落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

Nobody's fool

2010年05月23日 | TV
『誰も守れない』

昨年の映画『誰も守ってくれない』の公開日に放送されたドラマバージョン。
映画版の主人公たちが4ヶ月前に遭遇した事件を背景に、映画版のテーマである「加害者家族の保護」とは対極にある「被害者家族の保護」を描く。
池袋を管轄とする東豊島署暴力犯係の刑事・勝浦(佐藤浩市)と三島(松田龍平)は、チンピラ風の男に襲われた企業重役(山本圭)の事件を担当する。被害者の勤務先の黒い噂が動機と疑われるが、やがて被害者の娘で精神科医の令子(木村佳乃)にも根も葉もないデマが取り沙汰されるようになり・・・。

おもしろかったー。
映画公開時も一部で「これは映画よりドラマ版の方がおもしろいんじゃないか」とゆー評判も小耳に挟みましたが(harryさんその節はどーも)。まさに。ぐりは映画よりこっちのが全然好きですねえ。
いや、地味っちゃ地味なんですよ。一応刑事ドラマだから事件はあるんだけど、そんなに大きな、派手な事件じゃない。けどそこはさすがドラマの『踊る大捜査線』チームです。派手じゃなくても、地味でも、ちゃんとテンポよくドラマを転がしていく。
このドラマには『踊る』みたいに賑やかに多様なキャラは登場しないけど、そのぶん主人公ふたりのかけあいが素晴しく楽しい。とくにいつも意味不明にヘラヘラ笑ってるわりに、画面には二度しか登場しない恋人の影に翻弄され続ける三島の人物造形は秀逸でした。松田龍平ってこんな芝居うまかったっけ(失礼過ぎ)。終盤の××なシーンの演技にも圧倒されちゃいました。デビュー以来ずっと“優作の息子”といわれ続けた彼だけど、正直、今作で初めて、誇張でも何でもなく「血は争えない」と思ってしまった。

このドラマ、刑事ドラマなのに刑事がろくに活躍しない。そういう意味ではまっとうな刑事ドラマやサスペンスが好きな視聴者には物足りないかもしれない。
でも、小さな事件を地道に、それこそ地面に這いつくばるように細かく捜査し、いつ終わるとも知れない警護にひたすら堪え、会えない家族や恋人を思い、自らの無力さや愚かさや不運を嘆きながらも、日々追われるように取り憑かれたように淡々と働く主人公たちの姿は、人として痛々しいほどリアルで生々しくて、自然と「頑張れ」と応援したくなる。
ただ逆に、健康オタクのヤクザ(大杉漣)がうそぶくように、組織に属さない犯罪者予備軍やネットやケータイという顔のみえない新興メディアに、警察があまりに乗り遅れ過ぎているような描写はやはりいただけない。これはどう考えても制作者側の不勉強としかいいようがないのではないだろうか。いまどきの警察はそこまでボンクラじゃないと思うよ。

岩松了や森田芳光がチョイ役で一瞬出て来るシーンがめちゃめちゃよかったです。演技はうまくないんだけど、なんでしょーね?あのリアル感。むしろ演技してないから?藤本美貴のキャバ嬢役は似合い過ぎててシャレになんなかった。そして成宮寛貴は何やっても成宮寛貴。観ててちょっと困っちゃうんだよね彼は・・・毎回何をどうしたいのかよくわからない。ヘタではないと思うんだけど、このドラマで重要な「お手軽な悪意の恐怖」を象徴する人物としてはどうしようもなく弱い。
池袋とゆー、東京でも一種独特の文化圏をもつ町の情景が活かされた映像表現や、幅広いジャンルを網羅した音楽もよかったです。
この映画に描かれる「警察の被害者保護」については、何年か前に神戸連続児童殺傷事件の被害者遺族の手記で読んだことがある。実際の任務では、ドラマよりもはるかに緻密にしかも長期的に、肉親や友人でもそこまでやれないだろうというほどの手厚い保護措置がとられる(事件や所轄によっても差異はあるものと思われる)。おそらくそうした保護なしには、犯罪の被害に遭って深く傷ついた家族は平常心や最低限の日常を到底取り戻すことなどできはしないだろう。
映画版の方はあんまし好きになれなかったぐりですが、このドラマはすごくよかったので、いずれシリーズにしてもう一度同じテーマをもっとキチンとやってほしいかなと思いました。

ちなみにこのドラマはDVD化されてないらしい。なぜに。
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これは映画の方。

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2 コメント

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Unknown (harry)
2010-05-23 17:39:15
なんだか呼ばれたような気が…(笑)。

ご無沙汰してます。これ、松田龍平と佐藤浩市の距離感が絶妙でしたよね。熱すぎず冷たすぎず、どちらもスーパーヒーローなんかじゃないけど、同僚としてちゃんと敬意を払いあっている感じで。バディ物としてシリーズ化してくれたらお金払っても見るんだけどな。

実は前のエントリ、『46億年の恋』でもしゃしゃり出る気満々でした(笑)。三池監督のフィルモグラフィーの中では本流ではないんでしょうが、いちばん好きかも。ホラーみたいな石橋凌の不穏さもグッド。この映画の中では安藤くんのほうがエロいですが、三島刑事の龍平くんにはけっこうそそられるものが…。お父さんとはべつの華がありますよね。

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Unknown (ぐり)
2010-05-28 23:48:23
harryさん

ご無沙汰です。
これホントにシリーズ化してほしいですよね。

『46億年の恋』そこまで好きかっちゅーと私はそーでもないですが、なかなか良いですよね。
しかし三池監督のエロは私のエロ心にはイマイチぐっと来なかったです(爆)。
なのにシャブ打たれて悶絶してる龍平くんはさすがにヤバいと思った私は実はドS(今さら)。
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