【わんちゃんの独り言】

毎日の生活の中で見たこと、聞いたこと、感じたこと、思いついたこと等々書き留めています
(コメント大歓迎デス・・・・・)

戦争を詠む PART4

2022-05-27 | 折々の花~散歩道で~
朝日新聞朝刊 朝日歌壇
2022年5月8日
 <馬場あき子選>
砲弾にかわり鳥らがとぶ空を大きく描くウクライナの子(西宮市)澤瀉和子
焼け焦げた軍用車両を縫い歩む老女の髪に四月の氷雨(堺市)芝田義勝
戦争は人を殺すと徴兵を拒否したモハメド・アリを思う日(石川県)瀧上裕幸
南京で何もなかったと言うようにロシアはブチャをフェイクだと言う(光市)松本進
「ブチャ虐殺」市民の遺体にまで地雷仕掛(しか)けしはプーチンの軍隊(京都市)森谷弘志
五〇円を恥じらいながら義援金まだ見ぬウクライナへ囚徒の列は続く(名古屋市)西垣進
空爆の瓦礫の道のぬいぐるみ撫でたであろう幼い両手(出雲市)塩田直也
 【評】 
ウクライナの子供たちが描いた絵を見た。広い空に夢の明るさがあり、砲火のかわりに鳥が楽しそうに飛んでいる。
第一首、言葉以上に心に沁(し)みる絵だ。
第二首以下にはさまざまなウクライナの状況への反応があり切実な思いだ。

 <佐佐木幸綱選>
若き日に訪ねしキエフいまいづこキーウの映像追慕拒みて(西東京市)森岡修一
陥落でなく奪還のニュース聞く呼び名がキーウに変わりし都(西条市)丹佳子
同胞(はらから)を弔ふ人を狙ひしや遺体に地雷仕掛けし悪魔(東京都)佐藤幹夫
戦争は人を殺すと徴兵を拒否したモハメド・アリを思う日(石川県)瀧上裕幸
 【評】 
第一首、昔たずねたのはキエフ。現在、映像で見るキーウはまったく過去とつながらない。
第二首、正反対を意味する陥落と奪還。
第四首、モハメド・アリはベトナム戦争に反対し、徴兵拒否をしたヘビー級ボクサー。

 <高野公彦選>
有事には標的となる原発をゆつくり隠しゆく海霞(村上市)鈴木正芳
青ガウンN95にゴーグルを纏(まと)い働く我らに幸あれ(東京都)金美里
暖房の無き地下壕に新生児抱きて暖め続けし看護師(観音寺市)篠原俊則
南京で何もなかったと言うようにロシアはブチャをフェイクだと言う(光市)松本進
虐殺と破壊の記事の新聞を桃源郷の里に届ける(甲州市)麻生孝
 【評】 
一首目、物静かに詠みつつ、怖い歌だ。新潟県には柏崎刈羽原発がある。
二首目、青いガウンとN95(高性能マスク)とゴーグルを装着して働く。医療現場の業務の厳しさを伝える歌だが、作者は仕事に誇りを持っているようだ。(昨今の医療現場は戦場と思いかぶさって)

 <永田和宏選>
闘うも妻子をつれて逃げるのも生きる道なれ哀しウクライナ(江別市)海老澤基
ハリコフの市民であらばわれはいかに振舞い得るか考えてみた(東京都)野上卓
カチューシャも黒い瞳もトロイカもあくがれ遠き歌声喫茶(東京都)清水由美子
数秒にいのちをかけてあざやかにマリーナ・オフシャンニコワの反戦(新潟市)太田千鶴子
「ひどいことしやがる」父は戦争を知る者が持つ声でつぶやく(和泉市)星田美紀
戦争もコロナも地震もコメントするタレント族の不可思議テレビ(横浜市)森秀人
日本語を学ぶと避難民たちはまず片仮名で名前を書けり(札幌市)住吉和歌子
 【評】 
海老澤さん、命のかかる危機の中では個々の選択が迫られるが、どんな択(えら)びも非難されるべきではない。
それを野上さんのように自分ならばと考えることが大切。
清水さん、懐かしい歌声喫茶の思い出が踏みにじられるようだと。

2022年5月15日
  <佐佐木幸綱選>
モザイクは市民の遺体 後ろ手に縛られている手だけが見える(川崎市)川上美須紀
その靴とズボンで夫を見分けたと妻が戦争の惨さを語る(観音寺市)篠原俊則
 【評】 第一、二首、映像と証言で知るウクライナの惨状。

 <高野公彦選>
オリガルヒの息子がドバイで享受する豪華ヨットと高級キャビアを(小金井市)神蔵勇
殺人の兵器を区別して報ず人道的と非人道的に(江別市)成田強
モザイクは市民の遺体 後ろ手に縛られている手だけが見える(川崎市)川上美須紀
プーチンのキライなものでこの世界埋めつくしたい愛・平和・笑顔(河内長野市)平岡章子
  【評】 
一首目、ロシアにはオリガルヒ(新興財閥)が幾つかあってプーチン政権を支えているらしいが、実態はまだ不明という。

 <永田和宏選>
殺人の兵器を区別して報ず人道的と非人道的に(江別市)成田強
「遺棄死体数百といひ数千といふ」ああ何も変わっていない(水戸市)中原千絵子
この夜更けウクライナはまだ日没前爆撃のまだ終わらぬ時間(五所川原市)戸沢大二郎
埋められた遺体をあまた掘りおこし身元確かむキーウの人ら(山形市)黒沼智
 【評】 
成田さん、戦争の兵器に人道的な兵器などあるものかと。
中原さん、土岐善麿の歌の上句を踏まえる。下句は「いのちをふたつもちしものなし」と続く。
戸沢さん、ウクライナの人々の悲劇を共有、共感するにはどうすればいいか。

 <馬場あき子選>
かつての日アウシュヴィッツを解放し手を延べたるはソ連兵なり(長野県)千葉俊彦
加藤登紀子のロシアの抒情聴く夕べ民は平和を愛するものを(仙台市)沼沢修
無防備のキャベツ一枚ずつ剥がす守るべきもの何かと問ひつつ(富士市)村松敦視
砲弾に負傷せし人々を乗せ医療列車は国境目ざす(寝屋川市)今西富幸
殺戮(さつりく)をスーツで語る専門家ただ淡々とただ淡々と(飯塚市)那須富義
身寄り無き母を残して前線に送り出されるロシアの若者(北名古屋市)月城龍二
集団殺害(ジェノサイド)の捜査始まる日も冷たいブチャ掘り起こさるる動かぬ証拠(京都市)森谷弘志
 【評】 
今週もウクライナ情報に反応した歌が多くあった。歴史的な見直しや、今日の日常感から止(や)みがたい思いをうたわずにはいられなかった歌。アウシュヴィッツを解放したソ連兵とジェノサイドの疑惑は戦争のなせる両面なのだ。

5月22日
 <高野公彦選>
ウクライナが気になりますと語りたり洋上の堀江謙一さんが(上尾市)鈴木道明
【評】 
太平洋をヨットで航海中の堀江さんもウクライナが心配なのだ。
天敵の居らぬ人類自らで数を減らせと言ふのか神は(村上市)鈴木正芳
 
 <永田和宏選>
核のあるこの世に生まれ核のあるままのこの世を去らねばならぬ(観音寺市)篠原俊則
あの戦争止められなかったその理由いまうっすらと分かり始める(東京都)趙栄順
戦場で感染症で使われて遺体収納袋の無機質(新潟市)太田千鶴子
自転車でいつもの角を曲ったら彼は撃たれて理由(わけ)しらず死す(諫早市)藤山増昭
戦争の話する人しない人もう福島は遠くなったか(南相馬市)佐藤隆貴
  【評】 
篠原さん、言われるまでもない事実だが、当たり前のことが改めて指摘されてインパクトを持つ好例。
趙さん、今のロシアを見て、かつての日本を思う。

 <馬場あき子選>
どこまでも愛らしき瞳出でてくるマトリョーシカ春、淋しきロシア(三重県)尾崎淳子
【評】 マトリョーシカの愛らしい重なりにロシアの現状をかなしむ。
「プーチンが戦場に行けば終るのに」声欄にひびく十三歳の声(稲城市)坂井暁子
国護るためと持たされた銃重かった昭和二十年五月のわれは(大阪市)由良英俊
原発を撃つ国廃炉に悩む国それでも増設するという国(福島市)青木崇郎
平時なら知ることもなきままの都市指にて辿るウクライナ地図(舞鶴市)吉富憲治
  
 <佐佐木幸綱選>
悲しきはうららな春の新聞の歌壇につらなる戦争のうた(安中市)鬼形輝雄
ウクライナが気になりますと語りたり洋上の堀江謙一さんが(上尾市)鈴木道明
廃虚なるキーウの瓦礫の片隅にブランコゆれてぬいぐるみあり(行方市)額賀旭
誰が誰を殺したのかが分からないそして問わないそれが戦争(大和郡山市)四方護
 【評】 
第一首、春の歌がならぶはずの季節の新聞歌壇に毎週つらなるように並ぶロシアのウクライナ侵攻の歌。まさに「悲しきは」である。
第二首、ヨットで太平洋航行中の堀江謙一氏は、六月の日本帰国をめざしているという。

《番外編》
弟とママと作ったお昼ご飯あすかルビーのフルーツサンド(奈良市)山添葵
【評】あすかルビー(奈良で育成された苺〈いちご〉)入りのサンドが美味(おい)しそう。
「かき氷始めました」に少し似た「思春期に入りました」の背中(奈良市)山添聖子
【評】成長する子を見守る母。比喩が独創的で面白い。
三階の六年生の教室のまどは空しか見えない四月(奈良市)山添葵
春休み占いチョコは「テスト×」「れんあい△」「みらい◎」(奈良市)山添葵
むらさきのクリスマスローズのしずくむらさき色に光っているよ(奈良市)山添聡介
山添親子の大ファンなわんちゃんなんです。

むくのきセンターのユリノキにお花が咲いています  2022年5月8日
 


👆 ユリノキってこんなに大きな木です
ユリノキ(百合の木、百合木、学名: Liriodendron tulipifera)モクレン科ユリノキ属

高さ45メートルに達することもある大きな木であり、特徴的な形の葉をもつ。花期は晩春から初夏、オレンジ色の斑紋をもつ黄緑色の花が上向きに咲く。北米東部原産であるが、日本を含む世界各地で植栽されている。植物の学名の出発点であるリンネの『植物の種(英語版)』(1753年) で記載された植物種の1つである。