落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

東京国際映画祭 『可能なる変化たち』

2004年10月26日 | movie
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すっっっごい良かったです!
『ジャスミンの花開く』がぐり的にNGだったのと、その後の予定が無くなってヒマになったのでたまたま入って観たんですがこれがもう大当たり!!!ですわ。タマにこういうことがあるとやっぱり映画って面白いもんだなぁと思いますね。
ホントに偶然時間があっただけなんだもん。おまけにティーチインまでついてて監督やプロデューサーにもいろいろ訊けて(終了後にも時間をとって個人的に質問に答えてくれた。良い人たちだー)、プレゼントも貰えました。超ラッキー。監督ええオトコやったなぁ。

『可能なる変化たち』は韓国映画。監督は新人だそうで脚本はオリジナル。
主人公のムノとジャンギュは30代半ばで幼馴染み同士。ただ熱かった若さに別れを告げ自分の人生に漠然とした不安を感じはじめたふたりは、それぞれに変化を求めてラブアフェアに耽ろうとする。ムノは妻子がありながら出会い系で知り合ったエリートOLと不倫関係を結び、ジャンギュは初恋の女性に会いに行き既に結婚している彼女とやはり肉体関係を持つ。
全体のトーンは非常にクールかつドライで、ふたりの男の極端にデフォルメされたキャラクター─身勝手で色欲過多─や必要最小限まで削られたストイックなダイアローグ、静かに落ち着いたカメラワークや抑えに抑えた演出が大変個性的なスタイルを形成してます。なにより、30代になっても未だに自分がどこから来てどこへ行こうとしているのか分からないと云う不安感を限りなくリアルに再現した世界観にぐりは物凄く共感しました。
低予算で制作されたとのことですが、それによって監督がどこかで妥協したような形跡は一切見受けられないし、本人も観客や世論など対外的なことを意識的に排除して自分の好きなように撮りたいものを撮ったと云ってました。そう云う発言を聞くだけでなんか勇気出たよぐりは。そーだよね、結局自分のしたいことをちゃんとやりきることが大事なんだよね。

淡々とした語り口の台詞の数々がまた印象的です。
曰く
「どんなに愛しあっていても、本当に分かちあえるのはほんの一部分でしかないのよ」
「意識不明の時は死ぬのが怖かった。でも今は生きていくのが怖い」。
有名スターも出ていない、監督にもこれと云った実績もない。韓国での一般公開も決まってないと云うインディーズ作品ですが、ぐりは心から成功をお祈りしております。頑張って。