落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

被災地語り

2011年09月19日 | 復興支援レポート
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ボランティアから東京に戻るたび、誰かに出会うたびに、被災地のこと、ボランティアのことを話して聞かせて歩いているぐりですが。
自分でもけっこーイタイと思う。
でもいいんです。いまは。
被災地が復興するまで、ぐり個人の気が済むまで、やれることをやりたいだけ。
ぐりが見たこと、経験したことを話すのも、復興支援のひとつだと思うから。
傍目にイタイ人でもべつにかまわない。
そんなもの今に始まったことじゃないから。

話すたび、涙が出そうなのを必死にこらえる。
被災地のことを話さなくても、思い出すだけで涙が出る。
あんなにどこもかしこもめちゃくちゃになってしまって、何もかもが失われて、しかも地盤沈下も進んでいる(沈下現象は現時点でも進行中である)。潮が満ちればいちめん冠水してしまう土地で、みんなこれからどうするんだろう、この土地を元のように暮らせるところに戻せるのかなんて考えだしたら怖くてしょうがない。
被災地の風景は見ているだけで悲しい。そこに暮らす・暮らした人たちの喪失感を思うと、もっと悲しい。

被災地の皆さんは、ボランティアに向かっていつも「ありがとう」と繰返し口にする。
参加している側からすれば感謝されるまでもない。こんなことしかできなくてすみませんと、いつも心の中で謝っている。
日程を終えて被災地を後にする時の悔しさは、到底言葉で表現できない。
被災地の人たちが背負った復興への道のりは遠く、険しい。その日程に終わりなんかない。
また来ます、すぐ来ますといいながら、頭の中でスケジュールを繰りながら、それでもいまここを去ることが間違ったことのように思えて仕方がない。

ぐりの話を聞く人の反応はさまざまだけど、今回ひとつわかったことは、ぐりが致命的に説明がヘタだということ。
聞いてくれる人の反応が、ぐりが期待するものと大抵180度違うからだ。
たとえば、瓦礫撤去でみつけた貴重品のこと。ボランティアの中にはそういうものをお土産として持って帰りたがるけしからん輩がちょくちょくいる。ぐりはそんなの非常識だと思うし、許せないと思う。ましてや、そうして持ち帰ったものを人目につくところに飾ったり身に着けたりする神経は絶対に理解できない。けど、聞く人の中には、そんなの誰のかわかんないんだし、後生大事に保管してたって場所とるだけじゃん、欲しい人が持って帰りゃいいじゃん、という人もいる。
正直にいって、ぐりはどっちが正しいのかはわからない。だけど、せめて今は、被災地の人の気持ちを尊重するべきなんじゃないかと思う。場所のこととか持ち主探しの手間のことは、もっと後になって考えたっていいじゃんかと思ってしまう。

原発のこともそうだ。
暴言を覚悟でいわせてもらえば、ぐり個人は放射能のことはどうでもいい。関心がないわけではない。ただ、被災地の復興のことと、首都圏の被曝や食物による内部被曝のこと、どちらがプライオリティが高いか比べてしまえば、今のぐりにとっては断然前者が上である。そして、ぐりは同時にいくつものことを考えられるほどおりこうさんではない。そもそもぐりは中学生のときにチェルノブイリ原発事故を経験して以来、ずっと一貫して原発には反対である。それまでも広島長崎の教訓から、原子力の平和利用なんかありえないと思っていた。今さら何をかいわんやである。
だから、被災地で養殖業者のお手伝いをした話をして、それで収穫したものは安全なのかなんて訊かれるとびっくりしてしまう。
そんなことは被災地では大して重要じゃないからだ。
ほんとはすごく重要なことだ。
それでも、被災地の人たちにとっては、まずは自分たちの生活環境を少しでも元通りに戻すことが先決であって、目に見えない放射能のことはそれよりもずっと先の話なのだ。
実をいうとぐりはそのことについて率直に被災地の方々に訊いてみたこともある。東京でここの話をすると、原発や放射能のことをまず気にする人もいるんだけど、ぶっちゃけみんなはどう思ってるの?と。
そんなこと考えてる余裕はない、というのが答えだった。
それほど現実はシビアなのだ。そういうパースペクティブは、もしかしたら被災地にこなければわからないのかもしれない。

すべての人に、被災地の復興を真剣に祈ってほしい。
そのために何が必要なのか、誰もがまじめに考えてくれればいいと思う。
被災地で起こったこと、いま起こっていることが、どんなに悲しく厳しいことなのか、みんなにわかってほしい。
そういう想像力くらい、みんなにあってほしいと思う。


気仙沼市。道ばたに放り出されたチャイルドシート。
ここに座ってた子が、いま無事で元気でいてくれることを願う。

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