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日本の製造業の6重苦とか、8重苦の話は耳にタコが出来てしまっています。原発の再稼働にもキーワードで登場しました。
少子高齢化で縮小する国内市場依存から、世界の成長市場への連携に、貿易の自由化が必須であり、国内市場の活性化にもつながると、企業の海外逃避を防止するための6重苦、8重苦の低減とTPP等の貿易の自由化が論じられています。
しかし、現状はどうなのでしょう。
製造業は部品を生産する中小企業の裾野まで含めた構成体であり経済への影響力が大きいことは、今更申し上げるまでもないことですが、国内で踏ん張っているコア製造業が、部品の海外調達率を高めているのだそうです。
国内に踏ん張って残り生き残る為の苦肉の策なのでしょうが...。
国内に残るための踏ん張りが、国内の裾野(=土台)を崩すことに繋がっています。
韓国、中国の組み立て産業には技術の差がなくなり、追いつき追い越されつつありますが、コアな部品は日本から輸出されており、日本の輸出を支えてきています。が、海外比率を高めることは、日本の製造業のすそ野を狭くすることで、こうした技術力を育む土壌を細らせていきます。
一方、韓国企業の今日の繁栄の基を造ったと言われる、日本の製造業の知的財産の流出も、相変わらず続いている様です。
余談ですが、内之浦宇宙空間観測所で、6月の豪雨で土砂崩れ等が発生していましたが、7月21日に「H2B」3号機が予定通り打ち上げられるのだそうです。
このロケットを製造する三菱重工・宇宙事業部長の浅田氏が、学会で技術の優秀さを説いたのですが、欧州勢は実績や価格を熱心に説いていて、ピント外れの自分に気付いたのだそうです。 顧客は、技術で劣っていても、確実に安く時間通りに届けてくれるロケットを求めているのです。「売れるロケット」とは、最先端の技術を駆使したものとは限らないのです。
最先端のロケット技術でさえ、売れる技術の重要性が増しているのですね。
と同時に、日本の製造業に求められているのは、持てる技術を販売に繋げる力なのですね。
せっかくの技術・知財も使いこなせなければ宝の持ち腐れ。研究者が使いこなしてくれる先を求めて、海外へ売り渡すのを、売国奴と非難は出来かねるのも解ります。
グローバルな競争市場で、日本の製造業が競争に打ち勝つための障壁を減らす事が重要であることは言うまでもないことですが、同時に、日本の製造業も目先の利益を追って自らの基盤を弱めるのではなく、障壁を減らせと国に求めるだけでもなく、売れるモノづくりと言う基本に立ち戻った、広く時間の長い視野での競争力の研鑽に注力していただきたい。
世界のトップレベルの経済力の国にした、過去の日本の製造業の先人のチャレンジを上回る挑戦が求められている国難の時なのですから。
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この花の名前は、白根葵 撮影場所;六甲高山植物園
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少子高齢化で縮小する国内市場依存から、世界の成長市場への連携に、貿易の自由化が必須であり、国内市場の活性化にもつながると、企業の海外逃避を防止するための6重苦、8重苦の低減とTPP等の貿易の自由化が論じられています。
しかし、現状はどうなのでしょう。
製造業は部品を生産する中小企業の裾野まで含めた構成体であり経済への影響力が大きいことは、今更申し上げるまでもないことですが、国内で踏ん張っているコア製造業が、部品の海外調達率を高めているのだそうです。
国内に踏ん張って残り生き残る為の苦肉の策なのでしょうが...。
電機・重電 海外部品調達を拡大 続く円高、コスト圧縮 (7/19 産経)
電機・重電メーカーが部品や原材料の海外調達を拡大している。歴史的な円高水準が続くなか、アジアや中国の安価な部材の集中購買などを通じて、コスト圧縮につなげる狙いだ。パナソニックは、今年4月、国内にあった部品や原材料の調達・物流両本部の機能をシンガポールに移転。為替変動による影響を回避するには、海外部材の調達が不可欠と判断したため。部材の海外調達比率は平成24年度に前年度比3ポイント増の60%に引き上げ、600億円のコスト削減を目指す。
東芝も海外調達を急拡大している。調達比率は24年度で前年度比6ポイント増の70%に達する見通し。グループ内の部材を調達することが多かった日立製作所も、27年度をめどに現状38%の海外調達比率を50%に引き上げる。調達関連では年2千億円のコストを圧縮し「新興国企業と対等に戦えるコスト構造を目指す」(江幡誠専務)という。
重電メーカーでは、三菱重工業が26年度に23年度比1・5倍の6千億円分の部材を海外から調達。円高を利用し、割安な輸入品を使ってコストを削減する。各社が急速に海外調達比率を増やす背景には、新興国の企業の技術力が向上し、要求された品質を満たす部品・部材を購入できるようになったことがある。
電機・重電メーカーが部品や原材料の海外調達を拡大している。歴史的な円高水準が続くなか、アジアや中国の安価な部材の集中購買などを通じて、コスト圧縮につなげる狙いだ。パナソニックは、今年4月、国内にあった部品や原材料の調達・物流両本部の機能をシンガポールに移転。為替変動による影響を回避するには、海外部材の調達が不可欠と判断したため。部材の海外調達比率は平成24年度に前年度比3ポイント増の60%に引き上げ、600億円のコスト削減を目指す。
東芝も海外調達を急拡大している。調達比率は24年度で前年度比6ポイント増の70%に達する見通し。グループ内の部材を調達することが多かった日立製作所も、27年度をめどに現状38%の海外調達比率を50%に引き上げる。調達関連では年2千億円のコストを圧縮し「新興国企業と対等に戦えるコスト構造を目指す」(江幡誠専務)という。
重電メーカーでは、三菱重工業が26年度に23年度比1・5倍の6千億円分の部材を海外から調達。円高を利用し、割安な輸入品を使ってコストを削減する。各社が急速に海外調達比率を増やす背景には、新興国の企業の技術力が向上し、要求された品質を満たす部品・部材を購入できるようになったことがある。
国内に残るための踏ん張りが、国内の裾野(=土台)を崩すことに繋がっています。
韓国、中国の組み立て産業には技術の差がなくなり、追いつき追い越されつつありますが、コアな部品は日本から輸出されており、日本の輸出を支えてきています。が、海外比率を高めることは、日本の製造業のすそ野を狭くすることで、こうした技術力を育む土壌を細らせていきます。
一方、韓国企業の今日の繁栄の基を造ったと言われる、日本の製造業の知的財産の流出も、相変わらず続いている様です。
サムスン・現代が狙う先端技術 虎の子守れぬ日本 :日本経済新聞 から抜粋
<前略>
「ぜひ、うちに来てもらえませんか」
日産自動車を代表するスポーツカー「フェアレディZ」の開発責任者だった湯川伸次郎(59)に1本の電話が入った。2009年夏。退職の話を聞きつけた韓国・現代自動車からだった。
<中略>
成果を急ぐ現代自に対し、最終的に湯川は「しっかりした車づくりができるのか」との疑問から転職を拒否した。
それから3年。韓国や台湾、中国に渡る技術者は増え続ける。サムスングループはお膝元の韓国に200人近い日本人技術者を抱えているとみられる。
酸化物半導体「IGZO(イグゾー)」の基本特許を握り、世界の薄型パネルメーカーの注目を浴びる東京工業大学教授の細野秀雄(58)は「日本だけに技術をとどめるのは事実上、不可能になった」と指摘する。
ディスプレーの高画質、省電力を実現する電極材料として期待が高まるIGZOは、国の予算も投じたプロジェクトで生まれた。業績不振が続くシャープが復活へのカギとしていち早く量産にこぎ着けたばかりだが、細野らは昨年、サムスンにも技術を供与した。
「虎の子の技術を海外に流出させた」。細野にはこうした批判がぶつけられることもある。1995年にIGZOを発表した細野も、当初は「日本企業に使ってもらいたい」との気持ちが強かった。しかし電機大手には異端児扱いされ、一時は全面支援したキヤノンも金融危機などで事業化には至らなかった。
「技術は使われてこそ意味がある。細野の結論は、技術をうまく生かせなくなった日本企業の現実を物語る。
自らを「ファスト・フォロワー(すばやい追随者)」と位置付けるサムスンは、日本などから貪欲に技術や人材を取り込んできた。「技術は集めてくればいい」というのが知財戦略モデル。基礎研究の蓄積が薄く革新的な技術開発ができていないとの声もあるが、素早い決断で世界中に自社製品を供給する強さがある。自らの技術を世に問うことを喜びとするエンジニアにとって魅力的に映るのは確かだ。
■提携で普及狙う
「日本の大学様の保有する特許でライセンスしていただけるものを探しております」。関西の私立大学は今春、こんなメールをサムスン横浜研究所から受け取った。同大学のある教授は「知財戦略を練り直さなければ、日本企業は研究者たちを養う利益を稼げない」と危機感をあらわにする。
主力製品のほとんどで世界首位の座を獲得し、幹部が「人材獲得を批判するなら、日本企業も韓国人技術者をヘッドハンティングすればいい」と自信を見せるサムスン。主導権を奪われた日本企業にもようやく、知財を有効に使って利益を上げるモデルを模索する動きが出てきた。
<中略>
磁性体を使った半導体素子の研究でノーベル賞候補の呼び声もある東北大学教授の大野英男(57)は、日本の半導体メーカーの惨状を目の当たりにしてきた。「必要なのは知財を使って利益を生み出す仕組みだ」。それができない限り、人材流出は止まらない。(敬称略)
<前略>
「ぜひ、うちに来てもらえませんか」
日産自動車を代表するスポーツカー「フェアレディZ」の開発責任者だった湯川伸次郎(59)に1本の電話が入った。2009年夏。退職の話を聞きつけた韓国・現代自動車からだった。
<中略>
成果を急ぐ現代自に対し、最終的に湯川は「しっかりした車づくりができるのか」との疑問から転職を拒否した。
それから3年。韓国や台湾、中国に渡る技術者は増え続ける。サムスングループはお膝元の韓国に200人近い日本人技術者を抱えているとみられる。
酸化物半導体「IGZO(イグゾー)」の基本特許を握り、世界の薄型パネルメーカーの注目を浴びる東京工業大学教授の細野秀雄(58)は「日本だけに技術をとどめるのは事実上、不可能になった」と指摘する。
ディスプレーの高画質、省電力を実現する電極材料として期待が高まるIGZOは、国の予算も投じたプロジェクトで生まれた。業績不振が続くシャープが復活へのカギとしていち早く量産にこぎ着けたばかりだが、細野らは昨年、サムスンにも技術を供与した。
「虎の子の技術を海外に流出させた」。細野にはこうした批判がぶつけられることもある。1995年にIGZOを発表した細野も、当初は「日本企業に使ってもらいたい」との気持ちが強かった。しかし電機大手には異端児扱いされ、一時は全面支援したキヤノンも金融危機などで事業化には至らなかった。
「技術は使われてこそ意味がある。細野の結論は、技術をうまく生かせなくなった日本企業の現実を物語る。
自らを「ファスト・フォロワー(すばやい追随者)」と位置付けるサムスンは、日本などから貪欲に技術や人材を取り込んできた。「技術は集めてくればいい」というのが知財戦略モデル。基礎研究の蓄積が薄く革新的な技術開発ができていないとの声もあるが、素早い決断で世界中に自社製品を供給する強さがある。自らの技術を世に問うことを喜びとするエンジニアにとって魅力的に映るのは確かだ。
■提携で普及狙う
「日本の大学様の保有する特許でライセンスしていただけるものを探しております」。関西の私立大学は今春、こんなメールをサムスン横浜研究所から受け取った。同大学のある教授は「知財戦略を練り直さなければ、日本企業は研究者たちを養う利益を稼げない」と危機感をあらわにする。
主力製品のほとんどで世界首位の座を獲得し、幹部が「人材獲得を批判するなら、日本企業も韓国人技術者をヘッドハンティングすればいい」と自信を見せるサムスン。主導権を奪われた日本企業にもようやく、知財を有効に使って利益を上げるモデルを模索する動きが出てきた。
<中略>
磁性体を使った半導体素子の研究でノーベル賞候補の呼び声もある東北大学教授の大野英男(57)は、日本の半導体メーカーの惨状を目の当たりにしてきた。「必要なのは知財を使って利益を生み出す仕組みだ」。それができない限り、人材流出は止まらない。(敬称略)
余談ですが、内之浦宇宙空間観測所で、6月の豪雨で土砂崩れ等が発生していましたが、7月21日に「H2B」3号機が予定通り打ち上げられるのだそうです。
このロケットを製造する三菱重工・宇宙事業部長の浅田氏が、学会で技術の優秀さを説いたのですが、欧州勢は実績や価格を熱心に説いていて、ピント外れの自分に気付いたのだそうです。 顧客は、技術で劣っていても、確実に安く時間通りに届けてくれるロケットを求めているのです。「売れるロケット」とは、最先端の技術を駆使したものとは限らないのです。
最先端のロケット技術でさえ、売れる技術の重要性が増しているのですね。
と同時に、日本の製造業に求められているのは、持てる技術を販売に繋げる力なのですね。
せっかくの技術・知財も使いこなせなければ宝の持ち腐れ。研究者が使いこなしてくれる先を求めて、海外へ売り渡すのを、売国奴と非難は出来かねるのも解ります。
グローバルな競争市場で、日本の製造業が競争に打ち勝つための障壁を減らす事が重要であることは言うまでもないことですが、同時に、日本の製造業も目先の利益を追って自らの基盤を弱めるのではなく、障壁を減らせと国に求めるだけでもなく、売れるモノづくりと言う基本に立ち戻った、広く時間の長い視野での競争力の研鑽に注力していただきたい。
世界のトップレベルの経済力の国にした、過去の日本の製造業の先人のチャレンジを上回る挑戦が求められている国難の時なのですから。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/c0/814a5649b8b2ccd47523da57ae4bc020.jpg)
この花の名前は、白根葵 撮影場所;六甲高山植物園
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