遊爺雑記帳

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まともな中国人は、台湾解放が成功するとは思っていない

2022-09-17 01:33:55 | 台湾海峡危機
 10月16日に開幕する中国共産党大会まで1カ月となりました。
 憲法改定し、鄧小平が定めた定年制を無視し、任期延長を可能にした習近平でしたが、事前の北戴河会議でOBからクレームが出て、思惑通りの独裁体制が構築できず、共青団派の台頭が見られたことは、諸兄がご承知のことです。
 今後の展開について、川島博之氏が解説いただいています。
 
 習近平の任期連投を決める予定の秋の党大会 直前の重要会議・「北戴河会議」で習近平が炎上? - 遊爺雑記帳
 どうなる秋の中国共産党大会 鄧小平路線と毛沢東路線、決着がつかない中国のたどる道 - 遊爺雑記帳

 
衰退か暴発か、「小物」すぎる習近平が導く中国の危ないこれから 北戴河会議で何が起こったのか?「まともな中国人」は今の情勢をこう見ている | JBpress (ジェイビープレス) 2022.9.16(金) 川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問

 金融と政治の間には密接な関係がある。共産党独裁の国である中国であるなら、それは尚更のことだ。中国で金融に携わる人々は細心の注意を払って政治の動向を見つめている

 
今年(2022年)は5年に一度の共産党幹部の交代の年に当たるために、例年にも増して北戴河(ほくたいが)会議に注目が集まった。北戴河会議は秘密会議であるがOBが多いことから、そこで話された内容はどこからともなく漏れ出てくる。早耳は金融界で生き残るための必須条件であり、金融関係者は漏れてくる情報の収集に躍起になる。仲間内での情報交換も盛んだ。

 そんな
中国の金融機関に勤める中国人の知人に話を聞くチャンスがあった。そこで聞いた話は、日本で流布している話とは違う部分が多い。それはこんな話だった。

北戴河会議での習近平の反論
 
習近平が3期目に入るのは間違いないが、習近平は強くない。習近平は北戴河会議に向けて用意周到に準備を進めてきたので、余裕で会議を乗り切ることができると見られていた。しかし、会議が始まると習近平は多くのOBから激しく攻撃された。その論点は次の4つになる。

 
第1不動産バブルを崩壊させたこと。第2米国、日本との関係を悪化させたこと。第3一帯一路が失敗に終わったこと最後に新型コロナ対応の失敗。習近平は任期中、特に直近の5年間は何一つ成果を上げられずに失敗を繰り返した。そう非難された。

 
習近平は防戦一方になったが、次のように反撃に出た。まず、不動産バブルの崩壊は自分の責任ではない。地方政府による農地の売却と公共投資を組み合わせた経済モデルは江沢民の時代に作られたものであり、胡錦濤時代にはすでにバブル化していた胡錦濤時代に違った経済モデルへの転換が必要だったのだが、それは行われなかった。自分はバブルの後始末に追われただけであり、バブル崩壊は必然であった。自分の責任ではない

 
台湾解放は建国以来の共産党の悲願である。自分はその達成のために力を尽くした。一帯一路も国際世論を味方につけるために行ったものであり、現にアフリカ諸国からは絶大な支持を集めている。米中関係、日中関係の悪化は、台湾解放という大義の前に避けては通れないものである。

 
新型コロナへの対応はまだその途上であり、その是非はもう少し時間が経ってから議論すべきであろう。米国は大量の死者を出したが、あれと同じでよかったのか

 
議論は平行線をたどった。確かに不動産バブルへの対応は誰がやっても難しい。そして、その元を作ったのは江沢民であり、胡錦濤や温家宝が適切な対応をとらなかったから現在の困難があるとも言える。習近平の責任ではない。

 また国是である「台湾解放」を持ち出されると、OBは黙りこむしかない。もっと良い方法があったはずだと言っても、習近平からそれはどんな方法かと問われれば、妙案があるわけではない。

毛沢東や鄧小平とは異なる「小物」
 
結局、習近平とOBの議論は痛み分けになり、人事の話に移っていった。そこでは習近平の3期目突入は認められたが、全権移譲という話にはならず、李克強、汪洋、胡春華といった共産党青年団出身の面々が力を持つことになった。共産党青年団出身者は日本で言えば東大法学部卒のエリートのようなもので、江沢民派など経済界に力を持つ人々とはソリが合わないが、今回は反習近平ということで意見が一致したようだ。

 その一方で、
習近平が引き上げた北京、上海、重慶の書記は新型コロナ対策の失敗などによってOB連中から落第点をつけられ、首相など重要なポストに就任する目はなくなった

 
OBの意見は、政権の内部にいる多くの現役幹部の意見と言ってよい。OBは勝手に発言しているわけではない。上司に逆らえない政権内部の人々の陰の声を代弁している。

 習近平は過去に自分と関係のあった人々を要職に抜擢してきたが、それを10年続けても巨大な中国共産党を掌握することができなかった。
現在の共産党の多くの幹部は内心は習近平を尊敬していない毛沢東や鄧小平とは異なる小物と見ている

 
歴史に残る業績を上げなければ、共産党を掌握できない汚職退治と称して政敵を滅ぼし、側近を抜擢するだけでは皇帝になれない。今回の北戴河会議で、習近平はそれを痛いほど思い知った──。

習近平が暴発する可能性
 知人は以上のようなことを教えてくれた。それを踏まえて私と知人は
今後のシナリオについて話し合った。シナリオは2つに絞られる

 
第1は中国の衰退が始まるというものだ。不動産バブルは崩壊し始めており、その一方で若年人口が減少し老人が増えている中国経済は極めて苦しい状況にある。それにもかかわらず、党内を掌握できない習近平は果敢な政策を打ち出すことができない。官僚たちは習近平の4期目がないと知って、面従腹背といった態度を取り始める。その結果として、政権は3期目に入ってすぐにレームダック化するそして5年後の2027年には、かつての日本がそうであったように、米国に挑戦しようなどという気力は失せてしまう。中国は東洋の目立たない国になる。

 
第2のシナリオ習近平の暴発だ。偉大な業績がなければ皇帝になれない。今回それを思い知った習近平は強権を発動して政敵を黙らせて、台湾解放という博打に打って出る

 
その時期は2023年。誰がどう見てもバイデンは弱腰であり、それがウクライナ戦争の一因だ。そうであるならバイデンが大統領である間に打って出る必要がある

 
2024年は米国大統領選挙の年であり、そんな時期にことを起こせば、弱腰のバイデンといえども人気取りのために強硬な手段に出てくるだろう。また、バブルの崩壊は時間が経過すれば経過するほど影響が深刻化するから、早い時期に打って出たほうが良い。その心境は日本が真珠湾攻撃を選択した時に似ている。今やらなければやる時がない

 
だが、ある程度の地位にありそれなりの知識を持つ中国人は、台湾解放が成功するとは思っていない。彼らは中国軍の内情をよく知っている。インターネット網を攪乱させるサイバー攻撃、そしてミサイルや飛行機による攻撃はできる。しかし、それだけで台湾は降伏しない大量の兵士を台湾に上陸させなければならないが、中国軍にそんな力はない。たとえ台湾に兵士を上陸させることができても、十分な補給が続かなければ兵士は簡単に降伏してしまう

 そもそも中国兵は日本兵が硫黄島や沖縄で戦い続けたような国家、軍隊への忠誠心や服従心を持っていない。兵士は金のために中国軍で働いているのであって、戦うためではない。

 また、
台湾の海上封鎖によって米国や日本、西欧の船舶に損害や人的被害が出れば、中国は一方的に悪者になってしまう。第1次世界大戦においてはドイツがルシタニア号を沈めたことが米国の世論を激昂させ、それはドイツが敗北する原因になった。

 
戦いによって台湾を解放することは容易ではない。習近平が永遠の権力(つまり皇帝になること)に固執すると、中国はとんでもない事態に見舞われてしまう。台湾解放に失敗すれば、共産党政権の是非を含めて中国は大きく混乱することになろう。

 習近平の3期目最初の1年は緊張感を含んだものになる。
日本は第2のシナリオについて、どのような事態になっても対応できるように十分に準備をしておく必要がある


 川島氏が入手した北戴河会議の情報。
 余裕で会議を乗り切ることができると見られていた習近平。しかし、会議が始まると多くのOBから激しく攻撃された。その論点は次の4つ。
 第1に不動産バブルを崩壊させたこと。第2に米国、日本との関係を悪化させたこと。第3に一帯一路が失敗に終わったこと。最後に新型コロナ対応の失敗。習近平は任期中、特に直近の5年間は何一つ成果を上げられずに失敗を繰り返した。そう非難されたと。

 習近平は反論。
 不動産バブルの崩壊は、江沢民や胡錦涛時代から始まったことで、自分の責任とは言えない。
 台湾解放は建国以来の共産党の悲願である。自分はその達成のために力を尽くした。
 米中関係、日中関係の悪化は、台湾解放という大義の前に避けては通れない。
 一帯一路も国際世論を味方につけるために行ったものであり、現にアフリカ諸国からは絶大な支持を集めている。
 新型コロナへの対応はまだその途上。米国は大量の死者を出したが、あれと同じでよかったのかと。
 議論は平行線をたどった。
 結局、習近平とOBの議論は痛み分けになり、人事の話に移っていった。そこでは習近平の3期目突入は認められたが、全権移譲という話にはならず、李克強、汪洋、胡春華といった共産党青年団出身の面々が力を持つことになったと、川島氏。

 習近平が引き上げた北京、上海、重慶の書記は新型コロナ対策の失敗などによってOB連中から落第点をつけられ、首相など重要なポストに就任する目はなくなったのだそうです。
 
 OBの意見は、政権の内部にいる多くの現役幹部の意見と言ってよい。上司に逆らえない政権内部の人々の陰の声を代弁しているのだと。
 現在の共産党の多くの幹部は、内心は習近平を尊敬していない。毛沢東や鄧小平とは異なる小物と見ていると、川島氏。

 今後のシナリオについて。シナリオは2つに絞られると、川島氏が情報提供者の知人と協議の結論。
 第1は中国の衰退が始まるというものだ。不動産バブルは崩壊し始めており、その一方で若年人口が減少し老人が増えている。中国経済は極めて苦しい状況にある。
 官僚たちは習近平の4期目がないと知って、面従腹背といった態度を取り始める。その結果として、政権は3期目に入ってすぐにレームダック化する。そして5年後の2027年には、かつての日本がそうであったように、米国に挑戦しようなどという気力は失せてしまう。中国は東洋の目立たない国になるというもの。
 
 第2のシナリオは習近平の暴発だ。偉大な業績がなければ皇帝になれない。今回それを思い知った習近平は強権を発動して政敵を黙らせて、台湾解放という博打に打って出るというもの。
 その時期は2023年。バイデンが大統領である間に打って出るというもの。
 日本が真珠湾攻撃を選択した時に似ている。今やらなければやる時がないとの発想だと、川島氏。

 だが、ある程度の地位にありそれなりの知識を持つ中国人は、台湾解放が成功するとは思っていない。
 サイバー攻撃、そしてミサイルや飛行機による攻撃はできる。しかし、それだけで台湾は降伏しない。大量の兵士を台湾に上陸させなければならないがその力と、十分な補給が続かなければ兵士は簡単に降伏してしまう。
 また、台湾の海上封鎖によって、中国は一方的に悪者になってしまう。

 プーチンの強引なウクライナ侵攻の現状を、中国は注視して、そこは認識出来ている筈ですね。

 戦いによって台湾を解放することは容易ではない。
 台湾解放に失敗すれば、共産党政権の是非を含めて中国は大きく混乱することになろうと、川島氏。
 日本は第2のシナリオについて、どのような事態になっても対応できるように十分に準備をしておく必要があるとも。



 # 冒頭の画像は、遼寧省を視察した中国の習近平国家主席




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