
ルーズベルト大統領は、チャーチル首相と1941年8月14日に合意した大西洋憲章の1周年を、「今日では自由と独立が世界中で危険にさらされている。もし征服者に対する抵抗が功を奏さず、こちらが敗れてしまったら、いずれの国の自由も独立も、さらには自由を得る機会もなくなる」と、称えた。
だが、実現はしなかった。
今では独裁国家がますます自信をつけているだけでなく、米国もそちらの側に付こうとしている。それが 2月半ばの2週間で得られた教訓だと、英フィナンシャル・タイムズ紙のマーティン・ウルフ。
自由はまだ、1942年当時ほどの危険にはさらされていない。しかし、いまの危険は非常にリアルだ。
際立っている出来事が3つあると、マーティン・ウルフ氏。
1つ目は、トランプ政権のピート・ヘグセス国防長官が2月12日に北大西洋条約機構(NATO)のウクライナ防衛コンタクトグループに向けて行った演説。
「欧州の安全確保はNATO加盟の欧州諸国が担わなければならない。そしてその一環として、ウクライナに対する将来の支援は兵器についてもそれ以外のものについても、圧倒的に大きな部分を欧州が提供しなければならない」と。
欧州はもう自立している。米国の目下の主な関心事は自国の国境と中国のことだと。
「欧州の安全確保はNATO加盟の欧州諸国が担わなければならない。そしてその一環として、ウクライナに対する将来の支援は兵器についてもそれ以外のものについても、圧倒的に大きな部分を欧州が提供しなければならない」という。
2つ目はJ・D・バンス米副大統領が2月14日にミュンヘン安全保障会議で行った演説。
「私が心配しているのは内部からの脅威だ。欧州がその最も基本的な価値観、すなわち米国と共有している価値観の一部から後退していることだ」と指摘。
そうした脅威の例として「ルーマニア政府が選挙を丸ごと無効にしたこと」を挙げた。
しかし米国人も、バンス氏の上司であるドナルド・トランプ大統領自身が4年前に大統領選挙の結果を無効にしようとした。
五十歩百歩だと、マーティン・ウルフ氏。
3つ目の、そして最も示唆に富む出来事は、ウクライナの将来をめぐる交渉だと。
ヘグセス国防長官は、ウクライナの国境は回復されず、NATOにも加わることもできないと述べることで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の最も重要な条件をすでに受け入れていた。
交渉は米国とロシアの間で欧州諸国の頭越しに、そしてとんでもないことだが、プーチン氏の3年に及ぶ攻撃に耐えてきた当事者であるウクライナも交えることなく行われている。
そのうえ米国は、ロシアが攻撃したのではない、戦争を始めたのはウクライナの方だと言い出した。
「西側」はいまや死に体だ。
トランプ氏はまた、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を「独裁者」呼ばわりした。独裁者であるプーチン氏にはそんな言葉は口にしないのに、だと、マーティン・ウルフ氏。
この件についてトランプ氏は、選挙の審判を受けていないからそう表現したと強弁しているのだそうです。
# 老化のわがまま論。
だが、戦争の真っ最中で、しかも国土の少なからぬ部分が占領されて苦しんでいる状況でどうやって選挙を実施せよというのだろうかと、マーティン・ウルフ氏。
英国で、戦時中の為選挙を延期した実績はありますね。
今回、ウクライナのレアアース(希土類)および重要鉱物の権益の50%を米国に譲渡、共同開発をするという案件の合意の調印が予定されていましたが、会談が頓挫し調印は不実施に!
停戦後に欧州の有志国による再発防止の駐留軍覇権が計画されていますが、米国企業のレアアース共同開発契約がなされれば、米国企業が現地(ロシア側が実効支配中)に入ることになれば、ロシアの進軍は米国企業攻撃となる事での抑止力が発生することが見込まれていましたが、中止となりましたね。
ウクライナ側による、権益の見返りの今後の支援の提案は一切記なかったのだそうです。
トランプ流の支援で、ほかの国も守るとするなら、その国にある貴重な資産を手に入れることがその唯一の理由になるのかもしれない。
たとえそうでも、正当な理由なき攻撃の犠牲になっている気の毒な国に、巨額の対価を要求するのはとんでもないことだ。
ウクライナがこれから国を再建しなければならないことを考えれば、特にそうだと、マーティン・ウルフ氏。
輪をかけてひどいのは、米国の要求額がこれまでに行った支援額のざっと4倍に上ることだ。
また、ドイツにあるキール世界経済研究所が行っているウクライナ支援追跡調査によれば、支援額は欧州の方が米国よりも多い。
2022年1月から2024年12月までの3年間における二国間支援の総額において、米国の割合は31%にすぎず、軍事支援に限っても41%だ。
しかし、一連の交渉において欧州勢の姿はどこにも見られない。ウクライナと欧州の分もトランプ氏が一人で決めているのだ。
合計すると、米国はウクライナへの軍事支援に国内総生産(GDP)の0.19%相当額しか出していない。これはささいな額だ。
2月半ばの2週間で2つのことが明確になった。
1つ目は、米国が第2次世界大戦の間に引き受けた世界における役割を放棄すると決めたことだ。
トランプ氏のホワイトハウス復帰をもって米国は列強の一つに、短期的な利益(特に、物質的な利益)以外のことには無関心な大国になる決断を下した。
これにより、米国が支えてきた大義の数々はどうなるか分からない状態に置かれることになる。
すなわちニューディールで造られた国家と合衆国憲法によって造られた法治社会がそろって破壊されかねないこととも符合すると、マーティン・ウルフ氏。
欧州はこの状況をうまく乗り切るか、解体してしまうかのどちらかになるだろう。
欧州は今後、リベラルで民主的な規範という強固な枠組みのなかではるかに強い協力体制を創り出す必要がある
さもなくば、世界の列強の手でずたずたに引き裂かれてしまう。まず、ウクライナをプーチン大統領の悪意から救うところから始めなければならないとも。
1期目は、広く世界の事にリーダーシップを発揮していたトランプ氏。2期で終わりが確定している大統領の任期。
レジェンドを残そうと焦るトランプ氏。
1946年 6月生まれなので、誕生日が来れば79歳。
1期目に比べると、視野・思考が狭まりスケールダウンしているのは、ご本人の歳のせいなのか、イエスマンのスタッフばかり集めたことに依る、ブレーンのレベル低下のせいなか、どちらなのでしょう。。
トランプ氏は、ウクライナに対する軍事支援の一時停止を命じ、さらに同氏の対外批判の矛先は日本にも向けられ、日米間の円安・ドル高について日本側に是正を求めたのだそうです。
【飛び火】トランプ大統領「日本の指導者らに電話」ゼレンスキー大統領と決裂で軍事支援停止報道の中…日本からの輸入品に“追加関税”示唆(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース
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だが、実現はしなかった。
今では独裁国家がますます自信をつけているだけでなく、米国もそちらの側に付こうとしている。それが 2月半ばの2週間で得られた教訓だと、英フィナンシャル・タイムズ紙のマーティン・ウルフ。
米国はいまや西側の敵だ――マーティン・ウルフ | JBpress (ジェイビープレス)
英フィナンシャル・タイムズ紙 2025年2月26日付
「今日では自由と独立が世界中で危険にさらされている。もし征服者に対する抵抗が功を奏さず、こちらが敗れてしまったら、いずれの国の自由も独立も、さらには自由を得る機会もなくなる」
米国のフランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領は英国のウィンストン・チャーチル首相と1941年8月14日に合意した大西洋憲章の1周年をこのように称えた。
その半世紀後にソビエト連邦が崩壊したことで、この理想が世界の大半で実現されるよう望むことは少なくとも無理のないことになっていた。
だが、実現はしなかった。
今では独裁国家がますます自信をつけているだけでなく、米国もそちらの側に付こうとしている。それが 2月半ばの2週間で得られた教訓だ。
自由はまだ、1942年当時ほどの危険にはさらされていない。しかし、いまの危険は非常にリアルだ。
■国防長官と副大統領の演説の衝撃
際立っている出来事が3つある。
1つ目は、トランプ政権のピート・ヘグセス国防長官が2月12日に北大西洋条約機構(NATO)のウクライナ防衛コンタクトグループに向けて行った演説だ。
このなかで国防長官は、欧州はもう自立していると述べた。米国の目下の主な関心事は自国の国境と中国のことだ。
要するに、「欧州の安全確保はNATO加盟の欧州諸国が担わなければならない。そしてその一環として、ウクライナに対する将来の支援は兵器についてもそれ以外のものについても、圧倒的に大きな部分を欧州が提供しなければならない」というのだ。
2つ目はJ・D・バンス米副大統領が2月14日にミュンヘン安全保障会議で行った演説だ。
バンス氏はそこで「私が心配しているのは内部からの脅威だ。欧州がその最も基本的な価値観、すなわち米国と共有している価値観の一部から後退していることだ」と指摘した。
そしてそうした脅威の例として「ルーマニア政府が選挙を丸ごと無効にしたこと」を挙げた。
自由の敵が選挙を通じて権力を手に入れると何が起こるかについては、ヨーロッパ人の方が米国人よりもよく分かっているとの反応があるかもしれない。
しかし米国人も、バンス氏の上司であるドナルド・トランプ大統領自身が4年前に大統領選挙の結果を無効にしようとしたことを知っている。
五十歩百歩だ。
■ウクライナと欧州の頭越しにロシアと交渉
3つ目の、そして最も示唆に富む出来事は、ウクライナの将来をめぐる交渉だ。
ヘグセス氏は、ウクライナの国境は回復されず、NATOにも加わることもできないと述べることで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の最も重要な条件をすでに受け入れていた。
だが、それは始まりでしかなかった。
交渉は米国とロシアの間で、つまり何らかの合意を実現せよと命じられている欧州諸国の頭越しに、そしてとんでもないことだが、プーチン氏の3年に及ぶ攻撃に耐えてきた当事者であるウクライナも交えることなく行われている。
そのうえ米国は、ロシアが攻撃したのではない、戦争を始めたのはウクライナの方だと言い出した。
国連安全保障理事会での採決においても、米国は欧州離れを強調するがごとくロシアと中国に同調した。フランスや英国など欧州勢は棄権した。
「西側」はいまや死に体だ。
トランプ氏はまた、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を「独裁者」呼ばわりした。独裁者であるプーチン氏にはそんな言葉は口にしないのに、だ。
この件についてトランプ氏は、選挙の審判を受けていないからそう表現したと強弁している。
だが、戦争の真っ最中で、しかも国土の少なからぬ部分が占領されて苦しんでいる状況でどうやって選挙を実施せよというのだろうか。
■ウクライナへの法外な要求
いかにもトランプらしいことに、政権は不動産取引も提案している。
ゼレンスキー氏によると、米国のスコット・ベッセント財務長官の原案は、これまでの軍事支援との引き換えにウクライナのレアアース(希土類)および重要鉱物の権益の50%を要求するものだった。
今後の支援の提案は一切記なかった。
ひょっとしたら、トランプ氏にとって「独裁者」は非難ではなく称賛の言葉なのかもしれない。
そして、ほかの国を守るとするなら、その国にある貴重な資産を手に入れることがその唯一の理由になるのかもしれない。
たとえそうでも、正当な理由なき攻撃の犠牲になっている気の毒な国に、巨額の対価を要求するのはとんでもないことだ。
ウクライナがこれから国を再建しなければならないことを考えれば、特にそうだ。
輪をかけてひどいのは、米国の要求額がこれまでに行った支援額のざっと4倍に上ることだ。
また、ドイツにあるキール世界経済研究所が行っているウクライナ支援追跡調査によれば、支援額は欧州の方が米国よりも多い。
2022年1月から2024年12月までの3年間における二国間支援の総額において、米国の割合は31%にすぎず、軍事支援に限っても41%だ。
しかし、一連の交渉において欧州勢の姿はどこにも見られない。ウクライナと欧州の分もトランプ氏が一人で決めているのだ。
合計すると、米国はウクライナへの軍事支援に国内総生産(GDP)の0.19%相当額しか出していない。これはささいな額だ。
過去に行ってきた戦争の費用と比較するなら特にそうだ。
その見返りとして、かつて強敵だと思われていた国に屈辱を与え、自由民主主義の理想(ウクライナはこの理想のために戦っているし、米国もかつてはそうだった)の正統性を立証することができた。
■世界における役割を放棄
2月半ばの2週間で2つのことが明確になった。
1つ目は、米国が第2次世界大戦の間に引き受けた世界における役割を放棄すると決めたことだ。
トランプ氏のホワイトハウス復帰をもって米国は列強の一つに、短期的な利益(特に、物質的な利益)以外のことには無関心な大国になる決断を下した。
これにより、米国が支えてきた大義の数々――小国の権利や民主主義それ自体など――はどうなるか分からない状態に置かれることになる。
この状態は米国内で現在起きていること、すなわちニューディールで造られた国家と合衆国憲法によって造られた法治社会がそろって破壊されかねないこととも符合する。
欧州はこの状況をうまく乗り切るか、解体してしまうかのどちらかになるだろう。
欧州は今後、リベラルで民主的な規範という強固な枠組みのなかではるかに強い協力体制を創り出す必要がある。
さもなくば、世界の列強の手でずたずたに引き裂かれてしまう。まず、ウクライナをプーチン大統領の悪意から救うところから始めなければならない。
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マーティン・ウルフ
フィナンシャル・タイムズ紙 チーフ・エコノミクス・コメンテーター
英国生まれ。経済政策の間違いが第2次世界大戦を招いたとの問題意識から経済に関心を持つ。世界銀行のエコノミストなどを経て87年にFT入社。一貫して経済問題を執筆。現在最も影響力のあるジャーナリストとされ、その論評、発言は各国の財務相や中央銀行総裁も注目するという。
英フィナンシャル・タイムズ紙 2025年2月26日付
「今日では自由と独立が世界中で危険にさらされている。もし征服者に対する抵抗が功を奏さず、こちらが敗れてしまったら、いずれの国の自由も独立も、さらには自由を得る機会もなくなる」
米国のフランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領は英国のウィンストン・チャーチル首相と1941年8月14日に合意した大西洋憲章の1周年をこのように称えた。
その半世紀後にソビエト連邦が崩壊したことで、この理想が世界の大半で実現されるよう望むことは少なくとも無理のないことになっていた。
だが、実現はしなかった。
今では独裁国家がますます自信をつけているだけでなく、米国もそちらの側に付こうとしている。それが 2月半ばの2週間で得られた教訓だ。
自由はまだ、1942年当時ほどの危険にはさらされていない。しかし、いまの危険は非常にリアルだ。
■国防長官と副大統領の演説の衝撃
際立っている出来事が3つある。
1つ目は、トランプ政権のピート・ヘグセス国防長官が2月12日に北大西洋条約機構(NATO)のウクライナ防衛コンタクトグループに向けて行った演説だ。
このなかで国防長官は、欧州はもう自立していると述べた。米国の目下の主な関心事は自国の国境と中国のことだ。
要するに、「欧州の安全確保はNATO加盟の欧州諸国が担わなければならない。そしてその一環として、ウクライナに対する将来の支援は兵器についてもそれ以外のものについても、圧倒的に大きな部分を欧州が提供しなければならない」というのだ。
2つ目はJ・D・バンス米副大統領が2月14日にミュンヘン安全保障会議で行った演説だ。
バンス氏はそこで「私が心配しているのは内部からの脅威だ。欧州がその最も基本的な価値観、すなわち米国と共有している価値観の一部から後退していることだ」と指摘した。
そしてそうした脅威の例として「ルーマニア政府が選挙を丸ごと無効にしたこと」を挙げた。
自由の敵が選挙を通じて権力を手に入れると何が起こるかについては、ヨーロッパ人の方が米国人よりもよく分かっているとの反応があるかもしれない。
しかし米国人も、バンス氏の上司であるドナルド・トランプ大統領自身が4年前に大統領選挙の結果を無効にしようとしたことを知っている。
五十歩百歩だ。
■ウクライナと欧州の頭越しにロシアと交渉
3つ目の、そして最も示唆に富む出来事は、ウクライナの将来をめぐる交渉だ。
ヘグセス氏は、ウクライナの国境は回復されず、NATOにも加わることもできないと述べることで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の最も重要な条件をすでに受け入れていた。
だが、それは始まりでしかなかった。
交渉は米国とロシアの間で、つまり何らかの合意を実現せよと命じられている欧州諸国の頭越しに、そしてとんでもないことだが、プーチン氏の3年に及ぶ攻撃に耐えてきた当事者であるウクライナも交えることなく行われている。
そのうえ米国は、ロシアが攻撃したのではない、戦争を始めたのはウクライナの方だと言い出した。
国連安全保障理事会での採決においても、米国は欧州離れを強調するがごとくロシアと中国に同調した。フランスや英国など欧州勢は棄権した。
「西側」はいまや死に体だ。
トランプ氏はまた、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を「独裁者」呼ばわりした。独裁者であるプーチン氏にはそんな言葉は口にしないのに、だ。
この件についてトランプ氏は、選挙の審判を受けていないからそう表現したと強弁している。
だが、戦争の真っ最中で、しかも国土の少なからぬ部分が占領されて苦しんでいる状況でどうやって選挙を実施せよというのだろうか。
■ウクライナへの法外な要求
いかにもトランプらしいことに、政権は不動産取引も提案している。
ゼレンスキー氏によると、米国のスコット・ベッセント財務長官の原案は、これまでの軍事支援との引き換えにウクライナのレアアース(希土類)および重要鉱物の権益の50%を要求するものだった。
今後の支援の提案は一切記なかった。
ひょっとしたら、トランプ氏にとって「独裁者」は非難ではなく称賛の言葉なのかもしれない。
そして、ほかの国を守るとするなら、その国にある貴重な資産を手に入れることがその唯一の理由になるのかもしれない。
たとえそうでも、正当な理由なき攻撃の犠牲になっている気の毒な国に、巨額の対価を要求するのはとんでもないことだ。
ウクライナがこれから国を再建しなければならないことを考えれば、特にそうだ。
輪をかけてひどいのは、米国の要求額がこれまでに行った支援額のざっと4倍に上ることだ。
また、ドイツにあるキール世界経済研究所が行っているウクライナ支援追跡調査によれば、支援額は欧州の方が米国よりも多い。
2022年1月から2024年12月までの3年間における二国間支援の総額において、米国の割合は31%にすぎず、軍事支援に限っても41%だ。
しかし、一連の交渉において欧州勢の姿はどこにも見られない。ウクライナと欧州の分もトランプ氏が一人で決めているのだ。
合計すると、米国はウクライナへの軍事支援に国内総生産(GDP)の0.19%相当額しか出していない。これはささいな額だ。
過去に行ってきた戦争の費用と比較するなら特にそうだ。
その見返りとして、かつて強敵だと思われていた国に屈辱を与え、自由民主主義の理想(ウクライナはこの理想のために戦っているし、米国もかつてはそうだった)の正統性を立証することができた。
■世界における役割を放棄
2月半ばの2週間で2つのことが明確になった。
1つ目は、米国が第2次世界大戦の間に引き受けた世界における役割を放棄すると決めたことだ。
トランプ氏のホワイトハウス復帰をもって米国は列強の一つに、短期的な利益(特に、物質的な利益)以外のことには無関心な大国になる決断を下した。
これにより、米国が支えてきた大義の数々――小国の権利や民主主義それ自体など――はどうなるか分からない状態に置かれることになる。
この状態は米国内で現在起きていること、すなわちニューディールで造られた国家と合衆国憲法によって造られた法治社会がそろって破壊されかねないこととも符合する。
欧州はこの状況をうまく乗り切るか、解体してしまうかのどちらかになるだろう。
欧州は今後、リベラルで民主的な規範という強固な枠組みのなかではるかに強い協力体制を創り出す必要がある。
さもなくば、世界の列強の手でずたずたに引き裂かれてしまう。まず、ウクライナをプーチン大統領の悪意から救うところから始めなければならない。
----------------------------------------------
マーティン・ウルフ
フィナンシャル・タイムズ紙 チーフ・エコノミクス・コメンテーター
英国生まれ。経済政策の間違いが第2次世界大戦を招いたとの問題意識から経済に関心を持つ。世界銀行のエコノミストなどを経て87年にFT入社。一貫して経済問題を執筆。現在最も影響力のあるジャーナリストとされ、その論評、発言は各国の財務相や中央銀行総裁も注目するという。
自由はまだ、1942年当時ほどの危険にはさらされていない。しかし、いまの危険は非常にリアルだ。
際立っている出来事が3つあると、マーティン・ウルフ氏。
1つ目は、トランプ政権のピート・ヘグセス国防長官が2月12日に北大西洋条約機構(NATO)のウクライナ防衛コンタクトグループに向けて行った演説。
「欧州の安全確保はNATO加盟の欧州諸国が担わなければならない。そしてその一環として、ウクライナに対する将来の支援は兵器についてもそれ以外のものについても、圧倒的に大きな部分を欧州が提供しなければならない」と。
欧州はもう自立している。米国の目下の主な関心事は自国の国境と中国のことだと。
「欧州の安全確保はNATO加盟の欧州諸国が担わなければならない。そしてその一環として、ウクライナに対する将来の支援は兵器についてもそれ以外のものについても、圧倒的に大きな部分を欧州が提供しなければならない」という。
2つ目はJ・D・バンス米副大統領が2月14日にミュンヘン安全保障会議で行った演説。
「私が心配しているのは内部からの脅威だ。欧州がその最も基本的な価値観、すなわち米国と共有している価値観の一部から後退していることだ」と指摘。
そうした脅威の例として「ルーマニア政府が選挙を丸ごと無効にしたこと」を挙げた。
しかし米国人も、バンス氏の上司であるドナルド・トランプ大統領自身が4年前に大統領選挙の結果を無効にしようとした。
五十歩百歩だと、マーティン・ウルフ氏。
3つ目の、そして最も示唆に富む出来事は、ウクライナの将来をめぐる交渉だと。
ヘグセス国防長官は、ウクライナの国境は回復されず、NATOにも加わることもできないと述べることで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の最も重要な条件をすでに受け入れていた。
交渉は米国とロシアの間で欧州諸国の頭越しに、そしてとんでもないことだが、プーチン氏の3年に及ぶ攻撃に耐えてきた当事者であるウクライナも交えることなく行われている。
そのうえ米国は、ロシアが攻撃したのではない、戦争を始めたのはウクライナの方だと言い出した。
「西側」はいまや死に体だ。
トランプ氏はまた、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を「独裁者」呼ばわりした。独裁者であるプーチン氏にはそんな言葉は口にしないのに、だと、マーティン・ウルフ氏。
この件についてトランプ氏は、選挙の審判を受けていないからそう表現したと強弁しているのだそうです。
# 老化のわがまま論。
だが、戦争の真っ最中で、しかも国土の少なからぬ部分が占領されて苦しんでいる状況でどうやって選挙を実施せよというのだろうかと、マーティン・ウルフ氏。
英国で、戦時中の為選挙を延期した実績はありますね。
今回、ウクライナのレアアース(希土類)および重要鉱物の権益の50%を米国に譲渡、共同開発をするという案件の合意の調印が予定されていましたが、会談が頓挫し調印は不実施に!
停戦後に欧州の有志国による再発防止の駐留軍覇権が計画されていますが、米国企業のレアアース共同開発契約がなされれば、米国企業が現地(ロシア側が実効支配中)に入ることになれば、ロシアの進軍は米国企業攻撃となる事での抑止力が発生することが見込まれていましたが、中止となりましたね。
ウクライナ側による、権益の見返りの今後の支援の提案は一切記なかったのだそうです。
トランプ流の支援で、ほかの国も守るとするなら、その国にある貴重な資産を手に入れることがその唯一の理由になるのかもしれない。
たとえそうでも、正当な理由なき攻撃の犠牲になっている気の毒な国に、巨額の対価を要求するのはとんでもないことだ。
ウクライナがこれから国を再建しなければならないことを考えれば、特にそうだと、マーティン・ウルフ氏。
輪をかけてひどいのは、米国の要求額がこれまでに行った支援額のざっと4倍に上ることだ。
また、ドイツにあるキール世界経済研究所が行っているウクライナ支援追跡調査によれば、支援額は欧州の方が米国よりも多い。
2022年1月から2024年12月までの3年間における二国間支援の総額において、米国の割合は31%にすぎず、軍事支援に限っても41%だ。
しかし、一連の交渉において欧州勢の姿はどこにも見られない。ウクライナと欧州の分もトランプ氏が一人で決めているのだ。
合計すると、米国はウクライナへの軍事支援に国内総生産(GDP)の0.19%相当額しか出していない。これはささいな額だ。
2月半ばの2週間で2つのことが明確になった。
1つ目は、米国が第2次世界大戦の間に引き受けた世界における役割を放棄すると決めたことだ。
トランプ氏のホワイトハウス復帰をもって米国は列強の一つに、短期的な利益(特に、物質的な利益)以外のことには無関心な大国になる決断を下した。
これにより、米国が支えてきた大義の数々はどうなるか分からない状態に置かれることになる。
すなわちニューディールで造られた国家と合衆国憲法によって造られた法治社会がそろって破壊されかねないこととも符合すると、マーティン・ウルフ氏。
欧州はこの状況をうまく乗り切るか、解体してしまうかのどちらかになるだろう。
欧州は今後、リベラルで民主的な規範という強固な枠組みのなかではるかに強い協力体制を創り出す必要がある
さもなくば、世界の列強の手でずたずたに引き裂かれてしまう。まず、ウクライナをプーチン大統領の悪意から救うところから始めなければならないとも。
1期目は、広く世界の事にリーダーシップを発揮していたトランプ氏。2期で終わりが確定している大統領の任期。
レジェンドを残そうと焦るトランプ氏。
1946年 6月生まれなので、誕生日が来れば79歳。
1期目に比べると、視野・思考が狭まりスケールダウンしているのは、ご本人の歳のせいなのか、イエスマンのスタッフばかり集めたことに依る、ブレーンのレベル低下のせいなか、どちらなのでしょう。。
トランプ氏は、ウクライナに対する軍事支援の一時停止を命じ、さらに同氏の対外批判の矛先は日本にも向けられ、日米間の円安・ドル高について日本側に是正を求めたのだそうです。
【飛び火】トランプ大統領「日本の指導者らに電話」ゼレンスキー大統領と決裂で軍事支援停止報道の中…日本からの輸入品に“追加関税”示唆(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース
# 冒頭の画像は、暴走するトランプ大統領
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