トランプ大統領のアジア5ヵ国歴訪に対する評価は、ご本人が「ホワイトハウスに戻り声明を出す」と言った声明が発せられていないせいか、まだまばらですね。
米中首脳会談が最大の山場でしたが、米国での初めての両首脳の会談の回食事、シリア空軍基地を攻撃した事実を話し、習近平の度胆をぬき、主導権を持ったトランプ大統領でしたが、中国のインテリジェンスが調べ上げたトランプ像により周到に計画・実施された歓迎とお土産ですっかり籠絡されてしまったトランプ大統領。今回の最大の目的の対中貿易赤字是正について、「中国の責任ではなく、米国の歴代政権の責任」とコメントさせられるに至ってしまう、大逆転の結果となってしまいました。
ただ、そのなかで、安倍首相がかねて提唱していた「自由で開かれたインド太平洋戦略」の合意を日本で表明したトランプ大統領が、ベトナムでも提唱したことが、内容の評価はさておき、わずかながらも籠絡を踏みとどまれた成果だったと、遊爺は評価します。逆に言えば、表面に報道されているもののなかでは、このぐらいしか評価できるものが無かった。。
自由で開かれたインド太平洋戦略 | 外交青書 2017 | 外務省
トランプ大統領は、ベトナムでのAPEC関連会合で、ベトナムの中国から独立する闘いの歴史を讃え、それぞれの国には愛国心、繁栄、誇りがあり、「自由で開かれたインド太平洋を選択すべきだ」と結んだのだそうですね。
中国に抵抗するベトナムを比喩的に語って、中国による地域覇権の野望を打ち砕く意思に思えたと、湯浅氏。
また、インド、ブータン、中国が国境を接する、ブータンが領有を主張する地域での、中国軍による現状変更について、10週にわたりにらみあったインド軍についても褒め上げたのだそうですね。
「インド太平洋」という地政学的概念で日米豪印の戦略対話を探る安倍首相。バラバラになりそうだった「TPP11」を、茂木大臣に司令して、合意に抵抗するカナダ・トルドー首相とも面談するなどして、「CPTPP」の大筋合意を成し遂げました。具体的内容が乏しいと言われる「インド太平洋戦略」に、道筋を示す功績となりました。
中国が札束外交で覇権を拡大する中、対抗軸として期待される日米。トランプ大統領が、アメリカファーストを前面に押し出す中、日本やインド、オーストラリアに対しての期待が高まっています。
中国に対する軍事的抵抗は、経済的な報復を受けるだろうかと問いかける湯浅氏は、力の均衡をはかって紛争を回避し、経済の関係を深化させる道を探るべきだとの指摘を引用されています。
札束外交や、軍事力を背景に力で現状変更をして覇権を拡大する中国に備える「CPTPP」の大筋合意や、日米印豪の連携を強化する「インド太平洋戦略」の充実は、ASEAN諸国の期待に応えるもので、今回のトランプ大統領の歴訪を機に、安倍政権が果たした成果は大きいと考えます。今後、引きつづき内容の充実・拡大が進められることを期待します。
# 冒頭の画像は、2016年8月のアフリカ開発会議(TICAD)で、「自由で開かれたインド太平洋戦略(Free and Open Indo-Pacific Strategy)」を対外発表した安倍首相
この花の名前は、ヒメリュウキンカ
↓よろしかったら、お願いします。
米中首脳会談が最大の山場でしたが、米国での初めての両首脳の会談の回食事、シリア空軍基地を攻撃した事実を話し、習近平の度胆をぬき、主導権を持ったトランプ大統領でしたが、中国のインテリジェンスが調べ上げたトランプ像により周到に計画・実施された歓迎とお土産ですっかり籠絡されてしまったトランプ大統領。今回の最大の目的の対中貿易赤字是正について、「中国の責任ではなく、米国の歴代政権の責任」とコメントさせられるに至ってしまう、大逆転の結果となってしまいました。
ただ、そのなかで、安倍首相がかねて提唱していた「自由で開かれたインド太平洋戦略」の合意を日本で表明したトランプ大統領が、ベトナムでも提唱したことが、内容の評価はさておき、わずかながらも籠絡を踏みとどまれた成果だったと、遊爺は評価します。逆に言えば、表面に報道されているもののなかでは、このぐらいしか評価できるものが無かった。。
自由で開かれたインド太平洋戦略 | 外交青書 2017 | 外務省
微笑引き出すインド太平洋戦略 (11/15 産経 【湯浅博の世界読解】)
トランプ米大統領が古代中国の王朝に反抗したベトナム人、チュン姉妹の悲劇を語ったのは驚きであった。ベトナム中部の都市ダナンで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の関連会合の演説で、大統領は独立運動の栄光として語り継がれるベトナムの歴史に触れた。
演説の結びでトランプ氏は、米国の第2代大統領ジョン・アダムズが米国を象徴する言葉として「永遠の独立」を挙げたことに言及した。それは、すべての国に共通する祖国愛であり、ベトナム人は漢の横暴な支配と戦ったチュン姉妹によって、それに目覚めたという。
彼女たちの漢に対する反抗は、わずか3年の独立を得ただけで悲劇的な結末を迎えている。だが、ベトナムの大国に対する抵抗の精神は受け継がれ、近年に至っても南シナ海で中国の侵略にあらがう実績を残している。島嶼(とうしょ)の領有権をめぐり1974年と88年に中国の海軍艦船と戦い、2014年にもベトナムが領有する海域で、中国の石油掘削リグをめぐって中国海警の艦船に対抗した。
トランプ大統領の演説はそれぞれの国には愛国心、繁栄、誇りがあり、「自由で開かれたインド太平洋を選択すべきだ」と結んでいる。聞きようによっては、漢の後継国家である中国に抵抗するベトナムを比喩的に語っており、「インド太平洋」という地政学的概念を多用して、中国による地域覇権の野望を打ち砕く意思に思えた。
トランプ大統領が演説でほめあげた「世界最大の民主主義国家」インドは、今年の夏、中国とブータンとの3カ国国境付近で現状変更を狙う中国軍と10週間にわたりにらみ合った。インド軍の介入は、ブータンが領有権を主張する地域での中国の道路建設を停滞させた。インド政策研究センターのブラマ・チェラニー教授は、米国のオバマ前大統領が「南シナ海でインドと同様の決意を行動で示していたら、おそらく中国は現在の軍事化された7つの人工島を確保していなかっただろう」と語っている(米ウェブ誌「Project Syndicate」)。
では、中国に対する軍事的抵抗は、経済的な報復を受けるだろうか。シンガポールの南洋理工大学のスウィー・コリン研究員は、ベトナムの他にインドネシアの事例が「領有権問題と経済関係の間に一定の線を引くことが可能であることを示した」と分析している。
APECを機会に、安倍晋三首相と中国の習近平国家主席の日中首脳会談が成立したのにも共通したものがある。ともに10月の衆院選と中国共産党大会を経て権力基盤を固めており、習主席は「この会談は日中関係の新たなスタートとなる」と微笑外交に切り替えていた。
中国は対日圧力外交をたびたび用いる。だが安倍政権は尖閣諸島(沖縄県石垣市)への中国公船の接近をはじめ、恫喝(どうかつ)は何度でもはね返す。小さなナイフで脅してきたら、大きめのナイフをかざして抵抗するのが抑止の常である。トランプ大統領と確認した日米同盟強化や、「インド太平洋」という地政学的概念で日米豪印の戦略対話を探る動きもこれに当たるだろう。
もともと、この概念は安倍首相が2007年にインド国会で、インド洋と太平洋を指して「2つの海の交わり」と演説し、“軍拡病”が治らない中国を牽制(けんせい)するものであった。コリン研究員は、力の均衡をはかって紛争を回避し、経済の関係を深化させる道を探るべきだと指摘する。それが長期的な停滞が予測される中国経済の利益につながるからである。(東京特派員)
トランプ米大統領が古代中国の王朝に反抗したベトナム人、チュン姉妹の悲劇を語ったのは驚きであった。ベトナム中部の都市ダナンで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の関連会合の演説で、大統領は独立運動の栄光として語り継がれるベトナムの歴史に触れた。
演説の結びでトランプ氏は、米国の第2代大統領ジョン・アダムズが米国を象徴する言葉として「永遠の独立」を挙げたことに言及した。それは、すべての国に共通する祖国愛であり、ベトナム人は漢の横暴な支配と戦ったチュン姉妹によって、それに目覚めたという。
彼女たちの漢に対する反抗は、わずか3年の独立を得ただけで悲劇的な結末を迎えている。だが、ベトナムの大国に対する抵抗の精神は受け継がれ、近年に至っても南シナ海で中国の侵略にあらがう実績を残している。島嶼(とうしょ)の領有権をめぐり1974年と88年に中国の海軍艦船と戦い、2014年にもベトナムが領有する海域で、中国の石油掘削リグをめぐって中国海警の艦船に対抗した。
トランプ大統領の演説はそれぞれの国には愛国心、繁栄、誇りがあり、「自由で開かれたインド太平洋を選択すべきだ」と結んでいる。聞きようによっては、漢の後継国家である中国に抵抗するベトナムを比喩的に語っており、「インド太平洋」という地政学的概念を多用して、中国による地域覇権の野望を打ち砕く意思に思えた。
トランプ大統領が演説でほめあげた「世界最大の民主主義国家」インドは、今年の夏、中国とブータンとの3カ国国境付近で現状変更を狙う中国軍と10週間にわたりにらみ合った。インド軍の介入は、ブータンが領有権を主張する地域での中国の道路建設を停滞させた。インド政策研究センターのブラマ・チェラニー教授は、米国のオバマ前大統領が「南シナ海でインドと同様の決意を行動で示していたら、おそらく中国は現在の軍事化された7つの人工島を確保していなかっただろう」と語っている(米ウェブ誌「Project Syndicate」)。
では、中国に対する軍事的抵抗は、経済的な報復を受けるだろうか。シンガポールの南洋理工大学のスウィー・コリン研究員は、ベトナムの他にインドネシアの事例が「領有権問題と経済関係の間に一定の線を引くことが可能であることを示した」と分析している。
APECを機会に、安倍晋三首相と中国の習近平国家主席の日中首脳会談が成立したのにも共通したものがある。ともに10月の衆院選と中国共産党大会を経て権力基盤を固めており、習主席は「この会談は日中関係の新たなスタートとなる」と微笑外交に切り替えていた。
中国は対日圧力外交をたびたび用いる。だが安倍政権は尖閣諸島(沖縄県石垣市)への中国公船の接近をはじめ、恫喝(どうかつ)は何度でもはね返す。小さなナイフで脅してきたら、大きめのナイフをかざして抵抗するのが抑止の常である。トランプ大統領と確認した日米同盟強化や、「インド太平洋」という地政学的概念で日米豪印の戦略対話を探る動きもこれに当たるだろう。
もともと、この概念は安倍首相が2007年にインド国会で、インド洋と太平洋を指して「2つの海の交わり」と演説し、“軍拡病”が治らない中国を牽制(けんせい)するものであった。コリン研究員は、力の均衡をはかって紛争を回避し、経済の関係を深化させる道を探るべきだと指摘する。それが長期的な停滞が予測される中国経済の利益につながるからである。(東京特派員)
トランプ大統領は、ベトナムでのAPEC関連会合で、ベトナムの中国から独立する闘いの歴史を讃え、それぞれの国には愛国心、繁栄、誇りがあり、「自由で開かれたインド太平洋を選択すべきだ」と結んだのだそうですね。
中国に抵抗するベトナムを比喩的に語って、中国による地域覇権の野望を打ち砕く意思に思えたと、湯浅氏。
また、インド、ブータン、中国が国境を接する、ブータンが領有を主張する地域での、中国軍による現状変更について、10週にわたりにらみあったインド軍についても褒め上げたのだそうですね。
「インド太平洋」という地政学的概念で日米豪印の戦略対話を探る安倍首相。バラバラになりそうだった「TPP11」を、茂木大臣に司令して、合意に抵抗するカナダ・トルドー首相とも面談するなどして、「CPTPP」の大筋合意を成し遂げました。具体的内容が乏しいと言われる「インド太平洋戦略」に、道筋を示す功績となりました。
中国が札束外交で覇権を拡大する中、対抗軸として期待される日米。トランプ大統領が、アメリカファーストを前面に押し出す中、日本やインド、オーストラリアに対しての期待が高まっています。
中国に対する軍事的抵抗は、経済的な報復を受けるだろうかと問いかける湯浅氏は、力の均衡をはかって紛争を回避し、経済の関係を深化させる道を探るべきだとの指摘を引用されています。
札束外交や、軍事力を背景に力で現状変更をして覇権を拡大する中国に備える「CPTPP」の大筋合意や、日米印豪の連携を強化する「インド太平洋戦略」の充実は、ASEAN諸国の期待に応えるもので、今回のトランプ大統領の歴訪を機に、安倍政権が果たした成果は大きいと考えます。今後、引きつづき内容の充実・拡大が進められることを期待します。
# 冒頭の画像は、2016年8月のアフリカ開発会議(TICAD)で、「自由で開かれたインド太平洋戦略(Free and Open Indo-Pacific Strategy)」を対外発表した安倍首相
この花の名前は、ヒメリュウキンカ
↓よろしかったら、お願いします。