中国の国際法に反する埋め立てによる人口島建設と、その国土化&軍事基地化の動きが止まりません。米海軍が阻止作戦を提案するのをオバマ大統領が制止していて、習近平との話し合いで制止させようとしましたが、習近平に一蹴され(これは習近平の失政として歴史に残ると考えますが)、オバマ大統領も「FONOP」(公海航行自由原則維持のための作戦)の開始を承認しました。
シリアへの腰が引けたオバマ政権の関与が今日の大混乱を招いたと同様に、南シナ海でも中国の国際法を無視した蛮行を許してしまっています。
しかも、アリバイ造り程度の「FONOP」の散発的実行は、中国に逆手にとられて、中国の軍備増強を促進させる結果を招いてしまっています。
一時、北朝鮮の核やミサイル配備を二国間交渉で抑えようとした米国でしたが、北朝鮮にいいように弄ばれ、今日では直接交渉を拒むようになっている米国。中東・アフリカを含め、紛争の拡大に寄与こそすれ、紛争鎮静化外交能力はすっかり色あせてしまっている、オバマ政権ですね。
米国は、南シナ海の領有権問題には関与せず、「FONOP」は、「南シナ海において船舶が自由に航行できる状態を確保するためのデモンストレーション」という建前になっていて、中国はそれを逆手にとって「アメリカが中国の“海洋国土”に軍事的脅威を加えている」と「自衛措置を強化せざるをえない」という記事で指摘されている通りで論法で、米国が行動すればするほど、自衛措置の名目で軍備を拡充させるという循環に持ち込まれてしまっています。
初めに後手に回ってしまった上に、その後手も中途半端なために、完全に中国ペースに持ち込まれているのですね。
記事は、「アメリカ海軍は依然として「海洋戦力には海洋戦力で」という方針を振り回そうとしているが、(中略)そうした伝統的な方針だけでは対抗しきれない状況に立ち至ってしまっている。」として結んでいます。
では、どうすれば良いのかには、残念ながら言及されていません。
一つの重要な、関連諸国の連携した対中抑止力についても、「アメリカが自衛隊やオーストラリア軍を巻き込んで中国側に圧力をかければかけるほど、人民解放軍の南沙諸島や西沙諸島への各種ミサイル配備や、航空基地並びに海軍拠点の充実がますます強化されることは自明の理」と、否定論だけで解決案の言及はありません。
遊爺は、日米豪の安全保障の同盟 or 準同盟関係に加え、ASEANの有志国、インドを加えた連携強化で、広く国際世論に訴えて抑止力を高めることが重要と考え、その国際世論を背景に、南シナ海での領有権で対峙しているASEAN諸国(最近は中国のオウンゴールで、フィリピン、ベトナムに比べれば穏やかな姿勢を保っていた、インドネシアやマレーシアとの敵対行為が発生)への対中抑止力(監視・管理力)の強化支援推進が必要と考えます。
以前、どうすれば中国の動きを止められるのかについて、日経の社説の提言をとりあげさせていただきました。
「南シナ海で危機を起こせば、米軍の介入を招いてしまう。そう中国軍に明確に悟らせることが、同国の強硬な行動に歯止めをかける抑止力になる。」という、米国依存の結論ですが、そうならざるを得ないのが現実の実力関係ですね。それを、軍事費削減を迫られている米国に決断を促すには、日豪に加えてインドや当事国のASEANの関連諸国の協調支援が必要です。協調支援は、おんぶにだっこの過去の姿勢ではなく、自国の安全保障は自国が主導して護るという姿勢が求められます。
南シナ海 中国が動きを止める兆しはまったくない。ではどうすれば良いのか。 - 遊爺雑記帳
海水下に沈む等する岩礁を埋め立てても、領土とはならないという国際法を無視し、自国で勝手に設定した根拠のない「九段線」を盾に強引に領土・領海・領空を設定し、軍備を拡充し、制海・空権を設定し、他国の航行を管理しようとしている中国。
米軍の力の抑止力と、国際世論の抑止力で、中国に国際法を順守させる道が正道でしょう。
日本も、安保法制が施行されることで、まだ普通の国のレベルには達していませんが、国際協調が可能となっています。
アジアの平和の為、アジアの一方の雄としての期待に応えるとともに、東シナ海での直接の抑止力強化のためにも、日本の抑止力強化と関連国への支援・貢献が求められます。
# 冒頭の画像は、中国のインターネットに掲載された、永興島らしき場所で地対艦ミサイルらしきミサイルが試射されている写真
この花の名前は、スイフヨウ
↓よろしかったら、お願いします。
シリアへの腰が引けたオバマ政権の関与が今日の大混乱を招いたと同様に、南シナ海でも中国の国際法を無視した蛮行を許してしまっています。
しかも、アリバイ造り程度の「FONOP」の散発的実行は、中国に逆手にとられて、中国の軍備増強を促進させる結果を招いてしまっています。
一時、北朝鮮の核やミサイル配備を二国間交渉で抑えようとした米国でしたが、北朝鮮にいいように弄ばれ、今日では直接交渉を拒むようになっている米国。中東・アフリカを含め、紛争の拡大に寄与こそすれ、紛争鎮静化外交能力はすっかり色あせてしまっている、オバマ政権ですね。
すでに地対艦ミサイルも配備されていた南シナ海 ますます強化される中国の「自衛」戦力 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.3.31(木) 北村 淳
2月中旬、中国が西沙諸島の永興島(ウッディー島)に地対空ミサイル部隊を展開させたことが、米軍側によって確認された。永興島は、中国が南シナ海における「海洋国土」確保の前進拠点としている島である。
?筆者は本コラムなどで、「人民解放軍が西沙諸島の永興島および南沙諸島に建設中の7つの人工島に、地対空ミサイルに加えて地対艦ミサイルを配備する日は間近であろう」と指摘してきた。
?ところが、“間近”どころではなかった。すでに永興島には地対艦ミサイルも配備されていたことが確認されたのだ。
■地対艦ミサイル「YJ-62」を発射
3月21日、中国のインターネットに永興島らしき場所で地対艦ミサイルらしきミサイルが試射されている写真が流された。その写真を米軍関係機関やシンクタンクなどが分析した結果、ミサイルが発射されていた場所は背景などから明らかに永興島であること、そして発射されたミサイルは鷹撃62型地対艦ミサイル(YJ-62)であることが確認された。
<中略>
■中国が永興島でミサイルを発射するまで
?中国側によると、永興島には海南省三沙市政府機関が位置しており、それら政府機関の民間人のみならず漁業や商業に従事する三沙市民も多数居住している。そうした永興島に島嶼防衛用の地対空ミサイルや地対艦ミサイルを配備するのは、「アメリカの軍事的威嚇に対処するための完全に防衛的な自衛措置」ということになる。
南シナ海における領有権紛争は今に始まった話ではない。中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、そして台湾による、数々の島嶼環礁とそれらの周辺海域をめぐる領有権紛争は長きにわたって続いてきた。ただし、アメリカはこれまで「第三国間の領土・領海をめぐる紛争には直接関与しない」という外交鉄則を掲げ、南シナ海での領有権紛争に直接口出しすることは控えてきた。
?しかしながら、中国が南沙諸島に7つもの人工島を建設していることが確認されると、アメリカ海軍を中心とした対中牽制派の人々から「アメリカも何らかの形で南シナ海問題に関与すべきである」との声が上がり始めた。そして、3つの人工島に軍用飛行場が誕生することが確実になるや、オバマ政権もようやく中国に対する牽制行動にゴーサインを出すこととなった。
そして、実施されたのが「FONOP」(公海航行自由原則維持のための作戦)である。昨年(2015年)10月、第1回FONOPとして人工島の1つスービ礁周辺にアメリカ海軍駆逐艦と哨戒機が派遣された(遅すぎた米国「FON作戦」がもたらした副作用 中国軍艦が「航行自由原則」を振りかざして日本領海を通航する? | JBpress(日本ビジネスプレス))。
?ただし、中国による人工島の各種施設の建設スピードが緩むことはなかった。今年の正月には人工島の1つであるファイアリークロス礁に建設されていた飛行場(あらゆる軍用機が使用可能な3000メートル級滑走路)に大型旅客機が発着し、人工島飛行場第1号の運用が開始された(中国が人工島に建設した滑走路、爆撃機も使用可能に いよいよ南沙諸島の完全支配へ大手 | JBpress(日本ビジネスプレス))。
それに対してアメリカは、第2回目のFONOPを実施する。今回は駆逐艦を西沙諸島(中国とベトナムが領土紛争中)の中建島(トリトン島)周辺海域に派遣して12海里内海域を通航させた(それでも日本はアメリカべったりなのか? 中国に対して遠慮しまくるオバマ政権 | JBpress(日本ビジネスプレス))。
すると中国軍は、西沙諸島が脅かされたことを口実にして、西沙諸島の中心である永興島に地対空ミサイル部隊を展開させた(中国の国営メディア、「米艦艇に発砲せよ」と息巻く ついに南シナ海にミサイルを配備、取り返しがつかない状態に | JBpress(日本ビジネスプレス))。
それに対してアメリカ海軍は、空母打撃群を南シナ海に派遣し、中国に対し海軍遠征投射能力のデモンストレーションを行った(米国の空母打撃群派遣を中国は間違いなく逆手に取る “大義名分”を振りかざして南シナ海を軍事拠点化 | JBpress(日本ビジネスプレス))。
すると、上記のように中国のインターネットに、永興島で地対艦ミサイルが南シナ海に向けて試射されている状況が映し出されたのだ。
アメリカによるFONOPは、中国の南沙諸島や西沙諸島に対する領有権の主張に対して直接的に反対するためのものではなく、「南シナ海において船舶が自由に航行できる状態を確保するためのデモンストレーション」という建前になっている。しかし、中国はそれを逆手にとって「アメリカが中国の“海洋国土”に軍事的脅威を加えている」として、「自衛措置を強化せざるをえない」という論法なのだ。
■伝統的海軍戦略ではもはや対抗できない
このように南シナ海での米中衝突が“いたちごっこ”の様相を呈している中、オバマ政権の国防費大削減によって海洋戦力の低下という現状に直面しているアメリカ軍としては、日本やオーストラリアを南シナ海での対中牽制活動に引っ張り出そうと動き始めている。
実際に、海上自衛隊と米海軍それにオーストラリア海軍が南シナ海で合同訓練をしたり、海上自衛隊の潜水艦がフィリピンに寄港したり、同じく駆逐艦がベトナムに寄港したり、オーストラリア海軍艦艇が南シナ海での定期パトロールを開始したり、日本政府が海上自衛隊の中古練習機をフィリピン軍に供与したり、といった状況が現実のものとなっている。
また、海上自衛隊の中古P-3C哨戒機をフィリピン軍に供与するとともに、海上自衛隊自身もフィリピン・パラワン島の航空基地をベースに南シナ海のパトロールを実施する方向で準備が進んでいる。海上自衛隊哨戒機が、アメリカ海軍哨戒機やアメリカ海軍やオーストラリア海軍艦艇とともに南シナ海をパトロールする日もそう遠くはない。
実際にアメリカ海軍では、「安倍首相や統幕長が、南シナ海への自衛隊派遣をアメリカ側に確約したのであるから、自衛隊駆逐艦あるいは哨戒機の派遣は当然である」と理解されている。
だが、アメリカが自衛隊やオーストラリア軍を巻き込んで中国側に圧力をかければかけるほど、人民解放軍の南沙諸島や西沙諸島への各種ミサイル配備や、航空基地並びに海軍拠点の充実がますます強化されることは自明の理である。
また、アメリカや日本そしてオーストラリアが、軍艦や航空機を繰り出して中国側を威嚇(威嚇になるかどうかは疑問であるが)しても、中国に人工島の建設や軍用滑走路の更地化などを強要することなど不可能である。
アメリカ海軍は依然として「海洋戦力には海洋戦力で」という方針を振り回そうとしているが、永興島や7つの南沙人工島、そしてスカボロ礁にまで陸上軍事拠点を設置しつつある南シナ海の人民解放軍戦力(プラス中国海警戦力)に対しては、そうした伝統的な方針だけでは対抗しきれない状況に立ち至ってしまっている。
2月中旬、中国が西沙諸島の永興島(ウッディー島)に地対空ミサイル部隊を展開させたことが、米軍側によって確認された。永興島は、中国が南シナ海における「海洋国土」確保の前進拠点としている島である。
?筆者は本コラムなどで、「人民解放軍が西沙諸島の永興島および南沙諸島に建設中の7つの人工島に、地対空ミサイルに加えて地対艦ミサイルを配備する日は間近であろう」と指摘してきた。
?ところが、“間近”どころではなかった。すでに永興島には地対艦ミサイルも配備されていたことが確認されたのだ。
■地対艦ミサイル「YJ-62」を発射
3月21日、中国のインターネットに永興島らしき場所で地対艦ミサイルらしきミサイルが試射されている写真が流された。その写真を米軍関係機関やシンクタンクなどが分析した結果、ミサイルが発射されていた場所は背景などから明らかに永興島であること、そして発射されたミサイルは鷹撃62型地対艦ミサイル(YJ-62)であることが確認された。
<中略>
■中国が永興島でミサイルを発射するまで
?中国側によると、永興島には海南省三沙市政府機関が位置しており、それら政府機関の民間人のみならず漁業や商業に従事する三沙市民も多数居住している。そうした永興島に島嶼防衛用の地対空ミサイルや地対艦ミサイルを配備するのは、「アメリカの軍事的威嚇に対処するための完全に防衛的な自衛措置」ということになる。
南シナ海における領有権紛争は今に始まった話ではない。中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、そして台湾による、数々の島嶼環礁とそれらの周辺海域をめぐる領有権紛争は長きにわたって続いてきた。ただし、アメリカはこれまで「第三国間の領土・領海をめぐる紛争には直接関与しない」という外交鉄則を掲げ、南シナ海での領有権紛争に直接口出しすることは控えてきた。
?しかしながら、中国が南沙諸島に7つもの人工島を建設していることが確認されると、アメリカ海軍を中心とした対中牽制派の人々から「アメリカも何らかの形で南シナ海問題に関与すべきである」との声が上がり始めた。そして、3つの人工島に軍用飛行場が誕生することが確実になるや、オバマ政権もようやく中国に対する牽制行動にゴーサインを出すこととなった。
そして、実施されたのが「FONOP」(公海航行自由原則維持のための作戦)である。昨年(2015年)10月、第1回FONOPとして人工島の1つスービ礁周辺にアメリカ海軍駆逐艦と哨戒機が派遣された(遅すぎた米国「FON作戦」がもたらした副作用 中国軍艦が「航行自由原則」を振りかざして日本領海を通航する? | JBpress(日本ビジネスプレス))。
?ただし、中国による人工島の各種施設の建設スピードが緩むことはなかった。今年の正月には人工島の1つであるファイアリークロス礁に建設されていた飛行場(あらゆる軍用機が使用可能な3000メートル級滑走路)に大型旅客機が発着し、人工島飛行場第1号の運用が開始された(中国が人工島に建設した滑走路、爆撃機も使用可能に いよいよ南沙諸島の完全支配へ大手 | JBpress(日本ビジネスプレス))。
それに対してアメリカは、第2回目のFONOPを実施する。今回は駆逐艦を西沙諸島(中国とベトナムが領土紛争中)の中建島(トリトン島)周辺海域に派遣して12海里内海域を通航させた(それでも日本はアメリカべったりなのか? 中国に対して遠慮しまくるオバマ政権 | JBpress(日本ビジネスプレス))。
すると中国軍は、西沙諸島が脅かされたことを口実にして、西沙諸島の中心である永興島に地対空ミサイル部隊を展開させた(中国の国営メディア、「米艦艇に発砲せよ」と息巻く ついに南シナ海にミサイルを配備、取り返しがつかない状態に | JBpress(日本ビジネスプレス))。
それに対してアメリカ海軍は、空母打撃群を南シナ海に派遣し、中国に対し海軍遠征投射能力のデモンストレーションを行った(米国の空母打撃群派遣を中国は間違いなく逆手に取る “大義名分”を振りかざして南シナ海を軍事拠点化 | JBpress(日本ビジネスプレス))。
すると、上記のように中国のインターネットに、永興島で地対艦ミサイルが南シナ海に向けて試射されている状況が映し出されたのだ。
アメリカによるFONOPは、中国の南沙諸島や西沙諸島に対する領有権の主張に対して直接的に反対するためのものではなく、「南シナ海において船舶が自由に航行できる状態を確保するためのデモンストレーション」という建前になっている。しかし、中国はそれを逆手にとって「アメリカが中国の“海洋国土”に軍事的脅威を加えている」として、「自衛措置を強化せざるをえない」という論法なのだ。
■伝統的海軍戦略ではもはや対抗できない
このように南シナ海での米中衝突が“いたちごっこ”の様相を呈している中、オバマ政権の国防費大削減によって海洋戦力の低下という現状に直面しているアメリカ軍としては、日本やオーストラリアを南シナ海での対中牽制活動に引っ張り出そうと動き始めている。
実際に、海上自衛隊と米海軍それにオーストラリア海軍が南シナ海で合同訓練をしたり、海上自衛隊の潜水艦がフィリピンに寄港したり、同じく駆逐艦がベトナムに寄港したり、オーストラリア海軍艦艇が南シナ海での定期パトロールを開始したり、日本政府が海上自衛隊の中古練習機をフィリピン軍に供与したり、といった状況が現実のものとなっている。
また、海上自衛隊の中古P-3C哨戒機をフィリピン軍に供与するとともに、海上自衛隊自身もフィリピン・パラワン島の航空基地をベースに南シナ海のパトロールを実施する方向で準備が進んでいる。海上自衛隊哨戒機が、アメリカ海軍哨戒機やアメリカ海軍やオーストラリア海軍艦艇とともに南シナ海をパトロールする日もそう遠くはない。
実際にアメリカ海軍では、「安倍首相や統幕長が、南シナ海への自衛隊派遣をアメリカ側に確約したのであるから、自衛隊駆逐艦あるいは哨戒機の派遣は当然である」と理解されている。
だが、アメリカが自衛隊やオーストラリア軍を巻き込んで中国側に圧力をかければかけるほど、人民解放軍の南沙諸島や西沙諸島への各種ミサイル配備や、航空基地並びに海軍拠点の充実がますます強化されることは自明の理である。
また、アメリカや日本そしてオーストラリアが、軍艦や航空機を繰り出して中国側を威嚇(威嚇になるかどうかは疑問であるが)しても、中国に人工島の建設や軍用滑走路の更地化などを強要することなど不可能である。
アメリカ海軍は依然として「海洋戦力には海洋戦力で」という方針を振り回そうとしているが、永興島や7つの南沙人工島、そしてスカボロ礁にまで陸上軍事拠点を設置しつつある南シナ海の人民解放軍戦力(プラス中国海警戦力)に対しては、そうした伝統的な方針だけでは対抗しきれない状況に立ち至ってしまっている。
米国は、南シナ海の領有権問題には関与せず、「FONOP」は、「南シナ海において船舶が自由に航行できる状態を確保するためのデモンストレーション」という建前になっていて、中国はそれを逆手にとって「アメリカが中国の“海洋国土”に軍事的脅威を加えている」と「自衛措置を強化せざるをえない」という記事で指摘されている通りで論法で、米国が行動すればするほど、自衛措置の名目で軍備を拡充させるという循環に持ち込まれてしまっています。
初めに後手に回ってしまった上に、その後手も中途半端なために、完全に中国ペースに持ち込まれているのですね。
記事は、「アメリカ海軍は依然として「海洋戦力には海洋戦力で」という方針を振り回そうとしているが、(中略)そうした伝統的な方針だけでは対抗しきれない状況に立ち至ってしまっている。」として結んでいます。
では、どうすれば良いのかには、残念ながら言及されていません。
一つの重要な、関連諸国の連携した対中抑止力についても、「アメリカが自衛隊やオーストラリア軍を巻き込んで中国側に圧力をかければかけるほど、人民解放軍の南沙諸島や西沙諸島への各種ミサイル配備や、航空基地並びに海軍拠点の充実がますます強化されることは自明の理」と、否定論だけで解決案の言及はありません。
遊爺は、日米豪の安全保障の同盟 or 準同盟関係に加え、ASEANの有志国、インドを加えた連携強化で、広く国際世論に訴えて抑止力を高めることが重要と考え、その国際世論を背景に、南シナ海での領有権で対峙しているASEAN諸国(最近は中国のオウンゴールで、フィリピン、ベトナムに比べれば穏やかな姿勢を保っていた、インドネシアやマレーシアとの敵対行為が発生)への対中抑止力(監視・管理力)の強化支援推進が必要と考えます。
以前、どうすれば中国の動きを止められるのかについて、日経の社説の提言をとりあげさせていただきました。
「南シナ海で危機を起こせば、米軍の介入を招いてしまう。そう中国軍に明確に悟らせることが、同国の強硬な行動に歯止めをかける抑止力になる。」という、米国依存の結論ですが、そうならざるを得ないのが現実の実力関係ですね。それを、軍事費削減を迫られている米国に決断を促すには、日豪に加えてインドや当事国のASEANの関連諸国の協調支援が必要です。協調支援は、おんぶにだっこの過去の姿勢ではなく、自国の安全保障は自国が主導して護るという姿勢が求められます。
南シナ海 中国が動きを止める兆しはまったくない。ではどうすれば良いのか。 - 遊爺雑記帳
海水下に沈む等する岩礁を埋め立てても、領土とはならないという国際法を無視し、自国で勝手に設定した根拠のない「九段線」を盾に強引に領土・領海・領空を設定し、軍備を拡充し、制海・空権を設定し、他国の航行を管理しようとしている中国。
米軍の力の抑止力と、国際世論の抑止力で、中国に国際法を順守させる道が正道でしょう。
日本も、安保法制が施行されることで、まだ普通の国のレベルには達していませんが、国際協調が可能となっています。
アジアの平和の為、アジアの一方の雄としての期待に応えるとともに、東シナ海での直接の抑止力強化のためにも、日本の抑止力強化と関連国への支援・貢献が求められます。
# 冒頭の画像は、中国のインターネットに掲載された、永興島らしき場所で地対艦ミサイルらしきミサイルが試射されている写真
この花の名前は、スイフヨウ
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