落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

『カレンダー・ガールズ』 トリシア・スチュアート著

2004年10月15日 | book
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日本でも今年公開された映画『カレンダー・ガールズ』の原作・・・ではない。
あの映画は実在の町とそこで起きた出来事をモチーフにしているが、物語はあくまでフィクションである。
イギリスの片田舎に住む中年の主婦が、夫に先立たれた友人のためにヌードカレンダーをつくることを企画する。伝統ある婦人会の主婦たちによるヌードカレンダーはやがて世界中の関心の的になっていく、と云った大筋はそのままだけど、現実にカレンダーに携わった人々がそっくり登場する訳ではないし、映画らしい脚色もかなり行われています。
本書はそうした脚色のない、現実のカレンダー騒動をカレンダーの立案者本人であるトリシアがまとめたエッセイ。友人の夫ジョンの闘病から、騒動が映画化されるまでの5年間がごく普通の田舎の主婦の自然な目線で丁寧に書き留められている。

映画で観てことの次第はおおよそ知ってはいても、こうして細かく経緯をひもといてみると現実にカレンダーによって起きた騒動の大きさは想像を絶するものがある。
カレンダーをつくるまではまだ良い、その後の国内外からの異常な反響と殺到する注文に追われ、有名人になってやれ取材だTV出演だプロモーションだとほうぼうにかり出され興味本位のマスコミにプライバシーまで嗅ぎ回られる騒乱の日々を、彼女はあくまで新しい発見の旅として楽しもうとしている。
その反面で家庭では夫との不和に悩み、カレンダーに参加した友人たちとの諍いや謂れのない中傷に傷ついたり、もう一方の当事者であるジョンの妻・アンジェラへの気遣いに腐心する、濃やかにやさしい女心も率直に描かれています。

思うに彼女がここまで何にでも一生懸命明るく立ち向かっていけるのは、それまでの人生で充分に彼女自身が鍛えられた自信があるからじゃないだろうか。
家族を愛し、故郷や家や自然を心から愛して自分に誠実に生きて来たから、どんなに混乱していても本当の目的、進むべきゴールを見失わずにいられたんじゃないかと思う。
実はそんな人生は全然普通じゃないんじゃないかとぐりは思う。普通の田舎の主婦と云ってしまうのは簡単なことだけど、そんな風に生きることは本当は全然簡単ではないのだ。

ぐりも出来ればもっと自分に誠実でありたいと思う。心から愛するもののひとつも持たなくてはと思う。でもそれは言葉で云うよりずっと難しいことだったりする。そんなこと云ってないで前を向いてちゃんと人生鍛えたいよと思ってても、なかなかそう上手くはいかない。
女だって大変なんですよ。
でも頑張ろう。私も55になった時に「今脱がないでいつ脱ぐんだ」なんて云えるくらいしゃきっとした女性でありたい。理想論かもしれないけど。