尖閣諸島周辺の領海や接続水域への中国の「海警」の侵入が続いていました。4月14日から8月2日まで連続で確認され、この間、5月上旬には操業中の日本漁船に接近して追尾。7月4~5日には39時間以上、領海内にとどまったりしていましたが、平成24年9月の尖閣諸島国有化以降、最長となっていた周辺海域での連続航行日数は111日で途切れたことになりました。
海保は「台風4号が接近する場合に備えて出域した可能性がある」との見方を示しているのだそうです。
この中国の侵略行為に対し、二国間の領土問題には関与しないことが原則の米国が、オバマ政権時代のヒラリー・クリントン国務長官(当時)が、日本が実効支配していることを理由に、日米安保条約の適用範囲だと公言し、以後、トランプ政権の今日まで継続されていることは、諸兄がご承知のとおりです。
二国間の領土問題には不介入の米国にしては、珍しい姿勢ですが、実効支配下という条件付での日米同盟適用論。そこで、中国が、実効支配の実績造りの行動を開始し、今日の「海警」による連続侵入や、日本漁船排除に至っているのでした。
ところが、この連続侵入で、日本の実効支配実績が危うくなってきた。自民党の中で、実効支配実績造りの声があがる事態に至り、中国側も、海警の擁護の元での漁船団の侵入を公言するに至っています。
そこで、米国から、「日米統合機動展開部隊」常設構想という、日米同盟適用の積極策が提起され、日本でも準備が開始されているのだそうです。
尖閣周辺に中国公船現れず 連続航行途切れる(産経新聞) - Yahoo!ニュース
米中の「新冷戦時代」に突入した今日、中国の覇権拡大に、米国では与野党が一致して対抗姿勢を強めていますが、大統領選が迫るなか、世論調査で水をあけられているトランプ政府は一段と対中挙行姿勢を強めていますね。
先月23日、ポンペオ国務長官が、西部カリフォルニア州のニクソン大統領記念図書館で行った演説が、トランプ政権の対習近平決別姿勢への転換宣言として注目されたことは諸兄がご承知の通りです。
習近平政権の、南シナ海、東シナ海での覇権拡大への対抗姿勢を強める中、尖閣諸島への中国の進出。そこで劣勢の日本に対し、日米同盟の適用と、実際の抑止力増強の「日米統合機動展開部隊」常設構想が産まれてきたのですね。
日本国内に尖閣諸島防衛のための陸海空3自衛隊を統合した常設の機動展開部隊を創設し、同部隊と在沖海兵隊との連携強化する構想。
米国サイドが一気に「日米統合機動展開部隊」を常設を提案するのは初めての積極策。画期的だと高濱氏。
米有力シンクタンク「ナショナル・ビュロー・オブ・アジアン・リサーチ」が、打ち出した「日米統合機動展開部隊」。
同報告書は、日中関係の現状を以下の様に分析。
「中国は東シナ海での『ニューノーマル』(新常態)の固定化を続けている」
「中国は、尖閣諸島周辺で連日のように準軍事活動を続けることでこの紛争水域が自国の領海だとの主張をデモンストレーションしている」
「また中国人民解放軍は、東シナ海およびその延長水域で『接近阻止・領域拒否』(A2/AD)能力強化を図っている」
「短期的にみると、この紛争水域で軍事衝突が起こる可能性は低い。軍事衝突を起こせば、日米同盟と日本自身の防衛力と対決することは中国にとって高くつくと判断しているからだ」
「だが長期的にみれば、その可能性を完全に否定することはできない」
「尖閣諸島周辺での日中の準軍事活動は中国の方が優っている」
「2016年8月以降、中国の海警局巡視船5隻に護衛された漁船200隻以上が尖閣諸島周辺で操業。海警局の巡視船の規模は日本の海上保安庁の巡視船の規模よりも常に優っている」
「日本が新型コロナウイルス対策で手一杯ななか、中国は2020年5月には3日間にわたり、日本漁船の追尾・監視活動を強化し、日本漁船がこの海域で操業するのは『違法行為』と初めて公言し始めた」
「さらに中国は2020年、尖閣諸島付近に航行するロシア海軍と数回にわたり無線交信するなどこの水域が中国領海であることを対外的にも宣伝し始めている」
「準軍事活動から軍事活動にエスカレートさせないためにも軍事バランスと抑止力は不可欠になってくる」
「日米間の協力を改善強化する新しい構造の一つの選択肢として、我々は『日米統合機動展開部隊』の常設を考えついた」
「同部隊の常設は、日米が共有する危機発生前の計画を拡充する手段である」
と、報告書を作成した、日米軍事専門家5人が行ったラウンドテーブル形式の議論の座長のグリーナート退役海軍大将。
まず陸海空3自衛隊による「機動展開部隊」を常設したうえで同部隊が今回公表された「日米統合機動展開部隊」とどのようにドッキングするのか。
中国人民解放軍の露骨な尖閣諸島への「領海侵犯」に米国側から具体的な日米共同防衛体制強化策が出された。
日米安保条約第5条が実際に適用され、米軍が尖閣諸島防衛を日本と一緒に尖閣諸島を守ろうではないか、と言っている意義は計り知れないものがあると、高濱氏。
なぜ、米国はそれほど尖閣諸島防衛に真剣に取り組み始めたのか。
理由は2つある。
一つは、米国が推進している『インド洋太平洋地域戦略』にとって尖閣諸島は太平洋戦争当時の硫黄島と同じ。米中にとっては尖閣諸島はどちらも譲れぬシンボル的存在になってきたこと。しかも最も重要な同盟国・日本と直接関わり合いを持つ領有権問題。米国としてもどうしても譲るわけにはいかないからだと。
もう一つは、これも米国にとっての大義名分になっている台湾防衛にとって、尖閣諸島は橋頭保のような存在であること。
米国が中国の尖閣諸島ルートを阻止するのは台湾防衛で死活的重要性を持っているのだそうです。
新型コロナウイルス対応で内向きになっている安倍晋三政権の尻を叩くような米シンクタンクの提言。
「米中冷戦」は米国を尖閣諸島防衛にまで踏み切らせるまでに厳しさを増していると、高濱氏。
アメリカが遂に日本政界の媚中派(二階氏や今井氏など)を名指し批判するに至っています。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-94075.php
武漢肺炎の世界中の感染拡大の元となったこと。香港の「一国二制度」の約束を破り中断したこと。ウイグルなどの人権問題。腰の重かった欧州諸国も腰をあげた対中包囲網。
尖閣で侵略を受けているのに、習近平を国賓で招くことを止めようしない日本。天安門事件で世界が制裁網をしくなか、天皇の政治利用でその網に穴を開けた日本の失政が、いままた繰り返されかねない日本。
肝心の日本より、米国のほうが心配して動き始めてくれているのですね。
自民党内で始動している、尖閣の実効支配実績造り。
大漁船団で押し掛けると通達してきた中国がくるまでに、世界にその無法な侵略を衆知させ、実績造り行動を開始せねばなりません。残された時間は僅か。
「日米統合機動展開部隊」常設構想実現が間に合うといいのですが。
# 冒頭の画像は、『日米統合機動展開部隊』イメージ画像
この花の名前は、キンシバイ
↓よろしかったら、お願いします。
海保は「台風4号が接近する場合に備えて出域した可能性がある」との見方を示しているのだそうです。
この中国の侵略行為に対し、二国間の領土問題には関与しないことが原則の米国が、オバマ政権時代のヒラリー・クリントン国務長官(当時)が、日本が実効支配していることを理由に、日米安保条約の適用範囲だと公言し、以後、トランプ政権の今日まで継続されていることは、諸兄がご承知のとおりです。
二国間の領土問題には不介入の米国にしては、珍しい姿勢ですが、実効支配下という条件付での日米同盟適用論。そこで、中国が、実効支配の実績造りの行動を開始し、今日の「海警」による連続侵入や、日本漁船排除に至っているのでした。
ところが、この連続侵入で、日本の実効支配実績が危うくなってきた。自民党の中で、実効支配実績造りの声があがる事態に至り、中国側も、海警の擁護の元での漁船団の侵入を公言するに至っています。
そこで、米国から、「日米統合機動展開部隊」常設構想という、日米同盟適用の積極策が提起され、日本でも準備が開始されているのだそうです。
尖閣周辺に中国公船現れず 連続航行途切れる(産経新聞) - Yahoo!ニュース
米国、ついに尖閣防衛に積極関与へ 「日米統合機動展開部隊」常設構想が急浮上 | JBpress(Japan Business Press) 2020.8.5(水) 高濱 賛
コロナ禍に乗じ中国の準軍事活動活発化
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う社会混乱に乗じた中国の自国に有利な国際秩序の形成や影響力の拡大が目立っている。
そうした中で尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での多数の漁船と公船による領海侵入、さらには日本漁船を「中国領海での違法操業」と明言、「法に基づき追尾・監視する」とまで言い出した。
習近平政権による露骨な尖閣諸島をめぐる領有権主張がエスカレートしていることを示す証左だ。
こうした中国の動きに米国は強い警戒心を見せている。
というのも米国は尖閣諸島は日本の施政の下にある領域であり、日米安保条約第5条の適用範囲だとの認識を持っているからだ。
直近では、2017年2月に訪日したジェームス・マティス国防長官(当時)がこの点を明確に再確認、中国を念頭に「米国は尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と強調している。
中国の尖閣諸島への威嚇行動が続く最中、米有力シンクタンク「ナショナル・ビュロー・オブ・アジアン・リサーチ」*1(National Bureau of Asian Research=NBR、全米アジア研究所、ロイ・カムパウザン理事長)が尖閣諸島防衛のための「日米統合機動展開部隊」常設構想を打ち出した。
日本国内には尖閣諸島防衛のための陸海空3自衛隊を統合した常設の機動展開部隊を創設し、同部隊と在沖海兵隊との連携強化する構想*2がある。
しかし、米国サイドが一気に「日米統合機動展開部隊」を常設を提案するのは初めて。画期的だ。
*1=NBRは1989年に設立されたアジア情勢などを専門的調査研究する超党派シンクタンク(本部ワシントン州シアトル)で、理事長のカムパウザン氏は退役陸軍将校。米国防長官室中国政策部長、統合参謀本部議長付対中戦略官、駐北京米大使館武官などを歴任したこともある中国通。現在米議会委員会の一つ、米中経済安全保障検討委員会委員長を務めている。
*2=参考:「南西諸島方面の防衛態勢に関する一考察~常設統合機動展開部隊の創設を中心として~」、岡崎研究所理事、金田秀昭、笹川平和財団、海洋政策研究所( https://www.spf.org/opri/newsletter/253_3.html )
座長は元第7艦隊司令官・米海軍作戦部長
「日米統合機動展開部隊」常設構想は、同シンクタンクが7月に公表した「Navigating Contested Waters: U.S.-Japan Alliance Coordination in the East China Sea」(紛争水域航行:東シナ海における日米同盟共同活動)で提案されている。
( https://www.nbr.org/publication/navigating-contested-waters-introduction/ )
報告書は日米軍事専門家5人が行ったラウンドテーブル形式の議論を踏まえて作成された。
米側からは座長のジョナソン・グリーナート退役海軍大将(元米第7艦隊司令官、米海軍作戦部長)、ジョン・ニーマイヤー前在日米海軍司令官政治顧問、クリスティン・シェンク米国防総省戦略・政策分析官。
日本側からは武居智久元海上幕僚長(米海軍大学教授、米海軍作戦部長特別フェロー)、小谷哲男・明海大学教授(日本国際問題研究所主任研究員、米国戦略国際問題研究所=CSIS=日本部招聘研究員)。
顔ぶれを見ただけで尖閣諸島を含む東シナ海の軍事情勢に精通した面々であることが分かる。
同報告書は、現在の日中関係についてこう指摘している。
「日中両国は二国間の関係を安定化させ、改善させる努力をしている。そのさなか、中国は東シナ海での『ニューノーマル』(新常態)の固定化を続けている」
「中国は、尖閣諸島周辺で連日のように準軍事活動を続けることでこの紛争水域が自国の領海だとの主張をデモンストレーションしている」
「また中国人民解放軍は、東シナ海およびその延長水域で『接近阻止・領域拒否』(A2/AD)能力強化を図っている」
「短期的にみると、この紛争水域で軍事衝突が起こる可能性は低い。軍事衝突を起こせば、日米同盟と日本自身の防衛力と対決することは中国にとって高くつくと判断しているからだ」
「だが長期的にみれば、その可能性を完全に否定することはできない」
「なぜならば中国は2035年までには軍事力の近代化を達成し、21世紀中葉には世界最大級の軍事大国になることを目指しているからだ」
同報告書は、新型コロナウイルス禍での中国の動きについてこう分析している。
「尖閣諸島周辺での日中の準軍事活動は中国の方が優っている」
「2016年8月以降、中国の海警局巡視船5隻に護衛された漁船200隻以上が尖閣諸島周辺で操業。海警局の巡視船の規模は日本の海上保安庁の巡視船の規模よりも常に優っている」
「日本が新型コロナウイルス対策で手一杯ななか、中国は2020年5月には3日間にわたり、日本漁船の追尾・監視活動を強化し、日本漁船がこの海域で操業するのは『違法行為』と初めて公言し始めた」
「さらに中国は2020年、尖閣諸島付近に航行するロシア海軍と数回にわたり無線交信するなどこの水域が中国領海であることを対外的にも宣伝し始めている」
「日本の海上保安庁は、尖閣諸島が日本の施政下にあることを今後も引き続き主張し、中国がこれに反発すれば当然武力衝突となり、中国海軍の出動といった事態を招くだろう」
「その結果、尖閣諸島周辺をめぐる軍事衝突となる可能性は十分あり得る」
「準軍事活動から軍事活動にエスカレートさせないためにも軍事バランスと抑止力は不可欠になってくる」
東シナ海のニューノーマル化断固阻止
座長のグリーナート退役海軍大将は同報告書作成の狙いについてこう言及している。
「このラウンドテーブルではこうした中国の動きに日米両国が二国間の対応メカニズムをいかに強化するか、その潜在的なフレームワークと概念について討論した」
「日米間の協力を改善強化する新しい構造の一つの選択肢として、我々は『日米統合機動展開部隊』の常設を考えついた」
「同部隊の常設は、日米が共有する危機発生前の計画を拡充する手段である」
討論に際して日本側から出席した小谷氏は、尖閣諸島周辺における中国の軍事、準軍事活動の現状について分析。
中国が尖閣諸島周辺の現状(Status quo)を一気に変更しようとする独断的行動をとり、『ニューノーマル』な状況を作り出そうとしている実態について論じている。
これを受けて武居氏は、尖閣諸島周辺で起こりうる潜在的な衝突をはじめとする『グレー・ゾーン』(想定しづらい)シナリオでの日米両国の政策について分析、日米による統合行動をいかにしたら改善・強化できるかについての提言をしている。
『日米統合機動展開部隊』常設構想を最初に提案したのは、ニーマイヤー氏だった。
同氏は、尖閣諸島周辺における仮定に基づいたグレー・ゾーン的な不測の事態に直面した日米の対応について分析、『日米統合機動展開部隊』はどのような構成で機能するかについて言及している。
「大中華帝国」復活が「中国の夢」
シェンク氏は、『日米統合機動展開部隊』の常設に中国がどのような対抗策を取ってくるかを検討することの重要性について強調している。
シェンク氏は、こう指摘している。
「中国がなぜ尖閣諸島の領有権をはじめ、南シナ海、東シナ海における海洋権益をこれほど主張するのか」
「それはかっての『大中華帝国』の復活こそが『チャイニース・ドリーム』だからだ」
「(習近平国家主席の)中国は、その夢を実現させることこそが国力をつけ、東アジア・太平洋地域覇権、そして世界制覇実現に不可欠だと考えているのだ」
グリーナート氏はこうした論議を踏まえて、『日米統合機動展開部隊』常設構想を軸に尖閣諸島周辺における日米の統合・統一対応策について両国の政府内外の軍事政策立案者たちが活発な論議を繰り広げるよう求めている。
前述の金田氏はその論文で、存続の部隊や装備を機能転換することで陸海空3自衛隊を統合した「機動展開部隊」を常設することを提案している。
また将来的には在沖米軍基地の県外、国外移駐を含む米海兵隊の迅速な機動展開の可能性にまで言及している。
まず陸海空3自衛隊による「機動展開部隊」を常設したうえで同部隊が今回公表された「日米統合機動展開部隊」とどのようにドッキングするのか。
中国人民解放軍の露骨な尖閣諸島への「領海侵犯」に米国側から具体的な日米共同防衛体制強化策が出されたのだ。
日米安保条約第5条が実際に適用され、米軍が尖閣諸島防衛を日本と一緒に尖閣諸島を守ろうではないか、と言っている意義は計り知れないものがある。
なぜ、米国はそれほど尖閣諸島防衛に真剣に取り組み始めたのだろうか。
リチャード・ニクソン第37代大統領時代の「ニクソン・ドクトリン」以降の米国アジア戦略を研究してきた日本のシンクタンク研究員の一人、W氏はこう言い切っている。
「理由は2つある。一つは、米国が推進している『インド洋太平洋地域戦略』にとって尖閣諸島は太平洋戦争当時の硫黄島と同じ。米中にとっては尖閣諸島はどちらも譲れぬシンボル的存在になってきた」
「尖閣諸島が万一中国の手に落ちるようなことがあれば、中国包囲網にとっての橋頭保を失うようなものだ」
「しかも最も重要な同盟国・日本と直接関わり合いを持つ領有権問題。米国としてもどうしても譲るわけにはいかないからだ」
「もう一つは、これも米国にとっての大義名分になっている台湾防衛にとって、尖閣諸島は橋頭保のような存在だ」
「中国は台湾攻撃をする場合は、西側に比べ防衛態勢が脆弱な東側を狙う公算大だ。その攻撃ルート、特に潜水艦による攻撃ルートにとって尖閣諸島周辺海域からの台湾へのアプローチは最適なのだ」
「米国が中国の尖閣諸島ルートを阻止するのは台湾防衛で死活的重要性を持っている」
新型コロナウイルス対応で内向きになっている安倍晋三政権の尻を叩くような米シンクタンクの提言。
「米中冷戦」は米国を尖閣諸島防衛にまで踏み切らせるまでに厳しさを増している。
コロナ禍に乗じ中国の準軍事活動活発化
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う社会混乱に乗じた中国の自国に有利な国際秩序の形成や影響力の拡大が目立っている。
そうした中で尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での多数の漁船と公船による領海侵入、さらには日本漁船を「中国領海での違法操業」と明言、「法に基づき追尾・監視する」とまで言い出した。
習近平政権による露骨な尖閣諸島をめぐる領有権主張がエスカレートしていることを示す証左だ。
こうした中国の動きに米国は強い警戒心を見せている。
というのも米国は尖閣諸島は日本の施政の下にある領域であり、日米安保条約第5条の適用範囲だとの認識を持っているからだ。
直近では、2017年2月に訪日したジェームス・マティス国防長官(当時)がこの点を明確に再確認、中国を念頭に「米国は尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と強調している。
中国の尖閣諸島への威嚇行動が続く最中、米有力シンクタンク「ナショナル・ビュロー・オブ・アジアン・リサーチ」*1(National Bureau of Asian Research=NBR、全米アジア研究所、ロイ・カムパウザン理事長)が尖閣諸島防衛のための「日米統合機動展開部隊」常設構想を打ち出した。
日本国内には尖閣諸島防衛のための陸海空3自衛隊を統合した常設の機動展開部隊を創設し、同部隊と在沖海兵隊との連携強化する構想*2がある。
しかし、米国サイドが一気に「日米統合機動展開部隊」を常設を提案するのは初めて。画期的だ。
*1=NBRは1989年に設立されたアジア情勢などを専門的調査研究する超党派シンクタンク(本部ワシントン州シアトル)で、理事長のカムパウザン氏は退役陸軍将校。米国防長官室中国政策部長、統合参謀本部議長付対中戦略官、駐北京米大使館武官などを歴任したこともある中国通。現在米議会委員会の一つ、米中経済安全保障検討委員会委員長を務めている。
*2=参考:「南西諸島方面の防衛態勢に関する一考察~常設統合機動展開部隊の創設を中心として~」、岡崎研究所理事、金田秀昭、笹川平和財団、海洋政策研究所( https://www.spf.org/opri/newsletter/253_3.html )
座長は元第7艦隊司令官・米海軍作戦部長
「日米統合機動展開部隊」常設構想は、同シンクタンクが7月に公表した「Navigating Contested Waters: U.S.-Japan Alliance Coordination in the East China Sea」(紛争水域航行:東シナ海における日米同盟共同活動)で提案されている。
( https://www.nbr.org/publication/navigating-contested-waters-introduction/ )
報告書は日米軍事専門家5人が行ったラウンドテーブル形式の議論を踏まえて作成された。
米側からは座長のジョナソン・グリーナート退役海軍大将(元米第7艦隊司令官、米海軍作戦部長)、ジョン・ニーマイヤー前在日米海軍司令官政治顧問、クリスティン・シェンク米国防総省戦略・政策分析官。
日本側からは武居智久元海上幕僚長(米海軍大学教授、米海軍作戦部長特別フェロー)、小谷哲男・明海大学教授(日本国際問題研究所主任研究員、米国戦略国際問題研究所=CSIS=日本部招聘研究員)。
顔ぶれを見ただけで尖閣諸島を含む東シナ海の軍事情勢に精通した面々であることが分かる。
同報告書は、現在の日中関係についてこう指摘している。
「日中両国は二国間の関係を安定化させ、改善させる努力をしている。そのさなか、中国は東シナ海での『ニューノーマル』(新常態)の固定化を続けている」
「中国は、尖閣諸島周辺で連日のように準軍事活動を続けることでこの紛争水域が自国の領海だとの主張をデモンストレーションしている」
「また中国人民解放軍は、東シナ海およびその延長水域で『接近阻止・領域拒否』(A2/AD)能力強化を図っている」
「短期的にみると、この紛争水域で軍事衝突が起こる可能性は低い。軍事衝突を起こせば、日米同盟と日本自身の防衛力と対決することは中国にとって高くつくと判断しているからだ」
「だが長期的にみれば、その可能性を完全に否定することはできない」
「なぜならば中国は2035年までには軍事力の近代化を達成し、21世紀中葉には世界最大級の軍事大国になることを目指しているからだ」
同報告書は、新型コロナウイルス禍での中国の動きについてこう分析している。
「尖閣諸島周辺での日中の準軍事活動は中国の方が優っている」
「2016年8月以降、中国の海警局巡視船5隻に護衛された漁船200隻以上が尖閣諸島周辺で操業。海警局の巡視船の規模は日本の海上保安庁の巡視船の規模よりも常に優っている」
「日本が新型コロナウイルス対策で手一杯ななか、中国は2020年5月には3日間にわたり、日本漁船の追尾・監視活動を強化し、日本漁船がこの海域で操業するのは『違法行為』と初めて公言し始めた」
「さらに中国は2020年、尖閣諸島付近に航行するロシア海軍と数回にわたり無線交信するなどこの水域が中国領海であることを対外的にも宣伝し始めている」
「日本の海上保安庁は、尖閣諸島が日本の施政下にあることを今後も引き続き主張し、中国がこれに反発すれば当然武力衝突となり、中国海軍の出動といった事態を招くだろう」
「その結果、尖閣諸島周辺をめぐる軍事衝突となる可能性は十分あり得る」
「準軍事活動から軍事活動にエスカレートさせないためにも軍事バランスと抑止力は不可欠になってくる」
東シナ海のニューノーマル化断固阻止
座長のグリーナート退役海軍大将は同報告書作成の狙いについてこう言及している。
「このラウンドテーブルではこうした中国の動きに日米両国が二国間の対応メカニズムをいかに強化するか、その潜在的なフレームワークと概念について討論した」
「日米間の協力を改善強化する新しい構造の一つの選択肢として、我々は『日米統合機動展開部隊』の常設を考えついた」
「同部隊の常設は、日米が共有する危機発生前の計画を拡充する手段である」
討論に際して日本側から出席した小谷氏は、尖閣諸島周辺における中国の軍事、準軍事活動の現状について分析。
中国が尖閣諸島周辺の現状(Status quo)を一気に変更しようとする独断的行動をとり、『ニューノーマル』な状況を作り出そうとしている実態について論じている。
これを受けて武居氏は、尖閣諸島周辺で起こりうる潜在的な衝突をはじめとする『グレー・ゾーン』(想定しづらい)シナリオでの日米両国の政策について分析、日米による統合行動をいかにしたら改善・強化できるかについての提言をしている。
『日米統合機動展開部隊』常設構想を最初に提案したのは、ニーマイヤー氏だった。
同氏は、尖閣諸島周辺における仮定に基づいたグレー・ゾーン的な不測の事態に直面した日米の対応について分析、『日米統合機動展開部隊』はどのような構成で機能するかについて言及している。
「大中華帝国」復活が「中国の夢」
シェンク氏は、『日米統合機動展開部隊』の常設に中国がどのような対抗策を取ってくるかを検討することの重要性について強調している。
シェンク氏は、こう指摘している。
「中国がなぜ尖閣諸島の領有権をはじめ、南シナ海、東シナ海における海洋権益をこれほど主張するのか」
「それはかっての『大中華帝国』の復活こそが『チャイニース・ドリーム』だからだ」
「(習近平国家主席の)中国は、その夢を実現させることこそが国力をつけ、東アジア・太平洋地域覇権、そして世界制覇実現に不可欠だと考えているのだ」
グリーナート氏はこうした論議を踏まえて、『日米統合機動展開部隊』常設構想を軸に尖閣諸島周辺における日米の統合・統一対応策について両国の政府内外の軍事政策立案者たちが活発な論議を繰り広げるよう求めている。
前述の金田氏はその論文で、存続の部隊や装備を機能転換することで陸海空3自衛隊を統合した「機動展開部隊」を常設することを提案している。
また将来的には在沖米軍基地の県外、国外移駐を含む米海兵隊の迅速な機動展開の可能性にまで言及している。
まず陸海空3自衛隊による「機動展開部隊」を常設したうえで同部隊が今回公表された「日米統合機動展開部隊」とどのようにドッキングするのか。
中国人民解放軍の露骨な尖閣諸島への「領海侵犯」に米国側から具体的な日米共同防衛体制強化策が出されたのだ。
日米安保条約第5条が実際に適用され、米軍が尖閣諸島防衛を日本と一緒に尖閣諸島を守ろうではないか、と言っている意義は計り知れないものがある。
なぜ、米国はそれほど尖閣諸島防衛に真剣に取り組み始めたのだろうか。
リチャード・ニクソン第37代大統領時代の「ニクソン・ドクトリン」以降の米国アジア戦略を研究してきた日本のシンクタンク研究員の一人、W氏はこう言い切っている。
「理由は2つある。一つは、米国が推進している『インド洋太平洋地域戦略』にとって尖閣諸島は太平洋戦争当時の硫黄島と同じ。米中にとっては尖閣諸島はどちらも譲れぬシンボル的存在になってきた」
「尖閣諸島が万一中国の手に落ちるようなことがあれば、中国包囲網にとっての橋頭保を失うようなものだ」
「しかも最も重要な同盟国・日本と直接関わり合いを持つ領有権問題。米国としてもどうしても譲るわけにはいかないからだ」
「もう一つは、これも米国にとっての大義名分になっている台湾防衛にとって、尖閣諸島は橋頭保のような存在だ」
「中国は台湾攻撃をする場合は、西側に比べ防衛態勢が脆弱な東側を狙う公算大だ。その攻撃ルート、特に潜水艦による攻撃ルートにとって尖閣諸島周辺海域からの台湾へのアプローチは最適なのだ」
「米国が中国の尖閣諸島ルートを阻止するのは台湾防衛で死活的重要性を持っている」
新型コロナウイルス対応で内向きになっている安倍晋三政権の尻を叩くような米シンクタンクの提言。
「米中冷戦」は米国を尖閣諸島防衛にまで踏み切らせるまでに厳しさを増している。
米中の「新冷戦時代」に突入した今日、中国の覇権拡大に、米国では与野党が一致して対抗姿勢を強めていますが、大統領選が迫るなか、世論調査で水をあけられているトランプ政府は一段と対中挙行姿勢を強めていますね。
先月23日、ポンペオ国務長官が、西部カリフォルニア州のニクソン大統領記念図書館で行った演説が、トランプ政権の対習近平決別姿勢への転換宣言として注目されたことは諸兄がご承知の通りです。
習近平政権の、南シナ海、東シナ海での覇権拡大への対抗姿勢を強める中、尖閣諸島への中国の進出。そこで劣勢の日本に対し、日米同盟の適用と、実際の抑止力増強の「日米統合機動展開部隊」常設構想が産まれてきたのですね。
日本国内に尖閣諸島防衛のための陸海空3自衛隊を統合した常設の機動展開部隊を創設し、同部隊と在沖海兵隊との連携強化する構想。
米国サイドが一気に「日米統合機動展開部隊」を常設を提案するのは初めての積極策。画期的だと高濱氏。
米有力シンクタンク「ナショナル・ビュロー・オブ・アジアン・リサーチ」が、打ち出した「日米統合機動展開部隊」。
同報告書は、日中関係の現状を以下の様に分析。
「中国は東シナ海での『ニューノーマル』(新常態)の固定化を続けている」
「中国は、尖閣諸島周辺で連日のように準軍事活動を続けることでこの紛争水域が自国の領海だとの主張をデモンストレーションしている」
「また中国人民解放軍は、東シナ海およびその延長水域で『接近阻止・領域拒否』(A2/AD)能力強化を図っている」
「短期的にみると、この紛争水域で軍事衝突が起こる可能性は低い。軍事衝突を起こせば、日米同盟と日本自身の防衛力と対決することは中国にとって高くつくと判断しているからだ」
「だが長期的にみれば、その可能性を完全に否定することはできない」
「尖閣諸島周辺での日中の準軍事活動は中国の方が優っている」
「2016年8月以降、中国の海警局巡視船5隻に護衛された漁船200隻以上が尖閣諸島周辺で操業。海警局の巡視船の規模は日本の海上保安庁の巡視船の規模よりも常に優っている」
「日本が新型コロナウイルス対策で手一杯ななか、中国は2020年5月には3日間にわたり、日本漁船の追尾・監視活動を強化し、日本漁船がこの海域で操業するのは『違法行為』と初めて公言し始めた」
「さらに中国は2020年、尖閣諸島付近に航行するロシア海軍と数回にわたり無線交信するなどこの水域が中国領海であることを対外的にも宣伝し始めている」
「準軍事活動から軍事活動にエスカレートさせないためにも軍事バランスと抑止力は不可欠になってくる」
「日米間の協力を改善強化する新しい構造の一つの選択肢として、我々は『日米統合機動展開部隊』の常設を考えついた」
「同部隊の常設は、日米が共有する危機発生前の計画を拡充する手段である」
と、報告書を作成した、日米軍事専門家5人が行ったラウンドテーブル形式の議論の座長のグリーナート退役海軍大将。
まず陸海空3自衛隊による「機動展開部隊」を常設したうえで同部隊が今回公表された「日米統合機動展開部隊」とどのようにドッキングするのか。
中国人民解放軍の露骨な尖閣諸島への「領海侵犯」に米国側から具体的な日米共同防衛体制強化策が出された。
日米安保条約第5条が実際に適用され、米軍が尖閣諸島防衛を日本と一緒に尖閣諸島を守ろうではないか、と言っている意義は計り知れないものがあると、高濱氏。
なぜ、米国はそれほど尖閣諸島防衛に真剣に取り組み始めたのか。
理由は2つある。
一つは、米国が推進している『インド洋太平洋地域戦略』にとって尖閣諸島は太平洋戦争当時の硫黄島と同じ。米中にとっては尖閣諸島はどちらも譲れぬシンボル的存在になってきたこと。しかも最も重要な同盟国・日本と直接関わり合いを持つ領有権問題。米国としてもどうしても譲るわけにはいかないからだと。
もう一つは、これも米国にとっての大義名分になっている台湾防衛にとって、尖閣諸島は橋頭保のような存在であること。
米国が中国の尖閣諸島ルートを阻止するのは台湾防衛で死活的重要性を持っているのだそうです。
新型コロナウイルス対応で内向きになっている安倍晋三政権の尻を叩くような米シンクタンクの提言。
「米中冷戦」は米国を尖閣諸島防衛にまで踏み切らせるまでに厳しさを増していると、高濱氏。
アメリカが遂に日本政界の媚中派(二階氏や今井氏など)を名指し批判するに至っています。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-94075.php
武漢肺炎の世界中の感染拡大の元となったこと。香港の「一国二制度」の約束を破り中断したこと。ウイグルなどの人権問題。腰の重かった欧州諸国も腰をあげた対中包囲網。
尖閣で侵略を受けているのに、習近平を国賓で招くことを止めようしない日本。天安門事件で世界が制裁網をしくなか、天皇の政治利用でその網に穴を開けた日本の失政が、いままた繰り返されかねない日本。
肝心の日本より、米国のほうが心配して動き始めてくれているのですね。
自民党内で始動している、尖閣の実効支配実績造り。
大漁船団で押し掛けると通達してきた中国がくるまでに、世界にその無法な侵略を衆知させ、実績造り行動を開始せねばなりません。残された時間は僅か。
「日米統合機動展開部隊」常設構想実現が間に合うといいのですが。
# 冒頭の画像は、『日米統合機動展開部隊』イメージ画像
この花の名前は、キンシバイ
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