遊爺雑記帳

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中国の「近隣窮乏化政策」を阻止せよ 欧米が築く高い壁

2024-08-30 01:33:55 | 中国 全般
 欧州委員会は今月20日、中国から輸入される電気自動車(EV)に課す追加関税の税率について、現行の10%に上乗せし、最大36・3%にすると発表。10月末までに本格導入される見通しだと、E・ルトワック氏。
 カナダも全ての中国製EVに100%の追加関税を課すと発表。米国は5月に100%の追加関税を表明済みで、9月中旬にも実施予定。
 中国は欧米など先進諸国から日に日に疎外されている。
 原因は、中国がかつてナチスが採った貿易相手国に負担を押しつけて自国の経済回復を図る、典型的な「近隣窮乏化政策」を実行しようとしているからだと、E・ルトワック氏。
 
中国の「近隣窮乏化政策」を阻止せよ EVからハイテク、学術 欧米が築く高い壁 世界を解く-E・ルトワック - 産経ニュース 2024/8/29 聞き手 黒瀬 悦成

 欧州連合(EU)の欧州委員会は今月20日、中国から輸入される電気自動車(EV)に課す追加関税の税率について、現行の10%に上乗せし、最大36・3%にすると発表した。10月末までに本格導入される見通しだ。

 
カナダも26日、全ての中国製EVに100%の追加関税を課すと発表した。米国は5月に100%の追加関税を表明済みで、9月中旬にも実施が見込まれている。

 
中国は欧米など先進諸国から日に日に疎外されている。中国が、1930年代のナチス・ドイツ以来の忌まわしい経済・貿易政策を積極的に進めているからだ

 ヒトラー率いる
ナチス体制は再軍備政策を進める上で鉄鋼や銅などの原材料を輸入するための外貨獲得に迫られ、政府の補助を受けて靴や道具、日常用品などをフランスなどの近隣諸国に安価で輸出した。

 折からの世界恐慌で経済が疲弊していた
フランスなどは、ドイツから安い製品が滝のように流入したせいで自国の製造業が打撃を受け、失業者が増大するなどの重大な悪影響が生じた

 貿易相手国に負担を押しつけて自国の経済回復を図る、
典型的な「近隣窮乏化政策」だ

 そして
中国もまた、生産過剰と需要の低迷、企業倒産の増大など、後退局面にある国内経済を同様の政策で再建しようと試みている

■国民党敗北の歴史が教訓

 
本来であれば中国は人民元紙幣を増刷して通貨供給量を増やし、消費者の購買意欲をかき立てるなどの景気刺激策を実行すべきだ

 ところが
中国共産党体制は紙幣の増刷はインフレを引き起こす恐れがあるとして決して踏み切ろうとしない。かつて蔣介石率いる中国国民党政府が猛烈なインフレに見舞われて民心に離れられ、毛沢東率いる共産党との内戦に敗れて台湾に逃れたのと同様の歴史をたどりたくないとの思いが強いためでもある。

 そこで
中国はかつてのナチスと同じように政府が補助金を出し、EVなどの輸出攻勢で苦境を乗り切ろうとしている

 だが、
例えば欧州にとって自動車は基幹産業の一つだ。中国製EVに席巻されるなど到底容認できず、欧米は関税引き上げに踏み切ることにした

 
欧米が中国の周囲に築こうとしているのは、障壁と呼ぶにはあまりにも高い壁だ。そして壁はEVにとどまらず、ハイテク技術の移転や学術交流の分野でも着々と築き上げられている。米国の大学では、IT技術関連の学部から中国人の研究者や留学生を締め出す動きが強まっている。

■中国の巧妙な対抗措置

 
気になるのは、中国がハイテク分野で巧妙な対抗措置を取り始めていることだ。

 
米国は、米画像処理半導体(GPU)大手エヌビディアが開発した人工知能(AI)向けチップの中国向け輸出規制を強化した。このため、同社のチップを直接輸入できなくなった中国企業は、オーストラリアにあるエヌビディア社製チップ搭載の高性能サーバーを運用するデータセンターに秘密裏にアクセスしてAI開発をするようになったという。

 
グーグルやマイクロソフト、アマゾンなどの米巨大IT企業も、豪州のデータセンターと似たような計算能力サービスをクラウド環境などで提供している。ただ、これらの米企業は顧客の身元確認規定が厳格だ。

 
米輸出規制の対象は最先端チップや機器、技術の輸出だ。米クラウドサービスに中国企業がアクセスするのは規制の対象外とする主張もあるが、中国企業が実際にアクセスするのは困難だ。

 一方、
豪州のデータセンターは匿名での決済が可能なため、中国からのアクセスが急増しているとの指摘もある。

 
問題は、欧米先進国による中国の疎外化に向けた一連の措置が、中国の習近平体制による近隣窮乏化政策に歯止めをかけられるかどうかだ

 あるいは逆に中国が諸外国に対する敵対的態度を強めてくるのかどうか。そして
日米の安全保障上の重要懸案である台湾情勢にどのような影響を及ぼすのか

 これらの疑問については、機会を改めて詳しく考察していきたい。

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エドワード・ルトワック 米歴史学者。
 米国家安全保障会議(NSC)などでコンサルタントを務め、現在は政策研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)上級顧問。安倍晋三元首相に戦略に関して提言していた。1942年生まれ。

 ナチス体制は再軍備政策を進める上で鉄鋼や銅などの原材料を輸入するための外貨獲得に迫られ、政府の補助を受けて靴や道具、日常用品などをフランスなどの近隣諸国に安価で輸出。
 折からの世界恐慌で経済が疲弊していたフランスなどは、ドイツから安い製品が滝のように流入したせいで自国の製造業が打撃を受け、失業者が増大するなどの重大な悪影響が生じた。
 貿易相手国に負担を押しつけて自国の経済回復を図る、典型的な「近隣窮乏化政策」だと、E・ルトワック氏。

 そして中国もまた、生産過剰と需要の低迷、企業倒産の増大など、後退局面にある国内経済を同様の政策で再建しようと試みていると。

 本来であれば中国は人民元紙幣を増刷して通貨供給量を増やし、消費者の購買意欲をかき立てるなどの景気刺激策を実行すべきだ。
 ところが中国共産党体制は、紙幣の増刷はインフレを引き起こす恐れがあるとして決して踏み切ろうとしない。
 
 中国はかつてのナチスと同じように政府が補助金を出し、EVなどの輸出攻勢で苦境を乗り切ろうとしている。

 だが、例えば欧州にとって自動車は基幹産業の一つだ。中国製EVに席巻されるなど到底容認できず、欧米は関税引き上げに踏み切ることにした。

 欧米が中国の周囲に築こうとしているのは、障壁と呼ぶにはあまりにも高い壁だ。そして壁はEVにとどまらず、ハイテク技術の移転や学術交流の分野でも着々と築き上げられている。米国の大学では、IT技術関連の学部から中国人の研究者や留学生を締め出す動きが強まっているのだそうです。

 気になるのは、中国がハイテク分野で巧妙な対抗措置を取り始めていることだと、E・ルトワック氏。

 米国は、エヌビディアが開発した人工知能(AI)向けチップの中国向け輸出規制を強化。
 同社のチップを直接輸入できなくなった中国企業は、オーストラリアにあるエヌビディア社製チップ搭載の高性能サーバーを運用するデータセンターに秘密裏にアクセスしてAI開発をするようになったのだそうです。
 豪州のデータセンターは匿名での決済が可能なため、中国からのアクセスが急増しているのだと。

 問題は、欧米先進国による中国の疎外化に向けた一連の措置が、中国の習近平体制による近隣窮乏化政策に歯止めをかけられるかどうかだと、E・ルトワック氏。

 あるいは逆に中国が諸外国に対する敵対的態度を強めてくるのかどうか。そして日米の安全保障上の重要懸案である台湾情勢にどのような影響を及ぼすのか。

 不動産バブルで破綻している中国経済。そこへ更にEVバブルが追い打ち。
 そして、欧米先進国による高い輸入関税の壁。習近平の進退は窮まっていると容易に推察できますね。

 この国内経済状況と関係があるのかどうか、今月開かれたあの「北戴河会議」で、終了後習近平の名前で語られることがなくなったのだそうです。
 
 「北戴河会議」何が起きたのか 石平のChina Watch - 産経ニュース

 李強首相は国務院全体会議を主宰したが、17日付の中国共産党機関紙・人民日報に掲載された会議発表は以下。
 「会議は党の3中総会の精神と中央政治局会議・政治局常務委員会議の精神を深く学び、党中央の精神を持って思想の統一・意思の統一・行動の統一を図るべきことを強調する」

 注目すべきなのは、国務院会議として、学ぶべき「精神」は党の一連の会議の精神であって、思想・意思・行動の「統一」の軸となる精神は「党中央の精神」となっていることだと、石平氏。
 つまり、肝心の「習近平」と「習近平思想」が完全に抜け落ちており、代わりに「党」「党中央」が主語となっている。
 習近平ワンマン独裁政権下で普通、党と政府の「思想統一・意思統一・行動統一」の軸とされるのは、まさに「習近平思想」である。
 そして「党中央」のこととなると、「習近平総書記を核心とする党中央」が標準的な表現であって、習氏自身の発言以外に、「党中央」から冠としての「習近平総書記」を外すことは普段ない。
 しかし、李首相主宰の国務院会議はまさにこのような「普段にない」ことをやってしまったと!

 李首相による「習近平離れ」がどうやら「北戴河会議」の後、それが加速しているもようであると、石平氏。

 更に李首相と同様、習氏最側近である蔡奇氏も、中央と地方の幹部たちを招集して「形式主義の退治」に関するオンライン会議を主宰した。会議の冒頭、蔡氏は「党の3中総会の精神を深く学び、仕事上の形式主義を退治せよ」と呼びかけた。
 前述の李首相と同様、彼も「党の3中総会の精神」を学ぶことを強調したものの、「習近平思想」にはまったく触れていない。人民日報掲載の会議内容と蔡氏のスピーチからは習近平の「し」の字も出てこない。
 これまで、蔡氏が行う公開講話が「習近平」に対する言及を欠いたことはないと、石平氏。

 こうした事実は、異例というよりも、もはや異常のレベルであろう。
 「北戴河会議」で何かの異変が起きたのではないかと思われると。

 鄧小平の流れを継ぎ経済発展をもたらした共青団派を排除し、イエスマンで固めた専制政治体制を確立したかに見えていた習近平。
 何が起きているのでしょう!


 # 冒頭の画像は、天津市に駐留する軍隊を訪問した習近平
  「習近平の夢」はまもなく絶望に変わる…「不動産不況」の次にやって来る中国経済の悲劇的な結末 習近平路線のままでは経済破綻は免れない | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)



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