毎日がしあわせ日和

ほんとうの自分に戻れば戻るほど 毎日がしあわせ日和

漂う氷山、上から見るか 下から見るか

2021年07月18日 10時42分44秒 | 貴秋の視点、すなわち偏見

そもそもの始まりは、アガサ ・ クリスティの 「復讐の女神」 という小説でした。

主人公のミス ・ マープルが ある謎を追って招待のバス旅行に出かけるのですが、そのバスに乗り合わせた若者カップルのセリフが妙に氣になったのです。

カップルの女の子が彼氏に言うんですね、「あなた色盲なんじゃない? だって、あたしの赤いスカーフ取ってきてって頼んだとき、『緑のならあったよ』 って言って赤いのを持ってきてくれたでしょ?」 って。

話の本筋とは関係ないところで、なぜかすごく考え込んじゃった。

ひとつのものが まったく違って見える人たちがいる。。。同じ一枚のスカーフでも、女の子には赤、男の子には緑。

でもどうなんだろう、男の子には そのスカーフがこの色に見えたのか、それとも見えたのはこの色だけど、彼はそれをと呼び習わしているだけなのか。

いや、さすがにこの手のことを言われたのはこれが初めてではないだろうから、赤という色が自分だけ他者と違うように映ることは知っていただろう。

でもそれがなんだろう。。。他者とのコミュニケーションでは注意しなくてはならないとしても、彼にとっては 赤 = この色 が真実ではないか。

だとしたら、“真実” ってなんだろう。

すべての人に絶対共通の真実なんてあるのだろうか。




まあさすがにこのときは ミステリーの結末のほうが氣がかりで、真実の追求についてはそれっきり忘れてしまったのですが、このテーマ、その後も折に触れて いつも 「復讐の女神」 のあの場面とセットで顔を覗かせるようになったんですね。

そして、ついに決定打が訪れました。

それがこのブログ記事、「クオリアについて」 。

うわー、答が出ちゃったよ。

自分が見てるのは 真実そのものではなくて 自身の脳の解釈なのだから、何から何までまったく同じ人が二人といないのと同様、まったく同じ世界を共有できる人がただの一人たりともいるはずがない。

私たちはめいめいが自身の世界の主で、その世界は自分にしか見えないんだ。

「共有してるつもり」 にはなれても、ほんとうに共有することはできないんだ。




ただし。

この話は、あくまでも顕在意識レベルで考えたときのこと。

潜在意識や無意識には、これとあれ、こことあそこ、などの区分はありません。

分け目も境界もなく、色も形も広さも深さも重さも定点もない、「それ以外」 というものが存在しない領域、触れる者すべてに共通の領域です。

顕在意識と潜在意識の関係は、よく氷山に例えられますね。

海面に見えている氷山は、ひとつひとつが離れ小島のようにバラバラに浮いて見えるが、水面下ではひと続きになっているのだと。

だから、自分を他から独立した個の存在と見るか、“ひとつであるもの” の一部と見るかは、意識をどこに置くかで違ってくるのだと 貴秋は思っています。

「私の世界は 私だけしか見ることのできない世界」 とはっきり意識するようになったのは ごく最近のことですが、以来 普段の日常では 自分の個性を唯一無二のものとして前面に押し出すことをためらわなくなりました。

で、前回書いた 「自分が選べば 自分の世界は選んだとおりになる」 は、この 「私の世界は私だけの世界」 に 「感情を乗せてイメージすることが現実になる」 というもうひとつの確信が合わさって生まれた思いですが、それは すべての存在が共有している あの “ひとつであるもの” がベースにあるという第三の確信があってこその話。

分け出すおおもとがあるからこそ、分け出すという作業ができるのですから。




潜在意識そのものを知覚することはできなくても、潜在意識の存在やその働きを信じられるようになると 世界が変わるというのは、こういうことです。

顕在意識オンリーの世界では 「個」 と 「孤」 はほとんど同義で、人はひとりでいることを不安や寂しさと結びつけがちです。

今回のコロナ騒ぎは、そのことを顕著に見せつけてくれました。

が、潜在意識の世界に触れることで、その認識はがらりと変わります。

自分は大きな一本の木のように確かで揺るぎない存在で、そこに日がさすこともあれば 雨が降ることもある、鳥も虫も 現れてはまた去ってゆく、周囲は絶えず変わるけれど、自分はどこまでも自分のままでいい。

そんな不思議な感覚と共に生きていくことになります。




これが、ビフォー : 他者を恐れ 怒りと不安に満ちて 孤独にさいなまれていた貴秋の、現在 ・ アフターのありよう。

かのリフォーム番組 「大改造!! 劇的ビフォーアフター」 と遜色ない変わりっぷりだと思いません?