■微笑んでよサラ / Daryl Hall & John Oates (RCA / RVC)
だいたいヒット曲は「耳ざわり」の良さが一番のキモかもしれませんねぇ~♪
それをサイケおやじに証明してくれた好みの名曲のひとつが、本日ご紹介の「微笑んでよサラ / Sara Smile」で、とにかく1976年にはラジオはもちろん、飲み屋とかパチンコ屋とか、この曲が様々な場所で流れて来る度に思わず耳を奪われたものです。
なにしろそれは、全く自分の好みにジャストミートのメロディとサウンドが濃密に凝縮されていて、大好きなフィリーソウルと西海岸ロックの巧みな融合の他に、もっと下世話な歌謡曲テイストまでもが滲んでいるように感じられたのです。
ところが自作自演で歌っていたダリル・ホールとジョン・オーツという二人組は、当時の感覚から言っても、およそロッカーでは無いし、そうかと言ってシンガーソングライターという雰囲気も伝わって来ない、極言すれば「男色系」の何かさえ!?
そんな諸々が洋楽雑誌のグラビアやレコードジャケ写から窺えるんですが、その反動がまた演じている音楽の本物感を強めている印象なんですから、最初っから一筋縄ではいきません。
結局、後に知ったところでは、このデュオチームは決して新進気鋭では無く、ダリル・ホールは白人ながら少年時代から生まれ育ったフィラデルフィアの黒人スラム街で所謂ドゥワップコーラスのグループで歌い、長じてからは黎明期フィリーサウンドの制作現場でセッションミュージシャンとして働いていたそうですし、一方のジョン・オーツも同地でR&Rやフォークを歌っていたところで、最初に出会った頃には、まず曲作りが主な仕事だったと言われています。
そして当然ながらと言うか、彼等の背後にはケニー・ギャンブル&レオン・ハフに繋がる人脈があり、音楽性の下地は後にフィリーソウルと称されて世界中で大旋風となったお洒落なセンスなんですが、しかし時代は1970年頃から急速にフォーク系シンガーソングライターのブームが爆発!
所詮は白人デュオとしか一般の認識が無かったホール&オーツは、公式デビューのレコードでも、今となっては中途半端なフォークロックやカントリーロックの「もどき」をやらかしているように、後追いでサイケおやじは聴いたものです。
ただし「微笑んでよサラ / Sara Smile」でブレイクするまでの1972~1974年の間に作られたアルバムや残された音源の中には、確かに洗練されたブルーアイドソウルに「あと一歩」という残念賞的な歌と演奏もあって、それらは何れご紹介したいと思いますが、とにかくも大ヒットを出したのは、決して「運が良かった」とか「マグレ」では無かった証明になっています。
しかもサイケおやじは、この時点で大きな誤解をしており、結局ホール&オーツは新世代のブルーアイドソウルを歌う二人組では決して無かったんですねぇ~~!?!
極言すれば、ニューウェイヴのロックグループでしょう。
ということで、普通に解釈すれば、ホール&オーツなんて全く自分の守備範囲では無いはずが、この稀代の名曲「微笑んでよサラ / Sara Smile」の特大ホームランによって、その「なんて」という言葉と文字を打ち消すしかない境地に、サイケおやじは追い込まれたというわけです。
う~ん、これが名曲の底力ってやつなんでしょうねぇ~♪
一生、ついていきますよっ!