落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

夜叉ヶ池

2004年10月28日 | play
映画祭期間中ですが今日は舞台を観て来ました。結構ヒサビサかも。
実は仕事もあるしチケットとったのもかなり前でもういっかーとか思ってたんですが、ビンボー症は¥8500のチケット代が惜しかった。

原作は泉鏡花、脚色は長塚圭史、演出三池崇史、美術会田誠。三池さんは本職は映画監督だから舞台の演出は珍しいと思うんだけど、会田さんももともと日本画家なので舞台美術は門外漢ですね。ぐりは偶然ですが会田氏の芸大の修展を観てます。その頃から異色のアーティストではあったけど一時はなかなか作品が売れなくてビンボーをネタにしてたくらいなのに、パルコ劇場の舞台美術をやるとは出世されたものですなー。
出演は武田真治/田畑智子/松田龍平/松雪泰子/遠藤憲一/きたろう/萩原聖人/丹波哲郎など。

面白かったです。わざわざ時間つくって観に行った甲斐はありました。長塚圭史の舞台をぐりは観たことないんだけど、機会があれば是非観てみたいと思ったです。泉鏡花の修辞のクドイ本をさくっと現代風にアレンジしつつ本来の世界観も活かしつつ軽妙なテンポを上手く加えてあって、観てる方を疲れさせず飽きさせない。
期待した舞台美術は全くフツーでした。会田氏の作風からもっとえげつないのを想像してたんだけど。
三池色もそれほど濃くなかったです。三池作品によく出て来るちょっとホモ?っぽいシーンは一応あったけど、それ以外に三池ワールドを強く感じるようなところは特に印象に残りませんでした。
たぶんこのメンツを揃えたプロデュース側の意図よりもかなりあっさりした仕上がりの舞台になったんじゃないかと思います。

意外に感じたのが松田龍平と松雪泰子。
ぐりはこのふたりの舞台を観るのが初めて(松田氏は初舞台ではなかろーか)なんですが、すっごい舞台にハマってました。っつうか松雪嬢はTVよりむしろ舞台の方が似合ってると思った。非現実的で感情過多な芝居がもろに舞台女優!!な感じで。ただカラダが物凄く細いのでちょっと痛々しいとこはありますね。
松田氏の方はこれまでのイメージとは全く違ったキャラクターを何のてらいもなくしっかり演じてて、21歳とは思えない貫禄を感じました。10歳以上年上の武田真治の兄貴ぶんと云う設定も何の違和感もなかったです。各方面で心配された「声が小さい、活舌が悪い」問題もちゃんとクリア(当たり前か)。しかし喋り方がとーちゃんソックリだよ。おそるべしDNA。
上背があるから舞台映えもするし、演技も堂々としてました。とりあえず初舞台には見えなかったよ。そしてやはり麗しかった。久しぶりにナマで見ましたが、いつ見ても肌がめちゃくちゃ綺麗で妖艶です(全然そんな役じゃないんだけど)。ホント見る度に生まれながらにしてスター、ってこんな子のことを云うんだなぁとしみじみ感じます。

主役の武田真治は可もなく不可もなし。舞台俳優としてもベテランの筈だけど、ところどころで台詞を噛んだりもしてていまひとつ観客のテンションが上がるような演技にはなってなかった気がする。田畑智子は明らかにミスキャストですな。彼女は彼女なりの魅力はあると思うけど、このユリ役だけは合ってないです。雨乞いの生け贄に選ばれるような村一番の美女って、そんなキャラじゃないっすよ。
ただまぁこのふたりも与えられたぶんの役はきちんとこなしてたし、見てて齟齬が気になると云うほどのことは全くなかったです。

ぐりは泉鏡花の小説は好きなんだけど、よく考えたら舞台を観るのは初めてでした。いつか『滝の白糸』が観てみたい。
ところで今日の舞台、丹波哲郎の出番でプロンプターの声が客席に筒抜けでした(笑)。最初何の音かと思ってビビりましたよー。カーテンコールの時も他のキャストに介助されてたし、丹波さんもトシとったんだね。