落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

ゴーマニズム失言

2009年01月06日 | diary
派遣村発言、坂本政務官が撤回「実態把握してなかった」

ぐりは件の本は読んだことないんでタイトルは無視して下さい。
正月に身内と派遣村のニュースを見ていたら、彼女が「この人たちは考えが足りない、努力が足りない」といいだした。この不景気に製造業で派遣なんてリスキーにもほどがある、もっと安定した仕事を選ぶなり、資格を取るなり、できることはあったはずなのにそれを怠ったのだから一方的に被害者面するのはお門違いだと。
彼女の発言は一理あるかもしれない。けどぐりはそれは完全な偏見だと思った。社会人生活のうち何年かを契約社員で過ごし、大企業の都合に振り回された経験のあるぐりにとって、今回の派遣切りの嵐はまったく他人事じゃない。資格がない、キャリアがないということをひとくくりに「考えが足りない、努力が足りない」で片づけられたところで何も生まれない。ニュース画面に映る彼らは十把一絡げの可哀想な人たちみたいに見えるかもしれないけど、彼らひとりひとりにそれぞれ違った事情がある。
直接の知人・友人にも派遣契約で働いている人も何人かいる。その人たちを考えが足りないとか努力が足りないとは決してジャッジすることはできない。それぞれの事情を知りもせずに勝手にジャッジすることは、無意味な偏見以外のなにものでもない。

ぐりが「でも企業は儲かってるのに、会社や株主の利益を守るためにこの人たちを解雇したんだよ。それはひどいじゃない?」というと、彼女はこうのたまった。「私は株やってる。企業が株主の利益を守るのは当たり前だ」と。
これには呆れてものもいえなかった。
ぐりは株式投資も為替取引も財テクとよばれるものはまったくやってない。だからぐりの考え方は間違ってるかもしれない。けどね、「企業が株主の利益を守るのは当たり前」てそれはおかしいと思うよ。
そもそも投資したお金は投資した時点で株主のお金じゃなくなる。企業のお金だ。それを使って企業は利益を出し、利益が出たら株主に還元する。利益が出なければ株主は「利益を出せ」と要求する権利がある。それは株主が企業にお金を貸してるからではなくて、投資することで企業の経営に発言権を持つことができるからだ。それが投資という言葉の本当の意味だとぐりは解釈してるんだけど、間違ってたら誰か教えて下さい。企業は株主に元本を保証したりはしないし、株主は金貸しではない。株主が自分のお金を守るために企業の人事に口をはさむのはそれこそお門違いじゃないのかね?そんなにお金が大事なら箪笥にでもしまっとけばいいじゃん。
この身内にしろ政務官にしろ、結局当事者の身になってものを考えるという想像力が欠けているからこんなことがいえるんだと思う。今現在安定した仕事に就けていて、ある日突然住む家も失って路頭に迷うなんて危機が自分には絶対に起こりえないという傲慢さが、会ったこともない人間をこんなふうに見下させるのではないだろうか。いってる自分の心がどれほど狭いかわかっていれば、たとえ思ったとしても口には出せないだろう。

てゆーかね、従業員の最低限の生活も守れない企業に利益も経営もクソもないと思うんだけど。株主はそーゆー企業からはさっさと投資を引き揚げた方が賢明だと思いますけど、それも偏見なんだよね(笑)。なにしろあたくし株のことはなーんにも知らないからさっ。
身内の名誉のためにちょこっと申し添えますが、彼女は確かに大変思慮深い努力家ではある。ものすごい勉強家で資格もいくつも取得しているし、完全無欠の鉄壁のキャリアを持っている。けどそれは誰が頼んだわけでもない、彼女が自分自身のためにした努力であって、誰かを非難するための材料にはならないと思う。料簡が狭いのは自他ともに認める欠点で、生まれ持った性格だから今さらどうしようもなかろう。


剥製。

追記。
11月に行った『闇の子供たち』トークイベントの模様が月刊「創」1月号に掲載されてるそうです。という情報をいただきました。

本文の派遣切りのニュース、某色黒司会者もなんか寝ぼけたこといってたみたいですね。意外と世の中、無意識に上から目線な人多いんだなあ。あたくしも気をつけねば。

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