世間は毎日毎日、ジャニーズ事務所の件で話題もちきりのようですが。
性被害の経験者としては正直きついので、なるべくニュース番組やニュースサイトは目に触れないように生活している。それでもSNSを通じて勝手に情報が流れてくるのがまあまあ精神的にまいります。
各方面の話題は性被害問題をどう解決していくかというよりも、記者会見に不正があったとか、不正の責任の所在が曖昧だとか、被害者への誹謗中傷とか、ファンへのいいがかりとか、被害そのものから離れた地獄絵図の様相を呈しているように思える。
あのさ、少しは被害者の気持ちを慮るとか、なんぼか冷静になれる人はいないわけ?
性暴力は「魂の殺人」といわれるけど、いったん被害に遭ったら最後、一生その恐怖感と屈辱から逃げられなくなる。
中には「え、いや私はさっぱり大丈夫ですけど?」と仰るつわものもいずこかにはおられるかもしれない。
そういう人はそういう人として、性被害による心の傷に長い間苦しみ続ける経験者も少なくないと思う。私自身も含めて。
いま現在メディアやらSNSで騒がれてる騒動は、そういう人たちの存在をまるで無視しているように感じる。
それがすごく悲しい。淋しい。
記者会見が公正ではなかったことにお怒りの意見が多いのは、至極まっとうなことだと思う。
だけどメディアの怒り方はなんだか奇妙にも感じる。
そもそもジャニーズ事務所は長きにわたって芸能界で不正な権力をふりかざし続け、メディアはろくに抵抗もせず従ってきた。その関係性が一朝一夕にひっくり返ったりするわけがない。
誤解を恐れずにいえば、ジャニーズ事務所の記者会見が不誠実だとしても、そこをつつきまわせばつつきまわすだけ、メディアはジャニーズ事務所の術中に嵌りこんでいく(=被害の実態から世間の関心が離れていく)だけで、結果的に得するのはジャニーズ事務所だ。
会見に登壇した東山紀之氏も井ノ原快彦氏も、企業の代表である以前にベテランの俳優でありタレントなんだから、他人を欺き場の空気を操るわざにかけては超一流のスキルを備えていることは誰もが先刻承知のはずだ。
かつ、ほとんど独占企業よろしくエンタメ界を牛耳ってきた芸能事務所のリスクマネジメントなんか凡人の常識で察れるものではない。メディアは視聴率やら部数やら数字がとれさえすればなんだって構わない。要はいくら無茶をしてもされても結局はなかったことになってしまうというパワーバランスはそう簡単に変わらない。あるいは意図して変わらないようにみんなで立ち回っている可能性もある気がする。
しかも世間では「報道陣の態度が悪い」「見苦しい」などという批判まであるのがアホらし過ぎる。
極論をいえば、まともなジャーナリストなら会見をピリつかせることぐらい通常業務の範囲内だと思う。むしろ多少ピリつくぐらいの会見でなければほんとうに重要な事実なんか引き出せないのではないだろうか。
報道陣は痛いところをうまく攻撃するのが仕事だけど、会見するジャニーズ事務所側はあくまで会社をまもるためにあらゆる手段を用いて逃げまわる。すったもんだしない方がおかしいし、すったもんだしてもらわないと困ります。
史上最悪レベルの人権侵害事件なんだから、芸能界仲良しこよしクラブの段取り通りの穏やか会見なんかやっても意味がない。
けど実際には報道陣の攻め方は戦略不足に終始してしまったし、なんだかんだいってジャニーズ事務所は「死んだ人間のやらかした犯罪はあくまで過去の出来事=他人事」というスタンスから1ミリも動いていない。
TBSは社内でヒアリングをして報道特集で調査報告を放送したけど、誰ひとり一言の反省の弁もなく全部が全部やはり「他人事」でしかなかったし、このままでは日本のエンターテインメント界とメディアにはびこるもろもろの搾取と不正は何も解決しないまま、過去の出来事がお金で清算されてハイおしまいで終わってしまいそうな雲行きにみえる。
MeToo運動をきっかけに改革が進行しているグローバルスタンダードはどんどん遠ざかっていく。
これで勇気を出して名乗り出た被害者の方々は報われるのだろうか。
こんな国で、これから表現者を目指す子どもたちの未来を、どうすればまもれるというのだろうか。
児童の権利に関する条約(外務省)
基本的人権(コトバンク)
ジミー・サヴィル事件(BBC)
ハーヴェイ・ワインスタイン事件(SCREEN ONLINE)
ジャニーズ事務所ウェブサイト:一連の問題に関する最新情報ページ
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ジャニーズ事務所とはなんら関係ない私の推しのライブ風景。貼ってみただけ。
「性的に消費されるのがメンタル的に我慢できない」そうですがメジャーデビューもしたしタイアップも始まったし、そうは問屋が卸すかどうかはわからない。
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