Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ハゲタカ 第5回

2007-08-23 | TVドラマ(日本)
「恋愛モードまるでなし。それでいいのだ」

常に挑発的な態度で日本企業に攻撃をしかけてきた鷲津が初めて受けて立つ側となる第5回。かつて鷲津によって父親を事故死に追いやられた「西乃屋」の長男、治がIT社長にのし上がり、挑戦状を叩き付ける。本社に隠れて裏で画策を練り始める鷲津、その真意は三島製作所の存続にあるのだが、栗山千明演じる三島由香に特別な思いがあるのかどうか…。

予期した通りではあるが、このドラマには色恋沙汰は一切描写なし。由香が鷲津の真意を知ったからと言って、二人が抱き合うわけでもなし、言葉をかけることすらない。この辺、ちょっと色気のある脚本家なら、ふたりのロマンスを描きたいところなんだろうけど、ぐっと我慢。見ている私も鷲津のラブシーンなら見てみたいけど、これまたぐっと我慢。つらいとこだが、全体の硬質なムードを損ねるくらいなら、恋愛描写は入れない方がいい。これ、社会派ドラマの鉄則。

今回の佳境はテレビ番組での討論会だが、キャスターを本物のNHKアナウンサーが務めているため、とてもリアルだし落ち着きがある。この辺は民放が作るとやたらと嘘くさくて、派手な演出になるんだろうな。で、ラストに鷲津が撃たれる場面で、第一回の冒頭に繋がっていく、という構成もうまいねえ。頂点に立った鷲津がついに人間らしい気持ちで行動したら、それが裏目に。果たして彼は冷徹な男に戻るのか、新たな道を見つけるのか。大空電気の行く末だけでなく、主人公鷲津の人間性を、どのスタンスで着地させるかが最終回への焦点へとなっていく。

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<親父のDNAを見せつける松田龍平>
インターネットの世界でのし上がってきた西野治。人物背景から言って、もろホリエモンがモデルなんだけど、似ても似つかぬ男前です(笑)。それにしても斜に構えた物言いといい、孤独感のにじみ出る佇まいと言い、父・松田優作にすごく似てきたなと今回しみじみ感じた。

「御法度」でデビューした頃は、若さが邪魔していきがってるだけのイメージだったが、段々年相応に影のある男道を突き進んでいる模様。こういう冷たいキャラクターがうまい俳優は、浅野忠信やオダギリジョーなどがいるけど、松田龍平は俺なんかいつ死んだっていいと言わんばかりの虚無的な表情が印象的。手を差し伸べても、逆に刃物で刺されそうな凄みを本作では見せている。