Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

トイ・ストーリー3

2010-08-27 | 外国映画(た行)
★★★★★ 2010年/アメリカ 監督/リー・アンクリッチ
「練りに錬られた脚本にピクサーの企画魂を見る」

<109シネマズ箕面にて観賞>


冒頭のアンディの小さい時のビデオですでにうるうる状態。

脚本がすばらしいです。「リトル・ミス・サンシャイン」の脚本家が書いたということで、いかにもと納得しました。仲間でがんばろう!といういかにもベタなモチーフだけど、展開がスピーディで、エンターテイメント性に優れた脚本で、全く飽きさせずにぐいぐい引っ張る。また、そのスピーディな展開の中に小笑いから大笑いまで、様々な笑いが散りばめられているのがいい。私のツボはドールハウスのケン。エレベータに乗ってするすると降りてくる登場シーンで、のっけから爆笑。ポテトヘッドのトルティーヤとか、数え上げたらきりがない小ネタの連続に笑いがとまりませんでした。

使われなくなったオモチャを、リストラされた失業者に重ねるという見方もあるようですね。どこでもいいから自分の役割を発揮できる場所を探し求めるという。そう思ってみると、さらに泣けますね。でも、個人的にはあまりそうしたフィルターをかけないで見てました。私は風刺や教訓はアニメの場合はあくまでもエッセンスだけで結構、と思っているタチなので。そういう意味ではこの「トイ・ストーリー3」は脱獄、逃亡劇としてのスリリングさが際立っていて、そこがすごく良かった。“あの”シーンは、さすがに観念しましたよ!

そして、見事な群像劇。オモチャの場合も群像劇って言うんですかね?あれだけ、キャストが多いにも関わらず、それぞれのキャラクターがしっかり立っている。これはもう、企画段階においてどれほどスタッフが頭を悩ませ、人物の背景を錬っているかという証拠。思いつきだけでつまらん邦画を作っている人たちは、ホント見習って欲しいな。ピクサーのこの企画力を。1回、企画会議に潜入してこい!

アンディがオモチャたちと遊ぶラストシーン。あれは、少年だった自分にお別れを言う儀式にもなっていて、泣かせる。息子の旅立ちを想像してしまい、涙が止まらないのでした…。

と、ここから方向転換。

映画館を後にして夫がひと言。「この映画は最初から最後まで母親目線だよ。第一、大学にも行こうって年齢であれだけオモチャに愛着を持っていることがおかしい。俺は“ナイト・ミュージアム”の方が何倍も泣けるなあ。」ふうむ。そういう見方もありますか。なるほどね。確かにこれは母親目線かも知れない。そう言えば、作品中お父さんが出てこない。もしかして、アンディの両親は離婚してしまったんだろうか。ふと、そんな風にも考えてみる。そうすると、アンディが中学・高校とおもちゃを大事にしてきたのも理屈が通る。とまあ、いろいろ見終わってから背景を考えたりできる懐の深さも本作のすばらしいところではないでしょうか。「2」の悪ガキ、シドも裏キャラとして出てるようですからね。