落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

東京国際映画祭 『青春愛人事件』

2004年10月24日 | movie
タクシードライバー小謝(劉燁/リウ・イエ)の恋人・琳琳はしょっちゅう失踪している同居人の元彼女。アパートの隣人・莫さんは中年でカツラで同棲中の恋人・芬までいるのに、女の尻を追いまわしてばかりいる。ある日莫さんが連れこんだ少女・柳芭が小謝の部屋に転がりこんでくる。奔放な柳芭につきまとわれ振り回される小謝。芬の昔の恋人・涛が刑務所から出所し、莫さんは芬のために街を出ることを決意するが・・・。

ムチャクチャ面白かったです。もう大爆笑です・・・ってもナゼか他の観客は全然笑ってなかったのでぐりも声を出さずに心の中で爆笑&七転八倒してたんだけど。ウケ過ぎかなぁ。確かにストーリー展開がやたらテンポ良くてトリッキーで、完全に10代から20代前半の若者向けのごく軽いノリのエンターテインメント映画っぽかったから、当日観に来てた大半が30代後半以上と云う客層にはダイレクトにはウケにくいかもしれない。
ぐりはこう云う現代的な都会派ラブコメディ(あのスタバでロケしてたり出会い系サイトのチャットでナンパするおっさんが出て来たりする)って中国映画では珍しいと思うんだけど、実際のとこどーなんでしょー。少なくとも日本で公開されてる中国映画ではあんまり見ないタイプじゃないでしょーか。
それにしてもスタバでロケって日本じゃ絶対出来ないのになー。劉燁効果なのか?

その劉燁、この小謝役はホント傑作ッス。作中で彼を称して「退屈な人」と云う台詞が出て来るんだけど、ホントに平々凡々と穏やかで誠実なだけが取り柄の、さっぱりイケてない男の子。年寄りでもないのに若さもないし衣装も髪型もダサいしモロにヘタレ!!って感じなんだけどこれがまたおかしいほどハマってます。そのハマり具合がまた笑える。面白い。
しかしこう云う受けの芝居─周りの登場人物や状況に反応するだけのキャラクター─と云うのはかなり演技が上手くないと保たないので、そう云う意味では与えられた役を非常にしっかりとこなしてるな、流石演技派だなと思わせる芝居です。ただ彼をアイドルとして見たいファンにとってはどーだろなーっとは思う。そのくらいヘタレです。ぐりは好きだけどね。

観る前はもし下らないアイドル映画だったりしたらどーしよー、と思ってましたが、まるっきりの杞憂でした。内容が内容だから傑作とは云いにくいけど、よく出来た娯楽映画だとは思います。拍手。