Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ハゲタカ 第6回

2007-08-24 | TVドラマ(日本)
「キレ味あり、幸福感アリの万歳!最終回」

大空電機の実権を握ったホライズンは、技術力の高いレンズ事業部をアメリカの企業に売却しようと画策する。儲かる事業部は残し、儲からない事業部は切る。黒字を出すということを第一優先に考えると間違いないけれども、本当にそれでいいのか…。これまた、多くの大企業に当てはまるテーマだ。私は基本的に浪花節が嫌いな人間だが、企業を「人間が集う集合体」だと考えると、やっぱり働く人間の「やる気」って一番大事。その事業を切ることで社員のやる気がなくなるんだったら、赤字でも残す意味はあるに違いないと思う。

このドラマは金融や経済について詳しくない人もハマったわけだけど、それは改革を取るか、人の気持ちを取るかっていう、素人にもわかりやすい対立図を作ってきたから。だけども、本来経営なんてそんなに簡単に割り切れるものでもない。そこに持ってきたのがEBOという案。社員が資金を出して自らの会社を買収するEBOという手段は初めて知ったが、これは大胆な改革でもあり、社員のやる気がないと実現しない方法でもある。そのあたり、うまい方法で着地させたなあ、と感心した。

そして、生死をさまよった鷲津を元の舞台に戻したのは芝野。以前鷲津から「あなたと私は同じです」と言われ突っぱねた芝野が最終回では「俺とおまえは同じだ」と返すあたりはしびれましたなあ。そして、ホライズンに一泡吹かせるという大どんでん返しは、最終回にふさわしいドラマチックな展開。リハビリから復帰して、いつもの金縁メガネとスーツ姿でホテルのバーに佇む姿に「鷲津、カンバーック!」と思わず心の中で拍手。全てが丸く収まる展開ではあるが、多くの痛みと犠牲を払ってきた鷲津と芝野の来し方を考えると実に納得できる最終回だったと思う。

というわけで、低視聴率だったにも関わらず、鷲津萌え~な婦女子が急増中らしい。やっぱ、過去に傷を負ったクールな男に惹かれるのは私だけじゃなかったのね。でも、ライバル増えるのも微妙だぞ。

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<とびきりオーラの違う田中泯>
「メゾン・ド・ヒミコ」でもそうだったけど、やっぱこの人はそこに立っているだけで存在感が違う。会社の行く末を担うキーパーソンとしての役割を彼に与えたのは大正解。ホテルのバーで鷲津と対面するシーン。セリフの前にひと呼吸あり、頬のあたりを指でさすって、ポツリとつぶやく。この「間」がすごいの。「頬を指でさする」という何気ない動作にぐーっと引き込まれる。さすが、舞踏家。大したもんです。そして、若い社員たちに技術者としての誇りを問うシーンは、最終回のクライマックス。田中泯がおいしいところを全部持っていっちゃいますよ、必見。