遊爺雑記帳

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ウクライナ戦略、いかに露軍打ち負かしているか

2022-10-18 01:33:55 | ウクライナ全般
 ロシアとの戦争開始から8カ月が経過した現在、ウクライナは古典的な軍事作戦と戦場での臨機応変な意思決定を組み合わせてロシア軍の無能さに付け入るという新たな戦略を取っており、これにより戦局が変わりつつあると、WSJ。
 対照的に、ロシア軍には旧ソ連時代の意思決定の仕組みが足かせとなってきた。前線の部隊が主導権を握ることはほとんどないと。
 
ウクライナ戦略、いかに露軍打ち負かしているか - WSJ 2022 年 10 月 13 日 By Stephen Fidler , James Marson and Thomas Grove (以下 WSJ と表示)

 ロシアとの戦争開始から8カ月が経過した現在ウクライナは古典的な軍事作戦と戦場での臨機応変な意思決定を組み合わせてロシア軍の無能さに付け入るという新たな戦略を取っており、これにより戦局が変わりつつある

 
ウクライナの指揮系統は下級将校による戦場での即断即決を奨励している。将校らはこの権限を活用し、機会を見いだしては敵軍の弱点を素早く突いてきた

 これとは
対照的に、ロシア軍には旧ソ連時代の意思決定の仕組みが足かせとなってきた。この方式では、命令はモスクワからの指揮系統に従って伝わり、前線の部隊が主導権を握ることはほとんどない

 
ウクライナ軍はここ数週間で、ロシア軍をウクライナの北東部ハリコフ州の数千平方マイルに及ぶ地域から追い出した。現在は南部ヘルソン州で、ロシアの支配下にある州都ヘルソンに向かって進撃している。

 
ウクライナ軍は、ロシアが好む迫撃砲の撃ち合いや戦車戦といった消耗戦には直接関与せず、ロシア軍を包囲して補給線を断つことを目指しており、ソ連時代の装備品と西側諸国から供与された長距離の精密砲・ロケットシステムを効果的に組み合わせ、敵軍の燃料や弾薬などの物資を枯渇させている

 
ロシアが建設し、クリミア半島に駐留する同国軍への補給に不可欠な「クリミア橋」が8日の爆発で深刻な損傷を受けた。ロシアはこの爆発をウクライナの仕業だと非難している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が10日、報復措置を取ると語ったのは、ロシア軍がキーウ(キエフ)やウクライナの他の都市で一般市民やエネルギーインフラを狙い、大量のミサイルを撃ち込んだ数時間後のことだ。ロシアは一般市民や住宅インフラを標的にしたとは認めていない。

 
プーチン氏は戦場でのロシア軍の敗退に対応するため、民間人数十万人の部分動員という政治的に危険な措置に踏み切っており、戦争の長期化への備えを固めているようだ。

 
ロシアは開戦後の早い段階で得た戦果の大部分をまだ失っておらず、戦争がどのような形で終結するかは誰にも分からない。だが、西側諸国の軍事史学者は、ウクライナの戦場での勝利は長期間にわたり研究されるだろうと話す。また、過去1世紀の主要な紛争で用いられた古典的な軍事戦略との類似点を挙げる。

 
ウクライナ軍の同国東部と南部での進軍は別々の作戦のように見えたが、振り返ってみると、協調作戦の一部のように思える。セント・アンドリュース大学(スコットランド)のフィリップス・オブライエン教授(戦略学)は「それぞれが全体の一部だと見ている」と述べた。

 
ウクライナは、早ければ8月にも南部ヘルソンを攻撃する計画を伝えていた。これに対してロシアは、数千人のより経験豊富な部隊で南部戦線を強化した。

 
同地域は、ロシアが支配するクリミア半島へのアクセスと水の供給を管理しており、ロシアの判断は、同地域が経済的に重要であることを反映したものだった。しかし、同地域に軍を移動させることは、東部にいる部隊が減ることを意味した。ハリコフ州は一重の防御態勢となった。そこに配置されたのは、ロシアが支配する近隣の分離勢力居住地から来た、練度の低い兵士が多かった。

 
ウクライナ軍は先月、こうして弱体化した防御を利用して、ハリコフで驚きの進撃を始めたいったん防衛線に穴を開けることに成功すると、何千平方マイルもの領土を奪還し、ロシアに混沌(こんとん)状態での撤退を強いた。この攻撃での勝利は、士気の高揚につながったほか、西側の同盟諸国および友好諸国内での評価を上げることにもつながった。

 前出の
オブライエン氏によると、ハリコフでの攻撃は、ヘルソンでの作戦によって可能になった

 軍事史学者は、ロシア軍がハリコフの前線で機動力の高い部隊との戦い(機動戦と呼ぶ)に敗れたことは、古典的な20世紀の戦略事例と一致していると指摘する。

機敏性と兵器

 
軍事戦略家で、オーストラリア軍退役少将のミック・ライアン氏は、ウクライナが作戦を連続して実行したことで、高い効果が得られたと述べる

 同氏は
ウクライナの戦略が消耗作戦の一種だとし、ロシア軍から戦うための物理的、士気的、知性的な能力を奪うものだと説明した。

 ライアン氏によると、
ウクライナは「間接的アプローチ」を使った。それは20世紀の英国の軍事戦略家、ベイジル・リデルハート氏が最初に示した考えだ。「思い切って殴打するのではなく、チクチク刺すようにして敵を弱らせることによって」力のバランスを変化させようとする。このアプローチは、相手を驚かせるような機敏な動きを利用する。

 
米ワシントンのシンクタンク戦略国際問題研究所の軍事史学者で戦略家のエリオット・コーエン氏は、ロシア軍は「大きな決断を下す能力を持っているが、決して機動性のある軍隊だとは言えない」と述べる。

 とりわけ、ウクライナ軍と比較すると、そうだという。「彼らはチャンスを見つけたら、それをつかみに行く。そして戦争には常にチャンスがある」とコーエン氏。

 
ウクライナにとって重要な近代的な戦争ツールには、米国やその他の同盟国および友好国から供与された高精度の長距離砲やロケット砲システムが含まれる。高機動ロケット砲システム「ハイマース」(HIMARS)を含む、こうした最新兵器は、西側諸国と共有する情報やドローンとともに、ウクライナが前線から遠く離れた敵の補給線、防空システムや軍事基地を攻撃するのを可能にしてきた。西側諸国の情報やドローンは、ウクライナ軍の視界を広げるのに役立っている。

 西側諸国の軍用車両(歩兵戦闘車や兵員輸送装甲車を含む)のスピードと機動性は、ロシア軍の防衛線に穴を開け、ウクライナ軍を優位に立たせるのに役立っており、ウクライナ軍が迅速に支配地域を広げ、敵の部隊に恐怖心を与えることを可能にしている。

 キーウを拠点とする
ウクライナ政府系シンクタンク「国立戦略研究所」の研究員、ミコラ・ビエリエスコフ氏は、「機動性の高さがなければ、作戦行動面でロシアを出し抜くことはできなかっただろう」と語った

慎重な前進

 
ロシア軍の欠点も、ハリコフ州でのウクライナ軍前進の一因になった。先月に敵の背後に侵入したウクライナ軍の偵察隊は、ロシア軍の備えがあまりにも整っていないことに驚いた。

 ウクライナのドローン操作チームと特殊部隊は8月末に、森を抜け、林縁に沿うようにして、敵の弱点を探った。彼らは、
ロシア軍兵士があまりにも警戒心を持っていないように見え、空からの偵察を防ぐ策をほとんど講じていないことに驚いた。前線の村々には、ほんの一握りの装甲車両しか配置されていなかった。

 
偵察部隊は、インターネットでのアクセスが可能な米国の衛星システム「スターリンク」を使って、敵の弾薬庫、車両、兵士を標的とした砲撃を要請した。情報部門担当者らは、無線傍受などの偵察活動を通じて、敵軍の位置を特定した。ドローン操作担当者は、砲兵部隊に対し、標的の位置情報を伝え、時には直接砲撃を要請した。落下傘部隊などの攻撃部隊は、広く村々に展開し、互いに暗号無線で交信した。

 
ロシア軍は、インターネットや携帯電話の通信ができない状態にあることが多く、無線連絡の範囲は数マイル程度に限られていた

 
ハリコフ州のロシア軍陣地周辺には、塹壕(ざんごう)がほとんど掘られていなかったため、ウクライナ軍は、占領されていた市街地に向け、迅速に兵を進めることができた。多くの場合、ウクライナ軍の前進を遅らせたものは地雷だけだった。その地雷の中には、ウクライナ軍が5カ月前の撤退の際に設置したものも含まれていた。

 
ウクライナ軍は、1日に50マイル(約80キロ)ほど前進し、北東部のハリコフ州から何千人ものロシア兵を追い出した。ウクライナ軍は、都市周辺の村々を掌握することで、バラクリヤ、シェフチェンコフといった都市の中心部で市街戦を避けた。そして、狭い地域内に包囲されたロシア軍は、撤退を強いられた

 
多くのロシア軍兵士は、装備だけでなく、自軍の死者や負傷者も置き去りにして逃げ出した。ロシア軍とは異なり、ウクライナ軍は各都市を爆撃しなかった。それは、ウクライナ支持者とロシア支持者が混在している可能性がある市民から、敵意を向けられることを避けるためだった。

 
ロシア軍は、何百もの戦車、榴弾砲、戦闘用車両を残して撤退したウクライナ軍は、これら兵器の多くを、元の所有者に対する攻撃に活用できるようにした。

 前出の
ビエリエスコフ氏は、「われわれは制空面で優位な立場にはなかったわれわれは火力で優位に立っていなかった。われわれは単に、状況を適切に把握し、ロシア軍の手薄な配備と準備不足、地の利をうまく利用しただけだ」と語った


 ウクライナ軍は、ロシアが好む迫撃砲の撃ち合いや戦車戦といった消耗戦には直接関与せず、ロシア軍を包囲して補給線を断つことを目指しており、ソ連時代の装備品と西側諸国から供与された長距離の精密砲・ロケットシステムを効果的に組み合わせ、敵軍の燃料や弾薬などの物資を枯渇させている。
 
 ロシアが建設し、クリミア半島に駐留する同国軍への補給に不可欠な「クリミア橋」が8日の爆発で深刻な損傷を受けた。
 
 ウクライナ軍の同国東部と南部での進軍は別々の作戦のように見えたが、振り返ってみると、協調作戦の一部のように思える。セント・アンドリュース大学(スコットランド)のフィリップス・オブライエン教授(戦略学)は「それぞれが全体の一部だと見ている」と述べたのだそうです。

 ウクライナは、早ければ8月にも南部ヘルソンを攻撃する計画を伝えていた。これに対してロシアは、数千人のより経験豊富な部隊で南部戦線を強化。
 しかし、同地域に軍を移動させることは、東部にいる部隊が減ることを意味した。ハリコフ州は一重の防御態勢となった。そこに配置されたのは、ロシアが支配する近隣の分離勢力居住地から来た、練度の低い兵士が多かった。
 ウクライナ軍は先月、こうして弱体化した防御を利用して、ハリコフで驚きの進撃を開始。
 何千平方マイルもの領土を奪還し、ロシアに混沌(こんとん)状態での撤退を強いた。この攻撃での勝利は、士気の高揚につながったほか、西側の同盟諸国および友好諸国内での評価を上げることにもつながった。

 セント・アンドリュース大学(スコットランド)のフィリップス・オブライエン教授によると、ハリコフでの攻撃は、ヘルソンでの作戦によって可能になったと。
 ウクライナ側による、ロシア軍の分散戦略の成功。

 軍事戦略家で、オーストラリア軍退役少将のミック・ライアン氏は、ウクライナが作戦を連続して実行したことで、高い効果が得られたと述べているのだそうです。
 同氏はウクライナの戦略が消耗作戦の一種だとし、ロシア軍から戦うための物理的、士気的、知性的な能力を奪うものだと説明。
 ライアン氏によると、ウクライナは「間接的アプローチ」を使った。それは20世紀の英国の軍事戦略家、ベイジル・リデルハート氏が最初に示した考えだ。「思い切って殴打するのではなく、チクチク刺すようにして敵を弱らせることによって」力のバランスを変化させようとする。このアプローチは、相手を驚かせるような機敏な動きを利用するのだそうです。

 米ワシントンのシンクタンク戦略国際問題研究所の軍事史学者で戦略家のエリオット・コーエン氏は、ロシア軍は「大きな決断を下す能力を持っているが、決して機動性のある軍隊だとは言えない」と述べている。
 
 ウクライナには、「ハイマース」(HIMARS)を含む重要な近代的な戦争ツールを、米国やその他の同盟国および友好国から供与されている。
 こうした最新兵器は、西側諸国と共有する情報やドローンとともに、ウクライナが前線から遠く離れた敵の補給線、防空システムや軍事基地を攻撃するのを可能にしてきた。
 ウクライナ軍を優位に立たせるのに役立っており、ウクライナ軍が迅速に支配地域を広げ、敵の部隊に恐怖心を与えることを可能にしていると、WSJ。
 
 ウクライナ政府系シンクタンク「国立戦略研究所」の研究員、ミコラ・ビエリエスコフ氏は、「機動性の高さがなければ、作戦行動面でロシアを出し抜くことはできなかっただろう」と語ったのだそうです。

 ロシア軍の欠点も、ハリコフ州でのウクライナ軍前進の一因になったと、WSJ。
 ウクライナ軍の偵察隊は、ロシア軍の備えがあまりにも整っていないことに驚いたのだそうです。
 彼らは、ロシア軍兵士があまりにも警戒心を持っていないように見え、空からの偵察を防ぐ策をほとんど講じていないことに驚いた。前線の村々には、ほんの一握りの装甲車両しか配置されていなかったのだそうです。
 偵察部隊は、インターネットでのアクセスが可能な米国の衛星システム「スターリンク」を使って、敵の弾薬庫、車両、兵士を標的とした砲撃を要請したと、WSJ。
 ロシア軍は、インターネットや携帯電話の通信ができない状態にあることが多く、無線連絡の範囲は数マイル程度に限られていた。
 ハリコフ州のロシア軍陣地周辺には、塹壕(ざんごう)がほとんど掘られていなかったため、ウクライナ軍は、占領されていた市街地に向け、迅速に兵を進めることができたのだと。

 ウクライナ軍は、北東部のハリコフ州から何千人ものロシア兵を追い出した。
 多くのロシア軍兵士は、装備だけでなく、自軍の死者や負傷者も置き去りにして逃げ出した。ロシア軍とは異なり、ウクライナ軍は各都市を爆撃しなかった。それは、ウクライナ支持者とロシア支持者が混在している可能性がある市民から、敵意を向けられることを避けるためだったと、WSJ。

 「国立戦略研究所」の研究員、ビエリエスコフ氏は、「われわれは制空面で優位な立場にはなかった。われわれは火力で優位に立っていなかった。われわれは単に、状況を適切に把握し、ロシア軍の手薄な配備と準備不足、地の利をうまく利用しただけだ」と語ったのだそうです。
 ウクライナのひとびとの強さには、感服です。
 台湾有事は日本の有事と言われています。
 与那国島の近海のEEZ内に、中国からミサイルを撃ち込まれても、NSCの招集すらしない日本政府。連日の尖閣諸島の領海を含む近海に、実効支配実績競争をいどみ侵入を続ける「海警」への備え強化が必要ですが、在福岡中国領事館の支援も受けて知事となった元自民党県連幹部で、世界一危険とされる普天間飛行場を、キャンプシュアブに統廃合し、安全確保と高率化に反対する自称オール沖縄の故翁長氏の後継の玉城氏が再選された沖縄。
 台湾有事は、尖閣=沖縄=日本の有事と言われる中。習近平の毛沢東に並びたい実績造りで、3期目での台湾併合が危惧される今後。
 日本国民や政府は、どのように国民と国土を護るのでしょうか。。



 # 冒頭の画像は、イジュムでウクライナ軍に手を振る男性




  この花の名前は、ウイキョウ
 

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