遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

「世界の工場」も稼動減

2008-11-30 17:40:34 | 中国 全般
 日常のビジネス前線では、中国の輸出産業が受注減で工場の操業が悪化し、売り上げ減や信用不安の急増への対応などの話題が沸騰しています。日本のマスコミの報道ではパラパラ散見されますが、ごく部分的な現象といった扱いです。
 そのなかで、読売(11/30 朝刊)に、衣料品、日用雑貨、玩具、電子製品、パソコンまで、各種工場が林立し、中国全体のGDPの 1%強を占める工業地帯の東莞(とうかん)市の現状が載っていました。
 
経済地球便 「世界の工場」暗転 (11/30 読売朝刊)

 玩具や衣料品、家具などの軽工業の生産拠点が集積し、「世界の工場」と呼ばれる中国広東省の東莞市で、経営者の夜逃げや外資系企業の撤退、工場閉鎖が相次いでいる。人民元相場や労働コストの上昇に加え、金融危機による世界経済の減速で、主力の輸出が不振に陥ったためだ。街は成長の勢いを失い、衰退の影に覆われている。

倒産、夜逃げ・・・
 かつて500件以上の靴工場が並び、年間 6億足を生産した東莞市西部の厚街地区。今は正門に裁判所の封印が張られ、人がいない工場が目につく。
 経営者が夜逃げし、9月に倒産した靴工場の門前に座っていた李愛生さん(25)は、2年前に貴州省から働きにでてきた。「やることがないので、金持ちが来るのを待っているんだ」と力無く笑った。
 近くで靴向けの皮革問屋を営む石懐生さん(46)は、山積みになった皮の在庫を前に、「店を閉めて故郷でやり直すしかない」とため息をつく。
 東莞から車で約 1時間離れた広州駅は、「帰省ラッシュ」で混雑している。駅前は、布団や鍋を詰め込んだ大きな袋を抱えた人たちであふれ、数日先まで満席の路線もある。広西チワン属自治区出身の孫光さん(32)は「10年以上も働いた玩具工場がつぶれほかにいい仕事がなかった」と帰郷を決めた。

「80万人が失業」
 <中略>
 今年に入って環境が一変した。法定最低賃金の引き上げなどで労働コストが上昇したうえ、人民元相場の高騰も重なって輸出競争力が弱まり、不振に陥る工場が目立ちはじめた。
 日本や欧米の景気後退の影響をうけ、東莞の10月の輸出額は前年同月比 4.5%減と、05年 2月以来のマイナスに転じた。金融危機の余波で銀行の融資も受けにくくなり、経営者の夜逃げや外資系企業の撤退が一気に加速している。
 ホテルや飲食店の閉鎖も相次ぎ、香港経済日報によると、市当局者は 1年以内に 80万人が失業する可能性があると予測する。

広がる閉塞感
 景気の悪化は、社会の安定も脅かし始めている。倒産した工場の労働者と警官隊の衝突が頻発し、「タクシーに強引に相乗りして金を奪う事件が増えている」(タクシー運転手)など、治安も悪化しつつある。
 温家宝首相は10月中旬に東莞などを視察し、中小企業などの支援策を拡充する方針を示した。地元政府も、夜逃げした経営者に代わって未払いの賃金を支給しているほか、中小企業の資金繰りを助ける基金を創設する構想も打ちだした。
 しかし「東莞の不況は世界的な需要の減退が原因で、資金繰りを多少支援しても、撤退や夜逃げは防げない」(深センの企業コンサルタント)という厳しい見方もある。中国経済が減速しつつある中で、東莞の閉塞感は、次第に全土へと拡大する可能性もある。

 中国の輸出は、国別でみると、米国(232,704百万ドル/年)、日本(102,071百万ドル/年)、韓国(56,141百万ドル/年)、ドイツ(48,718百万ドル/年)、オランダ(41,413百万ドル/年)となっています。
 輸出統計(国別) - 中国 - ジェトロ

 米国の占める割合は、19.1%(日本は、8.4%)もあり、EU27ヶ国合計の20.1%にはやや及ばないものの、単独の国別では群を抜いています。
 新車販売台数の前年比で、9月=16.6%減、10月=31.9%減との記録的な落ち込みに象徴される米国の個人消費の冷え込みの影響は、「世界の工場」として発展してきた中国の輸出産業へ大きな影響を与え始めています。
 このことは、米国への輸出依存度の高い日本でも同様です。

 中国では、いち早く内需拡大での景気対策10項目を打ちだし、交通インフラの整備、低所得者層への福祉、農村の活性化といった中期政策を打ち出しています。
 国務院常務会議、10項目4兆元規模の内需拡大策を決定_人民中国

 欧米で、一定の評価を得ていますし、豪中首脳で投資のチャンスと会談も行われていました。
 胡主席:内需拡大策に自信「中国の経済成長をけん引」 2008/11/17(月) 17:08:11 [サーチナ]

 中国のオーストラリアへの輸出は、17,993百万ドル/年(全体の 1.5%)と、日本に比べると大きく下回っているのですが、親中派のラッド首相と、エネルギー他の各種資源が魅力で、両国は急接近しています。
 北朝鮮への石油支援では、日本が拒否する分をオーストラリアが負担を申し出ています。

 日本では、景気対策が政局より優先と唱えていた総理が、年内に必要と言っていた定額給付金、第2次補正予算案を来年に先送りです。経済対策の先送りは、多くの自民党支援で踏ん張っていた人々を、アンチ政権に転換させています。日テレの辛坊さんも、褒めようと勤めても褒めるところが無くなったと怒っていた麻生さんですが、党首討論では、政局しか念頭にない両党首の会話でした。
 そんな政治家を、世界の首脳はだれも頼りにしませんし、こちらの提案にも耳を貸しません。
  # 訪日や首相との面談のキャンセル・延期。金融サミットの提案や開催誘致の無視。

 他に適任者や、頼れる政党がないという理由で存在ている政府・与党や、民主党です。中期政策無しでいつまでも過去の遺産を食いつぶしていてもらっては、いかに民間がしっかりしているとはいえ、国が滅んでしまいます。それどころか、福田政権にも増して改革の逆行を始めている政府や与党の直近の動きです。過去へ戻すことで小泉改革の弊害がなくせると思っている節があるのですが、これは大間違いです。
 改革・チェンジを進める中で、小泉・安倍と引き継がれてきた政策の実現を目指し、弊害に対する新しい政策を立案していかねばならないのです。世界が未知の道にさまよいこんでいるのですから、留まることは許されず、新しい打開策の知恵がいるのです。
 財政が世界一豊かだから出来ることもありますが、中国政権の政策の発想を比較すると、格段の開きがあるのは、情けない話です。





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2 コメント

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米国の中国好き? (容子の部屋)
2008-12-06 14:58:50
遊爺さま

この記事を見ていかに中国に対して米国、日本、ドイツ等の国が中国を生産地として日常雑貨を作っていたかが解ります。その分ぞれざれの国内産業は衰退し、失業者があふれていたのですね。

特に米国は産業の多くを中国に移転して、現在ビック3でさえ政府に泣きついている・・それ程国内の産業を他国に移転した結果と思います。

私は米国の中国好きが解りません。第2次大戦でも結局は米国は中国を支配したかったのに邪魔な日本とのと戦いになり・・現在も共産政権なのに・・今でも中国政権には未練たっぷり・・と思います。

次期政権も恐らく中国重視のアジア政策のように感じ、日本の政治力の貧困を悲しく思います。
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Re: 米国の中国好き? (遊爺)
2008-12-06 23:46:50
容子さん、こんにちは。

 各国の国内産業のドーナツ化と、世界の工場・中国の産業の夜明けが相対的に進んだのでしたね。
 と同時に、産業の発展がある中国の海岸の都市部では、旺盛な需要が生じ、富裕層と言われる人々が約 7千万人(日本の人口が約 9千万人)になったと言われていますね。(5千万とも、1億を超したとも言われています。)この人たちを含む都市部の約5億人の消費による経済成長は著しく、日本の国別輸出額では、米国を抜いて中国が 1位ですね。
 この中国の成長の始まりが、米国、日本への輸出で、特に米国の輸入に大きく影響を受けるので、相互に関連し合っています。今後どう展開するか、米国や日本への輸出減があっても、中国の内需で産業が活況を取り戻し、バブルはないが安定成長を維持できるのかは、世界経済の再生の鍵を握っていると言えます。

> 次期政権も恐らく中国重視のアジア政策のように感じ、日本の政治力の貧困を悲しく思います。

 総人口約13億。この潜在需要力は米国のみならず、多くの国々とって魅力で、中国詣でが盛んですし、親中政権(オーストラリア、台湾 etc.)が誕生していますね。
日本が中国の属国にならないことを、願っています。
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