通貨「人民元」を、いずれは米ドルに並ぶ「基軸通貨」にしようと画策している中国。その国際化戦略が第3ステージに入ったと指摘するのは、産経新聞・河崎真澄上海支局長。
「人民元」を、米ドルに並ぶ「基軸通貨」にする道の、第1ステージは、2008年のリーマン・ショックでドルへの信認が揺らいだタイミングを捉えた2009年の上海市と広東省広州市など地域限定で、中国政府は元建て貿易代金決済の承認。
第2ステージは、16年10月、国際通貨基金(IMF)の、「特別引き出し権(SDR)」の5番目の構成通貨に元を加えさせたこと。
そして今回、第3ステージとして、元建ての原油国際取引を実現させたのだそうです。
17年に米国を追い抜いて世界最大の原油需要国になった中国。まず先物市場で元建て取引の実績を作り、次は現物の取引へと駒を進めるのだそうで、水面下で、サウジと元建て原油取引の流れを作り、ロシアとアフリカのアンゴラが近く、元建てで中国向けに原油の現物を輸出する見通しなのだと。
そして、次の第4ステージは、中国が進める新シルクロード経済圏構想「一帯一路」の対象地域を「元経済圏」に重ねていく戦略だろうとも。
課題は、元への信認を国際社会から得るための、本格的な『資本の自由化』。
資本の海外への流出が止まらない現状では、自由化ではなく規制されています。
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元の国際化を追求する一方、国境に資本移動の壁を築く中国の「矛盾」は当分、続きそうだとの河崎上海支局長。
第4ステージを経ての、米ドルと並ぶ「基軸通貨」への道の壁は、乗り越えられるのでしょうか。「一帯一路」圏内にとどまるのでしょうか。
日本には、「CPTPP」の稼働や、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の進展が望まれます。
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【緯度経度】人民元、米ドルに並ぶ「基軸通貨」へ新段階 河崎真澄(1/3ページ) - 産経ニュース 2018.5.1
通貨「人民元」を、いずれは米ドルに並ぶ「基軸通貨」にしようと画策している中国。その国際化戦略が第3ステージに入った。
初めて元建てで原油が取引される先物市場が3月26日、上海に誕生し、ドル建て決済が常の石油ビジネスに“風穴”を開けた。「元パワー」で原油の国際相場形成に影響力を行使したい中国の狙いは、明白だ。
米国が震源地である2008年9月のリーマン・ショックでドルへの信認が揺らいだタイミングを捉えた中国。09年に上海市と広東省広州市など地域限定で、中国政府は元建て貿易代金決済を初めて認めた。これが第1ステージだったといえる。
輸出代金を元で受け取る契約を結ぶと、ドル下落局面でも中国は為替リスクを回避できる。貿易相手先はドルに加え元も重視せざるを得ない。自信を深めた中国はその後、貿易決済の対象地域を全土に広げた。
第2ステージは、国際通貨基金(IMF)が16年10月、「特別引き出し権(SDR)」の5番目の構成通貨に元を加えたこと。ドルやユーロ、英ポンド、日本円に続き、国際通貨の一員として“お墨付き”を与えた。元を外貨準備の通貨に追加する国も現れ、元の存在感は一気に向上した。
そして第3ステージが元建ての原油取引。中国は17年に日量840万バレルを輸入し、790万バレルの米国を追い抜いて世界最大の原油需要国になった。まず先物市場で元建て取引の実績を作り、次は現物の取引だ。
伏線は16年1月の習近平国家主席によるサウジアラビア、エジプト、イラン歴訪にあった。石油メジャーと関係が深いサウジで習氏は、200億ドル(約2兆1500億円)の投資ファンドを設立すると表明。17年3月には、訪中したサウジのサルマン国王に650億ドルもの経済協力を示した。
外交筋は、中国が水面下で、サウジと元建て原油取引の流れを作ったとみている。ドルの影響力を少しでもそぎたい、と願っている産油国の賛同も募った。
ロイター通信は、ロシアとアフリカのアンゴラが近く、元建てで中国向けに原油の現物を輸出する見通しだと伝えた。関係者によると、サウジと南米ベネズエラも同様の検討を行っている。「ドル経済圏」に対する「元経済圏」の挑戦が石油業界でじわじわ進む。
習氏は、「今世紀半ばまでに社会主義現代化強国を築く」と述べ、経済力に加えて軍事力でも圧倒的なパワーを得て、米国に対抗する「強国路線」を進む意志を明確にした。ドルの駆逐は不可能としても、元を第2の基軸通貨にすえることが習氏の頭の中にある。
次の第4ステージは、中国が進める新シルクロード経済圏構想「一帯一路」の対象地域を「元経済圏」に重ねていく戦略だろう。
だが、基軸通貨へのハードルはなお高い。「元への信認を国際社会から得るためには、本格的な『資本の自由化』が金融政策として欠かせない」と岡三証券の中国駐在チーフエコノミスト、後藤好美氏は話す。
習氏は金融自由化の方針を表明しているが、実のところ国内からの資本逃避や海外からの投機マネー流入を恐れ、資本取引の管理を手放す気配はない。元の国際化を追求する一方、国境に資本移動の壁を築く中国の「矛盾」は当分、続きそうだ。(上海支局長)
通貨「人民元」を、いずれは米ドルに並ぶ「基軸通貨」にしようと画策している中国。その国際化戦略が第3ステージに入った。
初めて元建てで原油が取引される先物市場が3月26日、上海に誕生し、ドル建て決済が常の石油ビジネスに“風穴”を開けた。「元パワー」で原油の国際相場形成に影響力を行使したい中国の狙いは、明白だ。
米国が震源地である2008年9月のリーマン・ショックでドルへの信認が揺らいだタイミングを捉えた中国。09年に上海市と広東省広州市など地域限定で、中国政府は元建て貿易代金決済を初めて認めた。これが第1ステージだったといえる。
輸出代金を元で受け取る契約を結ぶと、ドル下落局面でも中国は為替リスクを回避できる。貿易相手先はドルに加え元も重視せざるを得ない。自信を深めた中国はその後、貿易決済の対象地域を全土に広げた。
第2ステージは、国際通貨基金(IMF)が16年10月、「特別引き出し権(SDR)」の5番目の構成通貨に元を加えたこと。ドルやユーロ、英ポンド、日本円に続き、国際通貨の一員として“お墨付き”を与えた。元を外貨準備の通貨に追加する国も現れ、元の存在感は一気に向上した。
そして第3ステージが元建ての原油取引。中国は17年に日量840万バレルを輸入し、790万バレルの米国を追い抜いて世界最大の原油需要国になった。まず先物市場で元建て取引の実績を作り、次は現物の取引だ。
伏線は16年1月の習近平国家主席によるサウジアラビア、エジプト、イラン歴訪にあった。石油メジャーと関係が深いサウジで習氏は、200億ドル(約2兆1500億円)の投資ファンドを設立すると表明。17年3月には、訪中したサウジのサルマン国王に650億ドルもの経済協力を示した。
外交筋は、中国が水面下で、サウジと元建て原油取引の流れを作ったとみている。ドルの影響力を少しでもそぎたい、と願っている産油国の賛同も募った。
ロイター通信は、ロシアとアフリカのアンゴラが近く、元建てで中国向けに原油の現物を輸出する見通しだと伝えた。関係者によると、サウジと南米ベネズエラも同様の検討を行っている。「ドル経済圏」に対する「元経済圏」の挑戦が石油業界でじわじわ進む。
習氏は、「今世紀半ばまでに社会主義現代化強国を築く」と述べ、経済力に加えて軍事力でも圧倒的なパワーを得て、米国に対抗する「強国路線」を進む意志を明確にした。ドルの駆逐は不可能としても、元を第2の基軸通貨にすえることが習氏の頭の中にある。
次の第4ステージは、中国が進める新シルクロード経済圏構想「一帯一路」の対象地域を「元経済圏」に重ねていく戦略だろう。
だが、基軸通貨へのハードルはなお高い。「元への信認を国際社会から得るためには、本格的な『資本の自由化』が金融政策として欠かせない」と岡三証券の中国駐在チーフエコノミスト、後藤好美氏は話す。
習氏は金融自由化の方針を表明しているが、実のところ国内からの資本逃避や海外からの投機マネー流入を恐れ、資本取引の管理を手放す気配はない。元の国際化を追求する一方、国境に資本移動の壁を築く中国の「矛盾」は当分、続きそうだ。(上海支局長)
「人民元」を、米ドルに並ぶ「基軸通貨」にする道の、第1ステージは、2008年のリーマン・ショックでドルへの信認が揺らいだタイミングを捉えた2009年の上海市と広東省広州市など地域限定で、中国政府は元建て貿易代金決済の承認。
第2ステージは、16年10月、国際通貨基金(IMF)の、「特別引き出し権(SDR)」の5番目の構成通貨に元を加えさせたこと。
そして今回、第3ステージとして、元建ての原油国際取引を実現させたのだそうです。
17年に米国を追い抜いて世界最大の原油需要国になった中国。まず先物市場で元建て取引の実績を作り、次は現物の取引へと駒を進めるのだそうで、水面下で、サウジと元建て原油取引の流れを作り、ロシアとアフリカのアンゴラが近く、元建てで中国向けに原油の現物を輸出する見通しなのだと。
そして、次の第4ステージは、中国が進める新シルクロード経済圏構想「一帯一路」の対象地域を「元経済圏」に重ねていく戦略だろうとも。
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資本の海外への流出が止まらない現状では、自由化ではなく規制されています。
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第4ステージを経ての、米ドルと並ぶ「基軸通貨」への道の壁は、乗り越えられるのでしょうか。「一帯一路」圏内にとどまるのでしょうか。
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