高度成長で世界経済を引っ張ってきた中国が、成長率の低下(李克強首相曰く、「新常態(ニューノーマル)」)時代に転換する時がきていますね。
そこで、次の経済成長を引っ張るのはインドと言う声が在るのだそうです。人口ボーナスが経済成長を支えるといった観点からすれば、中国経済の失速と、インド経済の成長が続くと考えられますが果たしてそうなのか。Financial Timesが検証していました。
人口オーナス期(一人子政策の見直しなど対策を進めていますが)に入ったと言われる中国に対し、人口ボーナス期にいるインドが成長余力があります。ただ、世界のGDPに占める割合が2.5%では、世界経済の牽引役を担うには、荷が重いと言うことですね。
記事は、中国の経済成長がいつまでも続くと信じているのか、「人々は中国市場の発作を深読みしすぎ」と最近の兆候を批判していますが、一方では「確かに、最近の混乱は、投資主導から消費主導の経済へと移行する痛みを経験している中国経済の根深い問題の兆候」と、中国経済の根深い問題を認め、その兆候とも認めています。
中国も最初から世界をリードできるGDPの規模を持っていたわけではありません。世界の工場として注目され、企業が進出を始めた当初は、しょっちゅう停電が発生するなど、インフラは不備でした。しかし、そのインフラ整備の財政出動による投資と、製品組み立て・加工・輸出の伸びと人口ボーナスとが絡み合い、好転したことで、日本を抜いて世界第二位の地位に上ったのです。
インドが、インフラ整備他、海外企業の投資環境を整えれば、中国に追いつき、追い越すことは、不可能ではありません。
モディ政権は苦労している様子ですが、「所得倍増」など大衆が受け入れ安い政策を掲げ支持を獲得し、経済改革を推進していただける様、期待しています。
# 冒頭の画像は、昨年4月、主要国では就任後一番最初に日本を訪問した、モディ首相
この花の名前は、オキザリス
↓よろしかったら、お願いします。
そこで、次の経済成長を引っ張るのはインドと言う声が在るのだそうです。人口ボーナスが経済成長を支えるといった観点からすれば、中国経済の失速と、インド経済の成長が続くと考えられますが果たしてそうなのか。Financial Timesが検証していました。
中国を追い抜くことを夢見るインドの危うさ 経済成長率で逆転、怪しい統計が誤った安心感を生む恐れ | JBpress(日本ビジネスプレス)
輝くインドが戻ってきた。少なくとも、大げさな物言いをする多くのインド人の話を聞けば、そう思える。
中国経済が減速し、その市場と政策立案の信頼性がひっくり返ったため、世界一急速に成長する大きな経済国としてインドが中国を追い抜くと見ることは可能だろう。
多くのインド人はナレンドラ・モディ首相のインド人民党(BJP)が10年前に前回政権の座にあった時に使われた「India Shining(輝くインド)」キャンペーンを思わせる言葉を使い、中国の不運に少なからぬチャンスを見いだしている。
■「そこどけ中国」の強気発言
インドのアルン・ジェートリー財務相は英BBCとのインタビューで次のように語った。「インドのように8~9%のペースで成長できる経済は間違いなく、世界経済を支えるしっかりした肩を持っている」
自分の名を冠した消費財グループを率いるアディ・ゴドレジ氏は、インドが「輝く」いい頃合いだと述べた。
ジャヤント・シンハ財務担当国務相は特に強烈な「そこどけ中国」発言で、インドは中国から「世界の成長のバトンを引き継ぐ」用意があると語った。インドで最も貧しく、最も開発が遅れた州の1つに数えられるビハール州で、シンハ氏は観衆に向かって「近々、成長と開発の問題については、インドが中国を追い越す」と語った。
表面的には、楽観する余地がある。中国は猛烈な投資への依存を断とうとしており、経済は必然的に減速する。公式には、中国の成長率は今年、7%まで緩やかに低下する。実際には、あっという間に5%かそれ以下に向かう可能性が高い。一方、インドは7.7%拡大すると見られている。
BRICSの仲間であるブラジル、ロシア、南アフリカを含む他の多くの新興国と異なり、インドは値段の高いコモディティー(商品)の輸出に支えられてこなかった。つまり、中国が引き起こしたコモディティー急落に足を引っ張られないということだ。
それどころか、世界第3位の石油輸入国であるインドは、経常収支を改善し、インフレ圧力を和らげる石油価格低迷から大きな恩恵を受ける。
また、インドは工業製品の大きな輸出国ではない。たとえ世界の需要が弱くても、国内総生産(GDP)の57%が家計消費から来ているインド経済は比較的守られている。
■ネズミがトラクターを引っ張れる?
だが、インドが世界経済のメーンイベントになるという考えは、控えめに言っても欠陥がある。もしこれが慢心を引き起こすのだとすれば、全くもって危険だ。
インドが世界経済の成長のエンジンとして中国に取って代わるという期待は、見当違いだ。名目ベース――ある経済国の世界的インパクトを図る際に最も適切な指標――では、インドの経済生産は中国のそれの5分の1だ。インドが世界のGDPに占める割合はたった2.5%。これに対して中国は13.5%にも上る。
もし中国が年間5%ずつ成長したら、4年足らずで、すでに大きな経済生産にインド規模の経済を加えることになる。インドがこれに匹敵できると言うことは、ネズミがトラクターを引っ張れると言うようなものだ。
総じて判断すると、人々は中国市場の発作を深読みしすぎた。確かに、株式市場を支え、より柔軟な為替相場制へ移行する試みが失敗したことで、絶対確実と見られていた中国の政策立案への信頼が揺らいだ。
また確かに、最近の混乱は、投資主導から消費主導の経済へと移行する痛みを経験している中国経済の根深い問題の兆候だ。
中国にとって、比較的容易なキャッチアップ成長の時代は終わった。だが、中国を見限るのは、ひどい見当違いだ。何しろ中国は、30年間に及ぶ目覚ましい発展の勢いを背に受けている。
■中国と同じくらい怪しいインドの統計
インドが楽々と中国の成長レベルを越えようとしているという考えは、絶望的なまでに独りよがりだ。インドの統計は中国のそれと同じくらい怪しい。インドがGDPの算出方法を変更し、成長率が2%以上もかさ上げされたのが、ついこの2月だったことを人は忘れている。古い尺度では、インドはまだ立派とは到底言えない5%のペースでもたついている。
かさ上げされた成長は、誤った安心感を生み出す。
このことが、モディ氏率いる政権が、盛んに喧伝された改革を通過させるのにこれほど手間取っている理由を説明する助けになるかもしれない。
インド議会は今会期中に、ほとんど何もしなかった。首相は、さまざまな州にまたがって事業を行うのを容易にするとエコノミストらが見ている物品サービス税を導入できなかった。農家からの反対に遭い、工場や道路、発電所の建設を容易にしたはずの土地改革もほぼ断念した。インドで事業を行うことは、引き続き、決して容易ではない。
インドは世界経済から比較的切り離されているが、これは部分的には、他国が買う価値があると思うものをインドがあまり生産していないためだ。
中国に取って代わり製造業の拠点になりたいと考えている国にとっては、これは強さというより弱さのように見える。
怪しげな統計がインドが中国より速く成長していることを示しているからと言って、こうした問題が消えることはない。インドの当局者はほくそ笑むのをやめた方がいい――そして、意味のある改革を実行し始めるのが賢明だ。
輝くインドが戻ってきた。少なくとも、大げさな物言いをする多くのインド人の話を聞けば、そう思える。
中国経済が減速し、その市場と政策立案の信頼性がひっくり返ったため、世界一急速に成長する大きな経済国としてインドが中国を追い抜くと見ることは可能だろう。
多くのインド人はナレンドラ・モディ首相のインド人民党(BJP)が10年前に前回政権の座にあった時に使われた「India Shining(輝くインド)」キャンペーンを思わせる言葉を使い、中国の不運に少なからぬチャンスを見いだしている。
■「そこどけ中国」の強気発言
インドのアルン・ジェートリー財務相は英BBCとのインタビューで次のように語った。「インドのように8~9%のペースで成長できる経済は間違いなく、世界経済を支えるしっかりした肩を持っている」
自分の名を冠した消費財グループを率いるアディ・ゴドレジ氏は、インドが「輝く」いい頃合いだと述べた。
ジャヤント・シンハ財務担当国務相は特に強烈な「そこどけ中国」発言で、インドは中国から「世界の成長のバトンを引き継ぐ」用意があると語った。インドで最も貧しく、最も開発が遅れた州の1つに数えられるビハール州で、シンハ氏は観衆に向かって「近々、成長と開発の問題については、インドが中国を追い越す」と語った。
表面的には、楽観する余地がある。中国は猛烈な投資への依存を断とうとしており、経済は必然的に減速する。公式には、中国の成長率は今年、7%まで緩やかに低下する。実際には、あっという間に5%かそれ以下に向かう可能性が高い。一方、インドは7.7%拡大すると見られている。
BRICSの仲間であるブラジル、ロシア、南アフリカを含む他の多くの新興国と異なり、インドは値段の高いコモディティー(商品)の輸出に支えられてこなかった。つまり、中国が引き起こしたコモディティー急落に足を引っ張られないということだ。
それどころか、世界第3位の石油輸入国であるインドは、経常収支を改善し、インフレ圧力を和らげる石油価格低迷から大きな恩恵を受ける。
また、インドは工業製品の大きな輸出国ではない。たとえ世界の需要が弱くても、国内総生産(GDP)の57%が家計消費から来ているインド経済は比較的守られている。
■ネズミがトラクターを引っ張れる?
だが、インドが世界経済のメーンイベントになるという考えは、控えめに言っても欠陥がある。もしこれが慢心を引き起こすのだとすれば、全くもって危険だ。
インドが世界経済の成長のエンジンとして中国に取って代わるという期待は、見当違いだ。名目ベース――ある経済国の世界的インパクトを図る際に最も適切な指標――では、インドの経済生産は中国のそれの5分の1だ。インドが世界のGDPに占める割合はたった2.5%。これに対して中国は13.5%にも上る。
もし中国が年間5%ずつ成長したら、4年足らずで、すでに大きな経済生産にインド規模の経済を加えることになる。インドがこれに匹敵できると言うことは、ネズミがトラクターを引っ張れると言うようなものだ。
総じて判断すると、人々は中国市場の発作を深読みしすぎた。確かに、株式市場を支え、より柔軟な為替相場制へ移行する試みが失敗したことで、絶対確実と見られていた中国の政策立案への信頼が揺らいだ。
また確かに、最近の混乱は、投資主導から消費主導の経済へと移行する痛みを経験している中国経済の根深い問題の兆候だ。
中国にとって、比較的容易なキャッチアップ成長の時代は終わった。だが、中国を見限るのは、ひどい見当違いだ。何しろ中国は、30年間に及ぶ目覚ましい発展の勢いを背に受けている。
■中国と同じくらい怪しいインドの統計
インドが楽々と中国の成長レベルを越えようとしているという考えは、絶望的なまでに独りよがりだ。インドの統計は中国のそれと同じくらい怪しい。インドがGDPの算出方法を変更し、成長率が2%以上もかさ上げされたのが、ついこの2月だったことを人は忘れている。古い尺度では、インドはまだ立派とは到底言えない5%のペースでもたついている。
かさ上げされた成長は、誤った安心感を生み出す。
このことが、モディ氏率いる政権が、盛んに喧伝された改革を通過させるのにこれほど手間取っている理由を説明する助けになるかもしれない。
インド議会は今会期中に、ほとんど何もしなかった。首相は、さまざまな州にまたがって事業を行うのを容易にするとエコノミストらが見ている物品サービス税を導入できなかった。農家からの反対に遭い、工場や道路、発電所の建設を容易にしたはずの土地改革もほぼ断念した。インドで事業を行うことは、引き続き、決して容易ではない。
インドは世界経済から比較的切り離されているが、これは部分的には、他国が買う価値があると思うものをインドがあまり生産していないためだ。
中国に取って代わり製造業の拠点になりたいと考えている国にとっては、これは強さというより弱さのように見える。
怪しげな統計がインドが中国より速く成長していることを示しているからと言って、こうした問題が消えることはない。インドの当局者はほくそ笑むのをやめた方がいい――そして、意味のある改革を実行し始めるのが賢明だ。
人口オーナス期(一人子政策の見直しなど対策を進めていますが)に入ったと言われる中国に対し、人口ボーナス期にいるインドが成長余力があります。ただ、世界のGDPに占める割合が2.5%では、世界経済の牽引役を担うには、荷が重いと言うことですね。
記事は、中国の経済成長がいつまでも続くと信じているのか、「人々は中国市場の発作を深読みしすぎ」と最近の兆候を批判していますが、一方では「確かに、最近の混乱は、投資主導から消費主導の経済へと移行する痛みを経験している中国経済の根深い問題の兆候」と、中国経済の根深い問題を認め、その兆候とも認めています。
中国も最初から世界をリードできるGDPの規模を持っていたわけではありません。世界の工場として注目され、企業が進出を始めた当初は、しょっちゅう停電が発生するなど、インフラは不備でした。しかし、そのインフラ整備の財政出動による投資と、製品組み立て・加工・輸出の伸びと人口ボーナスとが絡み合い、好転したことで、日本を抜いて世界第二位の地位に上ったのです。
インドが、インフラ整備他、海外企業の投資環境を整えれば、中国に追いつき、追い越すことは、不可能ではありません。
モディ政権は苦労している様子ですが、「所得倍増」など大衆が受け入れ安い政策を掲げ支持を獲得し、経済改革を推進していただける様、期待しています。
# 冒頭の画像は、昨年4月、主要国では就任後一番最初に日本を訪問した、モディ首相
この花の名前は、オキザリス
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