中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の最新スマートフォン(スマホ)が話題を呼んでいる。だがそこから見えてくるのは、技術分野が分断される中での中国の展望と課題だと、ジャッキー・ウォン。
ファーウェイがひっそりと発表した高速通信規格5G並みの速度と機能を持つ新型スマホ「Mate 60 Pro」に皆驚いたと、ジャッキー・ウォン。
米国がファーウェイを先端半導体の禁輸対象とした2019年以降、同社は主に4Gスマホを販売してきた。調査会社カウンターポイント・リサーチによると、この制裁発動当時、ファーウェイは世界のスマホ市場の12%を占めていた。だがその後シェアは低下し、昨年は2%まで落ち込んだのだそうです。
テックインサイツによると、「Mate 60 Pro」を製造したのはおそらく中国のファウンドリー(半導体受託製造)大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)だと。
7nmは最新の技術より数世代遅れている。それでも、中国の半導体メーカーが直面している制約を考えれば、これは大きな進歩だと、ジャッキー・ウォン。
SMICは最先端の極端紫外線(EUV)露光装置は入手できない。
今回の新型スマホは、米国の制裁がいかに中国政府と業界を共通の目標に向かって団結させたかを示していると、ジャッキー・ウォン。
とはいえ、ファーウェイとSMICがマルチパターニング技術を用いて進化させられるのは、せいぜいあと1世代だろう。両社は最先端の半導体製造装置を入手するのが困難で、それ以上の進化は難しそうだとも。
規制はおそらくさらに厳しくなるだろう。中国は半導体のみならず、いずれその製造装置も自国で製造せざるを得なくなるかもしれない。一方、TSMCなど業界大手は進化を続け、中国との差を広げているのだそうです。
ファーウェイの最新スマホは、米国の制裁に直面している中国企業にとって大きな成果だ。だが中国の半導体業界とより大きなテクノロジーのエコシステムは当分、米国やその友好国の背中を追う運命にあるようだと、ジャッキー・ウォン。
半導体の開発競争もさることながら、半導体製造装置は、米日伊の3ヵ国が、米国の主導で対中禁輸していますので、中国が国産で技術が追いつくには、時間がかかりそうとは諸兄がご承知の通り。
しかし、中国はこれまで、日本から人や技術を盗み出し追いついてきたのも衆知のこと。
米日伊の更なる技術進化と機密保持とが求められますね。
# 冒頭の画像は、半導体輸出規制の日本の位置
この花の名前は、ムラサキ
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ファーウェイの新スマホが示す中国の限界 - WSJ 2023年 9月 8日 ジャッキー・ウォン
中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の最新スマートフォン(スマホ)が話題を呼んでいる。だがそこから見えてくるのは、技術分野が分断される中での中国の展望と課題だ。
ファーウェイがひっそりと発表した高速通信規格5G並みの速度と機能を持つ新型スマホ「Mate 60 Pro」に皆驚いた。米国がファーウェイを先端半導体の禁輸対象とした2019年以降、同社は主に4Gスマホを販売してきた。調査会社カウンターポイント・リサーチによると、この制裁発動当時、ファーウェイは世界のスマホ市場の12%を占めていた。だがその後シェアは低下し、昨年は2%まで落ち込んだ。この数字には格安スマホ部門「栄耀(オナー)」は含まれていない。ファーウェイは制裁の影響もあり、オナーを21年に売却した。
「Mate 60 Pro」の発売はファーウェイと中国の半導体業界にとって喜ばしいことだ。業界調査会社テックインサイツが分解して調べたところ、内蔵されているメインのチップは、7ナノメートル(nm)プロセスに相当する技術で作られている。テックインサイツによると、製造したのはおそらく中国のファウンドリー(半導体受託製造)大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)だ。
7nmは最新の技術より数世代遅れている。半導体ファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)はすでに3nmチップを量産している。それでも、中国の半導体メーカーが直面している制約を考えれば、これは大きな進歩だ。
SMICは最先端の極端紫外線(EUV)露光装置は入手できないが、先端半導体の製造に旧式の装置を使うことは可能で、おそらくマルチパターニング技術を用いている。ただこのプロセスはコストが高い上、歩留まりが悪い可能性がある。それでも今回の新型スマホは、米国の制裁がいかに中国政府と業界を共通の目標に向かって団結させたかを示している。
とはいえ、ファーウェイとSMICがマルチパターニング技術を用いて進化させられるのは、せいぜいあと1世代だろう。両社は最先端の半導体製造装置を入手するのが困難で、それ以上の進化は難しそうだ。
制裁は一部の旧式装置も対象となるよう強化されている。規制はおそらくさらに厳しくなるだろう。中国は半導体のみならず、いずれその製造装置も自国で製造せざるを得なくなるかもしれない。一方、TSMCなど業界大手は進化を続け、中国との差を広げている。
ファーウェイの最新スマホは、米国の制裁に直面している中国企業にとって大きな成果だ。だが中国の半導体業界とより大きなテクノロジーのエコシステムは当分、米国やその友好国の背中を追う運命にあるようだ。
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ジャッキー・ウォン ウォールストリートジャーナル レポーター
香港を拠点とするハード・オン・ザ・ストリートのコラムニストです。彼はアジアのテクノロジー、小売、不動産セクターをカバーしています。以前は、香港のジャーナルのマーケットトークレポーターでした。
中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の最新スマートフォン(スマホ)が話題を呼んでいる。だがそこから見えてくるのは、技術分野が分断される中での中国の展望と課題だ。
ファーウェイがひっそりと発表した高速通信規格5G並みの速度と機能を持つ新型スマホ「Mate 60 Pro」に皆驚いた。米国がファーウェイを先端半導体の禁輸対象とした2019年以降、同社は主に4Gスマホを販売してきた。調査会社カウンターポイント・リサーチによると、この制裁発動当時、ファーウェイは世界のスマホ市場の12%を占めていた。だがその後シェアは低下し、昨年は2%まで落ち込んだ。この数字には格安スマホ部門「栄耀(オナー)」は含まれていない。ファーウェイは制裁の影響もあり、オナーを21年に売却した。
「Mate 60 Pro」の発売はファーウェイと中国の半導体業界にとって喜ばしいことだ。業界調査会社テックインサイツが分解して調べたところ、内蔵されているメインのチップは、7ナノメートル(nm)プロセスに相当する技術で作られている。テックインサイツによると、製造したのはおそらく中国のファウンドリー(半導体受託製造)大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)だ。
7nmは最新の技術より数世代遅れている。半導体ファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)はすでに3nmチップを量産している。それでも、中国の半導体メーカーが直面している制約を考えれば、これは大きな進歩だ。
SMICは最先端の極端紫外線(EUV)露光装置は入手できないが、先端半導体の製造に旧式の装置を使うことは可能で、おそらくマルチパターニング技術を用いている。ただこのプロセスはコストが高い上、歩留まりが悪い可能性がある。それでも今回の新型スマホは、米国の制裁がいかに中国政府と業界を共通の目標に向かって団結させたかを示している。
とはいえ、ファーウェイとSMICがマルチパターニング技術を用いて進化させられるのは、せいぜいあと1世代だろう。両社は最先端の半導体製造装置を入手するのが困難で、それ以上の進化は難しそうだ。
制裁は一部の旧式装置も対象となるよう強化されている。規制はおそらくさらに厳しくなるだろう。中国は半導体のみならず、いずれその製造装置も自国で製造せざるを得なくなるかもしれない。一方、TSMCなど業界大手は進化を続け、中国との差を広げている。
ファーウェイの最新スマホは、米国の制裁に直面している中国企業にとって大きな成果だ。だが中国の半導体業界とより大きなテクノロジーのエコシステムは当分、米国やその友好国の背中を追う運命にあるようだ。
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ジャッキー・ウォン ウォールストリートジャーナル レポーター
香港を拠点とするハード・オン・ザ・ストリートのコラムニストです。彼はアジアのテクノロジー、小売、不動産セクターをカバーしています。以前は、香港のジャーナルのマーケットトークレポーターでした。
ファーウェイがひっそりと発表した高速通信規格5G並みの速度と機能を持つ新型スマホ「Mate 60 Pro」に皆驚いたと、ジャッキー・ウォン。
米国がファーウェイを先端半導体の禁輸対象とした2019年以降、同社は主に4Gスマホを販売してきた。調査会社カウンターポイント・リサーチによると、この制裁発動当時、ファーウェイは世界のスマホ市場の12%を占めていた。だがその後シェアは低下し、昨年は2%まで落ち込んだのだそうです。
テックインサイツによると、「Mate 60 Pro」を製造したのはおそらく中国のファウンドリー(半導体受託製造)大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)だと。
7nmは最新の技術より数世代遅れている。それでも、中国の半導体メーカーが直面している制約を考えれば、これは大きな進歩だと、ジャッキー・ウォン。
SMICは最先端の極端紫外線(EUV)露光装置は入手できない。
今回の新型スマホは、米国の制裁がいかに中国政府と業界を共通の目標に向かって団結させたかを示していると、ジャッキー・ウォン。
とはいえ、ファーウェイとSMICがマルチパターニング技術を用いて進化させられるのは、せいぜいあと1世代だろう。両社は最先端の半導体製造装置を入手するのが困難で、それ以上の進化は難しそうだとも。
規制はおそらくさらに厳しくなるだろう。中国は半導体のみならず、いずれその製造装置も自国で製造せざるを得なくなるかもしれない。一方、TSMCなど業界大手は進化を続け、中国との差を広げているのだそうです。
ファーウェイの最新スマホは、米国の制裁に直面している中国企業にとって大きな成果だ。だが中国の半導体業界とより大きなテクノロジーのエコシステムは当分、米国やその友好国の背中を追う運命にあるようだと、ジャッキー・ウォン。
半導体の開発競争もさることながら、半導体製造装置は、米日伊の3ヵ国が、米国の主導で対中禁輸していますので、中国が国産で技術が追いつくには、時間がかかりそうとは諸兄がご承知の通り。
しかし、中国はこれまで、日本から人や技術を盗み出し追いついてきたのも衆知のこと。
米日伊の更なる技術進化と機密保持とが求められますね。
# 冒頭の画像は、半導体輸出規制の日本の位置
この花の名前は、ムラサキ
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