■魔法の黄色い靴 / チューリップ (東芝)
年の瀬も、世間の仕事納めからも縁遠く、今日も仕事で鬼の様なことをやってしまったです……。全く自分の業の深さを痛感するわけですが、そんな気分の私でさえも、この曲を聴くと和んでしまうというのが、本日のご紹介です。
歌と演奏は、この「魔法の黄色い靴」で昭和47(1972)年のデビュー以来、我国の所謂ニューミュージックをリードし続けたチューリップですから、そのビートルズ風味が満点なのは言わずもがな、個人的には軟弱という先入観を抱いていた歌謡フォーク組の中では、最初っからバンド形態で登場してくれたのも、天の邪鬼なサイケおやじの言い訳を成立させていました。
とにかく最初の出会いはラジオの深夜放送だったんですが、ギターアルペジオのイントロから極めて自然体に歌いだされるメロディと歌詞の和みは絶品♪♪~♪ それも完全じゃなくて、微妙なシビレを覚えさせてくれるところが、今もってニクイばかりです。
当時のメンバーは財津和夫(vo,g,p)、安部俊幸(g)、姫野達也(vo,key)、吉田彰(b)、上田雅利(ds) という5人で、その頃の流れとしては出身地の九州からは、かぐや姫や海援隊といった人気バンドが成功していた中で、チューリップの飛び抜けた洋楽っぽさは、もちろんビートルズ解散後の虚ろな気持を幾分でも慰めてくれたものです。
初期では「田舎へ引越そう」も、最高♪♪~♪
ただし日頃の言動から、サイケおやじは周囲に対し、決してチューリップが好きだなんて言えず、このシングル盤にしても、わざわざ隣町のレコード屋で買ったほどのツッパリがあったわけですが、そうまでしても欲しかった魅力が、確かにあるのです。
まあ、このあたりは地元の本屋でSM誌を買えない事情と似ているといえば、ミもフタも無いわけですが……。
本日のように完全に非情な鬼となった私には、カーラジオから偶然にも流れてきた「魔法の黄色い靴」で和んだ瞬間、あぁ、自分にもまだ、優しさが残っていたんだなぁ、とハードボイルドな感傷に浸ってしまい、自嘲したのが本日のオチなのでした。