ロシアの侵攻から始まったウクライナの戦争は、どんな終わり方をするのだろうか。
残念ながら「戦争の早期終結はない」とみる。最大の理由は「米国が望んでいない」からだと、元東京新聞の東京新聞らしくない長谷川氏。
ゼレンスキー大統領は5月3日、ウォール・ストリート・ジャーナル主催の経営セミナーで「戦争の目標は、ロシアの前進を止め、領土を奪還し、最終的には外交交渉によって、すべての領土の回復を確実にすることだ」と語ったのだそうです。
ゼレンスキー氏は「我々は、クリミア半島がウクライナの一部であることを望んでいる」とも。
プーチン大統領はクリミア半島はもちろん、ドンバス地方の明け渡しも認めないだろう。それを認めたら、何のために戦争を始めたか分からなくなる。完全な敗北であり、プーチン体制の存続さえ怪しくなると長谷川氏。
いまのところ、双方に妥協できる余地はなく、戦闘は一進一退のまま、しばらく続きそうだと。
ただ、ここに来て「戦争の終わり方」が議論になっている背景には、バイデン政権が「戦争の目標を『ウクライナの防衛』から『ロシアの弱体化、ひいてはプーチン体制の転覆』に舵を切ったのではないか」という観測があるからだと長谷川氏。
きっかけになったのは、4月25日のロイド・オースチン国防長官発言だったと。
オースチン米国防長官は、ブリンケン国務長官と並んで開いたポーランドでの記者会見で「我々は、ウクライナ侵攻でやったようなことを(再び)できないようにするまで、ロシアを弱体化させたい(weakend)」と述べたのだそうです。
米国の目標が「ロシアの弱体化」であるなら、米国にとって、ロシアが戦闘に疲労困憊して、2度と立ち上がれなくなるまで、戦争が続いたほうがいい。その結果、プーチン体制そのものが崩壊してしまえば、なおさら好都合。
米国がここへ来て、戦略目標を「プーチン体制の転覆」に舵を切ったのは、中国との本格対決を後に控えているからだと長谷川氏。
中国が、台湾や日本の尖閣諸島をはじめ、東シナ海や南シナ海への野心を隠していないことは諸兄がご承知の通り。
米国は、そんな中国と、いずれ「本格的な対決が避けられない」とみている。
そうであるなら、習近平総書記(国家主席)と盟友関係にあるプーチン氏の力を、この戦争が続いているうちに「できるだけ削いでおきたい」と考えるのは、まったく合理的だ。世界の大国バランスを考えれば、米国にとって「真の敵は中国」であり、プーチン氏のロシアは「敵の仲間」なのだと長谷川氏。
ウクライナの戦争は事実上、いまや「米国とロシア、背後に控えた中国との戦い」になりつつある。
米国は背景の中国に照準を合わせ、そこから逆算して、ロシアとウクライナの戦争を眺めていると。
当初、戦争の目標を明言していなかったゼレンスキー氏が「クリミア奪還」を口にするようになったのは、米国の意向を肌で感じ取ったからではないかと長谷川氏。
戦争が長引けば、被害が大きくなるのは、もちろん、ウクライナとその国民自身。(ロシア軍兵士の死傷者も)
ウクライナは「ロシアの侵略」と「米国の思惑」という「2重の被害者」とも言えると。。
これは、中国が台湾奪取に動いたとき、同じ構図にならない保証はない。中国と真正面で戦うのは「台湾軍」で、米国は「背後で支援するだけ」という形。
日本の尖閣諸島については、なおさらだろう。1人の日本人さえ住まない岩の島を守るのに、米国が出てきて戦うわけがないと長谷川氏。
ウクライナの戦争は、強大国のパワーポリティクスに翻弄される小国の「冷酷な真実」も浮かび上がらせている。日本が学ぶべき教訓であると!
ロシアは国として正式に参加していないのに、プーチンが訪中して習近平と会談した北京冬季五輪。バイデン氏は「外交的ボイコット」を呼びかけましたが、日本の岸田政権は、米中二股外交で、応答が遅れ、岸田氏のバイデン氏との就任挨拶会談要請が暫く放置され、挙句希望の面談ではなく、オンライン会談に格下げされたことは、諸兄がご承知の通りです。
長く外務大臣を務めた岸田氏。外交にはご本人は自負をおもちのようですが、安倍氏の傘の下で使い走りをしていただけで、内弁慶のその実績は、むしろ日本の国益を棄損するものが数多。
(例=ソウル大使館前に設置された国際慣例に反する慰安婦像の撤去交渉では、撤去ではなく移設で合意。しかも、口約束なので、未だに実行されず放置・残存。首相になった今も、見て見ぬふり。)
対露制裁では、米国や、G7の決定に、遅れたり規模を最小限に絞ったお付き合いで追随するだけ。西の対露国境で戦っているウクライナと、東の国境で、太平洋戦争の週末時に不可侵条約を無視し、奪取された北方領土問題を抱える点で、全くウクライナとは同等の環境の日本なのに、サハリン1, 2の事業から欧米が撤退するのに、撤退否定する岸田政権。
反国際協調の、親中団体幹部の岸田氏と林氏。
G7では、バイデン氏とメルケル氏の軋轢の仲介役をこなしていた安倍氏の外交地位とは雲泥の差に堕ちたにもかかわらず、外交実績自慢の岸田政権。
聞くだけで、何もしないので、マスコミに叩かれることが稀なせいか、世論調査の支持率が高止まりの不思議な政権。
でも、いまの国際貢献レベルでは、自由主義世界各国から見放され、2流、3流国に陥落してしまいます。
参院選に向け、リップサービスは始めている様ですが、評価に値する実績はない。むしろ、登用した牧島かれんデジタル大臣には、手足となるべき河野時代に集めたスタッフや組織を縮小したあげく、首に!
それは、牧島氏の処罰の前に、手足の組織をなくした岸田氏、あなたの無能の責任が大きいとは気づかない?
聞くだけで、何もしない岸田政権。このままでは、日本は沈没しかねない。そんな総裁を選んだのは、総裁選の自民党議員の責任。
自民党の、自浄作用に期待しますが。。
# 冒頭の画像は、オースチン国防長官
この花の名前は、アリウム・ギガンチューム
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA
残念ながら「戦争の早期終結はない」とみる。最大の理由は「米国が望んでいない」からだと、元東京新聞の東京新聞らしくない長谷川氏。
アメリカが「プーチン体制転覆」後に狙っている「本当の敵」の正体 | 現代ビジネス | 講談社
戦争はまだ終わりそうにない 2022.06.03 長谷川 幸洋
■先が見えないウクライナ情勢
ロシアの侵攻から始まったウクライナの戦争は、どんな終わり方をするのだろうか。先行きは見通せないが、戦争終結の姿をめぐって、米国や欧州で議論が沸騰している。私は、残念ながら「戦争の早期終結はない」とみる。最大の理由は「米国が望んでいない」からだ。
戦争を「どう終わらせるか」は、戦争の目標と裏腹の関係にある。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は5月3日、ウォール・ストリート・ジャーナル主催の経営セミナーで「戦争の目標は、ロシアの前進を止め、領土を奪還し、最終的には外交交渉によって、すべての領土の回復を確実にすることだ」と語った。
ゼレンスキー氏は「我々は、クリミア半島がウクライナの一部であることを望んでいる」とも語っている。大統領は、いまロシア軍が制圧している東部ドンバス地方はもちろん、2014年の侵攻でロシアに奪われたクリミア半島の奪回も目指しているのだ。
ロシア側はどうか。戦況が現状のままなら、ウラジーミル・プーチン大統領はクリミア半島はもちろん、ドンバス地方の明け渡しも認めないだろう。それを認めたら、何のために戦争を始めたか、分からなくなる。完全な敗北であり、プーチン体制の存続さえ怪しくなるからだ。
ウクライナには、西側から次々と最新兵器が供給される一方、ロシアも総力を挙げて、東部の制圧を急いでいる。結局、いまのところ、双方に妥協できる余地はなく、戦闘は一進一退のまま、しばらく続きそうだ。
■どうやって終わるのだろうか?
にもかかわらず、ここに来て「戦争の終わり方」が議論になっているのは、戦争の目標について、米国などから具体的な発言が出てきたからだ。
米国のヘンリー・キッシンジャー元国務長官は5月23日、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムにリモート出演し、クリミア半島とドンバス地方の約3分の1を念頭に「戦争前の分割ラインに戻るべきだ。それ以上を求めるのは、ウクライナの自由ではなく、ロシアに対する新たな戦争になる」と語った。
これに対して、ゼレンスキー氏は25日、恒例になったビデオ演説で「キッシンジャー氏は2022年ではなく、1938年にいる。ダボスではなく、ミュンヘンで語ったかのようだ」と強く反論した。当時のネヴィル・チェンバレン英首相が、チェコスロバキアに侵攻したナチス・ヒトラーにズデーテン地方の割譲を認めた「宥和政策」を引き合いに出して、キッシンジャー氏を批判したのだ。
戦闘継続ではなく、外交交渉による問題解決を求める声は、ほかにもある。たとえば、世界の外交界に大きな影響力を持つ米外交問題評議会(CFR)のリチャード・ハース会長は5月10日、CFRのウェブサイトに寄せた論説記事で、こう指摘した。
〈ウクライナがすべての領土を支配することが、戦争の到達点であるべきだ。しかし、それは必ずしも、クリミア半島や東部ドンバス地方のすべてを軍事力によって解放しようとすることを、正当化するわけではない。これらの目標の一部は、外交と一部の制裁解除を通じて追求したほうが望ましい〉
注意深く書いているが、ようするに「クリミア半島と東部ドンバス地方の問題は、外交で解決すべきだ」という主張である。
こうした議論の背景には、米国のジョー・バイデン政権が「戦争の目標を『ウクライナの防衛』から『ロシアの弱体化、ひいてはプーチン体制の転覆』に舵を切ったのではないか」という観測がある。きっかけになったのは、4月25日のロイド・オースチン国防長官発言だった。
4月29日公開コラムで指摘したように、ロイド・オースチン米国防長官はアントニー・ブリンケン国務長官と並んで開いたポーランドでの記者会見で「我々は、ウクライナ侵攻でやったようなことを(再び)できないようにするまで、ロシアを弱体化させたい(weakend)」と述べた。
プーチン体制、ついに「終了」か…とうとう米国が「ロシア打倒」に本気を出した!(長谷川 幸洋) | 現代ビジネス | 講談社
もしも、米国の目標が「ロシアの弱体化」であるなら、米国にとって、ロシアが戦闘に疲労困憊して、2度と立ち上がれなくなるまで、戦争が続いたほうがいい。その結果、プーチン体制そのものが崩壊してしまえば、なおさら好都合だ。
■米国が狙いを定める「真の敵」
米国がここへ来て、戦略目標を「プーチン体制の転覆」に舵を切ったのは、中国との本格対決を後に控えているからだ。中国はご承知のように、台湾や日本の尖閣諸島をはじめ、東シナ海や南シナ海への野心を隠していない。米国は、そんな中国と、いずれ「本格的な対決が避けられない」とみている。
そうであるなら、習近平総書記(国家主席)と盟友関係にあるプーチン氏の力を、この戦争が続いているうちに「できるだけ削いでおきたい」と考えるのは、まったく合理的だ。世界の大国バランスを考えれば、米国にとって「真の敵は中国」であり、プーチン氏のロシアは「敵の仲間」なのだ。
ウクライナの戦争は事実上、いまや「米国とロシア、背後に控えた中国との戦い」になりつつある。ロシアと直接、戦火を交えているのはウクライナであっても、米国は背景の中国に照準を合わせ、そこから逆算して、ロシアとウクライナの戦争を眺めている。
ウクライナは、そんな米国に逆らえない。いま、肝心の武器を供与してくれているのは、米国であるからだ。当初、戦争の目標を明言していなかったゼレンスキー氏が「クリミア奪還」を口にするようになったのは、米国の意向を肌で感じ取ったからではないか。私には、そう見える。
少なくとも、いまウクライナ側から停戦協議を持ち出す状況にはない。戦争は「ウクライナによるクリミア奪還が視野に入ってくるまで、続く」とみていいのではないか。
■米国とウクライナ、それぞれの思惑
バイデン政権は先の国防長官発言にもかかわらず、公式には「プーチン体制の転覆が戦争の目標」とは認めていない。だが、政権ウォッチャーたちの記事には、そうした観測がにじみ出ている。
たとえば、ハース氏は先の論説で「米国はロシアを弱体化させるために、戦争を利用してはならない。そうではなく、米国はできる限り『ウクライナの主権と独立が反映されるような条件で、戦争を終わらせたい』と考えていることを明確にすべきだ」と指摘している。まさに「米国が自分の目的のために、戦争を利用しようとしている」とみているのだ。
米国の思惑はさておき、いまのところ、ウクライナ自身も妥協するつもりはなさそうだ。ウクライナの世論調査で、82%の国民が「ロシアに領土を明け渡したくない」という結果が出た。士気は高い。
戦争が長引けば、被害が大きくなるのは、もちろん、ウクライナとその国民自身である。その意味では、ウクライナは「ロシアの侵略」と「米国の思惑」という「2重の被害者」とも言える。ウクライナには辛い話だが、残念ながら、これが「ウクライナ戦争の現在地」になってしまった。
中国が台湾奪取に動いたとき、同じ構図にならない保証はない。中国と真正面で戦うのは「台湾軍」で、米国は「背後で支援するだけ」という形である。日本の尖閣諸島については、なおさらだろう。1人の日本人さえ住まない岩の島を守るのに、米国が出てきて戦うわけがない。
ウクライナの戦争は、強大国のパワーポリティクスに翻弄される小国の「冷酷な真実」も浮かび上がらせている。日本が学ぶべき教訓である。
戦争はまだ終わりそうにない 2022.06.03 長谷川 幸洋
■先が見えないウクライナ情勢
ロシアの侵攻から始まったウクライナの戦争は、どんな終わり方をするのだろうか。先行きは見通せないが、戦争終結の姿をめぐって、米国や欧州で議論が沸騰している。私は、残念ながら「戦争の早期終結はない」とみる。最大の理由は「米国が望んでいない」からだ。
戦争を「どう終わらせるか」は、戦争の目標と裏腹の関係にある。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は5月3日、ウォール・ストリート・ジャーナル主催の経営セミナーで「戦争の目標は、ロシアの前進を止め、領土を奪還し、最終的には外交交渉によって、すべての領土の回復を確実にすることだ」と語った。
ゼレンスキー氏は「我々は、クリミア半島がウクライナの一部であることを望んでいる」とも語っている。大統領は、いまロシア軍が制圧している東部ドンバス地方はもちろん、2014年の侵攻でロシアに奪われたクリミア半島の奪回も目指しているのだ。
ロシア側はどうか。戦況が現状のままなら、ウラジーミル・プーチン大統領はクリミア半島はもちろん、ドンバス地方の明け渡しも認めないだろう。それを認めたら、何のために戦争を始めたか、分からなくなる。完全な敗北であり、プーチン体制の存続さえ怪しくなるからだ。
ウクライナには、西側から次々と最新兵器が供給される一方、ロシアも総力を挙げて、東部の制圧を急いでいる。結局、いまのところ、双方に妥協できる余地はなく、戦闘は一進一退のまま、しばらく続きそうだ。
■どうやって終わるのだろうか?
にもかかわらず、ここに来て「戦争の終わり方」が議論になっているのは、戦争の目標について、米国などから具体的な発言が出てきたからだ。
米国のヘンリー・キッシンジャー元国務長官は5月23日、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムにリモート出演し、クリミア半島とドンバス地方の約3分の1を念頭に「戦争前の分割ラインに戻るべきだ。それ以上を求めるのは、ウクライナの自由ではなく、ロシアに対する新たな戦争になる」と語った。
これに対して、ゼレンスキー氏は25日、恒例になったビデオ演説で「キッシンジャー氏は2022年ではなく、1938年にいる。ダボスではなく、ミュンヘンで語ったかのようだ」と強く反論した。当時のネヴィル・チェンバレン英首相が、チェコスロバキアに侵攻したナチス・ヒトラーにズデーテン地方の割譲を認めた「宥和政策」を引き合いに出して、キッシンジャー氏を批判したのだ。
戦闘継続ではなく、外交交渉による問題解決を求める声は、ほかにもある。たとえば、世界の外交界に大きな影響力を持つ米外交問題評議会(CFR)のリチャード・ハース会長は5月10日、CFRのウェブサイトに寄せた論説記事で、こう指摘した。
〈ウクライナがすべての領土を支配することが、戦争の到達点であるべきだ。しかし、それは必ずしも、クリミア半島や東部ドンバス地方のすべてを軍事力によって解放しようとすることを、正当化するわけではない。これらの目標の一部は、外交と一部の制裁解除を通じて追求したほうが望ましい〉
注意深く書いているが、ようするに「クリミア半島と東部ドンバス地方の問題は、外交で解決すべきだ」という主張である。
こうした議論の背景には、米国のジョー・バイデン政権が「戦争の目標を『ウクライナの防衛』から『ロシアの弱体化、ひいてはプーチン体制の転覆』に舵を切ったのではないか」という観測がある。きっかけになったのは、4月25日のロイド・オースチン国防長官発言だった。
4月29日公開コラムで指摘したように、ロイド・オースチン米国防長官はアントニー・ブリンケン国務長官と並んで開いたポーランドでの記者会見で「我々は、ウクライナ侵攻でやったようなことを(再び)できないようにするまで、ロシアを弱体化させたい(weakend)」と述べた。
プーチン体制、ついに「終了」か…とうとう米国が「ロシア打倒」に本気を出した!(長谷川 幸洋) | 現代ビジネス | 講談社
もしも、米国の目標が「ロシアの弱体化」であるなら、米国にとって、ロシアが戦闘に疲労困憊して、2度と立ち上がれなくなるまで、戦争が続いたほうがいい。その結果、プーチン体制そのものが崩壊してしまえば、なおさら好都合だ。
■米国が狙いを定める「真の敵」
米国がここへ来て、戦略目標を「プーチン体制の転覆」に舵を切ったのは、中国との本格対決を後に控えているからだ。中国はご承知のように、台湾や日本の尖閣諸島をはじめ、東シナ海や南シナ海への野心を隠していない。米国は、そんな中国と、いずれ「本格的な対決が避けられない」とみている。
そうであるなら、習近平総書記(国家主席)と盟友関係にあるプーチン氏の力を、この戦争が続いているうちに「できるだけ削いでおきたい」と考えるのは、まったく合理的だ。世界の大国バランスを考えれば、米国にとって「真の敵は中国」であり、プーチン氏のロシアは「敵の仲間」なのだ。
ウクライナの戦争は事実上、いまや「米国とロシア、背後に控えた中国との戦い」になりつつある。ロシアと直接、戦火を交えているのはウクライナであっても、米国は背景の中国に照準を合わせ、そこから逆算して、ロシアとウクライナの戦争を眺めている。
ウクライナは、そんな米国に逆らえない。いま、肝心の武器を供与してくれているのは、米国であるからだ。当初、戦争の目標を明言していなかったゼレンスキー氏が「クリミア奪還」を口にするようになったのは、米国の意向を肌で感じ取ったからではないか。私には、そう見える。
少なくとも、いまウクライナ側から停戦協議を持ち出す状況にはない。戦争は「ウクライナによるクリミア奪還が視野に入ってくるまで、続く」とみていいのではないか。
■米国とウクライナ、それぞれの思惑
バイデン政権は先の国防長官発言にもかかわらず、公式には「プーチン体制の転覆が戦争の目標」とは認めていない。だが、政権ウォッチャーたちの記事には、そうした観測がにじみ出ている。
たとえば、ハース氏は先の論説で「米国はロシアを弱体化させるために、戦争を利用してはならない。そうではなく、米国はできる限り『ウクライナの主権と独立が反映されるような条件で、戦争を終わらせたい』と考えていることを明確にすべきだ」と指摘している。まさに「米国が自分の目的のために、戦争を利用しようとしている」とみているのだ。
米国の思惑はさておき、いまのところ、ウクライナ自身も妥協するつもりはなさそうだ。ウクライナの世論調査で、82%の国民が「ロシアに領土を明け渡したくない」という結果が出た。士気は高い。
戦争が長引けば、被害が大きくなるのは、もちろん、ウクライナとその国民自身である。その意味では、ウクライナは「ロシアの侵略」と「米国の思惑」という「2重の被害者」とも言える。ウクライナには辛い話だが、残念ながら、これが「ウクライナ戦争の現在地」になってしまった。
中国が台湾奪取に動いたとき、同じ構図にならない保証はない。中国と真正面で戦うのは「台湾軍」で、米国は「背後で支援するだけ」という形である。日本の尖閣諸島については、なおさらだろう。1人の日本人さえ住まない岩の島を守るのに、米国が出てきて戦うわけがない。
ウクライナの戦争は、強大国のパワーポリティクスに翻弄される小国の「冷酷な真実」も浮かび上がらせている。日本が学ぶべき教訓である。
ゼレンスキー大統領は5月3日、ウォール・ストリート・ジャーナル主催の経営セミナーで「戦争の目標は、ロシアの前進を止め、領土を奪還し、最終的には外交交渉によって、すべての領土の回復を確実にすることだ」と語ったのだそうです。
ゼレンスキー氏は「我々は、クリミア半島がウクライナの一部であることを望んでいる」とも。
プーチン大統領はクリミア半島はもちろん、ドンバス地方の明け渡しも認めないだろう。それを認めたら、何のために戦争を始めたか分からなくなる。完全な敗北であり、プーチン体制の存続さえ怪しくなると長谷川氏。
いまのところ、双方に妥協できる余地はなく、戦闘は一進一退のまま、しばらく続きそうだと。
ただ、ここに来て「戦争の終わり方」が議論になっている背景には、バイデン政権が「戦争の目標を『ウクライナの防衛』から『ロシアの弱体化、ひいてはプーチン体制の転覆』に舵を切ったのではないか」という観測があるからだと長谷川氏。
きっかけになったのは、4月25日のロイド・オースチン国防長官発言だったと。
オースチン米国防長官は、ブリンケン国務長官と並んで開いたポーランドでの記者会見で「我々は、ウクライナ侵攻でやったようなことを(再び)できないようにするまで、ロシアを弱体化させたい(weakend)」と述べたのだそうです。
米国の目標が「ロシアの弱体化」であるなら、米国にとって、ロシアが戦闘に疲労困憊して、2度と立ち上がれなくなるまで、戦争が続いたほうがいい。その結果、プーチン体制そのものが崩壊してしまえば、なおさら好都合。
米国がここへ来て、戦略目標を「プーチン体制の転覆」に舵を切ったのは、中国との本格対決を後に控えているからだと長谷川氏。
中国が、台湾や日本の尖閣諸島をはじめ、東シナ海や南シナ海への野心を隠していないことは諸兄がご承知の通り。
米国は、そんな中国と、いずれ「本格的な対決が避けられない」とみている。
そうであるなら、習近平総書記(国家主席)と盟友関係にあるプーチン氏の力を、この戦争が続いているうちに「できるだけ削いでおきたい」と考えるのは、まったく合理的だ。世界の大国バランスを考えれば、米国にとって「真の敵は中国」であり、プーチン氏のロシアは「敵の仲間」なのだと長谷川氏。
ウクライナの戦争は事実上、いまや「米国とロシア、背後に控えた中国との戦い」になりつつある。
米国は背景の中国に照準を合わせ、そこから逆算して、ロシアとウクライナの戦争を眺めていると。
当初、戦争の目標を明言していなかったゼレンスキー氏が「クリミア奪還」を口にするようになったのは、米国の意向を肌で感じ取ったからではないかと長谷川氏。
戦争が長引けば、被害が大きくなるのは、もちろん、ウクライナとその国民自身。(ロシア軍兵士の死傷者も)
ウクライナは「ロシアの侵略」と「米国の思惑」という「2重の被害者」とも言えると。。
これは、中国が台湾奪取に動いたとき、同じ構図にならない保証はない。中国と真正面で戦うのは「台湾軍」で、米国は「背後で支援するだけ」という形。
日本の尖閣諸島については、なおさらだろう。1人の日本人さえ住まない岩の島を守るのに、米国が出てきて戦うわけがないと長谷川氏。
ウクライナの戦争は、強大国のパワーポリティクスに翻弄される小国の「冷酷な真実」も浮かび上がらせている。日本が学ぶべき教訓であると!
ロシアは国として正式に参加していないのに、プーチンが訪中して習近平と会談した北京冬季五輪。バイデン氏は「外交的ボイコット」を呼びかけましたが、日本の岸田政権は、米中二股外交で、応答が遅れ、岸田氏のバイデン氏との就任挨拶会談要請が暫く放置され、挙句希望の面談ではなく、オンライン会談に格下げされたことは、諸兄がご承知の通りです。
長く外務大臣を務めた岸田氏。外交にはご本人は自負をおもちのようですが、安倍氏の傘の下で使い走りをしていただけで、内弁慶のその実績は、むしろ日本の国益を棄損するものが数多。
(例=ソウル大使館前に設置された国際慣例に反する慰安婦像の撤去交渉では、撤去ではなく移設で合意。しかも、口約束なので、未だに実行されず放置・残存。首相になった今も、見て見ぬふり。)
対露制裁では、米国や、G7の決定に、遅れたり規模を最小限に絞ったお付き合いで追随するだけ。西の対露国境で戦っているウクライナと、東の国境で、太平洋戦争の週末時に不可侵条約を無視し、奪取された北方領土問題を抱える点で、全くウクライナとは同等の環境の日本なのに、サハリン1, 2の事業から欧米が撤退するのに、撤退否定する岸田政権。
反国際協調の、親中団体幹部の岸田氏と林氏。
G7では、バイデン氏とメルケル氏の軋轢の仲介役をこなしていた安倍氏の外交地位とは雲泥の差に堕ちたにもかかわらず、外交実績自慢の岸田政権。
聞くだけで、何もしないので、マスコミに叩かれることが稀なせいか、世論調査の支持率が高止まりの不思議な政権。
でも、いまの国際貢献レベルでは、自由主義世界各国から見放され、2流、3流国に陥落してしまいます。
参院選に向け、リップサービスは始めている様ですが、評価に値する実績はない。むしろ、登用した牧島かれんデジタル大臣には、手足となるべき河野時代に集めたスタッフや組織を縮小したあげく、首に!
それは、牧島氏の処罰の前に、手足の組織をなくした岸田氏、あなたの無能の責任が大きいとは気づかない?
聞くだけで、何もしない岸田政権。このままでは、日本は沈没しかねない。そんな総裁を選んだのは、総裁選の自民党議員の責任。
自民党の、自浄作用に期待しますが。。
# 冒頭の画像は、オースチン国防長官
この花の名前は、アリウム・ギガンチューム
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA