遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

「防衛計画の大綱」見直し中韓報告

2013-07-27 23:56:38 | 日本を護ろう

 政府の「防衛計画の大綱」見直しに向け、自民党が提言を安倍総理に提出し、これを受けて防衛省が中間報告を提出しました。
 産経は、強まる中朝の脅威を念頭に初めて実戦シナリオに基づく必要な防衛力が示されたとしています。
 ポイントは以下。
 ①北朝鮮などの弾道ミサイルへの抑止力としての「敵基地攻撃能力」の保持
 ②尖閣での中国の侵略に備える、「海兵隊機能」の充実と、「無人偵察機」の導入
 ③武器輸出三原則の弾力運用と、防衛生産技術基盤の維持・強化
 ④日米防衛協力指針の見直しを通じたサイバー攻撃対策を強化
 

防衛大綱中間報告 防衛力に実戦シナリオ 対中朝、必要装備を明示 (7/27 産経)

 防衛省が26日に公表した「防衛計画の大綱」見直しに向けた中間報告には、中国と北朝鮮の脅威への指摘がちりばめられた。その上で、中国による離島侵攻や、北朝鮮の弾道ミサイル発射とゲリラ攻撃などを組み合わせた複合事態を想定し、5度目の大綱策定で初めて、実戦シナリオに基づく必要な防衛力が示された
。日増しに高まる中朝の脅威に抑止力と対処能力をいかに高めていくか-。青写真が浮かび上がってきた。

◆戦闘能力を評価
 
「重大な事態へ先鋭化・深刻化する可能性が懸念される」「わが国の安全に対する重大な脅威」
 これらの文言は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の海・空域で繰り返される中国の挑発活動や、弾道ミサイル発射と核実験を重ねる北朝鮮の動向を踏まえたものだ。
 
それに対する自衛隊の備えで何が欠けているのか
が中間報告では提示された。強調しているキーワードは「統合運用を踏まえた能力評価」だ。
 能力評価は、これまで陸海空3自衛隊がバラバラの作戦計画に沿い、導入したい装備を要求していた防衛大綱を一変させる意義があった。
 防衛省は昨年、有事シナリオに基づき3自衛隊の防衛力を一元的に整備する「統合防衛戦略」の策定に着手した。そこで行った中国、北朝鮮との有事シナリオに沿った検証作業を大綱見直しにも援用し、3自衛隊の戦闘能力を評価した。
 その結果、
(1)警戒監視能力の強化(2)島嶼(とうしょ)部攻撃への対応(3)弾道ミサイルやゲリラ・特殊部隊への対応-が防衛力整備の重点項目
として浮上した。
 3項目すべてに
共通する機能が、あらゆる事態の兆候をいちはやくつかむための「目」
だ。中間報告は、米軍の「グローバルホーク」を念頭に無人偵察機の導入検討を明記。
 
警戒監視能力では、中国による人工衛星破壊などを警戒し、弾道ミサイル探知用の地上レーダーFPS5を「宇宙監視」にも活用
する。
 
島嶼部攻撃への対応では海兵隊的機能
が柱だ。離島防衛部隊である陸自西部方面普通科連隊(長崎県)を拡充し、連隊が緊急展開に不可欠な「足」として、水陸両用車AAV7や海自の輸送艦、民間フェリーなどで輸送力を増強する。
 
弾道ミサイル対応では、最新鋭ステルス戦闘機F35Aライトニング2などによる「敵基地攻撃能力」
が課題となる。迎え撃つミサイル防衛(MD)だけではミサイルの一斉発射に対応しきれないからだ。

◆グレーゾーンも
 防衛出動を発令する有事とは認定できないグレーゾーンの事態への備えも欠かせない。「政府の総合的な取り組み」として
警察や海上保安庁との連携強化を訴え、創設が検討されている国家安全保障会議(日本版NSC)の司令塔
機能にも期待感をにじませた。

 中間報告は整備すべき防衛力を網羅した。
 敵基地攻撃能力や海兵隊的機能はアレルギー反応を招きやすいが、防衛省OBは「
観念的な議論で備えを怠れば、もはや国民の生命・財産を守れない」と指摘する。

 自民党の提案では、「集団的自衛権」や「敵基地先制攻撃」が注目され、中でも実現すれば陸海空3自衛隊が初保有することとなる弾道ミサイルの開発研究費の予算化がありました。
 
防衛省 尖閣防衛に短距離弾道ミサイル開発 - 遊爺雑記帳

 今回の報告の報道の中に見られないのは、「敵基地先制攻撃」が、「敵基地攻撃能力」の保持に修正された中に含まれているが報道されていないだけなのか、修正とともに見送られたのかは未明です。
 見送られたとすれば、公明党への配慮すなわち、中韓への配慮なのでしょうか。
 尖閣の中国艦船による上陸作戦への抑止力としても検討された弾道ミサイルの開発研究。中国の米海軍に対する「接近阻止・領域拒否戦略」の逆ミニ版ともいえる抑止力でしたが、行方が気になります。

 これまでの、突っ込み不足のぼんやりした大綱から、実戦の想定から今の自衛隊の備えで何が足りないかを積み上げて完成した大綱中間報告。
 上記の気になる点が、政治的配慮なら百歩譲るとしても、政局への配慮で左右されることが無い実戦に即したもので完成されることを願っています。



 
防衛大綱中間報告詳報 (7/27 産経)

 【安全保障環境】
・世界の平和と安定や経済的繁栄は、各国共通の利益。一国で生じた混乱や安全保障上の問題が直ちに世界に波及するリスクが増大。
・海洋、サイバー、宇宙空間の安定的利用の確保は、国際社会の重要な課題。
・大量破壊兵器や弾道ミサイル拡散が進んでいる。
・アジア太平洋地域の安全保障環境は一層厳しさを増している。
領土や経済権益をめぐるグレーゾーンの事態が顕在化、長期化し、より重大な事態へ先鋭化、深刻化する可能性。
中国は軍事力の急速な近代化を推進。海洋活動を急速に拡大、活発化している。日本領海への断続的な侵入や領空侵犯、海上自衛隊護衛艦への射撃管制レーダー照射など不測の事態を招きかねない危険な行為をしている。わが国を含む地域、国際社会の安全保障上の懸念になっている。
・北朝鮮は大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発を継続。軍事的な挑発的言動を繰り返しており、地域の安全保障にとって重大な不安定要因。
・北朝鮮の弾道ミサイル開発は、新たな段階に入った。比較的短期間のうちに核兵器の小型化、弾頭化の実現に至っている可能性も排除できない。わが国の安全に対する重大な脅威だ。
・米国は戦略重点をアジア太平洋地域に置く方針を明確にしており、地域へのプレゼンス(存在感)を強化していくと考えられる。
・主要国間の大規模武力紛争の蓋然性は引き続き低いが、さまざまな不安定要因が顕在化している。

 【基本方針】
・事態に適切に対処するための計画の策定や見直しを進める。政府全体として抑止力や対処力を高め国民の安全と安心に寄与する。
・地域や世界の安全保障環境の安定化のため積極的に国際平和協力活動に取り組む。政府開発援助(ODA)を含む外交活動をより効果的に実施する。
・PKO参加5原則や一般法、司令官など責任あるポストへの自衛官派遣を視野に入れた制度整備を検討する必要がある。
・1月のアルジェリア人質事件を踏まえ、自衛隊の任務が拡大した場合の対応能力の向上に努める。

 【日米安保体制】
・日米安保体制は日本の安全保障の礎石。日米同盟は、日本だけでなく世界全体の安定と繁栄のための「公共財」。安全保障環境が一層深刻化する中、日米同盟の強化が日本にとってこれまで以上に重要。
・日本自身の能力強化を前提とし、日本が担うべき役割や日米防衛協力指針(ガイドライン)の見直しに関する議論を通じて日米防衛協力を強化する。
・日米共同の訓練、警戒監視、施設・区域の共同使用の拡大を推進。
・在日米軍再編を着実に進め、米軍の抑止力を維持しつつ地元負担を軽減。

 【地域協力】
・日豪、日韓の2国間や日米豪、日米韓の3カ国間の協力を深化。豪州との間で共同訓練による相互運用性の向上を図る。韓国と情報保護に関する枠組みや物品役務相互提供協定(ACSA)を締結し、今後の協力の基盤を確立。
・中国やロシアとの対話や交流を推進する。中国とは連絡メカニズムの早期運用開始などを通じた信頼醸成措置を進めることが重要。

 【国際社会との連携】
・地域紛争、国際テロ、破綻国家や大量破壊兵器の拡散などグローバルな課題に対する取り組みを強化。国際平和協力活動や海賊対処、能力構築支援を積極的に推進。
・北大西洋条約機構(NATO)や欧州諸国との協力を進め、サイバー、宇宙の課題でも連携する。
・国際平和協力活動に自衛隊部隊を積極派遣できるよう、アフリカなど遠隔地での活動も見据えた体制を整備する。

 【各種事態への対応】
・日本の領海、領空から比較的離れた地域での情報収集の点で、現有装備品の能力は不十分。
警戒監視態勢の強化のため高高度滞空型無人機の導入を検討。
・島嶼部への攻撃に対応するためには、航空優勢と海上優勢の確実な維持が不可欠。
機動展開能力や水陸両用機能(海兵隊的機能)の確保が重要。対潜哨戒能力の充実、対艦ミサイルの能力向上について検討する。
・北朝鮮弾道ミサイルの能力向上を受け、抑止、対処能力の強化をあらためて検討し、総合的な対応能力を充実させる必要がある。同時並行的なゲリラ、特殊部隊攻撃の可能性は否定できず、原発など重要施設の防護能力の整備も検討。
・サイバー攻撃からの防衛は単一の組織では困難。省庁間の役割分担のほか米国など友好国や民間企業との協力強化を検討する必要がある。
・米軍などと連携し南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の対応に万全を期す。
・防衛駐在官を含む人的情報収集機能、地理空間情報を含む収集機能、有能な分析要員の確保など情報機能の抜本的強化。
・宇宙状況監視をめぐる米国との連携や、各種衛星の効果的活用に向けた検討を一層深化。
・在外邦人輸送に関し、陸上輸送などの自衛隊任務の拡大に応じて、情報収集、輸送、通信などの必要な対応能力の向上を検討する。

 【防衛力整備】
・自衛隊訓練を効果的に実施し日本の意思と高い練度を示す。日米共同訓練や施設の共同使用で、強固な日米同盟関係を顕示することは抑止力の向上に資する。
・運用基盤である駐屯地、基地の復旧能力を含めた抗堪性を高めることが重要。
・財政事情や装備品の単価上昇を背景に、調達数量は減少傾向。
防衛生産・技術基盤の維持、強化が急務。
・装備品の民間転用や国際競争力強化を含む
防衛産業組織のあり方の検討や関係省庁の連携による産業支援などを推進。防衛生産・技術基盤全体の将来ビジョンを示す戦略を策定する。
・米英などとの
国際共同開発・生産を積極推進。武器輸出三原則の運用が安全保障環境に適合するか検証し、必要な措置を講じる。
・別表は目標とする防衛力の水準を示し、防衛力整備の透明性も確保している。引き続き維持すべきだ。



 # 冒頭の画像は、24日に尖閣の接続水域に侵入した、新組織の「海警2506」




  この花の名前は、バイカオウレン   撮影場所;六甲高山植物園 (2013年 2月)


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Fotolia


続 中国の海洋戦略



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