OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ザ・フーの気力充実

2010-07-01 16:32:20 | The Who

リリーのおもかげc/wDoctor, Doctor / The Who (Track / 日本グラモフォン)

今日から7月!

つまり今年も、アッという間に半分が過ぎ去りました。

いゃ~、早いですねぇ~。

個人的にも仕事では月末から月始めが特に忙しいんで、あまり歓迎する日ではありません。

しかし少年時代は毎月1日に小遣いを貰っていたんで、この日が本当に待ち遠しかったですよ。

そして練りに練った計画に基き、慎重を極めて買うシングル盤の大切さは言わずもがな、今になって思うと、家を出てレコード屋に赴き、その場で尚且つ自らの欲望に熟慮しつつ選ぶ1枚の尊さは、もうひとつの儀式だったかもしれません。

まあ、このあたりの感覚は何時もながらに大袈裟なサイケおやじの本性として、お笑い下さい。

で、本日ご紹介のザ・フーのシングル盤も、そうやって入手したもののひとつですが、我国では全くヒットしていません。

しかし本国イギリスでは、ザ・フーが自ら設立に関与したトラックレコードからの最初のリリースとあって、歌と演奏に気力と才能が充実しきった名演盤!

まずA面の「リリーのおもかげ / Pictures Of Lily」は、ジョン・エントウィッスルの地鳴りのようにヘヴィなベースに導かれ、それとは正逆のポップな曲メロが抜群に綺麗なコーラスに彩られて歌われるという、最高に素晴らしいロック黄金期の証明♪♪~♪

当然ながら自在に暴れるキース・ムーンのドラミングはサウンドの要であり、それゆえのテンションの高さがハードなバンドアンサンブルを盛り立てるという、まさにザ・フーならではの構図と魅力が、僅か3分に満たないシングル盤片面に凝縮されています。

ちなみに歌詞の内容は、悶々としている息子に夜のオカズの用のピンナップを与える父親の物語で、まあ、こういう親子関係はR&Rの極北かもしれませんが、発売されたリアルタイムの1967年春はもちろんのこと、現在でもその過激さは問題化すること必至でしょう。

その意味で間奏に使われているホルンのような楽器の咆哮は、なかなか意味深!?

しかし我国では英語が直截的に理解されない所為もあって、なんらの話題にもならなかったと記憶していますし、当然ながら少年時代のサイケおやじも、そんな歌詞の中身は完全に知ることもなく、単にザ・フーだけのハードでポップな歌と演奏に酔い痴れていたのです。

そしてB面が、これまたジョン・エントウィッスルのペースが唸る、楽しくも変態なハードロックで、終始ファルセットボイスで歌われる曲メロには、呪術的中毒性が秘められているように感じます。実際、この曲あたりは我国のGSが作り変えて演じても、それなりにウケたように思いますねぇ~♪

ということで、こんな素敵なシングル盤が何故に日本でヒットしなかったのか? 今も昔も不思議でなりません。

ご存じのようにザ・フーの場合、その大半の楽曲はピート・タウンゼントの天才性によって、バンドイメージよりは遥かにポップな魅力に溢れているんですが、それを軟弱にしていないのがジョン・エントウィッスルとキース・ムーンの暴虐のリズムコンビであり、ロジャー・ダルトリーの臨機応変なボーカルスタイルでしょう。

ですからピート・タウンゼントは、もしかしたらバンドを纏めるために妥協の連続だったかもしれませんが、「妥協」と「腰抜け」は明らかにちがうわけで、それゆえにザ・フーは一筋縄ではいきません。

なにしろ後に明らかになったように、このシングルA面曲「リリーのおもかげ」は日本盤とオリジナルのイギリス盤ではミックスが僅かに違うと言われています。つまり幾通りものサウンド作りを当たり前のようにやっていたんですねぇ~♪

尤も「リリーのおもかげ」に関しては、あまり拘るほどの違いは無いと思うんで、素直に楽曲の素晴らしさを楽しむのが正解でしょう。

むしろ、そのA面に顕著なポップなフィーリングはピート・タウンゼントの曲作りの魅力であり、対照的に変態性が些か滲み出るのがB面のジョン・エントウィッスルのオリジナルというバランスの妙が、ザ・フーの根本要素のひとつかもしれませんね。

やっぱりザ・フーは最高♪♪~♪

コメント (4)
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