OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

昨日の続きのマイルス箱

2007-12-11 15:22:24 | Weblog

連日、理解不能な事件が多発する世相とはいえ、朝青龍のレイプ事件報道には……。誰だって多かれ少なかれ、過去にはキズがあるわけですが、4~5年前の事を持ち出されるというのは、よっぽど人望がなんでしょうか……。

ということで、本日は昨日に引き続き、マイルス・デイビスのライブ箱から、「Disc 2」をご紹介致します――

The Complete Live Recordings 1956 - 1957:Disc 2 / Miles Davis (united archives)
 

1956年7月21日、セントルイスからの放送録音
 01 Oleo
 02 Airegin - The Theme
 03 The Theme

 「Disc 1」の続きで、もちろん「at Peacock Alley(VGM)」にも収められていた演奏ですが、そこでは誤記されていた曲名が訂正されています。音質は両者の比較でも五分五分で、チャチな雰囲気ですが、演奏そのものは極上♪ フィリー・ジョーのブラシが冴える「Oleo」には熱くさせられます。
 ちなみにメンバーはマイルス・デイビス(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) というオリジナルクインテットです。

1956年11月12日、JATP欧州巡業
 04 Tune Up
 05 What' New
 ノーマン・グランツが主催したJATPの欧州巡業に参加したマイルス・デイビスが、現地調達されたリズム隊と共演した演奏です。メンバーはマイルス・デイビス(tp)、Rene Urterger(p)、Pierre Michelot(b)、Christian Garros(ds) というワンホーンセッション♪
 リズム隊もビバップっぽい熱気があり、マイルス・デイビスも快調に吹きまくる「Tune Up」、得意の思わせぶりが良い「What' New」と好演です。
 ちなみに音質は良好で、普通に聴けます。
 06 How High The Moon
 これが凄いメンバーによる演奏で、ジョン・ルイス(p)、ミルト・ジャクソン(vib)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds) というMJQにレスター・ヤング(ts) とマイルス・デイビス(tp) が加わっています。
 ただしレスター・ヤングがボロボロのヨタヨタですから、先発のアドリブなんか正直、聴いていられません。
 しかしマイルス・デイビスが登場すると、がぜん演奏は白熱! 観客からも大拍手です。MJQの活躍がほとんど無いのが残念です。
 07 Lester Leaps In
 これまで記載したメンツが全員集合し、さらにオーケストラまでも加わった大合奏ですが、主役のレスター・ヤングが……。
 しかしマイルス・デイビスは、それなりの熱演ですし、ミルト・ジャクソンとMJQが良い仕事をしています。正体不明のトロンボーン(?)やアルトサックスも熱演です。

1956年11月19日、JATP欧州巡業
 08 Four
 09 Walkin'
 10 Lady Be Good

 これもJATP欧州巡業からの音源で、メンバーはマイルス・デイビス(tp)、レスター・ヤング(ts)、Rene Urterger(p)、Pierre Michelot(b)、Christian Garros(ds) という正統派クインテットですが、レスター・ヤングが相変わらずヨタヨタですから、最後の「Lady Be Good」にしか入っていません。ですから、「Four」と「Walkin'」はマイルス・デイビスが独壇場のハードバップ! 実に良い雰囲気です。いずれも3分に満たない演奏なのが勿体ない!!!
 また「Lady Be Good」でもマイルス・デイビスは好調で、レスター・ヤングも刺激を受けたのか、なんとか面目を保ったような……。
 気になる音質は普通に聴けるレベルです。

1956年12月8日、フィラデルフィアからの放送録音
 11 Tune Up
 12 Walkin'
 欧州から帰米したマイルス・デイビスが、再びクインテットを率いて出演した「ブルーノート」からのライブ音源で、メンバーはオリジナルクインテット♪
 音質は、まあまあですが、演奏全体の勢いは流石で、マイルス・デイビスも安心してやっている感じです。またジョン・コルトレーンはウネウネクネクネ、レッド・ガーランドは手慣れた雰囲気で……。
 そして「Walkin'」はバンド全体のグルーヴが秀逸! ジョン・コルトレーンは問題のシーツ・オブ・サウンドの片鱗を聴かせてくれますし、レッド・ガーランドは十八番のブロックコード弾きが冴え、ポール・チェンバースのベースソロはド迫力です。

1957年7月13日、ニューヨークからの放送録音
 13 Four
 14 Bye Bye Blackbird
 15 It Never Entered My Mind
 16 Walkin'

 御馴染み「カフェ・ボエミア」に出演した時の音源で、メンバーはマイルス・デイビス(tp)、ソニー・ロリンズ(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という物凄さ! 実はこの時期、ジョン・コルトレーンとフィリー・ジョーは悪いクスリの所為で、バンドをクビになっていたのです。
 そして演奏は素晴らしい出来で、緊張感と熱気に満ちています。録音も決して良くはないのですが、不思議な迫力があり、如何にもハードバップという音になっているんですねぇ。
 もちろんソニー・ロリンズは豪快に縦横無尽の大活躍♪ アート・テイラーもパワー派の面目躍如という大車輪ドラミングですから、たまりません♪ あぁ、何度聴いても熱くなります。最初の「Four」から、グッときますよ。
 リズム隊もブレスティッジでは常連の「レッド・ガーランド・トリオ」になっていますから、グルーヴィなのはお約束♪
 肝心のマイルス・デイビスは完全にソニー・ロリンズに押されていますが、「Bye Bye Blackbird」ではミュートの魅力、「It Never Entered My Mind」では繊細な感性を存分に発揮した名演です。
 ただしオーラスの「Walkin'」は、実は「12」と同じ演奏なので要注意! 何故か音質は向上しているんで、まあ、いいか……。

ということで、この「Disc 2」も様々な問題を含んではいるのですが、最終セットのクインテット演奏を聴けるだけで価値があると思います。

もちろん収録演奏は全て既発ばかりですが、リマスターが相等に良いので、安心感があるのです。

とにかくトラック「13」の「Four」は絶対に聴いていただきとうございます。

コメント (2)
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