)は「文化体制改革の深化」を決議した。文化振興という誰もが反対しない議題を取り上げる一方、インターネットを中心にメディア規制を一段と強化した。
 胡錦濤政権は体制の安定最優先で引き締めを強化し、
政治・経済の難題を次世代指導部に先送りする構えのようだ。しかし国内経済は不動産相場急落や輸出減などで陰り始め、領土・領海問題では軍部など保守派の強硬発言
がかまびすしい。政権末期に入った現政権の統治能力に疑問符をつけたくなる。

 新聞社の中国総局長様がおっしゃることに、素人の遊爺が異を唱えるのはきっと何も知らない素人のほうが間違っているのだとは思いますが、胡錦濤政権の統治能力に疑問符がつくのは、就任当初からの人民解放軍&上海閥の統治能力に欠けていたことがあげられ、今にかぎった話ではないと考えます。
 記事に書かれている、胡錦濤政権発足時の「10年間の党と国家の発展目標や体制改革の綱領的文献」に書かれた内容は、既得権を有する人民解放軍&上海閥との戦いでもあったのです。
 急速な経済成長の中で、人民解放軍&上海閥が既得権を離さないことで、胡錦濤政権の目標が逆に格差社会を産んだ点は、記事で指摘されている通りだと思います。米国に追いつき追い越そうとし、それを公言してはばからない分子の居る人民解放軍は、経済発展で得られた富を無尽蔵といっていい浪費振りで軍事力の拡大をすすめ、上海閥の輩は汚職に走り蓄財を拡大しました。
 この勢力と戦った、胡錦濤・温家宝政権は、結局敗れ、人民解放軍&上海閥から支持を得た習近平政権が誕生することになったのです。
 江沢民の次は胡錦濤と釘を刺した小平氏が生きていたら、どういう選択をしたのでしょうか。

 覇権拡大に暴走する人民解放軍に、ついに米国も言葉に出して正面からその脅威に対抗する意思を示し、行動に出ました。それが、経済面でのTPPであり、安全保障面では、ASEANのベトナムなどがリードする二国間交渉ではなく中国対多国間交渉への支援であり、膠着して進まない日本から脱皮する構想の米軍再編構想としての豪州への海兵隊駐留ですね。
 ここへきて、あからさまに言葉でも行動でも包囲網構想を進められた中国。都度細かく、素早く反論の声明を発したり、対日強硬姿勢を軟化させたかのそぶり(日中首脳会談、東シナ海ガス田開発協議再開、長崎沖漁船逮捕静観)を見せたりしていますが、立て直しの逆襲が注目されます。特に、暴走してきている人民解放軍の追い込まれた状況に対する反発反応が気がかりです。

 さらに大切なことは、記事にも書かれている様に、山積した課題が習近平政権に引き継がれることです。
 習近平政権の早期崩壊を狙って、胡錦濤政権が難題をのこしているとは考えにくいのですが、米国やベトナム・フィリピン等の外圧と、国内で高まる格差や人権問題の内憂。
 習近平政権が、再び江沢民と同じように、反日でガス抜きをする統治政策に戻らないか、しっかり見ていかねばなりませんね。
 



  この花の名前は、イワシャジン (撮影場所=六甲高山植物園)

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