遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

米中経済対話 中国が上から目線に逆転

2008-12-06 18:51:41 | 中国 全般
 米現政権きっての親中派、ポールソン財務長官の発案をきっかけに2006年に発足し今回で 5回目を迎えた、米中戦略経済対話(SED)が行われました。
 これまで人民元の切り上げや、食品・おもちゃの安全問題などで中国に注文をつけてきた米国が、強気にリーダーシップをとっていたのですが、今回は「米国にある中国の資産や投資の安全を守ってほしい」などと、米国の最大の債権国となった中国が、米国の経済・金融の安定に向け強気な発言がめだち、攻守の立場が逆転したのだそうです。
 
米中経済対話閉幕 強気の中国、攻守逆転 輸出信用枠1・8兆円合意 (12/6 産経)

 【北京=矢板明夫】米国と中国が経済問題などを話し合う第5回米中戦略経済対話(SED)は5日、金融危機が両国の貿易に与える影響を減らすため、双方の輸出入銀行が計200億ドル(約1兆8500億円)の輸出信用枠の設定で合意し、2日間の日程を終えて閉幕した。今回の対話では、米国の最大の債権国となった中国の強気な姿勢が際立ち、これまで人民元の切り上げや中国製食品、おもちゃの安全問題などで中国に注文をつけてきた米国が守勢にまわり、両国が攻守ところを変えた印象となった。

 輸出信用は、業者の経営不振などで決済できなくなった輸出入の代金を政府が肩代わりする仕組み。金融危機の影響で代金回収をめぐるトラブルが増えていることから、米側が120億ドル、中国側が80億ドルの信用枠を設定し、貿易の円滑化を図る。これを含め、両国は金融、エネルギー、環境などの40項目にわたり、協力関係強化で合意した。

 初日の4日、中国の王岐山副首相は冒頭のあいさつで、「米国はあらゆる手段を講じ、経済と金融を安定させることを希望する。同時に、米国にある中国の資産や投資の安全を守ってほしい」と述べた。この発言は「米国に、ものを申す中国」とのイメージを強く印象づけ、中国国内メディアに大きく取り上げられた。

 対話終了後、王副首相は「対話と協力の継続は両国関係の発展に有益」と述べ、米国のオバマ次期政権で対話の枠組みを維持したい考えを示した。
 ただ、9月末時点で5850億ドルの米国債を所有し、日本を抜いて米国の最大の債権国となった中国は、オバマ次期政権に対し、今回と同じように意見をはっきり言う強気の姿勢を貫く可能性が大きい。中国が自信を深めるなかで、再び米中間の摩擦が激化する可能性が出てきている。

                  ◇
■ブッシュ米政権下の米中をめぐる主な動き
 2001年 4月 中国・海南島沖で米軍機と接触した中国戦闘機が墜落 
 2003年11月 米が中国産繊維品への緊急輸入制限を発表
 2005年 4月 人民元切り上げ圧力をかける法案が米議会に提出
       7月 人民元切り上げ
 2006年 2月 外貨準備高で中国が日本を抜き1位
      12月 第1回米中戦略経済対話
 2007年 1月 中国が人工衛星破壊実験を実施。米が懸念表明
       9月 米中首脳会談で、台湾の国連加盟住民投票反対で一致
      10月 訪米したダライ・ラマ14世に米議会が金メダルを授与。
          中国が反発
 2008年 3月 チベット騒乱でブッシュ大統領が懸念を表明
       8月 北京五輪開会式にブッシュ大統領出席
       9月 米国債保有高で中国が日本を抜き1位


 オバマ時期大統領は、選挙期間中「中国は為替操作による不当な利益を得ている」と批判していて、為替操作で輸出製品の価格競争力を維持する中国の姿勢には、米国内での不満は増しています。
 米国は、人民元切り上げを求める強硬姿勢を、最近は転換し、対話を通して国際的な金融自由化に適応する必要性を説く対話路線に転じ、人民元の対ドル相場が20%超上昇するところまで漕ぎつけているのだそうですが、政権移行チーム内部では、現政権の対話路線の効果に疑問が上っているのだそうで、労働組合を基盤とし、雇用の確保が急務の民主党のオバマ政権が、対話路線を継承するかは不明なのだそうです。

 中国は、外貨準備が約 1兆9000億ドルと世界一なのですが、9月に日本を抜いて最大の米国債保有国にもなっています。中国が、米国債を大量に手放せば、長期金利の上昇やドル急落につながる訳で、中国は米国を揺さぶる巨大なカードを握ったといえ、今回の立場逆転の強気姿勢が生まれています。

 この緊急時、日米二国間の会議の話は聞きません(遊爺が漏らしているのかも知れません)。
 新たな日米経済関係の枠組み「成長のための日米経済パートナーシップ」 (外務省の頁では、2007/12月開催が直近)

 大統領交代の空白期間で、経済政策決断は両者で譲り合っている状況ですし、二代続いて政権を投げ出した首相が続き、現首相も末期症状のダッチロール状態の日本とでは、会談の設定しようもないのですが...。100年に一度とか、かつて未体験の未知なる世界恐慌とか言われていますが、この米国の空白や、日本の政権の存在価値の失落は、その状況に拍車をかけていて、中露仏が地位を高めようと動いています。

 テロ特別措置法も参議院で議決され、国会延長の意味が無くなっていますが、経済対策追加予算を繰り上げ審議し、成立と実行を少しでも早めるべきです。100に一度の一大局面なのですが、お正月を休んで来年審議などと言っている場合ではありません。日程を詰め休み返上でスピードアップし繰り上げる。麻生政権の生きる道はこれしか残されていません。また、政府に最も求められていることです。
 道路財源一般化も反故にしてしまっています。時間が経てば経つほど、否定された昔の自民党の政策に戻ってきています。
 民社党はと言えば、相変わらず政局優先で、政策の芯がありません。このままでは、日本は沈没します。





↓ よろしかったら、お願いします。


 Takeshima belong to Korea or Japan? の投票頁があります。是非投票をお願いします。



コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「世界の工場」も稼動減 | トップ | 中国が尖閣諸島の実効支配に着手 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
日本外交は大国に対しても堂堂と・・ (容子)
2008-12-11 01:33:27
遊爺さま

この中国側の「米国はあらゆる手段を講じ、経済と金融を安定させることを希望する。同時に、米国にある中国の資産や投資の安全を守ってほしい」と述べた。」との事ですが・・

日本はいまも米国に中国には抜かれたけど・・日本資産が多くなるのですが・・それを梃子に米国を揺さぶった事が1度あったように記憶してます。その時の米国の日本の対する態度は・・高飛車に押さえつけたように思います。今後日本でも使える政治武器はもっと大胆に発言する事を願います。
返信する
Re: 日本外交は大国に対しても堂々と... (遊爺)
2008-12-14 22:46:39
容子さん、こんにちは。

> 今後日本でも使える政治武器はもっと大胆に発言する事を願います。

 本当にそうなんなんですよね。
 世界の国々では普通このことが出来ない日本政府・首相でした。
 対米、対中、対朝、対韓それぞれに対してカードは異なりますが、早出しや放棄があり、言うことも言えないケースの積み重ねで、思い切りたかられる時だけ持ち上げられて、基本的には舐められっぱなしですね。
  尖閣への中国の観測船の領海侵犯では、スピードやつっこみに不満をのこすものの、麻生さんは温家宝首相との間で激しい議論に及んだとの一部報道があり、麻生さんには珍しく評価出来る行動でしたが、通り一遍の短い表現で流す大手各紙が多いのは、何故なのかと考え込んでしまいます。
  リーダーシップある政治家が育つ環境について触れている今朝のテレビ番組がありましたが、マスコミや我々国民も、批判だけでなく、良いことは褒めてあげたりして、育ててあげることが必要だと、リーダー不毛の今日を見て、考えさせられました。
 
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中国 全般」カテゴリの最新記事