遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

「日本型軽減税率制度」案は明らかな詐欺 安倍政権の足を引っ張る

2015-09-12 23:58:58 | my notice
 「日本型軽減税率制度」案は、集中砲火を浴びていて、支持する人の声を聴きませんね。それでも自民党は進めようとしている気配です。自公は先の衆議院選挙では、増税時の低所得者対策として、公明党がこだわる「軽減税率」の導入を掲げていました。
 それが突然、「還付」方式への変更です。それも、面倒な作業を消費者に押し付けた上に、申告手続きをしないと恩恵に与れないというお役所仕事の上から目線の仕組み。
 麻生氏が、「カードを持ち歩かなければ減税はない」と言っていることは衆知のことですが、政府が低所得者対策を真剣に考えていない証です。いかにして低所得者対策を有名無実化して、税収減をなくすかを考えた、詐欺行為なのです。

 増税時の低所得者対策として、世界では「軽減税率」が主流で、ノウハウや長所、短所の実績は豊富です。それに対し、「日本型軽減税率制度」案は、軽減税率と言うより、先払い後の還付方式です。
 「軽減税率」か「先払い分還付」かで意見が分かれるところですが、還付方式の中でも、財務省案は、更に手数コストを消費者にお仕着せるといった、お役所のお上発想です。
 「軽減税率」で、対象商品の設定が混迷したので、与党(自民党税調)が財務省に丸投げして造らせた制度なのだそうで、机上の拙速な穴だらけの制度案なのです。

 還付方式に賛成の、数少ない意見は以下。
 
たとえ財務省の「悪知恵」であっても、「消費増税なら還付金」は低所得層向け政策として正しい!  | 長谷川幸洋「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社]
 消費税還付、低所得者ほど恩恵大 GDP押し上げ0.03ポイント :日本経済新聞

 今回の財務省の還付方式案に反対するのは、読売と産経。
 
消費税10%対策 国民への配慮を欠く財務省案 : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
 【主張】消費税の「還付」 負担も手間も強いるのか - 産経ニュース
  
財務省提示の「日本型軽減税率制度」案が袋だたき状態 官邸にも慎重論 - ZAKZAK

 財務省が、消費税率10%引き上げに合わせて提示した「日本型軽減税率制度」案が、袋だたきにあっている。同省は10日に開かれた自公与党の検討委員会でも説明したが、与党内から異論が噴出しているのだ。首相官邸にも慎重論がくすぶっており、撤回に追い込まれる可能性が出てきた。
 「軽減税率の課題を克服する議論のたたき台として出した」「消費者の利便性や事業者への対応など、さまざまな意見が出るのは当然で、多角的な検討があると思う」
 麻生太郎財務相は11日午前の記者会見で、財務省案について、こう語った。いつもの自信満々という態度ではなかった。
 それもそのはず、10日に開かれた検討委員会後の記者会見で、公明党税制調査会の斉藤鉄夫会長は「(軽減税率導入の)与党合意と整合しているのかを含め、党内でも議論を進めたい」と、財務省案への慎重姿勢を強調したのだ。出席者によると、公明党側からは、制度を疑問視する意見が相次いだという。
 財務省案は、買い物時に消費者が10%分を支払い、「酒類を除く飲食料品」に関して、後から2%分を払い戻す仕組みだ。マイナンバー制度で希望者に配られる個人番号カードを、会計のたびに小売店や飲食店の端末にかざす必要があり、日常の買い物が煩雑になるなどの懸念がある。

 そもそも、
この案が持ち出された背景には、生活必需品などの税率を低くする軽減税率の議論の行き詰まりがあった

 
自民、公明両党は軽減税率の導入で合意しているが、対象を広げようとする公明党に対し、税収減や事業者の事務負担を懸念する自民党
は慎重姿勢を崩さず、制度設計は難航している。
 しかし、公明党は昨年の衆院選で軽減税率導入を最重要項目として掲げた経緯があり、財務省案への警戒感は根強い。
 公明党執行部は10日、支持母体・創価学会の幹部と都内で意見交換したが、財務省案に「来夏の参院選に影響する」と強い懸念が示されたという。

 
反発は自民党内にも
広がっている。
 同党税制調査会の幹部を務めた
伊吹文明元衆院議長は10日、二階派の総会で「非常にみっともない案だ。福祉給付金みたいなバラマキの話になる
」と切り捨てた。

 読売新聞は11日朝刊で、安倍晋三首相も10日、首相官邸での麻生氏との会談で、財務省案にこだわらず対応するよう指示したと報じた。同紙によると、財務省幹部は「政治がバツと言えばバツだ」と語っているという。安倍首相と麻生氏はどう最終判断するのか。


 自公の協議で行き詰まったという「軽減税率」ですが、欧州で実績のある方式ですので、長所・短所を研究して良いとこどりの日本流の制度を創ることが出来ない理由は何なのでしょう。

 一旦、消費者全員に出費させておいて、後から申請したものにだけ、上限を定めた範囲内で還付と言った方式で、何処の誰が得をするのでしょう。
 ①「軽減税率」では、販売事業者が二種類の税率を管理するのにコストや手間がかかると言うなら、財務省案の、新たなカード対応の機器設置のコストや手間(コンビニ、スーパーでの買い物はカードを使用しているが、新たに別のカードも読み取る?)は、どっちが大きいのか。前者であれば、税率が変わればレジや会計ソフトはどのみち更新せねばならないのですから、そこで設定される製品群も設定すればよいだけで、ソフトも難しくはないし、更新の手間は殆ど増えないはず。(=事業者のコストと労力増

 ②それに対し、新たな財務省案であれば、全ての事業者に、カード対応の端末設置が必要となり、コストがかかりますね。消費者は、買い物をする都度カードの提示が必要で(紛失や所持忘れはある)負担が増えたり還付ポイントが取得できない可能性がある。(=財務省の得
 スーパーやコンビニでは、レジの回転速度も重要で、財務省案では回転が悪くなる(=窓口と人員増の負担増が発生)とのデメリットも指摘されていますね。

 ③カードをかざせば、ポイントが付くのなら、その場で値引きも出来るのに、何故わざわざポイント制にして、後日申請制にするのか。答えは簡単。食料品全てでは減税分が多額になるので、一定額の消費のみを対象とし減税額を抑えたい。これは財務省の減税対策のメインの制度。高額所得者ほど消費額が増えるので、一定額の消費に制限することで、所得層の差に対応できると言うのが言い訳です。しかし、買い物現場では、返してもらう分を先に払うわけで、消費者には値上がり感はあり、申告の労力やコスト負担がある。当然、申告漏れも発生する。(=財務省の得 消費者はコストと労力増)

 ④財務省案では新たなお役所を設置(=天下り先が増えることで財務省が得 その税負担が増える国民が負担増)

 思いつくことを列挙するだけで、「軽減税率」と「財務省案」との比較では、事業者のコスト負担増、消費者の負担やコスト増。消費者の、カード不携行や、後日の申請洩れでの権利行使不可の発生。等々は列挙にいとまがありません。一方、「財務省が得」は 4項目中、 3項目を占めます。
 読売や産経が主張する通りで、消費者や、事業者に負担がかかり、財務省が得するだけの制度といった内容が見え見えですね。

 還付制度にするなら、先払いで還付する。それが線引きや額で困難なら、当初の約束通り、「軽減税率」で、買い物現場で消費者に負担を懸けずに減税し、優遇を実感出来て購買意欲を削がない制度設計が必要でしょう。

 自民・税調は強硬突破の姿勢を示していましたが、安保法制と異なり、日々の生活に直結する税となれば、消費者に負担を押し付けて、制度を複雑化させる申請方式で、あわよくば減税分を減らそうという魂胆は、へたくそな詐欺にも劣る、道義が疑われる制度です。
 国民の為を念頭に働くことで、国民に当選させてもらった議員諸氏。財務省が詐欺行為までして、国民に負担を押し付ける案を法制化する様では、支持率はもとより、次の選挙(税制は続いているので忘れません)での当選はおぼつきませんね。



 # 冒頭の画像は、自公の「消費税軽減税率制度検討委員会」
 
 


  この花の名前は、オキザリス


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