遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

南シナ海 インドネシアも国家の主権を主張

2016-06-30 23:58:58 | EEZ 全般
 南シナ海では、中国、ベトナム、ブルネイ、マレーシア、台湾、そしてフィリピンの6カ国・地域が特定の海域や島、岩礁、環礁などを巡って領有権を主張し合っていましたが、中国の覇権拡大が進み、インドネシアにも争いが波及し、対立が生じています。
 ベトナムが強く反発をリードし、フィリピンは常設仲裁裁判所に提訴したことは、諸兄がご承知の通りです。その情勢の中で、インドネシアとの対立も加わることとなっているのです。
 
南シナ海 一段と波高し - 遊爺雑記帳

 
インドネシア大統領、中国の横暴に毅然と抵抗宣言 南シナ海でインドネシアにも及び始めた中国の海洋拡張政策 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.6.30(木) 北村 淳

 中国が受注したインドネシアの高速鉄道建設プロジェクトが難航していると伝えられているが、その一方で、両国の間に領海および海洋権益をめぐる問題がにわかに勃発し、緊張が高まっている

 6月23日、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、南シナ海・ナトゥナ諸島沖のインドネシア海軍コルベット「イマムポンジョル383」上で主要閣僚や軍首脳とともに閣議を開き、同海域の防衛を強化し、インドネシアの主権を維持することを明言した。

■インドネシア海軍コルベットが中国漁船を拿捕
 閣議の前の週の6月17日、ナトゥナ諸島北方沖のインドネシアの排他的経済水域(EEZ)に12隻の中国漁船が許可を得ずに侵入し、操業しようとしている現場を、インドネシア海軍が発見した。
 インドネシア海軍艦艇が警告を発しながら、中国漁船群に接近したところ、11隻の中国漁船は逃走したが、すでに網を入れていた1隻はインドネシア海軍コルベット「イマムポンジョル383」に捕捉された。その
中国漁船はインドネシア軍艦の警告を無視して逃走をはかったため、「イマムポンジョル383」は警告射撃を実施して追跡し、中国漁船を拿捕
した。

 今回の事件が発生した水域を含むインドネシアのEEZ内において漁業活動をするには、インドネシア当局の許可が必要である。中国船に限らず、このような許可なき漁船が操業することはできない。そのため、インドネシア海軍による中国魚船拿捕は主権国家にっては何ら問題のない行動である。
 しかし、中国漁船を拿捕した「イマムポンジョル383」に対して
中国海警局巡視船2隻は「中国漁船は中国の伝統的な漁場で操業していたのであり、何ら違法性はない。直ちに解放せよ」と威嚇的に警告を発した。また、中国政府当局も「インドネシア軍艦の発砲により中国漁民が負傷した。このような武力の行使は国際法に違反する」とインドネシア側の行動を強く非難
した。

 実は、今年の3月にも、同海域で違法操業中の中国漁船をインドネシア当局が拿捕しようとした事件が発生している。このときは、取り締まりに当たっていたインドネシア巡視船の取締官が、拿捕して連行しようとした中国漁船に移乗したところ、中国海警局巡視船2隻が急行してきて、拿捕された中国漁船に体当たりを始めたため、取締官たちはインドネシア巡視船に脱出せざるをえなくなってしまった。その結果、インドネシア側が一時拿捕した漁船と違法操業していた乗組員たちは、中国側に奪還されてしまったのである。
 その後も、
この海域での中国漁船の違法操業が頻発したため、ジョコ大統領は、それまで海軍艦艇が常駐していなかったナトゥナ諸島周辺海域に海軍コルベットを展開させて、中国漁船に目を光らせる方針に転じた
のであった。

■ナトゥナ周辺海域も“中国の海”
中国当局は、以前には明確に「ナトゥナ諸島の主権はインドネシアに属しており、中国がこれに対して異議を申し立てたことはない」と明言していたところが中国政府は、6月17日の拿捕事件の発生を受けて19日、「ナトゥナ諸島周辺海域は、中国の伝統的な漁場であるだけでなく、中国とインドネシアの海洋権益が重なり合う場所である」と表明するに至った

 この中国当局の新しい立場は、さすがにナトゥナ諸島の領有権まで主張するものではないものの、
「ナトゥナ諸島周辺海域は“中国の海”に属する」という主張を開始し始めたものであるとみなすことができる。
<中略>


 もちろん、ここで言う“中国の海”とは、中国共産党政府が勝手に主張している九段線という、極めて大雑把な境界線に基づいた、中国だけが正当性を主張している概念である。インドネシアはじめ中国以外の国が受け入れなければならない
国際法的根拠は全く存在しない
 しかし中国は、自らが勝手に作り出した九段線や“中国の海”などを振りかざして、国際社会に幅広く受け入れられている(そして中国にとって都合の良い部分は中国も援用している)国際海洋法秩序を部分的に否定しようとする海洋権益拡張政策を推し進めている。
 まさに、今回の「ナトゥナ諸島周辺海域の一部は中国の伝統的漁場であり、すなわち“中国の海”に属している」という中国政府の主張は、
これまで差し控えていた南シナ海最南端での中国の権益を拡張しておこうという中国政府の姿勢の表れ
に他ならない。

■やがては領有権の主張も
 今回、中国政府は「ナトゥナ諸島周辺海域の一部が中国とインドネシアの権益がオーバーラップする水域である」という主張をし始めたが、ナトゥナ諸島の領有権自体については疑義を呈してはいない。
 しかし、ナトゥナ諸島の領有権と同じく、その周辺海域に関しても、かつては“中国の海”に属しているといった主張はしていなかった。したがって、
将来的には「ナトゥナ諸島周辺は、伝統的に中国の漁場であっただけではなく、ナトゥナ諸島も歴史的には中国の領域であった」と主張し始める可能性
も否定できない。
 実際に、中国では「明朝滅亡後に満州族の支配に抵抗した広東省潮州周辺の漢族が、ナトゥナ諸島に王国を建てて、19世紀にオランダに占領されるまでナトゥナ諸島を支配した」といった“歴史”がまことしやかに語られている。
 そこで、
ジョコ大統領は閣僚を率いて、中国共産党政府の先手を打つ形でナトゥナ諸島を訪れて、問題となっている海域内の軍艦上で「ナトゥナ諸島の主権はインドネシアにある。その周辺200海里内はインドネシアの排他的経済水域であって、中国の主権が及ぶ水域とオーバーラップする海域は存在しない」というアピールを身をもって成した
。このアピールは、今後インドネシアがナトゥナ諸島とその周辺海域での国益を保持していくために必要不可欠な行動であったと言えよう。

■日本とは対照的な毅然とした姿勢
 ただし、インドネシアの海洋戦力は中国人民解放軍と比較すると極めて貧弱ではるかに劣勢である。中国側がジョコ大統領の対中強硬姿勢をどのように評価し、どのような「次の一手」を繰り出して来るかは分からない。
 とはいうものの、
ジョコ大統領はじめインドネシア政府・軍首脳は、中国の横やりに対して毅然として領土領海そして海洋権益を防衛する意思を示したのである。その姿勢は、「尖閣諸島は自国の領域である」と口先で言い立てているのみで、何ら具体的行動に打って出ず、相変わらず「アメリカ頼み」の姿勢から脱却していない日本とは好対照
と言わざるをえない。

 ちなみに、インドネシア政府は、中国による海洋侵攻戦略の脅威に対抗するために、ナトゥナ諸島並びに周辺海域の軍備を増強するとともに、国防費を100兆ルピアから250兆ルピアに増額するという。


 2014年10月に就任した、軍人出身でもエリート層でもないジョコ大統領は、「海洋国家構想」を掲げ、中国との関係強化を進める親中派とされていますね。
 高速鉄道建設では、日本と進められていた計画を、逆転し、中国へ発注されたことは衆知のことです。
 そのジョコ大統領ですが、国家の主権、国益を護る為には、毅然として中国に立ち向かっているのです。記事で、北村氏が「その姿勢は、「尖閣諸島は自国の領域である」と口先で言い立てているのみで、何ら具体的行動に打って出ず、相変わらず「アメリカ頼み」の姿勢から脱却していない日本とは好対照と言わざるをえない。」と指摘されていますが、身をもって行動し主張をされる姿は、立派です。中国の戦術を先読みして、機先を制したのですね。
 EEZの境界線付近で、ガス田の開発を巡って対立・協議をしていた頃には、遠い夢物語の様に、日本の領海・領土への侵食を語っていましたが、今や、軍艦が尖閣の実効支配を狙って接続水域や領海を脅かす事態が実現されています。
 その間、行動を起こしたのは、資金を募って実効支配を強化しようとした石原都知事(当時)と、それに呼応した中山石垣市長くらいなものです。(煽られて、尖閣を国有化した野田首相もいまたが、胡錦濤との面談直後に国有化を実施し、胡錦濤失脚、習近平の地位確保の一因を造りました。)

 南シナ海で、国際法を無視して力による覇権拡大を進める中国。仲裁裁判所の判決日程が7月12日に確定しました。判決を無視すると公言している中国。一段と、離反国が増え、批難が高まる事になりますが、世界に向けて、その無法国家ぶりを、政府は勿論、民間メディアも発信し、中国の脅威にさらされている各国を支援し、国際法の順守を中国に迫る必要があります。それは、アジアの雄国として、関連諸国からきたいされている、日本の義務とも言えます。



 # 冒頭の画像は、南シナ海にあるインドネシアのナツナ諸島を訪れ、軍艦に乗るジョコ大統領




  アオキの芽


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