
習近平主席は、3月10日、ようやく武漢入りし、武漢以外の全土で新規感染者数をほぼ抑え込んでいるとし、自身の功績をアピールしていました。
そうした、中国の宣伝機関による、「習近平主席の指導下でわれわれが疫病との戦いに勝ち続けている」との、いわば「戦勝ムード」を醸し出している中で、李克強首相が、「第2の感染爆発」が起きる可能性を指摘、感染の情報公開「透明性」にも言及したのだそうです。
李克強首相のこの最新発言を、「中国政府網」という政府の公式サイトが掲載したのだそうですが、共産党宣伝部の管理下の人民日報は、李首相主宰の新型肺炎対策会議の内容を1面で報道したものの、「中国政府網」掲載の李首相発言の重要ポイントは報じなかったのだそうです。
共産党宣伝部は、楽観的な「戦勝ムード」を作り出すために、自国首相の重要発言を検閲で削除した模様。
李氏が首相を務める国務院開設の「中国政府網」と、共産党宣伝部が管理する「人民日報」とで報道の差が生じる対立が露呈している様です。
「主席と党に感謝せよ」評価を受けたい習近平の焦燥 - 遊爺雑記帳
李首相の今後の新型コロナウイルスへの見解は3つ。
(1)新型コロナウイルスへの感染はそう簡単に終息するのではなく、むしろ長期化する可能性を示唆。
「早期終息」の楽観ムードに冷や水を浴びせた。
(2)零細的な病例発生や局部的な感染爆発の危険性は依然存在すると、引締め。
(3)今後における疫病の「局部的爆発」、あるいは「広範囲な爆発」の可能性に言及。
李首相は、更に感染の情報公開「透明性」にも言及。「感染の統計データが正確でなければならない。隠蔽があってはならない」と戒めたのだと。つまり、隠蔽が行われていたということ。
中国の宣伝機関が今、「戦勝ムード」を醸し出している中で、李首相は、冷静に今後の「第2の感染爆発」への警鐘を鳴らし、楽観ムードを引締めたのですね。
習近平が「新型コロナを上手く抑え込んだ習近平主席と中国共産党に感謝しなさい」という「感恩教育」運動を展開しようとしていることへ、水をさした。
なので、人民日報の報道では、李首相のこの部分の発言は削除された。
主席の定年制を廃し、永遠に君臨出来る体制を勝ち取った習近平ですが、その露骨な覇権拡路線で、米国との「新冷戦時代」に突入、貿易戦争では負勢。経済成長が低迷し、支持率低下傾向がある中での、武漢肺炎の初動失政批判の高まり。
当然、反習近平勢力の、共青団派の旗頭、李首相の反抗があってしかるべきですね。
新型コロナウイルスによる武漢肺炎の感染拡大は、世界各国の指導者の政権にとって、その真価が問われる問題でもあるのですね。
# 冒頭の画像は、中国・武漢を撤収する医療従事者

カラタチの果実
↓よろしかったら、お願いします。







そうした、中国の宣伝機関による、「習近平主席の指導下でわれわれが疫病との戦いに勝ち続けている」との、いわば「戦勝ムード」を醸し出している中で、李克強首相が、「第2の感染爆発」が起きる可能性を指摘、感染の情報公開「透明性」にも言及したのだそうです。
李克強首相のこの最新発言を、「中国政府網」という政府の公式サイトが掲載したのだそうですが、共産党宣伝部の管理下の人民日報は、李首相主宰の新型肺炎対策会議の内容を1面で報道したものの、「中国政府網」掲載の李首相発言の重要ポイントは報じなかったのだそうです。
共産党宣伝部は、楽観的な「戦勝ムード」を作り出すために、自国首相の重要発言を検閲で削除した模様。
李氏が首相を務める国務院開設の「中国政府網」と、共産党宣伝部が管理する「人民日報」とで報道の差が生じる対立が露呈している様です。
「主席と党に感謝せよ」評価を受けたい習近平の焦燥 - 遊爺雑記帳
【石平のChina Watch】隠蔽された李首相の「警告」 - 産経ニュース 2020.4.2
先月24日、中国国務院弁公庁開設の「中国政府網」という政府の公式サイトが、新型コロナウイルス問題に関する李克強首相の最新発言を掲載した。
それは、23日に開かれた中央の新型肺炎対策会議における発言で、李首相は今後の新型コロナウイルスの拡散状況について次のような見解を示した。
(1)今度の疫病は以前のSARS(重症急性呼吸器症候群)のように突如消えてしまう可能性が低い。われわれはより大きな困難に持久的に備えていかなければならない。
(2)全国規模の感染はすでに遮断されたが、零細的な病例発生や局部的な感染爆発の危険性は依然存在する。
(3)われわれとしては局部的あるいは広範囲の感染の爆発を断固として阻止しなければならない。
以上が、李首相発言の注目点である。そこからはいくつか、重要な情報を読み取れることができよう。
まず注目すべきなのは、(1)の発言において李首相が、新型コロナウイルスへの感染はそう簡単に終息するのではなく、むしろ長期化する可能性を示唆した点である。中国国内で広がっている「早期終息」の楽観ムードに冷や水を浴びせた発言である。(3)において、李首相は、今後における疫病の「局部的爆発」、あるいは「広範囲な爆発」の可能性に言及したが、この言葉の持つ意味の重大さは決して看過すべきではない。
現在、新型コロナウイルス感染が世界全体で拡散し猛威を振るう一方、本場の中国ではむしろ終息しつつうまく収まったとの観測が主流となっているが、中国で「第2の感染爆発」が起きる可能性はないわけではない。中国政府の責任者であり、「疫病対策本部」の責任者でもある李首相自身がこのような危険性を既に感じているからである。
上述の発言以外には李首相は、感染の情報公開「透明性」にも言及し、「感染の統計データが正確でなければならない。隠蔽(いんぺい)があってはならない」と戒めた。その裏返しからすれば要するに、感染の実態への隠蔽が今でも行われているわけである。
中国の宣伝機関が今、「習近平主席の指導下でわれわれが疫病との戦いに勝ち続けている」と吹聴し、いわば「戦勝ムード」を醸し出している中で、李首相の発言は責任のある立場から現状を冷静に見つめたものである。近い未来に起きるかもしれない災難への警鐘を鳴らしたものだから大変貴重である。
しかし、まれに見る異常事態がここで起きた。24日付の人民日報は、前日の李首相主宰の新型肺炎対策会議の内容を1面で報道したが、驚いたことに、前述に紹介した、「中国政府網」掲載の李首相発言の重要ポイントが、この人民日報記事から見事に漏れているのである。
早期終息を否定した発言や、今後における感染の「局部的爆発」や「広範囲の爆発」に対する李首相の警告は全部、人民日報の「検閲」にかかって「不採用」となったわけである。どうやら人民日報とその上の共産党宣伝部は、楽観的な「戦勝ムード」を作り出すために、自国首相の重要発言さえ隠蔽してしまったようである。
その一方、李氏が首相を務める国務院開設の「中国政府網」は同じ日に上述の発言を堂々と掲載している。見えてくるのはもはや単に、感染の現状と今後の見通しに関する李首相・国務院と共産党宣伝部との認識の差ではない。背後にあるのは、新型コロナウイルス対策における、李首相の率いる政府と習主席の率いる党中央との意見対立であると推測できよう。
政権内の亀裂はすでに表面化し始めている。
先月24日、中国国務院弁公庁開設の「中国政府網」という政府の公式サイトが、新型コロナウイルス問題に関する李克強首相の最新発言を掲載した。
それは、23日に開かれた中央の新型肺炎対策会議における発言で、李首相は今後の新型コロナウイルスの拡散状況について次のような見解を示した。
(1)今度の疫病は以前のSARS(重症急性呼吸器症候群)のように突如消えてしまう可能性が低い。われわれはより大きな困難に持久的に備えていかなければならない。
(2)全国規模の感染はすでに遮断されたが、零細的な病例発生や局部的な感染爆発の危険性は依然存在する。
(3)われわれとしては局部的あるいは広範囲の感染の爆発を断固として阻止しなければならない。
以上が、李首相発言の注目点である。そこからはいくつか、重要な情報を読み取れることができよう。
まず注目すべきなのは、(1)の発言において李首相が、新型コロナウイルスへの感染はそう簡単に終息するのではなく、むしろ長期化する可能性を示唆した点である。中国国内で広がっている「早期終息」の楽観ムードに冷や水を浴びせた発言である。(3)において、李首相は、今後における疫病の「局部的爆発」、あるいは「広範囲な爆発」の可能性に言及したが、この言葉の持つ意味の重大さは決して看過すべきではない。
現在、新型コロナウイルス感染が世界全体で拡散し猛威を振るう一方、本場の中国ではむしろ終息しつつうまく収まったとの観測が主流となっているが、中国で「第2の感染爆発」が起きる可能性はないわけではない。中国政府の責任者であり、「疫病対策本部」の責任者でもある李首相自身がこのような危険性を既に感じているからである。
上述の発言以外には李首相は、感染の情報公開「透明性」にも言及し、「感染の統計データが正確でなければならない。隠蔽(いんぺい)があってはならない」と戒めた。その裏返しからすれば要するに、感染の実態への隠蔽が今でも行われているわけである。
中国の宣伝機関が今、「習近平主席の指導下でわれわれが疫病との戦いに勝ち続けている」と吹聴し、いわば「戦勝ムード」を醸し出している中で、李首相の発言は責任のある立場から現状を冷静に見つめたものである。近い未来に起きるかもしれない災難への警鐘を鳴らしたものだから大変貴重である。
しかし、まれに見る異常事態がここで起きた。24日付の人民日報は、前日の李首相主宰の新型肺炎対策会議の内容を1面で報道したが、驚いたことに、前述に紹介した、「中国政府網」掲載の李首相発言の重要ポイントが、この人民日報記事から見事に漏れているのである。
早期終息を否定した発言や、今後における感染の「局部的爆発」や「広範囲の爆発」に対する李首相の警告は全部、人民日報の「検閲」にかかって「不採用」となったわけである。どうやら人民日報とその上の共産党宣伝部は、楽観的な「戦勝ムード」を作り出すために、自国首相の重要発言さえ隠蔽してしまったようである。
その一方、李氏が首相を務める国務院開設の「中国政府網」は同じ日に上述の発言を堂々と掲載している。見えてくるのはもはや単に、感染の現状と今後の見通しに関する李首相・国務院と共産党宣伝部との認識の差ではない。背後にあるのは、新型コロナウイルス対策における、李首相の率いる政府と習主席の率いる党中央との意見対立であると推測できよう。
政権内の亀裂はすでに表面化し始めている。
李首相の今後の新型コロナウイルスへの見解は3つ。
(1)新型コロナウイルスへの感染はそう簡単に終息するのではなく、むしろ長期化する可能性を示唆。
「早期終息」の楽観ムードに冷や水を浴びせた。
(2)零細的な病例発生や局部的な感染爆発の危険性は依然存在すると、引締め。
(3)今後における疫病の「局部的爆発」、あるいは「広範囲な爆発」の可能性に言及。
李首相は、更に感染の情報公開「透明性」にも言及。「感染の統計データが正確でなければならない。隠蔽があってはならない」と戒めたのだと。つまり、隠蔽が行われていたということ。
中国の宣伝機関が今、「戦勝ムード」を醸し出している中で、李首相は、冷静に今後の「第2の感染爆発」への警鐘を鳴らし、楽観ムードを引締めたのですね。
習近平が「新型コロナを上手く抑え込んだ習近平主席と中国共産党に感謝しなさい」という「感恩教育」運動を展開しようとしていることへ、水をさした。
なので、人民日報の報道では、李首相のこの部分の発言は削除された。
主席の定年制を廃し、永遠に君臨出来る体制を勝ち取った習近平ですが、その露骨な覇権拡路線で、米国との「新冷戦時代」に突入、貿易戦争では負勢。経済成長が低迷し、支持率低下傾向がある中での、武漢肺炎の初動失政批判の高まり。
当然、反習近平勢力の、共青団派の旗頭、李首相の反抗があってしかるべきですね。
新型コロナウイルスによる武漢肺炎の感染拡大は、世界各国の指導者の政権にとって、その真価が問われる問題でもあるのですね。
# 冒頭の画像は、中国・武漢を撤収する医療従事者

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