【わんちゃんの独り言】

毎日の生活の中で見たこと、聞いたこと、感じたこと、思いついたこと等々書き留めています
(コメント大歓迎デス・・・・・)

こすもすと虫たち

2013-10-16 | 絵本



赤、白、ももいろ、きれいなこすもすの花がさきました。
よくはれた秋の日の朝です。


花には、もうたくさんの虫たちがやってきています。耳をすましてごらんなさい。ムーンムーン虫たちがさわいでいますよ。
風がヒューッとふき、花がゆれます。虫たちもパッと舞い上がり、風がおさまると、またすぐ花にとまります。ちいさなアブが一ぴき、花のまんなかにとまりました。すると・・・

ムク ムク ムク。
こすもすが、きいろい花粉をだしました。


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花のまんなかに、なにかがふれると、花粉がでるしくみになっているのです。
あなたもえんぴつのさきで、こすもすの花のまんなかをつついてごらんなさい。
【おしべの動きをたしかめる実験には、普通の原種コスモスでおこなってみてください。園芸品種の中には、動かない種もあります。また、アザミやマツバボタンのおしべも、ふれるとよく動く例として知られています】


アブは、でてきた花粉をおいしそうになめています。
ブン ブブンと羽の音をたてて、大きなけむくじゃらのマルハナバチがやってきました。


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「ちびすけ、そこどけ」とでもいっているようです。
ちいさなアブは、いそいでほかの花にうつります。マルハナバチは口をとがらせて、みつをすいます。
花粉が、かおやからだにつきます。その花粉を足でそうじして、うしろ足のかごにあつめます。マルハナバチは、みつや花粉を巣にもちかえり、子どもたちのえさにするのです。

サッ サッ サッと羽をうちながら、アゲハチョウが花の上をとおりすぎます。


ちかくでみつをすっていたマルハナバチやアブたちは、大きなかげにおどろき、あわててとびたちます。
花のまわりは、とてもにぎやかです。



みつや花粉は、一つの花にはたくさんありません。虫たちは、つぎからつぎへと花をたずねあるきます。
ですから、こすもすがみつをたくさんだす日ちゅうは、花のうばいあいがはじまるのです。
大きい虫たちは、ちいさい虫たちをおいはらって、いばっているようです。
ちいさなアブは、しかたなく葉の上にとまっています。

花の上の空には、いろいろなアブのオスたちが、うかんだようにとんでいます。ときどきおいかけっこをしているようです。
なぜでしょう。オスたちは、こうび(こどもをつくるためのおこない)のあいてをもとめているのです。


ちかよってくる アブが、メスかどうかたしかめたり、ほかのオスをおいはらったりしているのです。

花は、なぜみつや花粉をだすのでしょう。


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花は、なかまをふやすために、たねをつくります。たねはふつう、おしべからでる花粉がめしべのさきにつかないとできません。
でも、おおくの花は、じぶんで花粉をはこぶことができません。めだつ色やかたちの花をさかせ、ごちそうもよういして、虫たちをよぶのです。虫たちはしらないうちに、花粉をはこぶてつだいをしているわけです。

チチー!!おや、なにがおきたのでしょう


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あっ、ちいさなアブが、ハナグモにつかまっています。ハナグモのからだはみどり色をしているので、葉や茎などまわりの色にとけこんで、わかりにくくなっています。うっかりちかよったアブが、とらえられたのです。

アブが、ひっしではばたいたときです。


ハナグモは花からおちそうになり、アブをはなしてしまいました。ハナグモは、ながい四本のまえの足を大きくひろげ。花かげでまた、つぎのえものがちかづくのをまちます。

こすもすの茎のところに、土のトンネルができています。


これはちいさな茶色のアリが、土をじぶんのつばでかためてつくったものです。なかにはアリマキがいて、茎からしるをすっています。ちゃいろのアリは、アリマキのおしりからでるあまいみつをのんでいます。アリは、みつをもらうかわりに、トンネルをつくってアリマキを敵からみつからないようにしているのです。

まるい羽のテントウムシがやってきました。


こすもすのほそい茎や葉をひげでたしかめながら、あるいています。
アリマキをみつけると、「これは ごちそうだ」とばかり、むしゃむしゃと、たべはじめました。アリたちは大あわて。たいせつなアリマキを、たべられてはたいへんと、テントウムシの足にかみついたり せなかにのっておいはらおうとします。テントウムシは しかたなくとびさります。



バサ バサ バサッ、あまり うまくないとびかたで、こすもすの花にやってきたものがいます。

カマキリです。

カマキリも、花粉やみつを、とりにきたのでしょうか。
それにしては、ようすがへんです。じっとしてうごきません。ひげをピーンとはり、まえ足をおりたたみ、なにかをみつめています。
つぎの しゅんかん、かまのような まえ足をさっとのばしました。


カマキリのまえ足には ミツバチがとらえられていました。

このうごきは、あなたがちょっとでもまばたきしたら みえないすばやさです。
カマキリは、花にくる虫をたべにやってきたのです。カマキリはじぶんよりちいさくてうごいているものなら、なんでもつかまえようとします。
つり糸に ボタンをつけてカマキリのまえでゆらしてごらんなさい。

こすもすの茎に、カマキリがうんだ、たまごのかたまりがついています。
おや!たまごにちいさな黒い虫がついていますよ。


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おしりにながいくだのあるちいさなハチです。ハチは、カマキリのたまごのにおいをかぎわけると、ながいくだをさしこんで、じぶんのたまごをうみつけます。そのたまごから、かえったようちゅうは、カマキリのたまごをたべて大きくなります。
そしてつぎの年の春には親になって、たまごのかたまりからでてきます。
カマキリにかてる虫はちょっといませんが、大きくなるまでには いろいろな敵がねらっているのです。

太陽が西にかたむくと、虫たちのかずが、だいぶすくなくなりました。


ときおり、かるい羽の音をたてて、ホウジャクがやってきます。ストローのようなながい口で、とびながらみつをすっていきます。
葉のかげでは、モンシロチョウが、やすみばしょをさがしてとんでいます。
ちいさなアブが、花にもどってきました。
くらくなるまで、あんしんしてみつや花粉をなめることでしょう。



高家博成(たかいえ ひろしげ)・ぶん  
横内襄(よこうち じょう)・え



おわり


秋桜&蕎麦








2013年9月26日:奈良県桜井市笠にて撮影


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夕焼け繋がりで、妹からの絵手紙を紹介します➱二上山の落日:2013.10.03