【わんちゃんの独り言】

毎日の生活の中で見たこと、聞いたこと、感じたこと、思いついたこと等々書き留めています
(コメント大歓迎デス・・・・・)

ちょっといいお話~天草晩柑~

2009-05-10 | 日記


はじまりは、おじいちゃんが買ってきた小さな苗木でした。
それは昭和10年ごろに熊本県河内町で偶然発見されたものだといいます。
発祥の地である「河内(かわち)」と、2月以降の遅い時期に採れるみかんの総称である「晩柑(ばんかん)」を組み合わせて「河内晩柑(かわちばんかん)」と呼ばれた。
それは、四月の開花から冬を超え再び春を迎える頃まで一年近くずっと実をつけている晩成種のみかんでした。

そして始まった我が家での晩柑栽培。
それは想像以上に苦難の連続でした。
幼樹のときは結実が不安定なことや、越冬期の落果などでうまく収穫できませんでした。
また、冬季の落果をおそれて早期の収穫を試みましたが、そうすると酸味が強すぎて美味しくありません。
そこで開花直前まで木に成らせておいたところ味はだいぶよくなったものの見た目が悪くなり商品に値がつきにくく、農園がもちません。
試行錯誤の日々が続きました。

十年以上かかって、おじいちゃんの出した結論は
「見かけはどんなに悪くてもいい、とにかく美味しいものをつくろう」と、いうこと。
そう心に決めたおじいちゃんは、なんと、次の年の開花が始まっても前期の実を収穫しないという奇策に出ました。
これは大きな賭けでした。

今期の実と来期の実が一本の木に同居となれば木が疲れてダメになるかもしれない。
それに、実がついたばかりの大切な時期に必要な薬剤が使えなくなる。
なぜなら収穫間近の実に薬剤がかかっては安心して晩柑を食べることができないからです。

その他にも課題はたくさんありました。
しかし、おじいちゃんはもう揺らぎませんでした。
「安全で美味しいものを作りたい」その想いを胸に、天草ならではの有機肥料を用いたり、必要な薬剤を最小限にとどめることで安心できる果実づくりに励みました。

そうしてできたみかんは、木成り時間が長い分、風雨にさらされ傷がついたり黒い点々があったりと、お世辞にもきれいとは言えないみかんでした。
ですが、開花から最長十六か月間木成りのまま樹上完熟させた香り高い晩柑は、すっきりとしていて身離れがよく暑い夏にピッタリの癒しの果実となりました。

当初はご近所でお分けしていただけの晩柑も年を追うごとに購入希望者が増え数十年経った今、全国各地から
「ふくろださんとこのが一番おいしい!!」
「寝たきりの母が晩柑だけは食べるんです」など、ありがたいお言葉をいただけるようになりました。

わたしたちは、おじいちゃんから引き継いだ、この晩柑を「天草晩柑(あまくさばんかん)」と名づけ昔ながらの変わらぬ農法で愛情いっぱいに育てています。

この出会いに感謝をこめて。
晩柑から一つでも多くの笑顔が生まれますように
                      
                        ふくろだ農園


私の働く職場にこんなお便りが届きました。
これからの季節、天草晩柑は最盛期です、甘くてジューシーそしてとっても美味しいの・・・・・
お店でみかけたら、ぜひ・・・オススメですよ。