【わんちゃんの独り言】

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花の形が語る虫との駆け引き

2022-09-11 | 折々の花
多種多様な花を咲かせる植物。色鮮やかなものから、一見地味なものまで――。多くの植物が子孫を残すのに必要な花粉の受け渡しを、昆虫などの動物に託す。花の形には、そんな植物と昆虫たちとの駆け引きから生まれた奥深い科学が凝縮されている。
ウラシマソウ(浦島草、学名: Arisaema urashima) サトイモ科テンナンショウ属

2021-4-14 枚岡公園にて
 にょろりと細長いひものようなものが伸びた花が特徴のウラシマソウ。童話の浦島太郎がさおを垂らして釣りをしている姿のようだと、その名の由来にもなっている。長いものでは50センチ以上にもなるが、一体なんのためについているのか、植物研究者の中では100年以上も続く謎だった。
 進化の過程でたまたま残った無駄な部分ではないか。そんな仮説もあったが、神戸大の末次健司准教授らのチームが、さおを切除した実験から、キノコバエという特定の昆虫だけを呼び寄せる誘引の役割があることを突き止めた。
 キノコバエが訪れなくなったウラシマソウは、それ以外の虫が訪れる頻度に関係なく、果実や種子ができにくくなった。さおは、主要な花粉媒介者のキノコバエを、その名の通り「釣りあげる」ために機能していた。理由はまだわからないが、においで呼び寄せているのではないかという。
ウラシマソウのように、多くの植物は受粉を昆虫などの動物に頼る。そして、ターゲットとする特定の動物に応じた戦略をとる。

サギソウ(鷺草、学名:Pecteilis radiata (Thunb.) Raf. )ラン科サギソウ属


2012-9-01 むろ池園地にて
 サギソウが持つギザギザの白い花びらは、花粉を運んでくれるスズメガの重要な足場として機能していることがわかった。スズメガは空中をホバリングして蜜を吸うとされてきたが、実は脚をギザギザにひっかけて体を安定させていた。こちら

ツルニンジン(蔓人参、Codonopsis lanceolata)キキョウ科の蔓性多年草。

2008-10-04 六甲高山植物園にて
 京大などの研究では、ツルニンジンとコシノコバイモが持つ釣り鐘型の花に、受粉の役に立たないのに花の蜜を吸いに来るアリを追っ払う役割があることもわかった。花びらがワックスを塗ったような滑りやすい構造になっていて、アリは滑って歩くことができず花に侵入できない。
 ツルニンジンは花びらの内部に滑らない領域が存在し、コシノコバイモは花びらの縁などに内向きの突起を持つ。意図しない昆虫の侵入を排除するだけでなく、飛んでくる花粉媒介者のハチなどは受け入れられるようにしているのではないかという。
 末次准教授は「花粉媒介者に来てもらうだけではない花の機能も少しずつ明らかになってきている。身近な花でも、周囲の虫の動きにも注目してみると新しい発見があるかもしれない」と話す。
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朝日新聞2022年8月19日朝刊19面 教育科学