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東アジアの安全保障にとって、北朝鮮の核とICBMの開発の進展が、今年というより、戦後最大の緊張状態を産んでいます。
ところが、この北朝鮮の開発の深刻化は、中国がトランプ政権の“中国強硬姿勢”を切り崩すための秘策として繰り出したシナリオだというは、北村淳氏。
南シナ海、東シナ海での中国の覇権拡大に触れなくなった日米。特に安全保障に直結する日本に警鐘を鳴らしておられるのですね。
悪いことには、中国の海洋覇権拡大に、米国で最も警戒を唱えていた米太平洋軍司令官のハリス大将が間もなく転出し、後任候補の同じく対中警戒派のスウィフト海軍大将が、連続事故の責任をとって早期退職し、中国に対して断固たる姿勢を貫く強力な海軍将官が着任する見込みはないのだそうです。
習近平は、党大会で地盤を固めることに成功し、海洋覇権拡大でも思惑通りの展開になり、笑いがとまらない状況なのですね。
瀋陽の中国人民解放軍関連施設内に北朝鮮軍諜報機関の中枢が設置されていることは、米軍情報関係者は確信をもっているのだそうで、人民解放軍と北朝鮮軍の繋がりは健全で、中国政府による「対北朝鮮制裁」の動きが茶番に近いのは当然だと。
他方、北朝鮮の開発制止への圧力を当面中国にゆだねることとしたトランプ政権。貿易赤字の是正要求も、再開したFONOP(航行の自由作戦)も、影を潜めている状況です。
更に、米国のメディアや、日本のメディアも、南シナ海や東シナ海で着実に進められている中国の覇権拡大のエスカレートする状況に感心を示さない。
特に、経済の生命線ともいえるシーレーンが南シナ海を縦貫している日本、尖閣諸島と近海の実効支配が危うくなってきている日本で、メディアが現状を報じることは稀です。テレビのワイドショーはどのチャンネルを観ても、「モリカケ」と「貴乃花親方バッシング」一色で、しかも推測話を延々。平和呆けなのか、中国の「世論戦」に犯されて、「報道しない自由」を駆使しているのか。
北村氏が指摘される、中国による膨張主義的海洋侵出からアメリカや日本の目をそらせることに成功したという、中国にとっての戦略的成功を収めたのが2017年であったとの指摘は当たっていると納得させられます。
幸い、トランプ政権も、安倍政権も、メディアの様にぬかってはいない様子。
トランプ大統領は、「国家安全保障戦略」を発表し、対中警戒政策に立ち戻っていますね。
米国の「国家安全保障戦略」は、「米中融和」や「米中蜜月」という推測を明確に否定 - 遊爺雑記帳
安倍政権も、敵基地攻撃も可能な、島嶼防衛用の、F-15, F-35戦闘機への巡航ミサイル搭載の予算化を進めています。
政府 「敵基地攻撃」能力を持つミサイル導入予算化 - 遊爺雑記帳
アメリカファーストで国内回帰色と、同盟国への負担増を求めるトランブ政権。自国の安全は自国でも負担しろと言うのは正論です。
米国の核の傘の下でおんぶにだっこで平和ボケの夢をみて過ごしてきた日本。自国の安全保障は、先ずは自国で備える普通の国に脱皮せねばならない時がきていますね。
# 冒頭の画像は、与那国島を訪れたハリス太平洋軍司令官
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この花の名前は、イモカタバミ
↓よろしかったら、お願いします。
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ところが、この北朝鮮の開発の深刻化は、中国がトランプ政権の“中国強硬姿勢”を切り崩すための秘策として繰り出したシナリオだというは、北村淳氏。
南シナ海、東シナ海での中国の覇権拡大に触れなくなった日米。特に安全保障に直結する日本に警鐘を鳴らしておられるのですね。
悪いことには、中国の海洋覇権拡大に、米国で最も警戒を唱えていた米太平洋軍司令官のハリス大将が間もなく転出し、後任候補の同じく対中警戒派のスウィフト海軍大将が、連続事故の責任をとって早期退職し、中国に対して断固たる姿勢を貫く強力な海軍将官が着任する見込みはないのだそうです。
習近平は、党大会で地盤を固めることに成功し、海洋覇権拡大でも思惑通りの展開になり、笑いがとまらない状況なのですね。
「北朝鮮暴発の危機」は中国のシナリオだった? 中国の海洋戦略が勝利を手にした2017年 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2017.12.28(木) 北村 淳
トランプ大統領は政権発足当初、大統領選挙期間中に公言してきた「対中強硬姿勢」を実現させる布陣を敷いた。反中的立場を鮮明にしていたバノン主席戦略官、中国警戒論者であるナヴァロ国家通商会議議長、それにティラーソン国務長官も「中国による南シナ海への軍事的進出は、物理的手段を用いてでも阻止する」と公言して憚からなかった。
そこで、中国指導部がトランプ政権の“中国強硬姿勢”を切り崩すための秘策として繰り出したのが「北朝鮮暴発の危機」シナリオであると、対中強硬派の米軍情報関係者たちの多くが考えている。
■中国軍と北朝鮮軍は通じている
たしかに中国政府は、トランプ政権の要請や国連の決議などに対して、対北朝鮮制裁を実施する姿勢を示してはいる。しかしながら米軍情報関係者たちは、瀋陽の中国人民解放軍関連施設内に北朝鮮軍諜報機関の中枢が設置されていることを確認している。となれば、中国と北朝鮮の軍事的繋がりは依然として健在であり、中国政府による「対北朝鮮制裁」の動きが茶番に近いものであると考えるのは当然といえよう。
要するに米軍情報関係者たちは、「中国側は、北朝鮮による対米攻撃能力を備えた核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成を加速させ、トランプ政権による東アジア方面での軍事的脅威の関心を中国から北朝鮮に向けさせるように画策している」と考えているのだ。
実際に、習近平国家主席のアメリカ訪問と前後して、北朝鮮によるICBM完成のためのミサイル試射が始められた。そして、米中首脳会談での軍事外交問題における最重要議題の1つとなるものと考えられていた「南シナ海への中国の膨張主義的進出問題」は、「北朝鮮のICBM開発問題」に取って代わられてしまった。
■「ポーズ」に過ぎないFONOP
アメリカ側としては、北朝鮮のICBM開発を外交的に抑制するためには、中国による影響力の行使を期待せざるを得ない。そのため、中国に対して南シナ海や台湾それに東シナ海などに関して強硬な外交的・軍事的姿勢を示すわけにはいかなくなってしまったのだ。
とはいっても、トランプ政権としては、大統領選挙期間中や政権スタート直後に唱えていた「南シナ海での中国による軍事的拡張行動を強力な手段を用いてでも牽制する」とういう公言を、フィリピンや日本などの同盟国の手前、即刻引っ込めるわけにもいかない。そこで、オバマ政権下で“形式的な対中圧力”として実施されていた「南シナ海での公海航行自由原則維持のための作戦」(以下「FONOP」)を、およそ7カ月ぶりに5月25日から開始した。
しかし、その内容は控えめなレベルに留まっている。実施ペースも、12月25日現在までの7カ月間に5回とオバマ政権時代の2倍になったとはいえ、米海軍の対中国強硬派が考えていたペースにははるかに達さないレベルである。要するに、オバマ政権同様に、トランプ政権も同盟諸国に対して「対中圧力をかけている」というアリバイを示すために、形式的なFONOPを実施しているに過ぎないのだ。
■事故多発で自滅した米海軍
そのうえ、8月にFONOPを実施した米太平洋艦隊ミサイル駆逐艦ジョン・S・マケインが、FONOP終了直後にシンガポール沖で民間タンカーと衝突事故を起こし(8月21日)大破したうえ10名の乗組員が犠牲となり戦列を離脱してしまった。
この事故の2カ月ほど前の6月17日には、同じく米太平洋艦隊ミサイル駆逐艦フィッツジェラルドが伊豆沖で民間コンテナ船と衝突事故を起こして大破し、7名の乗組員の命を失った。アメリカ本土に持ち帰って大修理をするため1年以上戦列から離れなければならず、莫大な額にのぼる修理関係費用も必要となってしまった。
これらの大事故に加えて、トランプ政権発足直後の1月31日には、以前にFONOPに参加したこともある米太平洋艦隊ミサイル巡洋艦アンティータムが横須賀沖で座礁事故を起こした。また5月9日には北朝鮮の弾道ミサイル発射に備えるため日本海に進出していた米太平洋艦隊ミサイル駆逐艦レーク・シャンプレインが小型民間船と衝突事故を起こしている。
4件続いた軍艦の事故に加えて、11月22日には、北朝鮮を威圧するため日本海に派遣された米太平洋艦隊空母ロナルドレーガンから発艦した輸送機が墜落して、3名の搭乗員が行方不明となってしまった。
このように、2017年にアメリカ海軍は東アジア海域で事故を頻発させて、何ら戦闘を行うことなく20名もの海軍将兵を喪失し、2隻の駆逐艦を戦列から離れさせてしまったのである。
こんな有様では、中国海軍に「アメリカ海軍がうろつくだけで、民間船をも危険な目に遭わせてしまう。とっとと東アジア海域から出ていけ」との暴言を吐かせるまでもなく、中国海軍に対する威嚇力が急激に低下していることは疑いの余地がない。
米海軍などの対中強硬派が類推しているように、中国指導部が裏で何らかの画策をしているのかどうかは定かではない。だが、トランプ政権が上記のように、中国の軍事的脅威に対する強硬姿勢を固める動きを引っ込めて、北朝鮮に焦点を絞り込むに至ったことは事実である。そして、米海軍太平洋艦隊が自ら引き起こした重大事故により、海軍の対中威嚇力は大きく鈍化してしまった。
さらに中国にとって願ってもないことが実現した。対中強硬姿勢で中国側にとっては“目の上のたんこぶ”的存在であった米太平洋軍司令官ハリス海軍大将が間もなく転出するのに加えて、ハリス司令官の後任と目されていた太平洋艦隊司令官スウィフト海軍大将が、一連の事故の詰め腹を切らされ早期退役に追い込まれてしまったのだ。スウィフト海軍大将は中国海軍にとってはやはり難敵であり、米海軍対中強硬派にとっては希望の星であった。
現時点で、ハリス大将とスウィフト大将の後任に、中国に対して断固たる姿勢を貫く強力な海軍将官が着任する見込みはないと言われている。まさに、中国海軍にとっては笑いが止まらない状況だ。
■「輿論戦」でも勝利する中国
中国の南シナ海への膨張主義的海洋侵出にとって追い風となっているのは、北朝鮮ICBM開発危機とアメリカ海軍の自滅的退潮だけではない。トランプ政権やアメリカのメディアに加え、日本政府や日本のメディアも南シナ海問題には全くと言って良いほど関心を示していない、という傾向である。
中国が南シナ海を軍事的に支配してしまっても直接アメリカにとっての軍事的脅威とはならないため、南シナ海問題に対するアメリカの世論の関心は盛り上がりを欠いていた。しかし、日本政府やメディアの対応はアメリカと異なって然るべきである。日本は経済の生命線ともいえるシーレーンが南シナ海を縦貫しているという地政学的条件を抱えている。そして、中国の海洋膨張戦略の次の矛先は東シナ海なのだ。
そもそも、北朝鮮のICBMは日本攻撃用の兵器ではない。また、北朝鮮軍が保有する100基あるいは200基以上ともいわれる日本攻撃用弾道ミサイルが日本に対して発射されるのは、アメリカが北朝鮮を軍事攻撃した場合に限定される。ところが、日本政府や多くのメディアは、中国の軍事的脅威には目を背けて、もっぱら北朝鮮のICBM問題にのみ関心を集中させている。
まさに、中国指導部の思惑どおり──それ以上に、中国による膨張主義的海洋侵出からアメリカや日本の目をそらせることに成功したという、中国にとっての戦略的成功を収めたのが2017年であった。
トランプ大統領は政権発足当初、大統領選挙期間中に公言してきた「対中強硬姿勢」を実現させる布陣を敷いた。反中的立場を鮮明にしていたバノン主席戦略官、中国警戒論者であるナヴァロ国家通商会議議長、それにティラーソン国務長官も「中国による南シナ海への軍事的進出は、物理的手段を用いてでも阻止する」と公言して憚からなかった。
そこで、中国指導部がトランプ政権の“中国強硬姿勢”を切り崩すための秘策として繰り出したのが「北朝鮮暴発の危機」シナリオであると、対中強硬派の米軍情報関係者たちの多くが考えている。
■中国軍と北朝鮮軍は通じている
たしかに中国政府は、トランプ政権の要請や国連の決議などに対して、対北朝鮮制裁を実施する姿勢を示してはいる。しかしながら米軍情報関係者たちは、瀋陽の中国人民解放軍関連施設内に北朝鮮軍諜報機関の中枢が設置されていることを確認している。となれば、中国と北朝鮮の軍事的繋がりは依然として健在であり、中国政府による「対北朝鮮制裁」の動きが茶番に近いものであると考えるのは当然といえよう。
要するに米軍情報関係者たちは、「中国側は、北朝鮮による対米攻撃能力を備えた核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成を加速させ、トランプ政権による東アジア方面での軍事的脅威の関心を中国から北朝鮮に向けさせるように画策している」と考えているのだ。
実際に、習近平国家主席のアメリカ訪問と前後して、北朝鮮によるICBM完成のためのミサイル試射が始められた。そして、米中首脳会談での軍事外交問題における最重要議題の1つとなるものと考えられていた「南シナ海への中国の膨張主義的進出問題」は、「北朝鮮のICBM開発問題」に取って代わられてしまった。
■「ポーズ」に過ぎないFONOP
アメリカ側としては、北朝鮮のICBM開発を外交的に抑制するためには、中国による影響力の行使を期待せざるを得ない。そのため、中国に対して南シナ海や台湾それに東シナ海などに関して強硬な外交的・軍事的姿勢を示すわけにはいかなくなってしまったのだ。
とはいっても、トランプ政権としては、大統領選挙期間中や政権スタート直後に唱えていた「南シナ海での中国による軍事的拡張行動を強力な手段を用いてでも牽制する」とういう公言を、フィリピンや日本などの同盟国の手前、即刻引っ込めるわけにもいかない。そこで、オバマ政権下で“形式的な対中圧力”として実施されていた「南シナ海での公海航行自由原則維持のための作戦」(以下「FONOP」)を、およそ7カ月ぶりに5月25日から開始した。
しかし、その内容は控えめなレベルに留まっている。実施ペースも、12月25日現在までの7カ月間に5回とオバマ政権時代の2倍になったとはいえ、米海軍の対中国強硬派が考えていたペースにははるかに達さないレベルである。要するに、オバマ政権同様に、トランプ政権も同盟諸国に対して「対中圧力をかけている」というアリバイを示すために、形式的なFONOPを実施しているに過ぎないのだ。
■事故多発で自滅した米海軍
そのうえ、8月にFONOPを実施した米太平洋艦隊ミサイル駆逐艦ジョン・S・マケインが、FONOP終了直後にシンガポール沖で民間タンカーと衝突事故を起こし(8月21日)大破したうえ10名の乗組員が犠牲となり戦列を離脱してしまった。
この事故の2カ月ほど前の6月17日には、同じく米太平洋艦隊ミサイル駆逐艦フィッツジェラルドが伊豆沖で民間コンテナ船と衝突事故を起こして大破し、7名の乗組員の命を失った。アメリカ本土に持ち帰って大修理をするため1年以上戦列から離れなければならず、莫大な額にのぼる修理関係費用も必要となってしまった。
これらの大事故に加えて、トランプ政権発足直後の1月31日には、以前にFONOPに参加したこともある米太平洋艦隊ミサイル巡洋艦アンティータムが横須賀沖で座礁事故を起こした。また5月9日には北朝鮮の弾道ミサイル発射に備えるため日本海に進出していた米太平洋艦隊ミサイル駆逐艦レーク・シャンプレインが小型民間船と衝突事故を起こしている。
4件続いた軍艦の事故に加えて、11月22日には、北朝鮮を威圧するため日本海に派遣された米太平洋艦隊空母ロナルドレーガンから発艦した輸送機が墜落して、3名の搭乗員が行方不明となってしまった。
このように、2017年にアメリカ海軍は東アジア海域で事故を頻発させて、何ら戦闘を行うことなく20名もの海軍将兵を喪失し、2隻の駆逐艦を戦列から離れさせてしまったのである。
こんな有様では、中国海軍に「アメリカ海軍がうろつくだけで、民間船をも危険な目に遭わせてしまう。とっとと東アジア海域から出ていけ」との暴言を吐かせるまでもなく、中国海軍に対する威嚇力が急激に低下していることは疑いの余地がない。
米海軍などの対中強硬派が類推しているように、中国指導部が裏で何らかの画策をしているのかどうかは定かではない。だが、トランプ政権が上記のように、中国の軍事的脅威に対する強硬姿勢を固める動きを引っ込めて、北朝鮮に焦点を絞り込むに至ったことは事実である。そして、米海軍太平洋艦隊が自ら引き起こした重大事故により、海軍の対中威嚇力は大きく鈍化してしまった。
さらに中国にとって願ってもないことが実現した。対中強硬姿勢で中国側にとっては“目の上のたんこぶ”的存在であった米太平洋軍司令官ハリス海軍大将が間もなく転出するのに加えて、ハリス司令官の後任と目されていた太平洋艦隊司令官スウィフト海軍大将が、一連の事故の詰め腹を切らされ早期退役に追い込まれてしまったのだ。スウィフト海軍大将は中国海軍にとってはやはり難敵であり、米海軍対中強硬派にとっては希望の星であった。
現時点で、ハリス大将とスウィフト大将の後任に、中国に対して断固たる姿勢を貫く強力な海軍将官が着任する見込みはないと言われている。まさに、中国海軍にとっては笑いが止まらない状況だ。
■「輿論戦」でも勝利する中国
中国の南シナ海への膨張主義的海洋侵出にとって追い風となっているのは、北朝鮮ICBM開発危機とアメリカ海軍の自滅的退潮だけではない。トランプ政権やアメリカのメディアに加え、日本政府や日本のメディアも南シナ海問題には全くと言って良いほど関心を示していない、という傾向である。
中国が南シナ海を軍事的に支配してしまっても直接アメリカにとっての軍事的脅威とはならないため、南シナ海問題に対するアメリカの世論の関心は盛り上がりを欠いていた。しかし、日本政府やメディアの対応はアメリカと異なって然るべきである。日本は経済の生命線ともいえるシーレーンが南シナ海を縦貫しているという地政学的条件を抱えている。そして、中国の海洋膨張戦略の次の矛先は東シナ海なのだ。
そもそも、北朝鮮のICBMは日本攻撃用の兵器ではない。また、北朝鮮軍が保有する100基あるいは200基以上ともいわれる日本攻撃用弾道ミサイルが日本に対して発射されるのは、アメリカが北朝鮮を軍事攻撃した場合に限定される。ところが、日本政府や多くのメディアは、中国の軍事的脅威には目を背けて、もっぱら北朝鮮のICBM問題にのみ関心を集中させている。
まさに、中国指導部の思惑どおり──それ以上に、中国による膨張主義的海洋侵出からアメリカや日本の目をそらせることに成功したという、中国にとっての戦略的成功を収めたのが2017年であった。
瀋陽の中国人民解放軍関連施設内に北朝鮮軍諜報機関の中枢が設置されていることは、米軍情報関係者は確信をもっているのだそうで、人民解放軍と北朝鮮軍の繋がりは健全で、中国政府による「対北朝鮮制裁」の動きが茶番に近いのは当然だと。
他方、北朝鮮の開発制止への圧力を当面中国にゆだねることとしたトランプ政権。貿易赤字の是正要求も、再開したFONOP(航行の自由作戦)も、影を潜めている状況です。
更に、米国のメディアや、日本のメディアも、南シナ海や東シナ海で着実に進められている中国の覇権拡大のエスカレートする状況に感心を示さない。
特に、経済の生命線ともいえるシーレーンが南シナ海を縦貫している日本、尖閣諸島と近海の実効支配が危うくなってきている日本で、メディアが現状を報じることは稀です。テレビのワイドショーはどのチャンネルを観ても、「モリカケ」と「貴乃花親方バッシング」一色で、しかも推測話を延々。平和呆けなのか、中国の「世論戦」に犯されて、「報道しない自由」を駆使しているのか。
北村氏が指摘される、中国による膨張主義的海洋侵出からアメリカや日本の目をそらせることに成功したという、中国にとっての戦略的成功を収めたのが2017年であったとの指摘は当たっていると納得させられます。
幸い、トランプ政権も、安倍政権も、メディアの様にぬかってはいない様子。
トランプ大統領は、「国家安全保障戦略」を発表し、対中警戒政策に立ち戻っていますね。
米国の「国家安全保障戦略」は、「米中融和」や「米中蜜月」という推測を明確に否定 - 遊爺雑記帳
安倍政権も、敵基地攻撃も可能な、島嶼防衛用の、F-15, F-35戦闘機への巡航ミサイル搭載の予算化を進めています。
政府 「敵基地攻撃」能力を持つミサイル導入予算化 - 遊爺雑記帳
アメリカファーストで国内回帰色と、同盟国への負担増を求めるトランブ政権。自国の安全は自国でも負担しろと言うのは正論です。
米国の核の傘の下でおんぶにだっこで平和ボケの夢をみて過ごしてきた日本。自国の安全保障は、先ずは自国で備える普通の国に脱皮せねばならない時がきていますね。
# 冒頭の画像は、与那国島を訪れたハリス太平洋軍司令官
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↓よろしかったら、お願いします。
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