秋夜長 映像栄華 絵巻もの
季節の変わり目は、月光月影が気付かせてくれる。
有史以来、栄耀栄華、諸行無常の繰り返し。
歴史上の覇者をも支配したのは、月かも知れない。
「あの月を取ってこい」といった暴君カリギュラも、己の寿命には抗えなかった。
秋の日は、釣瓶おとし。
平成の若者、令和の子供は、センサーで蛇口から水がジャーの世代。
井戸にあった釣瓶という存在など、知る由もない。
団塊は、まさに人生の秋。
「人生100年」と言われようが、秋の日は釣瓶落とし。
夜が長くなった分、日が短い。
限られた人生という時間に追いたてられる滑り台。
次に、仲秋の名月が満月になるのは、2030年との事。
団塊世代も80歳以上。
昭和世代のエピローグ。
テレビは、アジア大会やフランスでのラグビーの放送。
それに朝まで生テレビでは、政治評論家が叫んでいる。
勝った負けたのスポーツの秋。
ああでもないこうでもないの評論家。
月下の夜につくられる絵巻物。
電波の喧騒から逃れ、外を望めば鈴虫の声。
中天に満月。
せめて、朔太郎(1886~1942)のように、月に吠える。