落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

フェロモンカメラ

2010年05月22日 | movie
『46億年の恋』

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刑務所内で乱暴者で恐れられていた囚人・香月(安藤政信)が、有吉(松田龍平)という同房の囚人に殺害される。
別の殺人罪で偶然同じ日に収監されたという以外に、まったく何の共通点もない対照的なふたりだったが、なぜか香月は何かと有吉を庇い、やがて有吉はそんな香月に惹かれていく。
有吉の香月殺害の動機はいったい何だったのか。
2005年ベルリン国際映画祭パノラマ部門出品作。

公開当時もちょびっと観たいかも?とか思ってた記憶はあるんだけど・・・なんかいろいろ評判聞いてひよってしまいー。
だってちょーシュールなんやもん・・・予告編がさあ。ぶっちゃけドン引きでしたん。予告編、重要ですよねー。予告編でソンしてる映画ってたぶんいっぱいあると思う。逆に本編観てみたら予告編全部ウソやん!な映画もいっぱいあるけど。もしくは、予告編以外いいとこ全然ない映画とか。
マ、この映画は前者ですね。予告編がシュール過ぎかも。いや本編もシュールなんだけど、実際観てみたらちゃんと観れるの。全然さぶくない。さすが三池監督。
回想を除いて全編ほとんどワンシチュエーションだから、かなり舞台っぽいつくりではあるけど、そーゆーのが苦手な人でなければ普通に楽しめると思う。

意外だったのは主演の安藤政信と松田龍平の演技。ふたりとも、アレ?この人こんな人だっけ?みたいな、従来のパブリックイメージを見事にうまく裏切っている。
安藤政信の方は『昭和歌謡大全集』のすぐ殺されちゃうランボー少年役に微妙にカブッてなくもないけど、劇中ロクに喋りもせず登場するたび毎度とにかく暴れっぱとゆー狂ったキャラが似合い過ぎです。それにものすごく色っぽい。役づくりのためかバルクアップした肉体美を惜し気もなく披露するシーンがやたらに多いんだけど、眼福でございましたん。しかしあのタトゥーだかボディペイントだかが、シーンによってカットによってあったりなかったりするのが超気になりまくり。どっちかにしてくれい。
松田龍平はエラいヲトメな役で、これまたビックリするくらいぴったりです。彼の出演作は、どれも撮る方が本来素材であるはずの役者を持て余してるみたいな雰囲気が伝わって来て、なんとなく居心地悪い気分にさせられることが多くて、たぶん本人もそういう空気に対する抵抗感みたいなのがあったんじゃないかと思うんだけど、今回に限ってはそれがないんだよね。撮る方も撮られる方もさっぱりしてるというか堂々としてるというか潔いというか。
ふたりとも個性があまりにも強いから、これくらいアクの強い作品だとうまく中和されてちょうどよくなるってことなのかな?

安藤政信もそうだけど、松田龍平も劇中ほとんど喋らない。喋るのは全部脇役で、台詞といえば状況説明かもしくは抽象的な心象風景。
だから台詞によって直接的にストーリーを展開していくというような映画ではまったくない。確かに男性同士の恋愛がモチーフにはなってるけど、誰も言葉で愛や恋を語ったりはしない。松田龍平の「キミみたいになりたい」というのが唯一それっぽいカワイイ台詞といえなくもないけど。
逆に愛欲とゆーか肉欲を露骨に語るシーンはけっこうあって(映像には性表現はほとんどない)、男性にとっての「愛」の暴力性がすごくわかりやすく表現されてるなあと思って、なんだか感心してしまいました。魂の底から求めてやまない愛を同時に畏れるというか、恐れるとゆー微妙な心理。
言葉でいわないぶん、無言の視線の交錯やカメラワークや編集で、刑務所の中で高まっていく愛憎とふたりの主人公の間に流れる恋の電流が非常にうまく映像で表現されていて、さすが三池さんはテクニシャンだなあー、とそこも今さら感心してしまいましたん。ホント今さらですけど。

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