★★★★ 2020年/日本 監督/豊島圭介
本作を見たからといって右翼左翼の融和の道筋が見えるわけではない。1969年という時代の断片を垣間見るに過ぎない。しかしこの断片の切っ先は鋭い。結果的に平行線でも「言葉を尽くす」ことを今の我々は完全に手放してしまったのだという現実に打ちひしがれる。
大学生時代。中核派ヘルメットの学生が毎日校門に立っていたし、彼らの演説で授業はよく中止になっていた。良くも悪くも彼らの行為が私に政治思想について考えることを促していたのは間違いない。彼らの演説に対して意見を言う教官もいて、あれはあれで貴重な体験だったんだと今にして思う。