遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

習近平 アジア諸国への援助合戦で米国の消耗を誘い中国が勝つと

2013-11-16 23:58:58 | 中国 全般
 読売で朴槿恵・韓国の連載をしていると記事のご紹介がてら書かせていただいていました。今日もその連載は載っていましたが、朴槿恵のことは放置するという諸氏のご発言に賛同する立場ですから、ここではもう一つの連載の習近平の方の記事に触れてみます。
 概ね諸兄が既にご承知のことが書かれているのですが、アジア諸国への関与への戦術として、米国と援助合戦をして中国が勝つと会議で公言したとの記述は、さもあらんとは推察されたことですが、目新しい話でしたので、備忘録としてとりあげました。
 

太平洋「米と分割」の野望 海洋覇権 毛沢東が原点 (11/16 読売朝刊 習近平 研究 外交[3])

 
南シナ海に臨む中国海南島のリゾート地・博鰲(ボーアォ)。4月7日は、「東洋のハワイ」にふさわしくない、やや肌寒い天気だった。2002年以降、中国政府の後押しで毎年開かれている国際会議で、アジア各国の政財界指導者や有識者らが集まっていた。開幕式で初めて演説した習近平総書記(国家主席)は、「域外」のある国の首脳に「警告」を発した。

「自分だけの利益のために地域、ひいては世界を混乱させてはならない」

 「アジア重視」政策を掲げ、中国が一方的に進出を加速する南シナ海に関与を強めようとするオバマ米大統領をけん制したものだ。
アジアは米国ではなく中国が仕切る━━。そんな気負いを感じさせる習の「アジア宣言」
ともいえる。
 宣言は2か月後、一層大胆な対米思想へと進化する。
 カリフォルニア州パームスプリングスで6月上旬、習がオバマと会談した時のことだ。冒頭、習は日課にしている水泳の息継ぎのようにリズムをとりながら、卓上に置いた右手をゆっくり動かしてこう切り出した。

「広大な太平洋には中米両大国を受け入れる十分な空間がある」

 
オバマは通駅の言葉に耳を傾け、軽くうなずいていたが、米中2大国が太平洋を2分割するような身勝手な主張に同意はしなかった


援助合戦「米を消耗させよ」

 
習は、「中華民族の偉大な復興」を実現するというスローガン「中国の夢」を掲げ、米国と対等な「新しいタイプの大国関係」の構築を目指している
。その意味は、西太平洋からアジアにまたがる中国の勢力圏を米国が認め、中国が21世紀の超大国として尊重されるという、2大国による対等の「住み分け」だ。
 外交に詳しい共産党関係者によると、その思想の原点は、革命功労者を父に持つ「太子党」(高級幹部の子女グループ)の習が偉大な指導者の手本として政治スタイルをまねる毛沢東にあるという。
 毛は1958年に起草した台湾向けの文書で、「東太平洋の国がなぜ西太平洋にやってきたのか。西太平洋が西太平洋人の西太平洋であるのは、東太平洋が東太平洋人の東太平洋であるのと同じだ。米国人も理解すべきだ」と強調していた。
 海軍力増強により海洋覇権を確立する一方、米国のアジアへの関与を受け入れないという習の思想は、米国はもとより日本や東南アジアも到底容認できない。
 10月、インドネシア・バリ島で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議。静かにほほ笑みをたたえた習の姿からは、自らの思想に自信を深めているようにうかがえる。オバマが米連邦政府の機能停止などへの対応のため、一連の会議を欠席したからだ。
 党関係者によると、APECへの出発前に開いた
外交担当者の重要会議で習が語った言葉は、膨張する経済力を背景に米国の足元を見透かしたもの
だった。

「米国が東南アジア諸国連合(ASEAN)への影響力を拡大しようというのなら、ASEAN各国に援助をさせて消耗させれば良い。
援助合戦なら、我々が負けるわけがない
 (敬称略)

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中国の夢
 習が昨年11月の総書記就任後に掲げたスローガン。8月に楊潔篪・国務委員(外交担当)が発表した論文では「重要思想」に位置づけられた。「中華民族の偉大な復興」を目標に、列強の侵略を受けた屈辱の近代史を踏まえて「富国強兵」路線を目指す思想だ。6月の米中首脳会談で、習は「『中国の夢』は『アメリカン・ドリーム』とも通じるところがある」と語った。
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 軍備でも、削減を進めざるを得ない米国に対し、増大一途の中国の勢いは、やがて米国一国だけでの対抗が懸念される事態を招きかねません。勿論、中国は追いつき追い越すことを狙っているのですね。

 一方、習近平は、ソ連共産党の崩壊の一因に軍の国有化を挙げていることは、衆知のことですが、人民解放軍は中国共産党の軍隊でこの形は崩さない方針です。
 江沢民以降、胡錦濤も含め、人民解放軍の制御には心血を注いでいます。北朝鮮が判りやすい例ですが、憲法より党や人が上位なのですから、軍を制御できなければ、トップの座の安定は保てません。そこで、江沢民以降、軍に対して予算をふんだんにつけることで軍を制御してきたのです。
 党高級幹部の子弟繋がりという人脈で軍に繋がりを持つ習近平ですが、甘い予算で数少ない支持基盤を繋ぎとめねばならない状況は、これまでの指導者以上かと考えるのが自然でしょう。

 軍備の拡張が、政権の座の安定の為にも必要な中国と対抗するには、今後は米国一国ではなく、同盟諸国が一致してあたらねばならなくなります。同盟諸国や有志の諸国が連携すれば、抑止力になることは、先の大戦の結果が示していて、中国が当時のドイツや日本の立場に入れ替わることになります。

 習近平が、アジアでの援助合戦で、財政難が表に出て足枷となっている米国を消耗させて勝つと言う作戦をとっても、こちらも日本(世界一の債務を誇る国ですが)他の連携で凌げば、逆に思う壺です。
 
 習近平が、援助合戦なら負けないと言っていますが、これまでの国民の低所得や環境を犠牲にした高度成長が限界に達している中国です。更に中国版NSA設置にみられる、公安費(元々防衛費を上回っている)の増大も進めることにしている中国です。アフリカ他世界中に札束外交を展開している(近年利益を吸い上げると不評ですが)中国です。財源は無限ではありません。
 逆に、中国をも消耗させることになります。

 それにしても、足元の不安がかつてない高まりをみせているのに、対外的にはかつてない強硬姿勢を展開する習近平。
 悪あがきで、中国共産党のラストエンペラーになるのでしょうか。



 # 冒頭の画像は、オバマ大統領不在の、バリ島でのAPEC首脳



  この花の名前は、ミヤマカラマツ


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1 コメント

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開始 (RYU)
2013-11-17 21:20:35
遊爺さま、こんばんは。

中共がシーパワーを重視する方針には、毛沢東の提唱に起源がある事は、遊爺さまの投稿で知りました。敵を脅し掠める軍人としてだけでなく、政治家・経済政策家としても、能吏であった小平との関係は、今の中共の政策に大きな影響を与えるのと共に、精神的主柱として、東南海や、過激派などは、今だに毛沢東の肖像を在りがたがっているのでしょうか。毛沢東の最大の功績は、精神的指導者としてで、それは、プロパガンダ上の英雄の域を出ないと思います。そして、今の中国民主の最大の懸案は、生活に関わる政策の提唱だと思います。

先方は、領土問題は当事国間での話し合いにて、結論を出すべきだ、と言っていますが、南沙諸島では、ベトナム、フィリピンマレーシア、台湾といった多国間の枠組みで、対応する事によって、中共の強硬姿勢を抑えられると思います。それは、「三戦」を掲げる中国が、物量にて日本に論戦を仕掛けて、それによって、内外に宣伝しているように、二国間でそうした論戦というのは、やり易いと思うからで、尖閣諸島をめぐる中国メディアを通した論戦のほとんどが、日本に向けられているからだ、と思います。

だから、中国の海洋進出に対しては、第二列島線の利を活かすためには、前線の台湾との関係強化が鍵となると思います。そして、中共の論戦に対して、民主中国との共闘戦線を張る事でしょう。
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