ふくい、Tokyo、ヒロシマ、百島

100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

JOKER (ジョーカー)!

2019年10月12日 | 千伝。

昨晩、映画ジョーカーを観て参りました。

ここ数年間観た映画の中でも、レベルの高い凄い映画でした。

社会の底辺にいる人間の怒り、悲しさが、胸に刺すようなシーンが、次々と展開。

暴力、殺人シーンも凄まじいけど、想像をかき回すような仕掛け、台詞。

そして、回想シーンが幻想であったり、恋愛が疑似恋愛の妄想であったり、観客への映画の仕掛けが巧みでした。

妄想と現実、笑顔と涙、その世界で、社会的弱者アーサーが、後にバットマンの宿敵、殺人鬼ジョーカーとなる過程。

・・・だんだんと暴力も殺人も肯定していくような感覚。

笑いながら泣く表情? 泣きながら笑う表情?、その狂気のような切実な感情に、鳥肌を憶えました。

主演俳優のホアキン・フェニックスの演技力も素晴らしい!

名優、ロバート・デ・二-ロも、脇を固めています。

「ほんとうの悪は、笑顔の中にある」が、この映画ジョーカーの宣伝文句。

社会の貧困層、心悩める若い人たちには、暴力、略奪、殺人を誘発するような映画だというコメントもあります。

確かに、心が元気な時、朗らかな時に、観たほうがよいかもしれない映画です。

それでも、身の周りにある社会の不条理、差別、この世の中には、救われない人間、物事が実際には存在することに気づきます。

子供が、大人によく尋ねる質問。

「何故、人は、人を殺しては、いけないのか?」

「天国は、どんな所?」

今の大人は、答えられるでしょうか?

映画の中の台詞。

「子供の頃、学校は嫌いだった。(でも、学校に行けば)、母さんは、楽しい社会人になれると言った」

「笑って、人を幸せにするのよ」

でも、社会は、アーサーを、虐待して、孤独にして、笑い者にした。

映画の最後の方のシーンで、暴動と略奪の混沌とした街から逃げる家族の中に、映画バットマンの始まりとなる子供時代のブルース・ウェイン。

・・・見事な巧みな展開でした!

そして、赤い血の付いた足跡をつけて逃げる映画ジョーカーの最後のシーン。

ジョーカー、否、善人だった社会的弱者のアーサーの背中を、もっと追ってみたいと思わせるような傑作映画でした。