昨晩、映画ジョーカーを観て参りました。
ここ数年間観た映画の中でも、レベルの高い凄い映画でした。
社会の底辺にいる人間の怒り、悲しさが、胸に刺すようなシーンが、次々と展開。
暴力、殺人シーンも凄まじいけど、想像をかき回すような仕掛け、台詞。
そして、回想シーンが幻想であったり、恋愛が疑似恋愛の妄想であったり、観客への映画の仕掛けが巧みでした。
妄想と現実、笑顔と涙、その世界で、社会的弱者アーサーが、後にバットマンの宿敵、殺人鬼ジョーカーとなる過程。
・・・だんだんと暴力も殺人も肯定していくような感覚。
笑いながら泣く表情? 泣きながら笑う表情?、その狂気のような切実な感情に、鳥肌を憶えました。
主演俳優のホアキン・フェニックスの演技力も素晴らしい!
名優、ロバート・デ・二-ロも、脇を固めています。
「ほんとうの悪は、笑顔の中にある」が、この映画ジョーカーの宣伝文句。
社会の貧困層、心悩める若い人たちには、暴力、略奪、殺人を誘発するような映画だというコメントもあります。
確かに、心が元気な時、朗らかな時に、観たほうがよいかもしれない映画です。
それでも、身の周りにある社会の不条理、差別、この世の中には、救われない人間、物事が実際には存在することに気づきます。
子供が、大人によく尋ねる質問。
「何故、人は、人を殺しては、いけないのか?」
「天国は、どんな所?」
今の大人は、答えられるでしょうか?
映画の中の台詞。
「子供の頃、学校は嫌いだった。(でも、学校に行けば)、母さんは、楽しい社会人になれると言った」
「笑って、人を幸せにするのよ」
でも、社会は、アーサーを、虐待して、孤独にして、笑い者にした。
映画の最後の方のシーンで、暴動と略奪の混沌とした街から逃げる家族の中に、映画バットマンの始まりとなる子供時代のブルース・ウェイン。
・・・見事な巧みな展開でした!
そして、赤い血の付いた足跡をつけて逃げる映画ジョーカーの最後のシーン。
ジョーカー、否、善人だった社会的弱者のアーサーの背中を、もっと追ってみたいと思わせるような傑作映画でした。